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    第XI編 経過規定

    第1節 総則

    第204条 解釈

    (1) 本編において、 写真 とは、 第 10 条に定める意味に代わり、 次項に定める意味を有する。

    (2) 用語が本条に定める意味を有するものと定めまたは本条に定める用語に言及する本編の規定において、

    集合著作物 とは、 以下を意味する。

      (a) 百科事典、 辞典、 年鑑または同様の著作物

    (b) 新聞、 評論、 雑誌または同様の定期刊行物

    (c) 異なる著作者により個別に執筆された著作物、 または異なる著作者の著作物もしくはその一部が組み込まれた著作物

    実施する とは、 講演に関しては、 機械装置による実施を含む。

    演劇著作物 とは、 朗読作品、 情景設定または演技形式が書面またはその他により設定された舞踊著作物または無言劇、 および設定、 演技形式または場面の組合せが創作的性質をもたらす映画製作物を意味する。

    講演 には、 演説、 スピーチおよび説教を含む。

    言語著作物 には、 地図、 海図、 設計図、 表および編集物を含む。

    実演 とは、 本条に定義する演劇著作物または音楽著作物に関しては、 当該著作物の演奏または当該著作物の演技の視覚的描写を意味し、 機械装置による描写を行うことを含む。

    写真 には、 写真平版および写真と類似のプロセスにより制作される著作物を含む。

    第205条 著作物、 録音物またはフィルムの作成への言及

    本編において、 本法の施行前に作成された著作物、 録音物または映画フィルムに関しては、 これらの作成が一定の期間にわたった場合には、 本法の施行前に作成が完了した場合を除いては、 本法の施行前に作成されたものとみなされない。

    第206条 他の法または立法における著作権への言及

    (1) 本法の次条の運用に影響することなく、

      (a) 他の連邦法または1911年著作権法の規定に関する契約、 合意その他の法律文書において、 著作権とは、 本法の対応する規定を指しまたはこれを含むものとする。

    (b) 他の連邦法または1911年著作権法の規定に関する契約、 合意その他の法律文書において、 著作権または著作権の存続する著作物とは、 本法に基づく著作権または本法に基づき著作権が存続する著作物もしくはその他の権利対象物を指しまたはこれらを含むものとする。

    (c) 他の連邦法または1911年著作権法の規定に関する契約、 合意その他の法律文書において、 使用許諾による著作権に基づく利益の付与とは、 本法に基づく著作権に関しては、 当該著作権に関する使用許諾の付与を指すものとする。

    (2) 本条は、 連邦の他の法または1911年著作権法の規定に関する契約、 合意その他の法律文書において別段の意図が示されない限り、 効力を有するものとする。

    (3) 本条において、 連邦法 とは、 以下を意味する。

      (a) 法律

    (b) 法律により効力を有する法律文書 (規則または規程を含む)

    (c) 特別地域の条例または当該特別地域において効力を有するその他の法

    (d) 当該条例または法により効力を有する法律文書 (規則または規程を含む)

    (e) 第(b)号または第(d)号にいう規則または規程により効力を有する法律文書

    第207条 適用

    本編に別段の定めがない限りは、 本法は、 本法の施行時に存在していた物に関して、 本法の施行後に発生する物に関すると同様に適用する。

    第208条 写真の著作者

    本法において、 写真の著作者とは、 本法の施行前に撮影された写真に関しては、 当該写真が撮影された時点において当該写真を撮影した素材の所有者であった者をいう。

    第209条 発行

    (1) 本法の施行前に行われた発行が最初の発行であったかを判断するにあたっての第2 条(5)の適用において、 同項における30 日以内の期間とは、 14日以内の期間と読み替えるものとする。

    (2) 本法の施行前に行われた行為に関する第29条(7)の適用において、

      (a) 同項における著作権には、 1905年著作権法 に基づく著作権および1911年著作権法に基づく著作権を含むものとする。

    (b) 同項における著作者の使用許諾は、

      (i) 1905年著作権法 に基づく著作権に関して――当該著作者の知識を指すものとする。

    (ii) 1911年著作権法 に基づく著作権に関して――当該著作者の同意または黙認を指すものとする。


    第2節 創作的な著作物

    第210条 失効した著作権の不復活

    (1) 第III編のいかなる規定にもかかわらず、 本法の施行前に最初に発行された著作物に対しては、 1911年著作権法に基づく著作権が本法の施行直前に当該著作物に存続していた場合を除いては、 本編により著作権は存続しない。

