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    第15章-著作権少額請求


    第1501条-定義

      本章においては、

      (1) 「請求者」とは、第1504条(c)(1)に基づいて提起される侵害、第1504条(c)(2)に基づいて提起される非侵害または1504条(c)(3)に基づいて提起される不正表示に関して許される請求に従って、第1506条(e)に基づいて著作権請求審判所が行う手続を開始する利害を有する現実の当事者をいう。

      (2) 「反対請求者」とは、著作権請求審判所が行う手続において以下に該当する相手方をいう。

        (A) 当該手続において請求者に対して第1504条(c)(4)に基づいて許される反対請求を主張し、かつ、

        (B) 第(A)号に記載する反対請求に関して利害を有する現実の当事者であること。

      (3) 「当事者」とは、以下の者をいう。

        (A) 当事者を意味する。

        (B) 場合によっては、当事者の代理人を含む。

      (4) 「相手方」とは、第1504条(c)(1)に基づいて提起される侵害、第1504条(c)(2)に基づいて提起される非侵害または1504条(c)(3)に基づいて提起される不正表示に関して許される請求に従って、第1506条(e)に基づいて著作権請求審判所が行う手続の相手方となる者をいう。

    第1502条-著作権請求審判所

    (a) 総則-著作権局内に、著作権請求審判所を置く。著作権請求審判所は、本章の規定に従ってすべてのカテゴリーの著作物に関する一定の著作権請求を任意に解決することを求める当事者に、代替的な解決手段として機能しなければならない。

    (b) 役職員

      (1) 著作権請求官-著作権局長は、第(3)節(A)に従って著作権請求審判所に勤めるべき常勤の著作権請求官を3名推薦しなければならない。連邦議会図書館長は、著作権局長との協議後、それらの者を当該職に任命する。

      (2) 著作権請求法務官-著作権局長は、著作権請求審判所の運用を補助するために常勤の著作権請求法務官を2名以上雇用しなければならない。

      (3) 資格

        (A) 著作権請求官-

          (i) 総則-各著作権請求官は、7年以上の法務経験のある弁護士資格保有者でなければならない。

          (ii) 経験-著作権請求官のうち二人は、

            (I) 著作権侵害請求について評価、訴訟または調停について相当な経験を有していなければならず、かつ、

            (II) 当該二人によって、著作権に関する多様な利害関係(著作物の権利者と使用者の双方を含む)を代表しまたは統括していなければならない。

          (iii) 代替的紛争解決手段-第(ii)段に記載のない著作権請求官は、著作権法に相当に精通しかつ代替的紛争解決手段の分野(紛争解決手段として訴訟事項の解決を含む)に相当な経験を持っていなければならない。

        (B) 著作権請求法務官-各著作権請求法務官は、著作権法に相当な経験を3年以上有する弁護士資格保有者でなければならない。

      (4) 報酬-

        (A) 著作権請求官-

          (i) 定義-本号において、「連邦政府上級職員」とは、一般職一覧表のGS-15を越える地位にある職員(上級幹部職にある職員を除く)をいう。

          (ii) 俸給範囲-各著作権請求官は、連邦政府の上級職員に対する最低額以上かつ最高額以下の俸給率の報酬(地域手当を含む)を受ける。

        (B) 著作権請求法務官-各著作権請求法務官は、一般職一覧表のGS-15の第10段階に対して支払われる最高額以下の俸給率の報酬(地域手当を含む)を受ける。

      (5) 任期-

        (A) 総則-第(B)号を条件として、著作権請求官は、任期6年(更新可能)で、奉職する。

        (B) 最初の任期-本章に基づいて任命された最初の著作権請求官の任期は、以下のとおりとする。

          (i) 第1の著作権請求官は、任期4年で任命される。

          (ii) 第2の著作権請求官は、任期5年で任命される。

          (iii) 第3の著作権請求官は、任期6年で任命される。

      (6) 欠員および執務不能-

        (A) 欠員-

          (i) 総則-著作権請求官の職に欠員を生じた場合には、連邦図書館長は、著作権局長の推薦と協議を経てその職に著作権請求官を任命するようただちに行動しなければならない。

          (ii) 任期満了前の欠員-前任者の任期満了前に欠員を生じたためにその補充として任命された者は、任期6年で奉職する。

        (B) 執務不能-著作権請求官が一時的にその職を執行できない場合には、連邦議会図書館長は、著作権局長の推薦と協議を経てその執務不能の期間についてその職を行う暫定著作権請求官を任命するようただちに行動しなければならない。

      (7) 制裁と罷免-第1503条(b)を条件として、連邦議会図書館長は、著作権請求官に制裁を課しまたは罷免することができる。

      (8) 運営支援-著作権局長は、著作権請求官および著作権請求法務官に対して、本章に基づくその職の執行に必要な運営支援(技術的設備を含む)を提供しなければならない。

      (9) 著作権請求部の所在地-著作権請求官および著作権請求法務官の事務所および施設は、著作権局に置く。

    第1503条-著作権請求審判所の権限および責務

    (a) 権能-

      (1) 著作権請求官-本章の規定および適用のある規則を条件として、著作権請求官の権能は、以下のとおりとする。

        (A) 本章に基づいて著作権請求官に提起される民事上の著作権請求、反対請求および抗弁について決定を下すこと。

        (B) 著作権請求、反対請求および抗弁を適切に主張され、そのほか著作権請求官による解決に適切であるように確保すること。

        (C) 日程、証拠開示手続、証拠およびその他の事項に関することを含めて、著作権請求官による手続を管理し、著作権請求、反対請求および抗弁の審査に関する決定をなすこと。

        (D) 著作権請求、反対請求または抗弁の解決に関連する情報および証拠の提出を訴訟手続参加者および非参加者に対して求めること。

        (E) 聴聞および協議を行うこと。

        (F) 著作権請求および反対請求について当事者による和解を促進すること。

        (G) 以下を与えること。

          (i) 金銭的救済、および

          (ii) 第1504条(e)(2)に基づく一定の行為が中止または緩和されるための要件を著作権請求官の決定に含めること。ただし、当該行為を行う当事者がそれに合意した場合に限る。

        (H) 著作権審判部の手続および要件に関して情報を公衆に提供すること。

        (I) 著作権請求官の行う手続の記録を取り、必要な場合には公式記録を証明し、また、第1506条(t)に定める場合には、当該手続の記録を公衆に利用可能にすること。

        (J) 本章に定めるその他の任務を実行すること。

        (K) 本章に定める著作権請求官の任務を履行しない場合には、著作権局長の割り当てるその他の任務を履行すること。

      (2) 著作権請求法務官-本章および適用のある規則の規定を条件として、著作権請求法務官の権能は、以下のとおりとする。

        (A) 本章に基づく著作権請求官の任務の執行において著作権請求官を補佐すること。

        (B) 著作権請求審判所の手続および要件に関して、公衆の構成員を補佐すること。

        (C) 第512条(h)に基づく情報開示命令の取得に関して、著作権請求審判所に許される法的手続を提起することを考えている潜在的な請求者に対して、当該法的手続の潜在的な相手方を特定するためにのみ、情報を提供すること。

