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    第III編 創作的な言語、 演劇、 音楽および美術著作物に対する著作権

    第1節 著作物に対する著作権の性質、 存続および帰属

    第31条 創作的な著作物に対する著作権の性質

    (1) 本法において、 別段の意図がみられない限りは、 著作物に対する著作権とは、 以下の行為を行う排他的権利をいう。

      (a) 言語、 演劇または音楽著作物の場合には、 以下の全てまたはいずれかの行為。

      (i) 当該著作物を有形的形式に複製すること。

    (ii) 当該著作物を発行すること。

    (iii) 当該著作物を公に実演すること。

    (iv) 当該著作物を公に送信すること。

    (vi) 当該著作物の翻案物を作成すること。

    (vii) 当該著作物の翻案物である著作物に関して、 (i)ないし(iv)に定める行為を行うこと。

    (b) 美術著作物の場合には、 以下の全てまたはいずれかの行為。

      (i) 当該著作物を有形的形式に複製すること。

    (ii) 当該著作物を発行すること。

    (iii) 当該著作物を公に送信すること。

    (c) 言語著作物 (コンピュータ・プログラムを除く) または音楽もしくは演劇著作物の場合には、 録音物に複製された著作物に関して商業的貸与取引を行うこと。

    (d) コンピュータ・プログラムの場合には、 当該プログラムに関して商業的貸与取引を行うこと。

    (2) 第(1)項(a)(i)の一般性は、 第(1)項(a)(vi)により影響されない。

    (3) コンピュータ・プログラムを搭載した機械または装置に関する商業的貸与取引において、 当該機械または装置の通常の使用の過程において当該プログラムを複製できない場合には、 第(1)項(d)は、 当該商業的貸与契約の締結には適用しない。

    (4) 第(3)項において装置とは、 コンピュータ・プログラムを蓄積するために通常使用される種の装置 (たとえば、 フロッピー・ディスク、 CD-ROM と通称される種の装置、 または集積回路) を含まない。

    (5) 商業的貸与契約においてコンピュータ・プログラムがその本質的な目的物でない場合には、 第(1)項(d)は、 当該商業的貸与契約の締結には適用しない。

    (6) 第(1)項(d)は、 商業的貸与契約が以下の全てを充たす場合には適用しない。

      (a) ある者 (レコード所有者 ) が、 問題となる録音物のコピーを1994年著作権 (世界貿易機関修正) 法 第2編の施行前に購入し、

    (b) 商業的貸与契約が、 当該レコード所有者が行う事業の通常の過程において締結され、 かつ

    (c) コピーを購入した時に、 当該レコード所有者が同一の事業または同様の商業的貸与契約の締結を含む他の事業を行っていた場合。

    (7) 第(1)項(d)は、 コンピュータ・プログラムに関する商業的貸与契約が以下の全てを充たす場合には適用しない。

      (a) ある者(プログラム所有者 )が、 コンピュータ・プログラムのコピーを1994年著作権(世界貿易機関修正)法 第2編の施行前に購入し、

    (b) 商業的貸与契約が、 当該プログラム所有者が行う事業の通常の過程において締結され、 かつ

    (c) コピーを購入した時に、 当該プログラム所有者が同一の事業またはコンピュータ・プログラムに関する商業的貸与契約の締結を含む他の事業を行っていた場合。

    第32条 著作権が存続する創作的な著作物

    (1) 本法に従い、 著作権は、 発行されておらずかつ著作者が以下のいずれかにあたる創作的な言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対して存続する。

      (a) 著作物が作成された時に有資格者であること

    (b) 著作物の作成が一定期間にわたって行われた場合――当該期間の実質的部分において有資格者であること

    (2) 本法に従い、 創作的な言語、 演劇、 音楽または美術著作物が発行された場合には、

      (a) 著作権は当該著作物に対して存続し、 または

    (b) 当該著作物に対する著作権が最初の発行の直前に存続していた場合――著作権は当該著作物に対して引き続き存続する。

    ただし、 以下のいずれかの場合に限る。

    (c) 当該著作物の最初の発行がオーストラリアにおいて行われた場合、

    (d) 当該著作物の著作者が、 最初の発行の時に有資格者であった場合、 または

    (e) 著作者が最初の発行までに死亡したが、 死亡直前に有資格者であった場合。

    (3) 前項にかかわらず、 本法の他の規定に従い、 著作物は、 以下の著作物に対して存続する。

      (a) オーストラリア国内に建造された建築物である、 創作的な美術著作物。

    (b) かかる建築物に附属しまたはその一部をなす創作的な美術著作物。

    (4) 本条において、 有資格者 とは、 オーストラリア市民、 オーストラリア被保護民またはオーストラリア居住者を意味する。

    第33条 創作的な著作物に対する著作権の存続期間

    (1) 本条は、 第32条(2)および第34条に従って効力を有する。

    (2) 本条に従い、 本編によって著作権が言語、 演劇もしくは音楽著作物または写真以外の美術著作物に対して存続する場合には、 著作権は、 当該著作物の著作者が死亡した暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。

    (3) 言語著作物 (コンピュータ・プログラムを除く) または演劇もしくは音楽著作物の著作者の死亡前に、

      (a) 当該著作物が発行されず、

    (b) 当該著作物が公に実演されず、

    (c) 当該著作物が放送されず、 かつ

    (d) 当該著作物のレコードが公衆への販売に供されなかった場合には、

    当該著作物に対する著作権は、 当該著作物が最初に発行され、 公に実演され、 放送され、 または当該著作物のレコードが公の販売に供されたことのうちいずれか早く行われた行為が行われた暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。

    (4) 前項において、 著作物に関する行為には、 当該著作物の翻案物に関する行為を含むものとする。

    (5) 版画の著作者の死亡前に当該版画が発行されなかった場合には、 当該版画に対する著作権は、 最初に発行された暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。

    (6) 本編に基づき写真に対して存続する著作権は、 当該写真が最初に発行された暦年の終了から50年間が満了するまで存続する。

    第34条 匿名および変名著作物に対する著作権の存続期間

    (1) 次項に従い、 言語、 演劇もしくは音楽著作物または写真以外の美術著作物の最初の発行が匿名または変名にて行われた場合には、 前条は当該著作物に関しては適用せず、 本編に基づき当該著作物に対して存続する著作権は、 当該著作物が最初に発行された暦年の終了から50年間が満了するまで存続するものとする。

    (2) 前項は、 前項に定める期間の満了前に当該著作物の著作者の身元が一般的に知られまたは合理的な調査によって特定しうる場合には、 適用しない。

    第35条 創作的な著作物に対する著作権の帰属

    (1) 本条は、 第VII編および第X編に従って効力を有する。

    (2) 本法に従い、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物の著作者は、 本編に基づき当該著作物に存続する著作権の著作権者となる。