    (2) 前項は、 第5節の適用ある著作物に関しては適用しない。

    第211条 著作権の存続する創作的著作物

    (1) 第32条(1)は、 本法の施行前に作成された著作物に適用し、 この場合には、 同項にいう有資格者には1911年著作権法の適用を受ける英国臣民および女王の領土に居住する者を含むものとする。

    (2) 第32条(2)は、 本法の施行前に最初に発行された著作物に適用し、 この場合には、 同項第(d)号および第(e)号は除外するものとする。

    (3) 第32条(2)は、 本項の発行前に最初に発行されかつ著作者が1948年国籍市民権法 の施行前に死亡した著作物に適用し、 この場合には、 第32条(2)(e)における有資格者には、 当該者の死亡直前に同法が効力を有していたとすればオーストラリア市民であった者を含むものとする。

    (4) 第32条(3)は、 本法の施行前に建設された建築物に関しては適用しない。

    (5) 本条は、 前条に従って効力を有する。

    第212条 写真に対する著作権の存続期間

    第33条(6)は、 本法の施行前に撮影された写真に関して適用しないが、 前条に影響される第32条(2)に従い、 第III編により写真に対して存続する著作権は、 当該写真が撮影された暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。

    第213条 著作権の帰属

    (1) 第35条(4)および(6)は、 本法の施行前に作成された著作物に関しては適用しない。

    (2) 第35条(5)は、 本法の施行前に行われた合意に従って作成された著作物に関しては適用しない。

    (3) 著作物が前各項により第35条(4)、 (5)または(6)の適用を受けない場合には、 第35条(2)は、 本条の次各項に従って当該著作物に関して効力を有する。

    (4) 特定の著作物に関する次三項の運用は、 合意により排除しまたは修正することができる。

    (5) 写真、 肖像画または版画である著作物の場合において、

      (a) ある者が、 有償にて、 他者に私的または家庭内の目的で写真を撮影させ、 肖像画を描かせまたは彫刻を制作させるために契約を締結し、 かつ

    (b) 当該著作物が当該契約に従って制作された場合には、

    前者が第III編により当該著作物に存続する著作権を保有する。

    (6) 著作物が、 業務契約または徒弟契約に基づく雇用の条件に従って作成された場合には、 雇用者が第III編に基づき当該著作物に対して存続する著作権者となる。

    (7) 著作物が、 業務または徒弟契約に基づく新聞、 雑誌または同様の定期刊行物の発行者との雇用契約に基づき作成した言語、 演劇または著作物であって、 新聞、 雑誌または同様の定期刊行物に掲載する目的で作成された場合には、 著作者は新聞、 雑誌または同様の定期刊行物以外に当該著作物を発行することを制限することができる。

    (8) 前三項において、 第 204 条に定義する用語は、 同条に定める意味を有するものとし、 第II編に定める意味を有しない。

    第214条 輸入、 販売またはその他の取引による侵害

    第37 条および第38条において、 当該者の知る限りにおいて、 物品の作成が1911年著作権法に基づく著作権の侵害にあたり、 または輸入物品の場合には当該物品が輸入者によりオーストラリアで作成されたとすればかかる著作権の侵害にあたったという事実は、 当該者の知る限りにおいて、 物品の作成が本法に基づく著作権の侵害となり、 または輸入物品の場合には当該物品が輸入者によりオーストラリアで作成されたとすればかかる著作権の侵害にあたったという事実と同様の効力を有する。

    第215条 音楽著作物の録音

    (1) 1911年著作権法に基づく当該著作物の著作権者によりまたはその同意もしくは黙認を得て、 本法の施行前に著作物のレコードが作成された場合には、 第III編第6節は、 当該レコードがオーストラリアにおいて小売販売向けに作成され、 当該著作物のレコードをオーストラリアにおいて作成することを本法により許可することができる者によりまたはその許諾を得て行われたと同様の効力を有する。

    (2) 本法第5条(1)にかかわらず、 本法の施行直前に効力を有していた1911年著作権法第19条(2)ないし(7)は、 本法の施行前に作成されたレコードに関して引き続き適用し、 同各項に従い、 同各項において制定された規則であって本法の施行直前に効力を有していたものは、 当該レコードに関して引き続き適用する。