        (D) 本章に定める著作権請求法務官の任務を履行しない場合には、著作権局長の割り当てるその他の任務を履行すること。

    (b) 決定における独立性-

      (1) 総則-著作権請求審判所は、個々の手続における著作権請求審判所の決定を、その行う手続における記録に基づいて独立して、かつ、本編、判例および著作権局長の適用あるべき規則の規定に従って、行う。

      (2) 協議-著作権請求官および著作権請求法務官は、

        (A) 一般的な法律問題について著作権局長と協議することができるが、

        (B) 第1506条(x)を条件として、以下に関して著作権局長と協議することはできない。

          (i) 著作権請求官および著作権請求法務官が担当する特定の係属事案についての事実、または、

          (ii) 第(i)段に記載する事実への法の適用。

      (3) 業績評価-他の法律の規定または連邦議会図書館長もしくは著作権局長の規則もしくは方針にかかわらず、著作権請求官または著作権請求法務官の業績評価は、評価基準として著作権請求審判所による個々の決定の実体的結果を、当該結果が倫理行為基準に現実に違反しまたは違反すると主張されるところに関連する範囲を除き、考慮してはならない。

    (c) 著作権局長の指示-第(b)項を条件として、著作権請求官および著作権請求法務官は、任務の執行において、著作権局長の一般的指示に従わなければならない。

    (d) 相反行為の禁止-著作権請求官または著作権請求法務官は、著作権請求審判所に関連して著作権請求官または著作権請求法務官の責務に相反するいかなる責務をも引き受けてはならない。

    (e) 回避-著作権請求官または著作権請求法務官は、利益相反があると信ずべき理由のある手続への参加を回避しなければならない。

    (f) 一方当事者のみの通信-法に別段の定めある場合を除いて、著作権請求官の行う手続の当事者は、著作権請求官が行う能動的または係属中の手続の内容に関して、著作権請求官または著作権局長に対して一方当事者のみの通信を行ってはならない。

    (g) 司法審査-本章に基づく著作権請求官または著作権局長の決定事項に関する行為は、第5編第7章ではなく第1508条に基づく司法審査の対象となる。

    第1504条-手続の性質

    (a) 任意の参加-著作権請求審判所の手続への参加は、本章に従って任意的であり、これに代えて請求、反対請求または抗弁を合衆国の地方裁判所、その他の裁判所またはその他の紛争解決手段において追求しまた陪審を求める当事者の権利は、留保される。本条に基づく権利、救済および制限は、本章に従う場合を除いて放棄されることはない。

    (b) 時効-

      (1) 総則-手続が請求権の発生後3年以内に著作権請求審判所において開始されなければ、著作権請求審判所は手続を行うことができない。

      (2) 時効の停止-第1507条(a)を条件として、著作権請求審判所において開始された手続は、当該手続の係属期間中、合衆国の地方裁判所における当該請求に係る訴訟の開始に関して第507条(b)に基づいて許される時間制限を停止する。

    (c) 許される権利、救済および制限-著作権局長の定める規則に規定するその他の制限および要件(著作物の特定の種類に関する場合を含む)を条件として、著作権請求審判所は、以下の権利、救済および制限に関して決定を下すことができる。

      (1) 第106条に規定する著作物に対する排他的権利の侵害についての請求。ただし、請求者が第(e)項(1)に規定する制限内で損害を請求する場合にはその原因である侵害行為のときに排他的権利の法的保有者または受益的保有者である者による請求に限る。

      (2) 第106条に規定する著作物に対する排他的権利について、第28編第2201条に適合する非侵害の請求。

      (3) 侵害主張の通知または削除もしくはアクセス解除された素材の回復を求める反対通知に関して不実表示についての第512条(f)項に基づく請求。ただし、著作権請求審判所の行う手続における当該請求に関する救済は、本章に基づいて利用可能とされるものに限られる。

      (4) 手続における請求者のみに対して主張する反対請求。ただし、反対請求は以下のものに限る。

        (A) その手続において反対請求者が第(e)項(1)に規定する制限内で損害を請求し、かつ

        (B) その手続が、

          (i) 第106条もしくは第512条(f)に基づき、かつ第(1)節に基づいて提起された侵害の請求、第(2)節に基づいて提起された非侵害の請求もしくは第(3)節に基づいて提起された不実表示の請求の対象と同一の取引もしくは事件から生じるか、または

          (ii) 第(1)節に基づいて提起された侵害の請求の対象と同一の取引もしくは事件に関する契約に基づき、かつ当該契約が請求者に与えられる救済に影響を与えることがある場合。

      (5) 本項に基づいて主張される請求または反対請求に対して、本編に基づくまたはその他法に基づいて利用可能な普通法上または衡平法上の抗弁。

      (6) 第(1)節、第(2)節または第(3)節に基づいて許される一人以上の請求者による一人以上の相手方に対する一つ以上の請求。ただし、一つの手続において主張されるすべての請求が同一の主張される侵害行為または侵害行為の継続的過程において生じるものであり、かつ、総額において第(e)項(1)に基づく制限を超える損害賠償を求める請求の回復となるものでない場合に限る。

    (d) 排除される請求-以下の請求および反対請求は、著作権請求官による決定の対象とならない。

      (1) 第(c)項に基づいて許される請求または反対請求ではない請求または反対請求。

      (2) 適切な管轄権を有する裁判所によって最終的に処理されたかまたは適切な管轄権を有する裁判所に係属中である請求または反対請求。ただし、当該裁判所が著作権請求審判所において当該請求または反対請求を処理されるために手続を停止した場合を除く。

      (3) 連邦または州の政府機関によるまたはこれに対する請求または反対請求。

      (4) 合衆国外に所在する個人または団体に対して主張される請求または反対請求。ただし、当該個人または団体が著作権請求審判所の手続を開始し本章に基づく反対請求を受ける場合を除く。

    (e) 許される救済-

      (1) 金銭的回復-

        (A) 侵害に対する現実損害、利益および法定損害の賠償-著作権侵害対する請求または反対請求に関して、かつ、第(D)号に基づく金銭回復の総額の制限を条件として、著作権請求審判所は、以下のいずれかを裁定する。

          (i) 第504条(b)に従って決定される現実損害および利益の賠償。ただし、適切な場合には、侵害当事者が第(2)節に基づき侵害行為を中止しまたは緩和することに合意したか否かを考慮することができる。

          (ii) 第504条(c)に従って決定される法定損害賠償。ただし、以下を条件とする。

            (I) 第412条に従って著作物が法定損害の賠償を受けることができるように同条に基づいて期限内に登録された著作物に関しては、法定損害賠償は、各侵害著作物あたり15,000ドルを超えることができない。