    (3) 次三項の適用は、 特定の著作物に対する著作権に関して、 合意により排除しまたは修正することができる。

    (4) 言語、 演劇または美術著作物が、

      (a) 著作者が、 業務契約または徒弟契約に基づく新聞、 雑誌または同様の定期刊行物の発行者との雇用の条件に基づき作成したものであり、 かつ

    (b) 新聞、 雑誌または同様の定期刊行物に掲載する目的のために作成された場合には、

    以下の規定を適用する。

    (c) 当該著作者は、 著作権が以下に関連する限りにおいてのみ著作権者となる。

      (i) 書籍への掲載を目的とした著作物の複製、 または

    (ii) 新聞、 雑誌もしくは同様の定期刊行物の号の印刷版またはそのハードコピー複写物から作成された、 ハードコピー複写形式 (送信の過程の一部として作成されるハードコピー複写物を除く) での著作物の複製。 ただし、 当該新聞、 雑誌または定期刊行物の発行に関連する目的で発行者が行う複製を除く。

    (d) 第(c)号に定める場合を除いては、 発行者が著作権者となる。

    (5) 前項に従い、 ある者が

      (a) 有償にて、 他者に私的または家庭内の目的のために写真を撮影させ、 肖像画を描かせまたは版画を制作させるために契約を締結し、 かつ、

    (b) 当該著作物が当該契約に従って制作された場合には、

    当該者が本編に基づき当該著作物に存続する著作権者となるが、 契約の時に当該著作物が要求される目的を当該著作物の著作者が明示的または黙示に知らされた場合には、 当該著作者は、 当該著作物に対する著作権の及ぶ行為を当該目的以外のために行うことを制限することができる。

    (6) 前二項のいずれも適用しない言語、 演劇もしくは美術著作物または音楽著作物が、 業務契約または徒弟契約に基づく雇用の条件に従って作成された場合には、 雇用者が本編に基づき当該著作物に対して存続する著作権者となる。

    (7) 本条において、

    言語、 演劇または美術著作物のハードコピー複写物 とは、 有形的形式の複写物であって、 人間がいかなる装置も用いずに著作物を見ることができるものを意味する。

    私的または家庭内の目的 には、 家族、 結婚式または子供の肖像画を含む。


    第2節 著作物に対する著作権の侵害

    第36条 著作権の及ぶ行為の実行による侵害

    (1) 本法に従い、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権は、 著作権者でない者が、 著作権者の許諾を得ずに、 著作権の及ぶ行為をオーストラリア国内において行った場合または行うことを許諾した場合に、 侵害されたものとする。

    (1A) 第(1)項において、 当該者が著作権者の許諾なく著作物に対する著作権の及ぶ行為をオーストラリア国内において行うことを許諾したか否かを判断するにあたって検討しなければならない事項には、 以下を含む。

      (a) 当該者が問題となる行為を防止する権限の範囲 (もしあれば)

    (b) 当該者と、 問題となる行為を行った者との間に存在する関係の性質

    (c) 当該者が当該行為を防止しまたは回避するために合理的な手段を採ったか (適用ある業界の行動基準を遵守したかを含む)

    (2) 次三条は、 本条の一般性に影響しない。

    第37条 販売または賃貸のための輸入による侵害

    (1) 第3節に従い、 著作権者の許諾なく

      (a) 物品を販売し、 賃貸し、 または業として販売もしくは賃貸に供すること、

    (b) 物品を以下の目的のために頒布すること、

      (i) 営業目的、 もしくは

    (ii) 著作権者を害する程度のその他の目的、 または

    (c) 物品を業として公に展示すること

    を目的として物品をオーストラリアに輸入した者は、 当該物品の作成を輸入者がオーストラリアにおいて行ったとすれば著作権の侵害にあたることを、 輸入者が知りまたは合理的に知りえた場合には、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権を侵害したものとする。

    (2) 著作物のコピーでありまたはこれを含む物品の付属品であって、 当該コピーがその作成国において著作物の著作権者の許諾なく作成された場合には、 第(1)項は、 「ことを、 輸入者が知りまたは合理的に知りえた」 を除いて効力を有する。

    第38条 販売およびその他の取引による侵害

    (1) 第3節に従い、 著作権者の許諾なく、 オーストラリアにおいて

      (a) 物品を販売し、 賃貸し、 または業として販売もしくは賃貸に供し、 または

    (b) 物品を業として公に展示した者は、

    当該物品の作成が著作権の侵害にあたること、 または輸入品の場合には当該物品の作成を輸入者がオーストラリアにおいて行ったとすれば著作権の侵害にあたることを、 当該者が知りまたは合理的に知りえた場合には、 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権を侵害したものとする。

    (2) 前項において、 物品の頒布は、

      (a) 営業目的のため、 または

    (b) 著作権者を害する程度のその他の目的のために行われる場合には、

    当該物品の販売とみなす。

    第39条 公衆の娯楽の場を著作物の実演に用いることの許可による侵害

    (1) 公衆の娯楽の場を言語、 演劇または音楽著作物の実演に用いることを許可する者は、 当該実演が当該著作物に対する著作権の侵害にあたる場合には、 当該著作物に対する著作権を侵害したものとする。

    (2) 本条は、 公衆の娯楽の場を提供する者が以下を証明する場合には適用しない。

      (a) 当該実演が当該著作権の侵害にあたることを知らずまた疑うべき合理的な理由もなかったこと。

    (b) 当該許可を無償にて、 または名目的に過ぎない対価もしくは名目的な額を超えるが当該場所を実演に使用することにより生じる費用の合理的な予測額を超えない額の対価に対して行ったこと。

    (3) 本条において、 公衆の娯楽の場 には、 主として公衆の娯楽以外の目的のために占有されるが随時公衆の娯楽のために利用可能にされる施設を含む。

    第39A条 図書館および公文書館に設置された機械にて作成される侵害コピー

    もし、

      (a) ある者が、 著作物またはその一部の侵害コピーを、 図書館または公文書館を運営する団体によりまたはその承諾を得て当該図書館もしくは公文書館内にまたは当該図書館もしくは公文書館の利用者の便宜のために当該施設外に設置された機械 (コンピュータを含む) にて作成し、 かつ

    (b) 当該機械上またはその近辺の利用者が容易に見ることのできる位置に、 所定の大きさの所定の書式に従った通知が記載されている場合には、

    当該図書館もしくは公文書館を運営する団体または当該図書館もしくは公文書館の責任者のいずれも、 当該コピーが当該機械で作成されたことのみを理由として、 侵害コピーの作成を許可したものとみなされない。

    第39B条 一定の設備の利用による送信

    送信を行うためのまたは送信を行うことを容易にするための設備を提供する者 (送信事業者または送信サービスプロバイダを含む) は、 提供された設備を他の者が著作権に含まれる権利の及ぶ行為を行うために使用したことのみを理由として、 著作物に対する著作権の侵害を許可したものとみなされない。


    第3節 著作物に対する著作権の侵害にあたらない行為

    第40条 調査または研究のための公正利用

    (1) 調査または研究を目的とする言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物または言語、 演劇もしくは音楽著作物の翻案物の公正利用は、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (1A) 言語著作物 (講義録を除く) の公正利用は、 教育機関に所属する外部学生による研究もしくは調査の認可課程の目的でまたはこれに関連して行われる場合には、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (1B) 第(1A)項において、 講義録 とは、 講義または指導を行う者が研究もしくは調査においてまたはこれに関連して作成する言語著作物をいう。