    第216条 美術著作物の発行害

    第68条は、 本法発効前に作成された絵画、 素描、 版画、 写真または映画フィルムに関しては適用しないが、 美術著作物に対する著作権は、 当該日より前に作成された絵画、 素描、 版画、 写真または映画フィルムの発行によっては、 第65条または第66条によりこれらが作成された時に本法が運用されていたとすればこれらの作成が本法に基づく著作権の侵害にあたらなかった場合には、 侵害されない。

    第217条 建築物の再建

    第73条(2)において、 建築図面または設計図の著作権者によるまたはその許諾を得た建築とは、 建築の時点において、 当該建築物が建築された州または特別地域において当該時点において効力を有していた著作権に関する法に基づいて、 当該図面または設計図の著作権者であった者によるまたはその許諾を得た建築を含むものとする。

    第218条 工業意匠

    (1) 第III編第8節は、 本法の施行前に作成された美術著作物には適用しない。

    (2) 本法の施行前に作成された美術著作物であって、 作成された時に1906年意匠法 または修正され当該時点において効力を有していた同法に基づき登録することのできる意匠であり工業的工程により複製される模型または模様として使用されまたは使用を意図されたものに対しては、 本法により著作権は存続しない。

    第219条 使用料の支払による著作物の複製

    (1) 本法の施行前に発行された言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権は、 当該著作物の販売のための複製によっては、 以下の場合には侵害されない。

      (a) 当該複製が、 著作者の死亡日から25年間が満了した後、 または1911年著作権法の施行時に著作権が存続していた著作物の場合には30年間が満了した後に行われ、 かつ

    (b) 当該著作物を複製する者が、 以下を証明する場合。

      (i) 本法の施行前に、 1911年著作権法第3条但書に定める著作物の複製の意図の書面による通知を行ったこと、 および

    (ii) 同但書に定める方法または本条において定める方法にて、 自己が販売した著作物の全てのコピーに関して、 著作権者に対してまたはその利益のために、 当該複製物を発行した価格の10パーセントの率にて算定された使用料を支払ったこと。

    (2) 規則においては、 前項(b)(ii)における使用料の支払を行う方法および時期に関する規定を設けることができ、 また、 前払いまたは使用料の支払を確保するその他の方法を義務付ける規定を含むことができる。

    (3) 本法の施行前に1912年-1966年著作権法 に基づき効力を有していた著作権規則第38条ないし第42条は、 本法に基づき効力を有していたと同様に本法において効力を有するものとするが、 本法に基づき行われた規則により修正または廃止することができる。

    (4) 第(1)項(a)において、 著作物の著作者の死亡日から一定の年が経過した後とは、 共同著作物の場合には、

      (a) 最初に死亡した著作者の死亡日から当該年数の経過後、 または

    (b) 最後に死亡した著作者の死亡日のうち、

    いずれか遅い日の後とする。

    (5) 著作者の死亡日または共同著作物の場合には最後に死亡した著作者の死亡日の直前に著作権が存続していた言語、 演劇もしくは音楽著作物または彫刻が、 当該日の前に、

      (a) 発行されておらず、

    (b) 演劇または音楽著作物の場合――公に実演されておらず、 かつ

    (c) 講演の場合――公に行われていない場合には、

    第(1)項は、 著作者が以下の日に死亡したものとして適用する。

    (d) 言語著作物 (講演を除く) または彫刻の場合――当該著作物が最初に発行された日。

    (e) 演劇または音楽著作物の場合――当該著作物が最初に発行されまたは最初に公に実演された日のうち、 いずれか先に到来した日。

    (f) 講演の場合――当該講演が最初に発行されまたは最初に公に行われた日のうち、 いずれか先に行われた日。

    (6) 本条において、 第204条に定義する用語は、 同条に定める意味を有するものとし、 第II編に定める意味を有しない。


    第3節 著作物以外の権利対象物

    第220条 録音物

    (1) 第89条(1)は、 本法の施行前に作成された録音物に関して、 同項にいう有資格者には1911年著作権法の適用を受ける英国臣民および女王の領土に居住する者を含むものとして適用する。

    (2) 第89条(2)は、 本法の施行前に作成された録音物に関しては適用しない。

    (3) 第93条は、 本法の施行前に作成された録音物に関しては適用しないが、 第89条(1)ないし(3)により当該録音物に対して存続する著作権は、 当該録音物が作成された暦年の終了から50年を経過するまで存続する。