            (II) 第412条に従って著作物が期限内に登録されなかったが本条に基づいて法定賠償を受けることができる著作物に関しては、法定損害賠償は、各侵害著作物あたり7,500ドル、1手続あたり総額15,000ドルを超えることができない。

            (III) 著作権請求審判所は、法定損害賠償を裁定するに当たって、著作権侵害が故意で行われたとの事実認定またはその有無を検討することができない。

            (IV) 著作権請求審判所は、法定損害賠償を裁定するに当たっての付加的要素として、侵害当事者が第(2)節に基づき侵害行為を中止しまたは緩和することに合意したか否かを考慮することができる。

        (B) 損害賠償の選択-侵害の請求または反対請求に関して、最終決定がなされるまではいつでも、また第1506条(k)に基づき著作権請求審判所の定めた日程にかかわらず、請求者または反対請求者は、以下を選択できる。

          (i) 第(A)に基づいて現実損害および利益または法定損害の回復か、

          (ii) 損害賠償の回復を求めないか。

        (C) 他の請求についての損害賠償-第512条(f)に基づいて提起された請求のような、侵害請求以外の請求または反対請求は、第(D)号に基づく制限を受ける。

        (D) 金銭的回復総額の制限-他の法の規定に関わらず、著作権請求審判所の単一の手続において一つ以上の請求または反対請求を訴求する当事者は、総額30,000ドルを超える金銭の回復をその手続において請求しまたは受けることができない。ただし、第1506条(y)(2)に基づいて裁定される弁護士報酬および費用の回復を除く。

      (2) 一定の行為を中止する合意-著作権請求審判所は、その決定にかかる手続において以下の事情のある場合には、その決定に、行為を中止する要件を定めなければならない。

        (A) 一方当事者がつぎのことに合意すること。かつ

          (i) 侵害と認定された行為を中止すること(侵害物を除去もしくはそれへのアクセスを解除しまたは破棄することを含む)、または

          (ii) 第512条に基づくテイクダウン通知または反対通知が第512条(f)に基づく悪意の重大な不実表示であると認定された場合において、著作権請求審判所で争われている行為について当該通知または反対通知の他方当事者への送付を中止すること。

        (B) 第(A)号に記載する合意が手続の記録に記載される場合。

      (3) 弁護士報酬および費用-第1506条(y)(2)に規定する悪意の行為である場合を除いて、他の法の規定にかかわらず、著作権請求審判所の手続の当事者は、各自の弁護士報酬および費用を負担しなければならない。

    (f) 連帯責任-著作権請求審判所の手続の当事者は、当該当事者および関連する請求または反対請求が同一の行為から生ずる場合には、連帯して責任を負わなければならない。

    (g) 許される事件数-著作権局長は、公正および著作権請求審判所の運営のために、本章に基づいて同じ請求者が各年に提起することが許される手続の数に関して規則を制定することができる。

    第1505条-登録要件

    (a) 申請書または証明書-著作物に対する排他的権利の侵害を主張する請求または反対請求は、以下の条件を満たす場合でなければ、著作権請求審判所において主張できない。

      (1) 著作権の法的保有者または受益的保有者が著作権局に著作権登録のために記載済みの申請書、納付物および必要な手数料をまず提出し、かつ

      (2) 著作権登録証明書が発行されまたは発行を拒絶されていないこと。

    (b) 著作権登録証明書-他の法の規定にかかわらず、著作権請求審判所の手続における請求者または反対請求者は、第(a)項の要件を満たす場合には、著作物の侵害について本章に基づいて現実損害および利益または法定損害を回復することができる。ただし、

      (1) 著作権請求審判所は、以下の条件が満たされるまでは、手続において決定を行わないことができる。

        (A) 当該著作物に関する著作権登録証が著作権局によって発行され、著作権請求審判所に提出され、かつ当該手続の他方当事者に提供されていること、かつ

        (B) 当該手続の他方当事者が当該著作権登録書について意見を述べる機会が提供されていること。

      (2) 著作物についての著作権登録証が係属中であるために手続をさらに進めることができない場合には、当該手続は、著作権登録証が著作権請求審判所に提出されるまで一時停止されなければならない。ただし、手続が1年を超えて一時停止される場合には、著作権請求審判所は、手続の当事者への書面による通知を与え、かつ当該通知に対する当事者に応答する30日間の猶予を与えて、当事者の権利を害することなく当該手続を却下することができる。また、

      (3) 著作権請求審判所が著作物に関する登録が拒絶されたとの通知を受けた場合には、手続は、当事者の権利を害することなく却下される。

    (c) 推定-著作物の登録が著作物の最初の発行日から5年以内になされたことを著作権登録証が証明する場合には、第410条(c)に基づく推定が、本編に基づく関連法原則に加えて、著作権請求審判所の手続に適用される。

    (d) 規則-著作権請求審判所の手続が迅速に進められるようにするために、著作権局長は、著作権局が著作権請求審判所で争われている未登録著作物について著作権登録を迅速に発行または拒絶することを決定できるようにする規則を定めなければならない。

    第1506条-手続の進行

    (a) 総則-

      (1) 適用法-著作権請求審判所の手続は、本編に基づく関連法原則のほか、本章および本章に基づいて著作権局長が定めた規則に従って、行われなければならない。

      (2) 矛盾する先例-実体上の著作権法の争点について矛盾する司法の先例が存在し、整合させることができないと思われる場合には、著作権請求審判所は、合衆国の地方裁判所に訴えが提起されたとするならば連邦上の管轄地の法に、また訴えが2つ以上の管轄地に提訴可能であった場合には当事者および問題の行為と最も重要な繋がりを有すると著作権請求審判所が判断する管轄地の法に、従わなければならない。

    (b) 記録-著作権請求審判所は、著作権請求審判所が行う手続を書面化した記録を保持しなければならない。

    (c) 中央処理-著作権請求審判所が行う手続は、

      (1) 当事者その他の面前出頭の必要はないが、著作権請求審判所の事務所で行われ、かつ、

      (2) インターネット・アプリケーションソフトおよびその他の遠隔通信設備を介して行われる書面提出、聴聞ならびに協議の方法で行われる。ただし、手続への証拠資料が物理的またはその他証言に相応しくないものであり、遠隔通信設備で著作権請求審判所に提出できない場合には、著作権請求審判所は、当該証拠の提出方法であって手続の他方当事者の権利を害さない代わりの方法を採用することができる。

    (d) 代理-著作権請求審判所が行う手続の当事者は、以下のものに代理させることができる(義務ではない)。

      (1) 弁護士、または

      (2) 法学生が法手続において当事者を代理することを規律する適用法に基づいて資格が認められ、かつプロボノとして当該代理行為を提供する法学生。

    (e) 手続の開始-本章に基づく手続を開始するには、請求者は、著作権局長が定める規則に記載するその他の要件を条件として、著作権請求審判所に、以下の請求を提出しなければならない。