    (2) 本法において、 言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物または言語、 演劇もしくは音楽著作物の翻案物の全部または一部を複製することによって行われる利用が、 調査または研究のための当該著作物または翻案物の公正利用にあたるか否かを判断するにあたって検討すべき事項には、 以下を含む。

      (a) 取引の目的および特徴

    (b) 著作物または翻案物の性質

    (c) 当該著作物または翻案物を通常の商業的価格で合理的な期間内に入手できる可能性

    (d) 当該取引が、 当該著作物または翻案物の潜在的市場または価値に及ぼす影響

    (e) 当該著作物または翻案物の一部のみが複製される場合  当該著作物または翻案物全体に対する、 複製された部分の量および重要性

    (3) 第(2)項にかかわらず、 調査または研究のための言語、 演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物の複製による利用においては、

      (a) 当該著作物または翻案物が定期刊行物中の記事である場合――当該著作物または翻案物の全部または一部が、

    (b) その他の場合――当該著作物または翻案物の相当部分を超えない部分が、

    調査または研究のための著作物または翻案物の公正利用の対象とみなされる。

    (4) 第(3)項は、 定期刊行物中の記事の全部または一部の複製による利用において、 当該刊行物中の異なる主題を扱う別の記事も複製されている場合には適用しない。

    第41条 批評または評論のための公正利用

    言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物または言語、 演劇もしくは音楽著作物の翻案物の公正利用は、 当該著作物または他の著作物の批評または評論のために行われ、 かつ、 当該著作物の十分な出所表示がされている場合には、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    第42条 時事の報道のための公正利用

    (1) 言語、 演劇、 音楽もしくは美術著作物または言語、 演劇もしくは音楽著作物の複製物の公正利用は、 以下のいずれかの場合には、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

      (a) 新聞、 雑誌もしくは同様の定期刊行物における時事の報道のためにもしくはこれに関連して行われ、 かつ、 当該著作物の十分な出所表示がされている場合、 または

    (b) 送信によりもしくは映画フィルムによる時事の報道のためにもしくはこれに関連して行われる場合。

    (2) 送信によるまたは映画フィルムによる時事の報道の過程で行われる音楽著作物の演奏は、 当該演奏が報道される時事の一部でない場合には、 本条における当該著作物の公正利用にあたらない。

    第43条 司法手続または専門的助言のための複製

    (1) 言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権は、 司法手続またはその報告のための行為によっては一切侵害されない。

    (2) 言語、 演劇、 音楽または美術著作物の公正利用は、 以下のいずれかの者が専門的助言を行うために行う場合には、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

      (a) 弁護士

    (b) 1990年特許法 に基づき特許弁護士として登録された者

    (c) 1995年商標法 に基づき商標弁護士として登録された者

    第43A条 送信の過程で作成される一時的複製物

    (1) 著作物またはその翻案物に対する著作権は、 送信を行いまたは受信する技術的過程の一部として当該著作物または翻案物の一時的複製物を作成することによっては侵害されない。

    (2) 第(1)項は、 送信を行う技術的過程の一部として行われる著作物または翻案物の一時的複製物の作成に関しては、 送信を行うことが著作権の侵害にあたる場合には適用しない。

    第44条 教育の場での使用のための著作物の編集物への収録

    (1) 発行された言語、 演劇、 音楽または美術著作物に対する著作権は、 当該著作物の短い抜粋または発行された言語、 演劇もしくは音楽著作物の場合にはその翻案物の抜粋を、 以下の場合において、 教育の場で使用するための書籍、 録音物または映画フィルムに含まれる言語、 演劇、 音楽または美術著作物の編集物に含むことによっては侵害されない。

      (a) 書籍の中、 録音物を収録したレコードのラベルもしくは容器、 またはフィルム中の適切な箇所に、 当該編集物が教育の場での使用を意図したものであることが記述されていること。

    (b) 当該著作物または翻案物が、 教育の場での使用のために発行されていないこと。

    (c) 当該編集物が、 著作権が存続しない権利対象物から主として構成されること。

    (d) 当該著作物または翻案物の十分な出所表示がなされていること。

    (2) 前項は、 問題となる抜粋に加えて、 元となる著作物の著作者による著作物または翻案物 (編集物が発行された時に著作権が存続しているもの) の複数の抜粋が、 当該編集物に含まれ、 または同様の編集物があればそれら全てに含まれ、 かつ、 問題となる編集物の発行直前 5 年間に同一の発行者から発行された場合には、 当該著作物に対する著作権に関しては適用しない。

    第44A条 書籍の輸入等

    (1) 施行日以後に最初に発行された外国著作物に対する著作権は、 著作権者の許諾なく第 37 条(1)(a)、 (b)または(c)に定める目的のために非侵害書籍をオーストラリアに輸入する者によっては侵害されない。

    (2) 本条に従い、

      (a) 施行日前に最初に発行された外国著作物、 または

    (b) 施行日の前後にオーストラリアで最初に発行された著作物 に対する著作権は、 以下の場合には、 著作権者の許諾なく第 37 条(1)(a)、 (b)または(c)に定める目的のために非侵害書籍のハードバック版またはペーパーバック版のコピー (本項において輸入コピー という) をオーストラリアに輸入する者によっては侵害されない。

    (c) 当該者が、 著作権者またはその被許諾者もしくは代理人に対して当該書籍のハードバック版またはペーパーバック版のコピー (中古のコピーまたは合理的な需要を充たすために必要な部数を超える部数のコピーでないもの) を書面をもって注文し、 かつ

    (d) 当該者が輸入コピーを注文した時に、 第(c)号にいう最初の注文が当該者によりまたはその承諾を得て取り消されておらず、 かつ

      (i) 当該者が最初の注文を行ってから 7 日以上が経過し、 著作権者、 被許諾者もしくは代理人が注文から 90 日以内に注文が処理されたことを書面にて通知していないこと、 または

    (ii) 当該者が注文を行ってから 90 日以上が経過しており、 著作権者、 被許諾者もしくは代理人が当該注文を処理していないこと。

    (3) 発行された著作物に対する著作権 (最初の発行が施行日の前後であるかを問わない) は、 著作権者の許諾なく非侵害書籍のコピー 1 部をオーストラリアに輸入する者によっては、 輸入が当該者の顧客による書面による注文または確認可能な電話による注文を処理するために行われ、 かつ、 当該顧客が第 37 条(1)(a)、 (b)または(c)にいう目的のために書籍を使用することを意図していないことを以下の方法で表明している場合には、 侵害されない。

      (a) 書面による注文の場合には、 当該注文書に顧客が署名した文言が含まれていること。

    (b) 電話による注文の場合には、 顧客が確認可能な発言をしたこと。

    (4) 発行された著作物に対する著作権 (最初の発行が施行日の前後であるかを問わない) は、 以下の場合には、 著作権者の許諾なく非侵害書籍の複数のコピーをオーストラリアに輸入する者によっては侵害されない。