    第221条 映画フィルム

    本法の施行前に作成された映画フィルムに対しては、 第90条による著作権は存続しない。

    第222条 映画フィルムに含まれる演劇著作物および写真に対する本法の適用

    (1) 本法の施行前に作成された映画フィルムが第204条に定義する創作的な演劇著作物である場合には、 本法 (本項を除く) は、 当該フィルムに関して、 当該フィルムが第10条に定義する創作的な演劇著作物であるものとして効力を有し、 1911年著作権法において当該著作物の著作者であった者は、 本項により効力を有する本法において当該著作物の著作者であるものとみなす。

    (2) 本法は、 本法の施行前に作成された映画フィルムの一部をなす写真に関して、 映画フィルムの一部をなさない写真に関して効力を有すると同様に効力を有する。

    第223条 テレビ放送および音声放送

    以下に対しては、 第91条により著作権は存続しない。

      (a) 本法の施行前に行われたテレビ放送もしくは音声放送、 または

    (b) 本法の施行前に行われたテレビ放送もしくは音声放送の再放送である、 本法の施行後に行われたテレビ放送もしくは音声放送。

    第224条 著作物の発行版

    著作物の発行版に対しては、 当該版の最初の発行が本法の施行前に行われた場合には、 第92条により著作権は存続しない。

    第225条 輸入、 販売またはその他の取引による侵害

    第102条および第103条において、 当該者の知る限りにおいて、 物品の作成が1911年著作権法に基づく著作権の侵害にあたり、 または輸入物品の場合には当該物品が輸入者によりオーストラリアで作成されたとすればかかる著作権の侵害にあたったという事実は、 当該者の知る限りにおいて、 物品の作成が本法に基づく著作権の侵害にあたり、 または輸入物品の場合には当該物品が輸入者によりオーストラリアで作成されたとすればかかる著作権の侵害にあたったという事実と同様の効力を有する。


    第4節 その他

    第226条 侵害訴訟

    第115条は、 1911年著作権法に基づく著作権の侵害には適用せず、 また、 本法の施行前後に行われたかを問わず、 同法に基づく手続に影響しない。

    第227条 侵害コピー

    本法第116条は、 本法の施行前に作成されまたはオーストラリアに輸入された物品に関しては適用しないが、 本法第 5 条(1)にかかわらず、 当該物品に関する手続は、 1911年著作権法に従い、 同法第7条により提起しまたは追行することができるものとし、 当該手続が当該物品の本法の施行後の転用または留置に関連していても同様に提起しまたは追行することができる。

    第228条 著作権が排他的使用許諾に服する場合の訴訟

    第V編第3節は、 本法の施行前に付与された使用許諾に関しては適用せず、 本法の施行前後に提起されたかを問わず、 1911年著作権法に基づく手続に影響しない。

    第229条 犯罪および略式手続

    第V編第5節において、 第10条における侵害コピー の定義は、 当該定義における著作権には、 1911年著作権法に基づく著作権を含むものとして適用する。

    第230条 訴訟の制限

    本法第134条は、 1911年著作権法に基づく著作権の侵害または本法の施行前に作成されもしくはオーストラリアに輸入された物品に関しては適用しない。

    第231条 著作物の印刷コピーの輸入の制限

    もし、

      (a) 本法の施行日前に、 修正後の1912年著作権法 第10条に基づき著作物に関する通知がなされており、

    (b) 当該通知が、 当該日前に取下げられかつその他の事由により効力を失っていない場合には、

    当該通知は、 当該日に始まる6 ヶ月間、 本法第135条に従って適切に行われたと同様の効果 (もしあれば) を有する。

    第232条 使用許諾体系に関する審判所への照会および申立

    (1) 第VI編は、 本法の施行日前に設定された使用許諾体系に関して、 当該日以後に設定された使用許諾体系に適用すると同様に適用するが、 この場合には、 同編における著作権は、 1911年著作権法に基づく著作権を含むものとする。

    (2) 第157条において、 使用許諾の付与もしくは取得の拒絶もしくは懈怠または使用許諾を付与すべき提案とは、 本法の施行前に生じた拒絶もしくは懈怠または提案を含まない。