      (1) 請求を支える事実の陳述を記載すること、

      (2) 第(y)項(1)に基づく真正証明を行うこと。また、

      (3) 著作権局長が定める規則に記載する金額の申立手数料を添えること。

    (f) 請求および反対請求の審査-

      (1) 請求-第(e)項に基づく請求が申立てられたときは、著作権請求法務官は、請求が本章および適用ある規則に適合するものであることを確保するために、請求を審査する。

        (A) 請求が適合すると認めた場合には、請求者に、当該適合について通知し、第(g)項に基づいて請求の送達を指示しなければならない。

        (B) 請求が適合しないと認めた場合には、請求者に、請求に不備があり、通知受領の日から30日以内に訂正した請求を追加の申立手数料の必要なく申し立てることができる旨を通知しなければならない。請求者が当該30日以内に適合した請求を申立てた場合には、請求者に、その旨を通知し、請求の送達を指示しなければならない。請求が当該30日以内に再申立されたがなお不適合がある場合には、請求者に、請求に不備があり、再度の通知受領の日から30日以内に訂正した請求を追加の申立手数料の必要なく申し立てる再度の機会が与えられることを通知しなければならない。請求者が当該30日以内に適合した請求を再度再申立した場合には、請求者に、その旨を通知し、請求の送達を指示しなければならないが、請求がなおも不適合である場合には、著作権請求官による不適合の確認を得て、手続は、当事者の権利を害することなく、却下されなければならない。また、著作権請求審判所は、適合した請求が適用ある30日間に提出されなかった場合には、当事者の権利を害することなく、手続を却下しなければならない。

        (C) (i) 第(ii)段を条件として、本節においては、第512条(b)、(c)または(d)に定める責任制限の適用を受ける侵害物の蓄積、レファレンスまたはリンク設定を理由とする侵害に関するオンライン・サービス・プロバイダに対する請求は、不適合をみなされる。ただし、請求者が第(e)項(1)に基づき要求される陳述において、請求者が第512条の(b)(2)(E)、(c)(3)または(d)(3)に従って侵害をサービス・プロバイダにすでに通知し、サービス・プロバイダが当該通知の提供後速やかに当該素材を削除またはそれへのアクセスを解除しなかったことを記載する場合を除く。

          (ii) 請求が第(i)段に基づいて不適合と認められる場合には、著作権請求審判所は、請求者に第512条の適用ある規定に基づく当該通知の送達に関する情報を提供しなければならない。

      (2) 反対請求-反対請求が申し立てられ送達されたときは、著作権請求法務官は、反対請求が本章および適用ある規則に適合するものであることを確保するために、反対請求を審査する。反対請求が適合しないと認めた場合には、反対請求者および手続の他の当事者に、反対請求に不備があり、通知受領の日から30日以内に訂正した反対請求を申立て送達することができる旨を通知しなければならない。反対請求者が当該30日以内に適合した反対請求を申し立て送達した場合には、反対請求者および当該他の当事者に、その旨を通知しなければならない。反対請求が当該30日以内に再申立されたがなお不適合がある場合には、反対請求者および当該他の当事者に、反対請求に不備があることが通知され、反対請求者には、再度の通知日から30日以内に反対請求を訂正する再度の機会が与えられなければならない。反対請求が当該30日以内に再度申し立てられ送達されかつ適合している場合には、反対請求者および当該他の当事者に、その旨を通知しなければならないが、反対請求がなおも不適合である場合には、著作権請求官による不適合の確認を得て、当該反対請求は、当事者の権利を害することなく、却下されなければならない。

      (3) 決定不能による却下-著作権請求審判所は、請求または反対請求を審査したときまたは手続中はいつでも、請求または反対請求が決定不能と判断した場合(以下の理由による場合を含む)には、当事者の権利を害することなく、当該請求または反対請求を却下しなければならない。

        (A) 必要な当事者が不参加

        (B) 不可欠な証人、証拠または鑑定人の欠如。

        (C) 著作権請求審判所が合理的に管理できる手続の数を超えまたは著作権請求審判所の事物管轄権を越える法律上または事実上の争点。

    (g) 通知および請求の送達-相手方に対する請求を進めるには、請求者は、第(f)項に基づく送達をするよう求める通知を受けてから90日内に、著作権請求審判所に相手方に対する送達の証拠を提出しなければならない。相手方に対する送達が効力を持つために、請求者は、著作権局長が定める規則に記載する交付送達または交付送達の放棄によって、手続の通知および請求の写しを相手方に送達させなければならない。当該規則には以下の要件を規定しなければならない。

      (1) 手続の通知は、所定の形式に準拠しなければならず、著作権請求審判所の性質および手続、相手方の手続離脱の権利、ならびに離脱した場合および離脱しなかった場合の効果(相手方が通知受領後60日以内に離脱しなければ、以下の効果を生ずることを目立つように記載することを含む。)を記載しなければならない。

        (A) 合衆国憲法第3条に基づいて設置された裁判所によって紛争を裁決させる機会を失うこと。

        (B) 紛争に関する陪審の権利を放棄することになること。

      (2) 相手方に送達された請求の写しは、著作権請求審判所に申立てられた請求と同一でなければならない。

      (3) 通知および請求の交付送達は、手続の当事者ではなくかつ18歳以上の個人によって行われることができる。

      (4) 未成年または無能力者以外の個人に対する送達は、以下のいずれかによって行うことができる。

        (A) 送達が行われる州の一般的管轄権を持つ裁判所に提起された訴訟における呼出状を送達するための州法に適合するか、

        (B) 通知および請求の写しを個人に交付するか、

        (C) 通知および請求の写しを十分な年齢と分別のある同居者のいる個人の住居または通常の居所に置き残すか、または

        (D) 通知および請求の写しを、相手方が指定した送達受領代理人に、またはその指定のない場合には任命もしくは法によって送達受領権限を認められた代理人に、交付すること。

      (5) (A)会社、組合または法人格なき社団であって、共通の名称で一般管轄権のある裁判所において訴訟の対象となる者に対しては、通知および請求の写しを、その送達代理人に交付しなければならない。もしこのような送達代理人の指定がない場合には、送達は、以下のいずれかによって行われなければならない。

          (i) 送達が行われる州の一般的管轄権を持つ裁判所に提起された訴訟における呼出状を送達するための州法に適合するか、

          (ii) 通知および請求の写しを、役員、経営代理人もしくは一般的代理人、または送達が行われる州の一般的管轄権を持つ裁判所に提起された訴訟における送達受領権限を任命もしくは法によって認められた代理人に、交付し、かつ当該代理人が法律によって権限を認められかつ法律がそうすることを要求する場合には、通知および請求の写しを相手方に郵送すること。