      (a) 輸入が、 図書館 (個人または団体の直接または間接の利益のために運営されるものを除く) によりまたはこれに代わり行われた書面による注文または確認可能な電話による注文を処理するために行われ、

    (b) 書面による注文の場合――当該注文書に、 当該図書館が第 37 条(1)(a)、 (b)または(c)にいう目的のために書籍を使用することを意図していない旨の、 注文者が署名した文言が含まれており、

    (c) 電話による注文の場合――注文者が、 第(b)号にいう内容の確認可能な発言をしており、 かつ

    (d) 輸入されたコピーの部数が、 注文された部数を超えない場合。

    (5) 第(3)項もしくは第(4)項に基づく電話による注文、 または電話による注文に関する第(3)項(b)もしくは第(4)項(c)にいう発言を確認する方法を制限することなく、 当該注文または発言は、 本条においては、 注文を受け付けた者または発言を受けた者が、 注文が行われまたは発言が行われた時またはその直後に、 当該注文または発言の詳細を書面に記した場合には、 確認可能とみなす。

    (6) もし、

      (a) 第 37 条(1)(a)、 (b)または(c)に定める目的のために書籍がオーストラリアに輸入され、 かつ

    (b) 本条に基づき当該輸入が発行された著作物に対する著作権の侵害にあたらない場合には、

    かかる書籍を上記の目的に使用することは、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらず、 また、 第 38 条(1)は当該書籍には適用しない。

    (7) 第(2)項は、 著作権者またはその被許諾者もしくは代理人が、 合理的な注文を充たすに十分な数の書籍のペーパーバック版のコピーをオーストラリアに供給することができる場合には、 非侵害書籍のハードバック版のコピーをオーストラリアに輸入することには適用しない。

    (8) 第(2)項(d)において、 著作権者、 被許諾者または代理人は、 輸入者にコピーの全部を送付しない限りは、 書籍のコピーの注文を充たしたとみなされない。

    (9) 本条において、

      書籍 には、 以下を含まない。

    (a) 関連する言語、 演劇または美術著作物を伴うか否かを問わず、 主な内容が音楽著作物である書籍

    (b) コンピュータ・ソフトウェアに関連して使用するために、 当該ソフトウェアと共に販売されるマニュアル

    (c) 定期刊行物

    施行日 とは、 1991年著作権修正法 の施行日をいう。

    外国著作物 とは、 以下の著作物をいう。

    (a) オーストラリア以外の国で最初に発行された著作物であって、

    (b) 当該国での最初の発行から 30 日以内にオーストラリアで発行されていないもの。

    注: 本法において、 著作物は、 外国における発行から30日以内にオーストラリアで発行されれば、 オーストラリアで最初に発行された ものとする。 最初の発行 の意味については、 第29条、 特に第29条(5)を参照。

    第44B条 化学製品の容器用認可ラベル上の記載の複製

    化学製品の容器のラベル上に、 認可ラベルに記載された文言を複製することは、 当該文言に対して本編に基づき存続する著作権の侵害にあたらない。

    第44C条 輸入物品の付属品等に対して存続する著作権

    (1) 著作物のコピーが物品の非侵害付属品であり、 その上に付されまたは収録されている場合には、 当該付属品を当該物品と共に輸入することは、 著作権の侵害にあたらない。

      注: 第10条(1)の付属品 の定義を参照。 また、 一定の輸入物品に関して拡張された付属品 の定義について第10AD条を参照。

    (2) 第38条は、 当該付属品の輸入が当該著作物の侵害にあたらない場合には、 物品の非侵害付属品であり、 その上に付されまたは収録されたコピーには適用しない。

    第44D条 録音物の非侵害コピーの輸入による録音された著作物に対する著作権の不侵害

    (1) 言語、 演劇または音楽著作物に対する著作権は、 以下を行う者によっては侵害されない。

      (a) 著作物の録音物の非侵害コピーをオーストラリアに輸入すること

    (b) 何者かがオーストラリアに輸入した著作物の録音物の非侵害コピーについて、 第38条に定める行為を行うこと

    注: 著作権侵害の民事訴訟において、 録音物のコピーは、 被告が非侵害コピーであることを証明しない限りは、 非侵害コピーではないとみなされる。 第130A条を参照。

    (2) 本条は、 録音物のコピーがオーストラリアに輸入された時に、 当該録音物が以下のいずれかにおいて発行されている場合にのみ適用する。

      (a) オーストラリア

    (b) 以下のいずれかの者によりまたはその承諾を得た場合に、 他の国 (発行国 )

      (i) 発行国における録音物に対する著作権または関連権の保有者

    (ii) 発行された時に発行国の法が録音物に対して著作権または関連権を認めていない場合には、 録音物が作成された国 (原録音国 ) における録音物に対する著作権または関連権の保有者

    (iii) 発行された時に発行国または原録音国 (異なるか否かを問わない) のいずれの法も録音物に対して著作権または関連権を認めていない場合には、 録音物の作成者

    注: 第29条(6)は、 無許諾発行について定める。

    (3) 第(2)項において、

    録音物に対する著作権または関連権の保有者 とは、 録音物が発行された時にこれらの権利を保有する者を意味する。

    第44E条 コンピュータ・プログラムのコピーの輸入および販売等

    言語著作物であって、

      (a) コンピュータ・プログラムであり、 かつ

    (b) オーストラリアまたは有資格国で発行されたもの

    に対する著作権は、 以下を行う者によっては侵害されない。

      (c) 当該プログラムの非侵害コピーを収録した物品をオーストラリアに輸入すること

    (d) 何者かがオーストラリアに輸入した当該プログラムの非侵害コピーを収録した物品について、 第 38 条に定める行為を行うこと

    注: 第130B条は、 著作権侵害に基づく民事訴訟において被告が負う立証責任について定める。

    第44F条 電子的言語または音楽製品のコピーの輸入および販売等

    著作物であって、

      (a) 電子的言語または音楽製品でありまたはその一部であり、 かつ

    (b) オーストラリアまたは有資格国で発行されたもの

    に対する著作権は、 以下を行う者によっては侵害されない。

      (c) 当該電子的言語もしくは音楽製品の非侵害コピーを収録した物品をオーストラリアに輸入すること、 または

    (d) 何者かがオーストラリアに輸入した当該電子的言語もしくは音楽製品の非侵害コピーを収録した物品について、 第 38 条に定める行為を行うこと

    注: 第130C条は、 著作権侵害に基づく民事訴訟において被告が負う立証責任について定める。


    第4節 言語、 演劇および音楽著作物に対する著作権の侵害にあたらない行為

    第45条 公衆または放送向けの朗読

    発行された言語もしくは演劇著作物またはその翻案物の抜粋を、 公に朗読し、 または音声放送もしくはテレビ放送に収録することは、 当該著作物の十分な出所表示がなされている場合には、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    第46条 個人が居住または就寝する施設における実演