    第233条 写真に対する国家著作権の存続

    第180条(2)は、 第180条(3)を除外したものとして、 本法の施行前に撮影された写真に関して適用する。

    第234条 録音物に対する国家著作権の存続

    第181条は、 本法の施行前に作成された録音物に関しては、 録音物が最初に発行された暦年の終了は当該録音物が作成された暦年の終了を指すものとして適用する。

    第235条 フィルムに対する国家著作権の存続

    (1) 第178条および第181条は、 本法の施行前に作成された映画フィルムに関しては適用しない。

    (2) 第178条および第181条が前項により映画フィルムに関して適用しない場合には、

      (a) 当該フィルムが第204条に定義する創作的な映画著作物であった場合――第176条および第177条ならびに第180条(1)は、 第222条(1)に従って当該著作物に関して適用する。

    (b) 第176条および第177条ならびに第233条により修正された第180条(2)は、 当該フィルムの一部をなす写真に関して、 映画フィルムの一部をなさない写真に関して適用すると同様に適用する。

    第236条 国際機関により作成されまたは発行された著作物

    (1) 第187条(1)は、 本法の施行前に作成された著作物には適用しない。

    (2) 第187条(2)は、 本法の施行前に最初に発行された著作物には適用しない。

    第237条 国際機関により作成または発行された、 創作的な著作物以外の権利対象物

    (1) 第188条(1)は、 本法の施行前に作成された録音物または映画フィルムに関しては適用しない。

    (2) 第188条(2)は、 本法の施行前に最初に発行された録音物または映画フィルムに関しては適用しない。

    (3) 第188条(3)は、 本法の施行前に発行された版に関しては適用しない。

    第238条 権利譲渡および使用許諾

    (1) 本法に従い、 本法により著作物に対して著作権が存在する場合に、 本法の施行前に、 1911年著作権法 に基づく当該著作物に対する著作権の帰属または当該著作権に関する利益、 権利もしくは使用許諾を創設し、 移転しまたは終了させまたは同法が引き続き効力を有していたとすれば同様の効果を有していた文書が作成されまたは事由が生じた場合には、 当該文書または事由は、 本法に基づく著作物に対する著作権に関すると同様の効果を有する。

    (2) 前項の適用ある文書の効力が、 当該文書に記載された期間に限定されておりまたは限定されていた場合には、 当該文書は、 当該期間が本法の施行後にかかる場合を除いては、 本法に基づく著作権に関して効力を有しない。

    (3) 本条に従う文書の適用において、

      (a) 当該文書に使用された用語は、 本法において異なる意味を有するか否かを問わず、 本法の施行直前に有していたと同様の意味を有し、 また

    (b) 第197条(1)は適用しない。

    (4) 第(1)項の一般性を妨げることなく、 本法の施行前に作成された著作物の著作者が、 当該著作物の最初の著作権者であった場合には、

      (a) 1911年著作権法の施行後本法の施行前に当該著作者が行った著作権の譲渡または著作権上の利益の付与 (遺言によるものを除く) であって、 第(1)項により本法に基づく著作権に関して効力を有するものは、 当該著作者の死亡日から25年間が満了した後に当該著作物に対する著作権に関していかなる権利を譲受人または受益者に帰属させるものではない。

    (b) 当該著作者の死亡により、 当該期間の終了による著作権にかかる復帰利益は、 別段の合意にかかわらず、 その遺産の一部として遺産管理人に移転するものとする。

    (c) 当該復帰利益の処分に関して著作者が行った合意は、 効力を有しない。

    しかし、 本項のいかなる規定も、 集合著作物に対する著作権の譲渡または集合著作物の一部として著作物またはその一部を発行する使用許諾に適用するものとみなされない。

    (5) 前項において、 第204条に定義する用語は、 同条に定める意味を有するものとし、 第II編に定める意味があってもこれを有するものではない。

    (6) 本条の前各項は、 録音物または映画フィルムに対する本法に基づく著作権に関して、 著作物に対する著作権に適用すると同様に適用するが、 同項において 1911年著作権法に基づく著作権とは、

      (a) 録音物に関して同項を適用する場合――録音物を収録したレコードに対する同法に基づく著作権を指すものとする。

    (b) 映画フィルムに関して同項を適用する場合――当該フィルム (同法において演劇著作物を構成する限りにおいて) または当該フィルムの一部をなす写真に対する同法に基づく著作権を指すものとする。