        (B) 会社、組合または法人格なき社団であって、共通の名称で一般管轄権のある裁判所において訴訟の対象となる者は、著作権局長が規則で定める要件に従うことによって、著作権請求審判所における自分に対する請求の通知を受領するための送達受領代理人を指定することができる。著作権局長は、インターネットを介する方法を含めて公衆の閲覧に供される最新の送達受領代理人の名簿を維持しなければならず、また、当該送達受領代理人を指定する会社、組合およびは法人格なき社団に当該名簿の維持費を賄うための手数料を支払わせることができる。

      (6) 交付送達の放棄を要請するには、請求者は、以下を条件として、相手方に手続が開始されたことおよび通知が著作権局長の定める規則に従ってなされたことを第1種郵便またはその他後合理的手段で通知しなければならない。

        (A) 当該要請は、書面でなされ、相手方に宛てられ、かつ所定の手続通知、著作権請求審判所に申し立てられた請求の写し、交付送達の放棄のための所定の用紙および先払いその他費用負担なく当該用紙を返送する手段を同封していなければならない。

        (B) 当該要請は、それが発送された日付を記載し、相手方に相手方が署名した放棄用紙を返送する期間として当該発送日から30日を与えなければならない。当該証明された放棄用紙は、本項においては、放棄に署名された日において送達の受領および証明となる。

      (7) (A)相手方による交付送達の放棄は、相手方が手続を離脱する権利の放棄となるものではない。

        (B) 第(6)節に基づいて期限内に交付送達を放棄し手続から離脱しない相手方は、請求に対する実体的答弁(抗弁および反対請求を含む)を提出するための期間として、著作権請求審判所が与えた期間に付加して、30日の期間が与えられる。

      (8) 未成年または無能力者に対する送達は、送達が行われる州の一般的管轄権を持つ裁判所に提起された訴訟における呼出状または同様の令状を送達するための州法に適合すれば足りる。

      (9) 請求の送達および交付送達の放棄は、合衆国内においてのみ行うことができる。

    (h) 著作権請求審判所による通知-著作権局長は、規則に従って相手方に対する手続が係属中であることを相手方に通知するために、著作権請求審判所がまたはこれに代わって送付される書面による通知を規定する規則を定めなければならない。当該規則は、

      (1) 相手方の手続離脱の権利、離脱した場合および離脱しなかった場合の効果ならびに相手方が通知受領後60日以内に離脱しなければ、相手方が合衆国憲法第3条に基づいて設置された裁判所によって紛争を裁決させる機会を失うことおよび紛争に関する陪審の権利を放棄することになることの顕著な説明文に関する情報を含まなければならない。また、

      (2) 第(g)項に基づく通知要件に付加されかつ別個独立のものでなければならない。

    (i) 離脱手続-通知および請求が適切に送達されたときは、手続からの離脱を選択する相手方は、著作権局長の定める規則に従って著作権請求審判所にその選択を書面で通知するための期間として、送達の日から60日間が与えられる。請求者が送達証明を提出し相手方が当該60日以内に著作権請求審判所に離脱通知を提出しない場合には、手続は能動的手続とみなされ、相手方は第1507条(a)に基づく範囲で手続の決定に拘束される。相手方が当該60日間に手続から離脱した場合には、手続は当事者の権利を害することなく却下される。ただし、異常な状況において請求者からの書面による通知があるときは、著作権請求審判所は、公正のために当該60日を延長することができる。

    (j) 他の書類の送達-通知および請求を除いて、手続に提出されまたは依拠された書類は、著作権局長の定める規則に従って送達されなければならない。

    (k) 日程調整-手続が能動的手続となったことが確認されたときは、著作権請求審判所は、手続における今後の行為について日程表を発する。日程表は、請求者または反対請求者が1504条(e)に適合するよう損害賠償の選択をなすことが求められる期限を特定してはならない。著作権請求審判所の発行する日程表は、著作権請求審判所が公正のために改定することができる。

    (l) 協議-一人以上の著作権請求官は、手続において事件管理または証拠開示手続上の争点に対応するために協議を開催することができる。協議は手続の記録に記載されなければならないが、録音録画または筆記でも良い。

    (m) 当事者による提出-著作権請求審判所の手続は、正式なモーション・プラクティスを含まない。ただし、適用のある規則および著作権請求審判所の処理手順を条件として、

      (1) 手続の当事者は、著作権請求審判所に対して、事件管理または証拠開示手続事項に対応するよう求めることができる。また、

      (2) 著作権請求審判所は、関連する事実問題もしくは法律問題またはその他の事項(著作権請求審判所が職権で提起する事項を含む)に応える提出物の提出を、当事者に求めまたは当事者に許すことができ、またそれに対する回答を提示することができる。

    (n) 証拠開示手続-手続における証拠開示手続は、著作権局長の定める規則に規定する、関連する情報および書面の提出、質問書ならびに自白要請書に限られる。ただし、

      (1) 当事者からの求めがありかつ正当な理由が示されるときは、著作権請求審判所は、特定の事項について限定的に追加の関連証拠開示手続を承認し、また、手続の参加者から特定の情報および書面の提出ならびに非参加者から任意の提出を求めることができる。

      (2) 当事者からの求めがありかつ正当な理由が示されるときは、著作権請求審判所は、秘密情報を含む書面または証言の開示を制限するための保護命令を発行することができる。

      (3) 通知と回答の機会を与えたうえでかつ正当な理由が示されるときは、著作権請求審判所は、当事者が争われている事実に関連する資料の適切な請求に対して証拠開示資料を期限内に提供しなかった場合には、当該当事者に不利な推定を適用することができる。

    (o) 証拠-著作権請求審判所は、以下の種類の証拠を手続において考慮することができ、当該証拠を正式の証拠規範を適用せずに採用することができる。

      (1) 手続上の請求、反対請求または抗弁に関連する文書およびその他の非証言証拠。

      (2) 書面で偽証の制裁の下に提出されまたは第(p)項に従って提出される証言証拠。それは、手続上の請求、反対請求または抗弁に関連する当事者および証人の陳述に限られるが、例外的な場合において、正当な理由が示されるときは、著作権請求審判は鑑定人の証言またはその他の種類の証言を許容することができる。

    (p) 聴聞-著作権請求審判所は、以下を条件として、手続の当事者および証人から事実上の争点または法律上の争点について口頭の説明(口頭での証言を含む)を受けるために聴聞を行うことができる。

      (1) 当該聴聞には、2名以上の著作権請求官が出席しなければならない。

      (2) 聴聞は手続の記録に記載され、また第(3)節を条件として、著作権請求審判所が必要と判断するところに従って録音録画または筆記されなければならない。

      (3) 聴聞の録音録画または筆記は、出席しなかった著作権請求官に利用可能にされなければならない。

    (q) 任意的却下-

      (1) 請求者による場合-請求者の書面による求めがあるときは、手続において相手方が請求に対する答弁を提出する前にそれが受領された場合にかぎり、著作権請求審判所は、当事者の権利を害することなく、求められたところに従って手続または請求もしくは相手方を却下しなければならない。