    言語、 演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物が、 個人が居住または就寝する施設において、 当該施設の居住者もしくは被収容者または居住者、 被収容者およびその招待客のためにのみ提供されるサービスの一部として、 受信装置の操作またはレコードの使用により公に実演される場合には、 当該実演は、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    第47条 放送のための複製

    (1) 言語、 演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物の放送が、 (権利の譲渡もしくは使用許諾または本法の規定の適用により) 当該著作物に対する著作権の侵害にはあたらないが、 当該著作物または翻案物の録音物または映画フィルムを作成することが本条がなければ侵害にあたる場合には、 当該著作物または翻案物の放送のためにのみ録音物またはフィルムを作成することは、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (2) 前項は、 録音物を収録したレコードまたはフィルムのコピーが以下の目的以外に使用される場合には、 当該録音物またはフィルムには適用しない。

      (a) (権利の譲渡もしくは使用許諾または本法の規定により) 当該著作物または翻案物に対する著作権の侵害にあたらない状況において、 当該著作物または翻案物を放送すること

    (b) かかる状況において、 当該著作物または翻案物の放送のために、 録音物を収録した追加のレコードまたはフィルムの追加のコピーを作成すること

    (3) 第(1)項は、 録音物を収録したレコードまたはフィルムのコピーが、 当該録音物またはフィルムの作成者以外の者によって当該著作物または翻案物の放送のために使用される場合には、 当該録音物またはフィルムには適用しない。 ただし、 作成者が当該著作物の著作権者に対して合意した額を支払い、 または合意がない場合には著作権審判所が録音物またはフィルムの作成に対する公正な補償金として定める額を支払うことを書面により約定した場合を除く。

    (4) 前項に定める約定を行った者は、 著作権審判所が約定にかかる額を定めた場合には、 当該著作物に対する著作権者に対して当該額を支払う責任を負い、 著作権者は、 管轄ある裁判所において当該者から当該額を自己に対する債務として回収することができる。

    (5) 本条第(1)項は、 録音物を収録したレコードまたはフィルムのコピーのいずれかが同項に従って著作物もしくは翻案物の放送に最初に使用された日から 12 ヶ月間または録音またはフィルムの作成者と著作権者との間で合意したより長い期間が終了する前に、 録音物を収録した全てのレコードまたはフィルムの全てのコピーが破棄されまたはオーストラリア公文書館長の承諾を得てオーストラリア公文書館に納付されない限りは、 録音物またはフィルムには適用しない。

    (6) オーストラリア公文書館長は、 録音物またはフィルムが例外的な資料的性質を有すると証しない限りは、 録音を収録したレコードまたはフィルムのコピーを第(5)項に従ってオーストラリア公文書館に納付することを承諾してはならない。

    (7) 本条において、

    放送 には、 同時放送を含まない。

    第47AA条 同時放送のための複製

    (1) 言語、 演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物の放送が、 何らかの理由により当該著作物に対する著作権の侵害にあたらないが、 当該著作物または翻案物の録音物または映画フィルムの作成が本項がなければかかる侵害にあたる場合には、 デジタル形式にて当該著作物または翻案物の同時放送を行う目的にのみかかる録音物またはフィルムを作成することは、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (2) 第(1)項は、 録音物を収録したレコードまたはフィルムのコピーが以下の目的以外に使用される場合には、 当該録音物またはフィルムに関しては適用しない。

      (a) 何らかの理由により当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない状況において、 著作物または翻案物を同時放送すること、 または

    (b) かかる状況において著作物または翻案物の同時放送を行うために、 録音物を収録した追加のレコードまたはフィルムの追加のコピーを作成すること。

    (3) 第(1)項は、 同項に基づき作成された録音物を収録した全てのレコードまたはフィルムの全てのコピーが規則に定める日以前に破棄されない限りは、 当該録音物またはフィルムに関して適用しない。

    (4) 第(3)項においては、 異なる種類の録音物または映画フィルムに関して異なる日を規則に定めることができる。

    第47A条 視覚障害者向けラジオ免許保有者による音声放送

    (1) 以下の場合には、 発行された言語もしくは演劇著作物またはその翻案物の音声放送を行うことは、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

      (a) 当該放送が、 視覚障害者向けラジオ放送免許保有者により当該免許に基づき行われ、 かつ

    (b) 当該放送を行った後可及的速やかに、 当該放送を行ったことに関する以下の記録が、 当該者によりまたはこれに代わり作成される場合。

      (i) 当該放送を行った日時を記載し、

    (ii) 当該著作物を特定し、 かつ

    (iii) 当該著作物または当該放送に関して、 その他の所定の事項の詳細を記載したもの。

    (2) 第(1)項(b)において、 放送を行ったことに関する記録は、

      (a) 書面によりまたは規則に定めるその他の方法により作成することができ、 また、

    (b) 書面により作成する場合には、 規則に定める形式に従って作成しなければならない。

    (3) 第(1)項により言語または演劇著作物の音声放送を行った後指定保管期間が終了する前に、 第(1)項(b)において当該放送を行ったことに関して作成された記録が保管されなかった場合には、 当該者は、 有罪とされた場合には、 500 オーストラリアドル以下の罰金に処する。

    (3A) 第(3)項に定める罪は、 厳格責任罪とする。

      注: 厳格責任 については、 刑法 第6.1条を参照。

    (4) 記録の保管に関して第(3)項に基づき起訴された者は、 当該記録の保管を確保するために全ての合理的な予防措置をとりかつ適切な注意を払ったことを裁判所において立証することにより抗弁とすることができる。

    (5) 第(3)項の違反の罪に問われた者は、 同一の記録の保管に関して再度罪に問われない。

    (6) 言語または演劇著作物の著作権者またはその代理人は、 視覚障害者向けラジオ免許を保有している者または保有していた者に対して、

      (a) 第(1)項(b)において当該者によりまたはこれに代わり作成された全ての記録、 または

    (b) 特定の著作者の著作物に関連する全ての記録を、

    かかる通知に特定する日であって、 当該通知が行われた日から 7 日以後の日 (土曜日、 日曜日または公の祝日を除く) に閲覧することを希望する旨を、 書面により通知することができる。

    (7) 第(6)項に基づく通知を受領した者が、 当該通知に定められた日の通常の業務時間中に、 通知に定める記録の閲覧を当該著作権者または代理人に対して合理的な理由なく認めない場合には、 当該者は、 有罪とされた場合には、 500 オーストラリアドル以下の罰金に処する。

    (7A) 第(7)項に定める罪は、 厳格責任罪とする。

      注: 厳格責任 については、 刑法 第 6.1条を参照。

    (7B) 第(7A)項は、 当該者に合理的な理由がある場合には適用しない。

      注: 第(7B)項にいう事項に関しては、 被告が挙証責任を負う (刑法 第13.3条(3)を参照)。

    (8) もし、

      (a) 言語もしくは演劇著作物またはその翻案物の音声放送が、 視覚障害者向けラジオ免許を保有する者 (本項において免許保有者 という) により行われ、

    (b) 第(1)項により、 当該音声放送を行うことが当該著作物に対する著作権の侵害にあたらず、 かつ

    (c) 当該著作物の著作権者が、 当該音声放送を行った後指定保管期間中に、 当該音声放送を行うことに対する対価の支払を書面にて求めた場合には、

    免許保有者は、 当該著作権者に対して、 当該音声放送を行うことについての公平な補償金として、 両者が合意した額または合意がない場合には著作権者もしくは免許保有者の申立により著作権審判所が定める額を支払うものとする。