    第240条 遺贈

    (1) 第198条は、 本法の施行前に死亡した遺言者の遺言に含まれる遺贈に関しては適用しない。

    (2) もし、

      (a) 著作者が本法の施行前に死亡し、

    (b) ある者が、 当該著作者の遺言に基づいて、 当該著作者の著作物の原稿の所有権を取得し、 かつ

    (c) 当該著作物が、

      (i) 発行されておらず、

    (ii) 演劇または音楽著作物の場合――公に実演されておらず、

    (iii) 講演の場合――公に行われていない場合には、

    当該者の当該原稿の所有権は、 当該者が当該著作物の著作権者であることの証拠となる。

    (3) 前項において、 第204条に定義する用語は、 同条に定める意味を有するものとし、 第II編に定める意味があってもこれを有するものではない。

    第241条 図書館資料の国立図書館への納付

    第201条は、 本法の施行前に発行された図書館資料に関しては適用しない。

    第242条 根拠なき告訴の強迫

    本法第202条は、 本法の施行前に行われた行為に関して本法の施行後に行われた強迫に関しては適用せず、 本法第6条にかかわらず、 1912年-1966年著作権法 第41A条は、 かかる強迫に関して、 本法の施行前に行われた強迫に適用すると同様に適用する。


    第5節 1912年7月1日より前に作成された著作物

    第243条 解釈

    本節において、 1911年著作権法が認める権利 とは、 著作物に関しては、 同法第24条により、 同法の施行直前に存続していた権利に代えて認められた権利をいう。

    第244条 適用

    本節は、 1912年7月1日より前に作成された著作物に適用する。

    第245条 1911年著作権法が認める権利

    第2節の一切の規定にかかわらず、 本法第32条は、 本節の適用ある著作物に対しては、 当該著作物に対して本法の施行直前に1911年著作権法が認める権利が存続していた場合を除き、 適用しない。

    第246条 実演権

    (1) 本節の適用ある演劇または音楽著作物に対して 1911年著作権法が認める権利が、 当該著作物を公に実演する排他的権利を含まなかった場合には、 本法により当該著作物に対して存続する著作権には、 当該著作物に関する実演権を含まない。

    (2) 本節の適用ある演劇または音楽著作物に対して 1911年著作権法が認める権利が、 当該著作物を公に実演する排他的権利のみであった場合には、 本法により当該著作物に対して存続する著作権には、 当該著作物に関する実演権のみを含むものとする。

    (3) 本条において、 実演権とは、 著作物に関しては、 以下をいう。

      (a) 当該著作物またはその翻案物を、 公に実演する排他的権利

    (b) 当該著作物またはその翻案物を、 公に送信する排他的権利

    第247条 定期刊行物への寄稿

    もし、

      (a) 本節の適用ある著作物 (本条において関連著作物 という) が、 評論、 雑誌または同様のその他の定期刊行物もしくは著作物の一部をなす論文、 記事または作品からなりかつこれらにおいて最初に発行され、 かつ

    (b) 本法の施行直前に、 関連著作物の出版権が1911年著作権法付表1の付則により、 別の形式で存続していた場合には、

    同法により関連著作物に対して存続する著作権は、 別の形式の関連著作物の出版権に従うものとする。

    第248条 譲渡および使用許諾

    (1) 本法第239条(1)の一般性を損なうことなく、

      (a) 本節の適用ある著作物の著作者が、 1911年著作権法の施行前に、 同法第24条(1)但書(a) (本条において但書 という) にいう種の権利譲渡または権利付与を行い、

    (b) 当該著作物に対して本法により著作権が存続する場合には、

    本条の次各項が効力を有するものとする。

    (2) 本法の施行前に、 但書第(a)号に従った事由が発生しまたは同号に従った通知が行われ、 これらが当該著作物に関して1911年著作権法が認める権利の帰属に影響しまたは当該権利に関する利益、 権利もしくは使用許諾を創設し、 移転しもしくは終了する効力を有していた場合には、 当該事由または通知は、 当該著作物に対する本法に基づく著作権に関して同様の効果を有する。

    (3) 本法が制定されていなければ著作物または1911年著作権法が認める権利に関して但書(a)により、 本法の施行後のいつでも行使しえた権利は、 当該著作物または本法に基づき当該著作物に対して存続する権利に関して行使できるものとする。

    (4) 但書第(a)号に従って、 1911年著作権法が認める権利が同号にいう日に著作者またはその遺産管理人に復帰し、 当該日が本法の施行後に到来した場合には、 当該日において、

      (a) 当該著作物に対する本法に基づく著作権は、 当該著作者またはその遺産管理人に復帰し、 また

    (b) 1911年著作権法の施行前に作成された書面により当該日に存続していた当該著作権に対する利益は消滅する。




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