      (2) 反対請求者による場合-反対請求者の書面による求めがあるときは、請求者が反対請求に対する答弁を提出する前にそれが受領された場合に限り、著作権請求審判所は、当事者の権利を害することなく、反対請求を却下しなければならない。

      (3) クラスアクション-著作権請求審判所の能動的手続の当事者は、同一の取引または事件から生ずる係属中または推定されるクラスアクションの通知を受け、そのクラスアクションの構成員である場合には、著作権請求審判所の手続の却下を書面で求めることができる。すべての請求者および反対請求者に対する通知があったときは、著作権請求審判所は、当事者の権利を害することなく手続を却下しなければならない。

    (r) 和解-

      (1) 総則-当事者の全部または一部は、能動的手続中いつでも、

        (A) 和解の話し合いを設けるために著作権請求官との協議を共同で求め、または、

        (B) 著作権請求官に対して和解内容および手続中の請求および反対請求の全部もしくは一部の棄却を規定した合意書を提出することができる。

      (2) 追加の要請-第(1)節(B)に基づく提出は、著作権請求審判所が手続の最終決定に当事者の和解条件の全部または一部を採用することの要請を含むことができる。

    (s) 事実認定-第(n)項(3)を条件として、著作権請求審判所は、優越的証拠に基づいて事実認定しなければならない。

    (t) 決定-

      (1) 性質および内容-著作権請求審判所が手続において行う決定は、

        (A) 著作権請求審判所の多数決によって行い、

        (B) 書面にて行って、決定の事実および法律上の基礎についての説明を含み、

        (C) 相手方または反対請求の相手方が第1504条(e)(2)に基づいて侵害行為の中止に合意した条件を記載し、

        (D) 第(r)項(2)に基づいて求められた範囲で、第(r)項(1)に基づいて合意した和解の条件を記載し、かつ

        (E) 裁定される損害賠償額およびその他の救済(第(C)号および第(D)号に基づくものを含む)について明確に記載しなければならない。

      (2) 反対意見-第(1)節に基づく決定に含まれる判断に反対する著作権請求官は、その反対の理由を記載した意見を付記することができる。

      (3) 公表-著作権請求審判所の各最終決定は、公衆がアクセス可能なウェブサイト上にて利用可能にされなければならない。著作権局長は、当該決定に関するその他の記録および情報の公表(第 (n)項(2)に基づいて保護命令の対象となる秘密情報を保護するための記録の加工を含む)に関する規則を定めなければならない。

      (4) 情報公開法-本章に基づく著作権請求審判所の手続に関するすべての情報は、第(3)節に基づいて公表される決定、記録および情報を除いて、第5編第552条(b)(3)に基づく公衆への開示を免除される。

    (u) 相手方の懈怠-手続が能動的手続とみなされていながら、第(k)項に基づいて著作権請求審判所が採択した日程表に記載の期限もしくは要件を相手方が1回以上正当な理由なく怠ったことが証明されることによって、相手方が出頭せずまたは手続への参加を中止した場合には、著作権請求審判所は、以下を要件としかつ著作権局長が規則で定めるその他の要件に従って、欠席決定(相手方が主張する反対請求の棄却を含む)を下すことができる。

      (1) 著作権請求審判所は、請求者に対して、請求者の請求および主張する損害額を支える関連証拠およびその他の情報の提出を要求し、当該証拠およびその他請求者の求める提出物を審査した上で、提出された資料が適用ある法に基づいて請求者に有利な認定を支持するに十分であるか否かを決定し、肯定される場合には裁定されるべき適切な救済および損害賠償額を決定しなければならない。

      (2) 著作権請求審判所が第(1)節に基づいて肯定的な決定をなす場合には、著作権請求審判所は、提案する欠席決定を作成し、著作権請求審判所の欠席決定が下されようとしていることおよび当該決定の法的重要性について、相手方に対して、著作権請求審判所の記録に顕出する相手方のすべての住所(電子メールアドレスを含む)に書面による通知を与えなければならない。当該通知は、提案される欠席決定を添付し、また相手方が提案される欠席決定に反対する証拠およびその他の情報を提供するために通知の日から30日間の猶予を有することを定めなければならない。

      (3) 相手方が第(2)節に規定する30日以内に同節に基づいて与えられた通知に応答する場合には、著作権請求審判所は、相手方の提出物を検討し、他の当事者に当該提出物に意見する機会を与えた上で、提案した欠席決定を適切に維持または変更しなければならない。その結果による決定は、欠席決定ではない。

      (4) 相手方が第(2)節に基づいて与えられた通知に応答しない場合には、著作権請求審判所は、当該欠席決定を最終決定として発しなければならない。その後においては、相手方は、第1508条(c)に基づいて許される範囲においてのみ当該決定を争うことができる。ただし、第1508条に基づいて追加の手続が開始されるまでは、著作権請求審判所は、公正のために欠席決定を破棄できる。

    (v) 請求者の進行懈怠-

      (1) 送達完了の懈怠-請求者が第(g)項に基づいて90日以内に相手方に行うことが必要な送達を完了しなかった場合には、著作権請求審判所は、権利を害することなく、当該相手方について手続を却下しなければならない。請求者が当該90日以内にすべての相手方への送達を完了しなかった場合には、権利を害することなく、手続を却下しなければならない。

      (2) 弁論の懈怠-請求者が第(k)項に基づいて著作権請求審判所が採択した日程表に記載の期限または要件を相手方が1回以上正当な理由なく怠ったことが証明されることによって能動的手続における進行を怠った場合には、著作権請求審判所は、請求者に書面による通知を与え、通知日から30日間当該通知に応答するための猶予を与え、その応答を検討した上で、請求者の請求を却下する決定を発することができる。当該決定には、適切な場合には、第(y)項(2)に基づいて弁護士報酬および費用の回復命令を含まなければならない。その後においては、請求者は、相手方は、第1508条(c)に基づいて許される範囲においてのみ当該決定を争うことができる。ただし、第1508条に基づいて追加の手続が開始されるまでは、著作権請求審判所は、公正のために当該棄却決定を破棄できる。

    (w) 再審査請求-著作権請求審判所が本章に基づく手続について最終決定を発した日から30日以内に限り、当事者は、結論に至る明白な法律上もしくは事実上の誤りまたは事務的過誤を特定して、当該決定の再審査または変更を求める請求書を提出することができる。当該請求に応答する機会を他の当事者に与えた上で、著作権請求審判所は、当該請求を退け、または改定最終決定を発しなければならない。