    (9) 第(8)項に基づき、 著作権者に対して支払うべき公正な補償金の額を著作権審判所が決定した場合には、 著作権者は、 管轄ある裁判所において当該者から当該額を自己に対する債務として回収することができる。

    (10) 本条のいかなる規定も、 言語または演劇著作物の著作権者が視覚障害者向けラジオ免許保有者に対して、 著作権を侵害することなく当該著作物またはその翻案物の音声放送を行うことを許諾する権利に影響しない。

    (11) 本条において、

      (a) 指定保管期間 とは、 本号に関して規則に定める期間を意味する。

    (b) 視覚障害者向けラジオ免許 とは、 1992年放送事業法または1992年ラジオ通信法に基づき効力を有する免許であって、 高齢、 障害または識字障害のために書籍もしくは新聞を扱うことができずまたは文書を読みもしくは理解できない者のために音声放送を行うことを許可するために付与された免許を意味する。


    第4A節 コンピュータ・プログラムに対する著作権の侵害にあたらない行為

    第47AB条 コンピュータ・プログラムの意義

    本節において、

    コンピュータ・プログラム には、 以下の言語著作物を含む。

      (a) コンピュータ・プログラムに組み込まれまたはこれに関連し、 かつ

    (b) 当該コンピュータ・プログラムの機能の効果的な操作に不可欠な言語著作物。

    第47B条 コンピュータ・プログラムの通常の使用または研究のための複製

    (1) 第(2)項に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物の複製により侵害されない。

      (a) 当該複製物が、 当該プログラムが作成された目的のために、 当該プログラムのコピーを実行する技術的過程の一部として、 付随的かつ自動的に作成され、 かつ

    (b) 当該コピーの実行が、 当該コピーの保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり行われる場合。

    (2) 第(1)項は、 以下の場合にはコンピュータ・プログラムの複製には適用しない。

      (a) 当該コンピュータ・プログラムの侵害コピーから複製する場合、 または

    (b) 当該コンピュータ・プログラムの著作権者によりまたはこれに代わり当該コピーの保有者または被許諾者に対して行われた明示の指示または許諾に反して、 当該保有者または被許諾者が当該コピーを取得した時に行われる場合。

    (3) 第(4)項に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物の複製により侵害されない。

      (a) 当該複製物が、 当該プログラムの背後にあるアイディアおよび当該プログラムが機能する方法を研究する目的のために、 当該プログラムのコピーを実行する技術的過程の一部として、 付随的かつ自動的に作成され、 かつ

    (b) 当該コピーの実行が、 当該コピーの保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり行われる場合。

    (4) 第(3)項は、 コンピュータ・プログラムの侵害コピーからの複製には適用しない。

    (5) 本条において、

    複製物 とは、 コンピュータ・プログラムに関しては、 第21条(5)(b)にいう種のプログラムの版を含まない。

    第47C条 コンピュータ・プログラムのバックアップ・コピー

    (1) 第(4)項に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物の複製により侵害されない。

      (a) 当該複製物が、 複製元となるコピー (原コピー ) の保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり作成され、

    (b) 当該複製物が、 原コピーの保有者または被許諾者によるまたはこれに代わり行われる使用のためにのみ作成され、 かつ

    (c) 当該複製物が、 以下のいずれかの目的のために作成される場合。

      (i) 原コピーの保有者または被許諾者が原コピーの代わりに複製物を使用し原コピーを保管できるようにすること。

    (ii) 原コピーの保有者または被許諾者が、 原コピーが紛失し、 破棄されまたは使用不能となった場合に原コピーの代わりに使用できる複製物を保管できるようにすること。

    (iii) 原コピーの保有者または被許諾者が、 原コピーが紛失し、 破棄されまたは使用不能となった場合に、 原コピーまたは本項に基づき作成された複製物の代わりに別の複製物を使用できるようにすること。

    (2) 第(4)項に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物および同一のコンピュータ・システム上に当該プログラムと共に保存される著作物または他の権利対象物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該プログラムまたは著作物もしくは他の権利対象物の複製により侵害されない。

      (a) 当該複製物が、 複製元となるコピー (原コピー ) の保有者または被許諾者によりまたはそのために作成され、 かつ

    (b) 当該複製が、 保存のためのデータの通常のバックアップの過程で行われる場合

    (3) 第(1)項は、 同項(c)(iii)に定める目的のために作成された著作物の複製に関して、 当該著作物の他の複製物が同一のコピーから同一の目的のために以前に作成されたか否かを問わず適用する。

    (4) 第(1)項および第(2)項は、 以下の場合には、 コンピュータ・プログラムの複製には適用しない。

      (a) コンピュータ・プログラムの侵害コピーから複製する場合、 または

    (b) 当該コンピュータ・プログラムの著作権者が、 当該プログラムを改変することなくコピーを作成できないように当該プログラムを設計した場合、 または

    (c) 当該コンピュータ・プログラムの著作権者によりもしくはこれに代わり、 原コピーの保有者が原コピーを取得した時に付与された原コピーの使用許諾が終了しもしくは解除された場合。

    (5) 本条において、 コンピュータ・プログラムのコピーとは、 当該コンピュータ・プログラムが有形的形式にて複製された物品を指すものとする。

    (6) 本条において、

    複製物 とは、 コンピュータ・プログラムに関しては、 第21条(5)(b)に定める類のプログラムの版を含まない。

    第47D条 互換製品を作成するためのコンピュータ・プログラムの複製

    (1) 本節に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物の複製物または翻案物の作成により侵害されない。

      (a) 当該複製物または翻案物が、 その作成のために使用したプログラム (原プログラム ) のコピーの保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり作成され、

    (b) 当該複製物または翻案物が、 原プログラムまたは他のプログラムに接続して共に使用され、 またはその他の方法で互換するために、 別のプログラム (新プログラム ) または物品を独自に作成することを、 原プログラムの保有者もしくは被許諾者またはこれに代わり行為する者ができるようにするために必要な情報を取得するために作成され、

    (c) 当該複製物または翻案物が、 第(b)号に定める情報を取得するために合理的に必要な範囲に限って作成され、

    (d) 新プログラムが原プログラムを複製または翻案する限りにおいて、 新プログラムが原プログラムまたは他のプログラムと接続して共に使用されまたはその他の方法で互換することができるために必要な範囲に限って複製または翻案され、 かつ