    (x) 著作権局長による審査-当事者による第(w)項に基づく最終決定の再審査の請求を退けた場合には、当該当事者は、当該却下の日から30日以内に限り、著作権局長の定める規則に従って最終決定の著作権局長による審査を請求することができる。当該請求には、当該規則に定める相当な申立手数料を付さなければならない。著作権局長による審査は、著作権請求審判所が決定の再審査を却下するに当たって裁量権を濫用したかどうかの検討に限られる。当該請求に応答する機会を他の当事者に与えた上で、著作権局長は、審査の請求を退け、または差戻命令に特定する争点の再審査および改定最終決定の発令のために、手続を著作権請求審判所に差し戻さなければならない。当該改定最終決定には、第1508条(c)に基づく場合を除いて、さらなる審査を請求することはできない。

    (y) 当事者および代理人の行為-

      (1) 真正証明-著作権局長は、著作権請求審判所の手続の参加者が行う陳述書について、その正確性および真実性の証明を求める規則を定めなければならない。

      (2) 悪意のある行為-法の他の規定にかかわらず、著作権請求審判所は、決定がなされかつ当事者が加害もしくはその他不適切な目的でまたは合理的な法律上もしくは事実上の基礎を欠く請求、反対請求または抗弁を追求したことが証明された手続については、当該決定において、5,000ドル以内の金額で合理的な費用および弁護士報酬の回復を、被害を受けた当事者に裁定しなければならない。ただし、

        (A) 被害を受けた当事者が本人自身で手続に出頭した場合には、当該当事者に対する裁定額は2,500ドル以内の金額の費用の回復に限られる。

        (B) 当事者が本節に記載する悪意ある行為の反復性または業務性を証明するなど特別の事情のあるときは、著作権請求審判所は、公正のために、本節に基づく制限を超えて費用および弁護士報酬の回復を裁定することができる。

      (3) 追加的制裁-著作権請求審判所が、12ヶ月の期間内に1回以上当事者が加害もしくはその他不適切な目的でまたは合理的な法律上もしくは事実上の基礎を欠く請求、反対請求または抗弁を追求したと認定した場合には、当該当事者は、著作権請求審判所が当該認定を行った日から12ヶ月間は、本章に基づいて著作権請求審判所に請求を申立てることが禁止される。当該当事者が開始した手続が、当該認定時に著作権請求審判所に係属している場合には、当事者の権利を害することなく却下される。ただし、当該手続が第(i)項に基づいて能動的であるとみなされる場合には、当該手続は、相手方の書面による同意があるときのみ、本節に基づいて却下される。

    (z) 少額請求規則-著作権局長は、総損害賠償請求額が5,000ドル(弁護士報酬および費用を除く)を超えない本章に基づく請求について、著作権請求官1名による審査および決定を規定する規則を定めなければならない。本項に基づいて発せられた決定は、著作権請求審判所全体が発した決定と同じ効力を有する。

    (aa) 図書館および文書資料館のための手続離脱-

      (1) 総則-著作権局長は、著作権請求審判所の手続に参加を希望しない図書館または文書資料館が当該手続から予め離脱できるようにする規則を定めなければならない。

      (2) 手続-第(1)節に基づいて制定される規則は、

        (A) 著作権請求審判所の手続から予め離脱する手続を記載し、かつ

        (B) 第(A)号に記載する手続に従って手続から有効に離脱した図書館および文書資料館の一覧表を作成し公衆に利用可能にしなければならない。

      (3) 料金および更新の不要-著作権局長は、

        (A) 本項に基づいて手続から予め離脱するための料金を図書館または文書資料館に課してはならない。また、

        (B) 本項に基づいて手続から予め離脱する決定の更新を図書館または文書資料館に要求してはならない。

      (4) 定義-本項において、「図書館」および「文書資料館」とは、それぞれ第108条に基づく排他的権利に対する制限の適用を受ける図書館および文書資料館をいう。

    第1507条-手続の効果

    (a) 決定-第1506条(w)および(x)ならびに第1508条に基づいて規定された再審査ならびに審査を条件として、手続において著作権請求審判所による最終決定(欠席決定または弁論懈怠に基づく決定を含む)の発令は、著作権請求審判所において主張され最終決定された請求および反対請求について、当該決定の当事者間に関してのみ、裁判所もしくは審判所によるまたは著作権請求審判所による再訴を排除し、また、同一の具体的行為から生ずる将来の訴訟または手続においてその目的のために依拠できる。ただし、以下を条件とする。

      (1) 著作権請求審判所の決定は、著作権請求審判所において主張されずまたは最終決定されなかった請求および反対請求に関連して、同一または異なる当事者間における同一または類似の事実上または法律上の争点を有する裁判所もしくは審判所によるまたは著作権請求審判所による訴訟または再訴を排除しない。

      (2) 著作権請求審判所において事案の処理のために著作物の権利者を判断する決定は、著作権請求審判所を含む裁判所または審判所における他の訴訟または手続において、依拠されることはできず、またいかなる排除効をも持つことはない。

      (3) 本項および第1508条に基づいて許される範囲を除いて、著作権請求審判所の決定は、著作権請求審判所を含む裁判所または審判所における他の訴訟または手続において、法的先例として引用・依拠されてはならない。

    (b) クラスアクションへの無影響-

      (1) 総則-著作権請求審判所の手続は、合衆国の地方裁判所におけるクラスアクション手続にはいかなる影響も与えることはなく、第1509条は、合衆国の地方裁判所におけるクラスアクション手続に適用されることはない。

      (2) クラスアクションの通知-著作権請求審判所における能動的手続の当事者は、著作権請求審判所における手続と同一の取引または事件から生ずるクラスアクションの係属の通知を受けかつそのクラスの構成員であるときは、以下のいずれかを行わなければならない。

        (A) 著作権局長の定める規則に従って当該クラスアクションから離脱すること。または

        (B) 第1506条(q)(3)に基づいて著作権請求審判所の手続からの却下を求めること。

    (c) 手続におけるその他の資料-本条および第1508条に基づいて許される場合を除いて、著作権請求審判所での手続(却下された手続を含む)に関連してなされた提出物または当事者もしくは証人の陳述書は、著作権請求審判所を含む裁判所または審判所にお本編に基づく権利または権利の制限に関する訴訟または手続において引用・依拠されまたは根拠とされてはならない。

    (d) 第512条(g)の適用-第1504条(c)(1)もしくは(c)(4)に基づいて提起された著作権請求審判所での請求もしくは反対請求、または第1504条(c)(6)に基づいて提起され同条の(c)(1)もしくは(c)(4)に基づいて提起された請求に関連する著作権請求審判所での請求もしくは反対請求は、以下の場合には、第512条(g)(2)(C)に基づいて加入者による侵害行為の差止命令を求める訴訟として適格性を有する。

      (1) サービス・プロバイダが第512条(g)に基づいて反対通知の受領後に素材を取り替える前に、請求者が著作権請求審判所の手続開始の通知をサービス・プロバイダの指定代理人に提供し、かつ

      (2) 提起された請求が、第512条(c)(1)(C)に基づく侵害通知において特定される素材の侵害を主張する場合。

    (e) 反対請求主張の懈怠-著作権請求審判所の手続において反対請求を主張せずまたは主張できなかったことは、その後における裁判所での訴訟または著作権請求審判所での手続において当該反対請求の主張を排除するものではない。

    (f) 当事者の離脱または却下-当事者が適時に第1506条(i)に基づいて手続から離脱しまたは著作権請求審判所が手続について最終決定を発する前に手続から却下された場合には、決定は、当該当事者を拘束せず、またいかなる排除効をも生ずるものではない。

    第1508条-地方裁判所による審査および確認

    (a) 総則-当事者が著作権請求審判所の最終決定(欠席決定または弁論懈怠に基づく決定を含む)で認容された損害賠償を支払わずまたはその他救済を遵守しない手続において、被害当事者は、当該最終決定が発令され、著作権請求審判所による再審査もしくは著作権局長による審査が決着し、または改定最終決定が発行されたときのいずれか最も遅い日から1年以内に限り、合衆国コロンビア特別区地方裁判所または合衆国のその他の適切な地方裁判所に、最終決定において裁定された救済を確認し当該裁定を判決に変更する命令を申し立てることができる。裁判所は、当該決定が第(c)項に基づいて破棄、変更または訂正される場合を除いて、当該命令を付与し、判決の登録を命じなければならない。事件に応じて合衆国コロンビア特別区地方裁判所または合衆国のその他の適切な地方裁判所が著作権請求審判所の裁定した救済を確認する命令を発した場合には、裁判所は、損害賠償を支払わずまたはその他救済を遵守しない当事者に、当該命令を取得するために当該被害当事者に生じた合理的な額の費用(弁護士報酬を含む)の負担を課さなければならない。

    (b) 申立手続-

      (1) 決定確認の申立-第(a)項に基づく著作権請求審判所の決定確認および判決の登録の申立の通知が、申立のなされた合衆国地方裁判所において適用ある申立送達手続に従って、著作権請求審判所の決定にかかる手続のすべての当事者に与えられなければならない。

      (2) 申立の内容-第(a)項に基づく申立には、以下を含まなければならない。

        (A) 再審査または著作権局長による審査手続後の著作権請求審判所の記録を反映する著作権請求審判所の最終決定または改定最終決定の写しであって、確認および判決を求めるもの。

        (B) 偽証の制裁下での申立人の以下の宣誓。

          (i) 当該写しが当該決定の真実かつ正確な写しであること。

          (ii) 当該決定が発令された日を記載すること。

          (iii) 第(c)項(1) に基づく異議申立の基礎を記載すること。

          (iv) 申立人が著作権請求審判所の同じ決定に関して裁判所の他の手続を知っているかどうかを記載すること。

    (c) 決定への異議申立

      (1) 異議の基礎-著作権請求審判所が手続について最終決定または改定最終決定を発した日から90日以内、または著作権局長が決定の再審査および審査の手続を終えてから90日内のいずれか遅い方までに限り、当事者は、以下の場合には、合衆国の地方裁判所に対して著作権請求審判所の決定を破棄、変更または訂正する命令を求めることができる。

        (A) 決定が詐欺、買収、不実記載またはその他の不正行為の結果発せられた場合

        (B) 著作権請求審判所がその権限を越えまたは争われている対象に関して最終決定をなさなかった場合。

        (C) 欠席決定または弁論懈怠による決定について、当該欠席または懈怠がやむを得ない過誤によることを証明した場合。

      (2) 異議の手続-

        (A) 申立の通知-著作権請求審判所の決定に対する異議申立の通知は、当該申立がなされる裁判所における申立送達に適用ある手続に従って、著作権請求審判所の手続のすべての当事者に与えられなければならない。

        (B) 手続の停止-本項に基づく申立においては、裁判所に提起された他の訴訟の手続を停止する命令を発する権限のある裁判官は、異議申立が係属中は裁定を執行する手続を停止する命令(申立の通知とともに送達される)を発することができる。

    第1509条-地方裁判所での他の訴訟との関係

    (a) 地方裁判所手続の停止-第1507条(b)を条件として、合衆国の地方裁判所は、裁判所に提起された請求がすでに著作権請求審判所の係属中または能動的な手続の対象になっている場合には、手続を停止しまたは当該請求に関して裁判所が適切と考える救済を与えなければならない。

    (b) 代替的紛争解決手段-本章に基づく著作権請求審判所の手続は、当事者の同意に基づいて合衆国の地方裁判所に係属可能な事件の付託に関しては、第28編第651条に基づく代替的紛争解決手段に該当する。

    第1510条-著作権局による施行

    (a) 規則-

      (1) 施行一般-著作権局長は、本章を施行するための規則を制定する。その規則には、第1506条(e)および(x)に基づき記載する料金の定めを含まなければならない。当該料金を定める権限は、第708条に基づくサービスの料金を定める著作権局長の権限を制限するものではない。本章に基づく行為に関連して著作権局長が受領したすべての料金は、著作権局長が第708条(d)に従って著作権局の必要のために預金しまた充当されなければならない。本項に基づいて規則を定めるに当たって、著作権局長は、著作権請求審判所の効率的な管理を目的として、また(当事者による嫌がらせのためのまたは不適切な著作権請求審判所の使用を防止する制度の実施によることを含め)本章に基づいて開始された手続を適時に完了できる著作権請求審判所の能力を目的として、定めなければならない。

      (2) 金銭救済の制限-

        (A) 総則-第(B)号を条件として、著作権請求審判所が著作権請求審判所の最初の決定を発令した日から3年以降において、著作権局長は、著作権請求審判所の目標を促進するために、本章に基づいて裁定される弁護士報酬および費用の金銭的回復の制限を調整する規定を定めることができる。

        (B) 調整の発効日-第(A)号に基づき調整を行う規定は、著作権局長が連邦議会にその規定を提出した日から120日間の終了までに、連邦議会が当該規定を承認しないことを内容とする法律を制定しなかった場合にのみ、当該120日間の終了時に発効する。

    (b) 必要な設備-適用のある法を条件として、著作権局長は、著作権請求審判所の運営に必要なインターネット設備、電話会議設備およびその他の設備を備えるために外部の提供業者を利用することができる。

    (c) 料金-第1506条(e)に基づいて手続を開始するための料金を含む、申立手数料は、著作権局長の定める規則に記載しなければならない。申立手数料の総額は、100ドル以上の金額でなければならず、合衆国の地方裁判所に訴訟を申し立てる費用額を超えてはならず、また、著作権請求審判所の目標を促進する金額に設定されなければならない。

    第1511条-運用資金

    著作権請求審判所およびその設備を設立し維持するための費用を含む、本章に基づいて著作権局に発生する費用であって、本章に基づいて行われるサービスの対価として集められる料金でまかなえないものを支払うために必要な金額を支出することが、承認される



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