    (e) 当該複製物または翻案物が作成された時に、 第(b)号にいう情報を他の手段で保有者または被許諾者が容易に取得できない場合。

    (2) 第(1)項は、 コンピュータ・プログラムの侵害コピーからの複製または翻案には適用しない。

    第47E条 エラー修正のためのコンピュータ・プログラムの複製

    (1) 本節に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 1999 年 2 月 23 日以後に行われた複製または翻案によって侵害されない。

      (a) 当該複製物または翻案物が、 これを作成するために使用したプログラムのコピー (原コピー ) の保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり作成され、

    (b) 当該複製物または翻案物が、 原コピーの以下の動作 (他のプログラムまたはハードウェアとともに使用する場合を含む) を妨げるエラーを修正するために作成され、

      (i) 著作者が意図した動作、 または

    (ii) 原コピーと共に提供される仕様書もしくはその他の文書に従った動作

    (c) 当該複製物または翻案物が、 第(b)号に定めるエラーを修正するために合理的に必要な範囲に限って作成され、 かつ

    (d) 当該複製物または翻案物が作成された時に、 保有者または被許諾者が、 第(b)号に定めるとおり動作するプログラムの他のコピーを、 合理的な期間内に通常の商業的価格にて入手できない場合。

    (2) 第(1)項は、 コンピュータ・プログラムの侵害コピーからの複製または翻案には適用しない。

    第47F条 セキュリティ・テストのためのコンピュータ・プログラムの複製

    (1) 本節に従い、 コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物の複製または翻案によって侵害されない。

      (a) 当該複製物または翻案物が、 これを作成するために使用したプログラムのコピー (原コピー ) の保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり作成され、

    (b) 当該複製物または翻案物が、 以下のいずれかの目的のために作成され、

      (i) 原コピーまたは原コピーを含むコンピュータ・システムもしくはネットワークのセキュリティを善意にてテストすること

    (ii) 原コピーまたは原コピーを含むコンピュータ・システムもしくはネットワークのセキュリティの問題または無許諾アクセスに対する脆弱性を、 善意にて調査しまたは修正すること

    (c) 当該複製物または翻案物が、 第(b)号に定める目的を達成するために合理的に必要な範囲に限って作成され、 かつ

    (e) 当該複製物または翻案物が作成された時に、 これらにより得られた情報を他の手段で保有者または被許諾者が容易に入手できない場合。

    (2) 第(1)項は、 コンピュータ・プログラムの侵害コピーからの複製または翻案には適用しない。

    第47G条 コピーまたは情報の無許諾使用

    (1) もし、

      (a) コンピュータ・プログラムである言語著作物の複製物または翻案物が、 所定の規定に基づき作成され、 かつ

    (b) 当該複製物もしくは翻案物またはそれらから得られた情報が、 当該コンピュータ・プログラムの著作権者の承諾なく、 当該規定に定める目的以外のために使用されまたは他者に販売もしくはその他の方法で提供された場合には、

    当該複製または翻案の作成には当該規定を適用せず、 また、適用されなかったものとみなす。

    (2) 本条においては、 第 47B 条、 第 47C 条、 第 47D 条、 第 47E 条および第 47F 条を所定の規定とする。

    第47H条 一定の規定の適用を排除する合意

    第 47B 条(3)または第 47C 条、 第 47D 条、 第 47E 条もしくは第 47F 条の適用を排除もしくは制限し、 または排除もしくは制限する効果を有する合意またはその規定は、 効力を有しない。


    第5節 図書館または公文書館における著作物の複製

    第48条 解釈

    本節において、 定期刊行物に含まれる記事とは、 当該刊行物に掲載された全てのもの (美術著作物を除く) を指すものとする。

    第48A条 議会議員のための議会図書館における複製

    著作物に対する著作権は、 議会の議員である者の職務遂行を支援する目的のためにのみ、 当該議会の議員のために図書館サービスを提供することを主たる目的とする図書館において権限ある職員により行われるいかなる行為によっても侵害されない。

    第49条 図書館または公文書館による利用者のための著作物の複製および送信

    (1) 何人も、 図書館または公文書館の責任者に対して、 以下を提出することができる。

      (a) 図書館または公文書館の所蔵物に含まれる、 定期刊行物に含まれる記事もしくはその一部の複製物、 または定期刊行物に含まれる記事ではない発行著作物の全部もしくは一部の複製物の提供を受けるための請求書

    (b) 請求者が署名した以下の内容の宣誓書

      (i) 当該複製物を調査または研究のために請求し、 その他の目的のために使用しないこと

    (ii) 同一の記事もしくは著作物の複製物または当該記事もしくは著作物の同一の部分の複製物を、 当該図書館または公文書館の権限ある職員から以前に受領していないこと

    (2) 本条に従い、 第(1)項に定める請求書および宣誓書が図書館または公文書館の責任者に対して提出された場合には、 当該図書館または公文書館の権限ある職員は、 当該宣誓書に重要な部分において虚偽であることを知る文言が含まれている場合を除き、 請求書の対象である複製物を作成しまたは作成させ、 請求者にこれを提供することができる。

    (2A) 何人も、 図書館または公文書館の責任者に対して、 以下を行うことができる。

      (a) 図書館または公文書館の所蔵物に含まれる、 定期刊行物に含まれる記事もしくはその一部の複製物、 または定期刊行物に含まれる記事ではない発行著作物の全部もしくは一部の複製物の提供を受けるための請求

    (b) 以下の内容の宣誓

      (i) 当該複製物を調査または研究のために請求し、 その他の目的のために使用しないこと

    (ii) 同一の記事もしくは著作物の複製物または当該記事もしくは著作物の同一の部分の複製物を、 当該図書館または公文書館の権限ある職員から以前に受領していないこと

    (iii) 当該者が遠隔地にいるため、 当該複製物を必要とする時までに受領できるよう十分な時間をもって第(1)項に定める請求書および宣誓書を当該図書館または公文書館の責任者に容易に提出することができないこと

    (2B) 第(2A)項に定める請求または宣誓は、 書面による必要はない。

    (2C) 本条に従い、

      (a) 第(2A)項に定める請求および宣誓が図書館または公文書館の権限ある職員に対してなされ、

    (b) 当該職員が、 請求および宣誓の内容を記載しかつ以下を表明する宣誓を行う場合には、

      (i) 請求者の宣誓は、 第(2A)項(b)(i)および(ii)に定める事項に関する限りにおいては、 当該職員の知る限りにおいて重要な点において虚偽である文言を含んでいないこと

    (ii) 当該職員が、 請求者の宣誓が第(2A)項(b)(iii)に定める事項に関する限りにおいて真正であると判断すること

    当該図書館または公文書館の権限ある職員は、 請求にかかる複製物を作成しまたは作成させ、 請求者に当該複製物を提供することができる。

    (3) 第(1)項または第(2A)項に基づき請求される複製物の作成および提供に関して料金を徴収する場合には、 第(2)項または第(2C)項は、 当該料金の額が当該複製物の作成および提供の費用を超える場合には適用しない。

    (4) 同一の定期刊行物に含まれる複数の記事またはそれらの一部の複製物の請求に関しては、 当該記事が同一の主題に関するものである場合を除き、 第(2)項または第(2C)項は適用しない。

    (5) 著作物 (定期刊行物に含まれる記事を除く) の全部の複製物、 または著作物の相当部分を超える部分の複製物の請求に関しては、 以下の場合を除いては、 第(2)項または第(2C)項は適用しない。

      (a) 当該著作物が、 図書館または公文書館の所蔵物の一部であって、

    (b) 複製の前に、 権限ある職員が、 合理的な調査の後に、 当該著作物の複製物 (中古の複製物を除く) を合理的な期間内に通常の商業的価格で入手することができないと判断する旨の宣誓を行う場合。

    (5A) 図書館または公文書館の所蔵物の一部として、 定期刊行物に含まれる記事または発行著作物 (定期刊行物に含まれる記事を除く) を電子的形式で取得した場合には、 当該図書館または公文書館の職員は、 当該図書館または公文書館の施設内において、 利用者が以下のいずれも行うことができない方法にて、 当該図書館または公文書館が提供する機器を用いて、 これらをオンラインにて提供することができる。

      (a) 当該記事または著作物の電子的複製物を作成すること。

    (b) 当該記事または著作物を送信すること。

    (6) 定期刊行物に含まれる記事に対する著作権は、 第(1)項または第(2A)項に基づく請求に関して、 第(2)項または第(2C)項に従って当該記事またはその一部の複製物を作成することによっては、 当該複製物が請求者以外の者に提供される場合を除き、 侵害されない。

    (7) 定期刊行物に含まれる記事以外の発行著作物に対する著作権は、 第(1)項または第(2A)項に基づく請求に関して、 第(2)項または第(2C)項に従って当該著作物またはその一部の複製物を作成することによっては、 当該複製物が請求者以外の者に提供される場合を除き、 侵害されない。

    (7A) 第(6)項および第(7)項は、 第(2)項または第(2C)項に基づき

      (a) 定期刊行物に含まれる記事もしくはその一部、 または

    (b) かかる記事以外の発行著作物の全部もしくは一部

    の電子的複製物が、 請求者への送信のために、 本条に基づく請求に関して作成される場合には、 以下の場合を除き適用しない。

    (c) 当該複製物が請求者に送信される以前に、 請求者が規則に従って以下の通知を受け、

      (i) 当該複製物が本条に基づき作成され、 当該記事または著作物が本法に基づく著作権による保護の対象となりうること

    (ii) (もしあれば)規則に定めるその他の事項

    (d) 当該複製物が請求者に送信された後可及的速やかに、 第(2)項または第(2C)項に基づき作成され図書館または公文書館が保有する複製が破棄される場合。

    (7B) 第(2)項、 第(2C)項または第(5A)項に従って定期刊行物に含まれる記事または発行著作物を送信することは、 これらに対する著作権の侵害にあたらない。

    (8) 第(6)項または第(7)項の適用は、 規則に定める場合において、 当該規則により排除することができる。

    (9) 本条において、

    図書館 には、 直接または間接に個人の営利を目的として運営される図書館を含まない。

    提供 には、 送信による提供を含む。

    第50条 図書館または公文書館による他の図書館または公文書館のための著作物の複製および送信

    (1) 図書館の責任者は、 以下の目的のために、 他の図書館の責任者に対して、 当該他の図書館の所蔵物である定期刊行物に含まれる記事もしくはその一部または定期刊行物に含まれる記事以外の発行著作物の全部もしくは一部の複製物を提供することを、 請求しまたは請求させることができる。

      (a) 当該複製物を、 図書館の所蔵物に追加すること。

    (aa) 当該図書館の主たる目的が、 議会の議員のために図書館サービスを提供することにある場合――当該議会の議員である者の職務遂行を支援すること。

    (b) 当該複製物を、 第 49 条に基づく複製物の請求者に提供すること。

    (2) 本条に従い、 図書館の責任者が第(1)項に基づく請求を他の図書館の責任者に対して行った場合には、 当該他の図書館の権限ある職員は、 請求にかかる複製物を作成しまたは作成させ、 請求を行った図書館の責任者に提供することができる。

    (3) 第(1)項に基づく請求に従って、 図書館の権限ある職員が、 第(2)項に基づき著作物 (定期刊行物に含まれる記事を含む) の全部または一部の複製物を作成しまたは作成させ、 他の図書館の責任者にこれを提供した場合には、

      (a) 当該複製物は、 本法において、 当該複製物が請求された目的のために当該他の図書館の権限ある職員に代わり作成されたものとみなし、

    (b) 当該複製物の作成または提供を理由として、 当該図書館を運営する団体または当該図書館の職員もしくは従業員に対して著作権侵害の訴えを提起することはできない。

    (4) 本条に従い、 定期刊行物に含まれる記事またはその他の発行著作物の全部または一部の複製物が、 第(3)項によって図書館の権限ある職員に代わって作成されたとみなされる場合には、 当該記事または著作物に対する著作権は、 以下のいずれによっても侵害されない。

      (a) 当該複製物の作成、 または

    (b) 当該著作物が送信によって第(2)項に基づき提供される場合――当該送信の実行。

    (5) 規則に定める場合においては、 第(4)項の適用を排除することができる。

    (6) 第(1)項に基づく請求にかかる複製物の作成および提供につき料金を徴収する場合には、 第(4)項は、 当該料金の額が当該複製物の作成および提供のための費用の額を超えるときは適用しない。

    (7) もし、

      (a) 記事もしくはその一部または他の著作物の全部もしくは一部の複製物 (本項において該当複製物 という) が、 第(2)項に基づき図書館の責任者に対して提供され、 かつ

    (b) 同一の記事もしくは著作物の複製または記事もしくは著作物の同一の部分の複製物が、 当該図書館の所蔵物に追加するために第(2)項に基づき以前に提供された場合には、

    該当複製物に関する第(1)項に基づく請求の後可及的速やかに、 当該図書館の権限ある職員が以下の宣誓を行わない限りは、 第(4)項は当該該当複製物に対してまたはこれに関連して適用しない。

    (c) 当該請求の詳細を記載し (該当複製物を請求する目的を含む)、 かつ

    (d) 第(b)号にいう複製が紛失し、 破棄しまたは損傷したことを記載するもの。

    (7A) もし、

      (a) 著作物 (定期刊行物に含まれる記事を除く) の全部または一部の複製物が、 当該著作物の相当部分を越える部分について作成され、

    (b) 複製元となった著作物がハードコピー形式であり、 かつ

    (c) 当該複製物が、 第(2)項に基づき図書館の責任者に対して提供される場合には、

    以下の場合を除き、 第(4)項は当該複製物に適用しない。

    (d) 当該図書館の主たる目的が議会の議員に対して図書館サービスを提供することである場合――当該議会の議員である者の職務遂行を支援する目的のために複製物を提供する場合。

    (e) 当該複製にかかる第(1)項に基づく請求がなされた後可及的速やかに、 当該図書館の権限ある職員が、 以下の宣誓を行う場合。

      (i) 当該請求の詳細 (当該複製物を請求する目的を含む)、 および

    (ii) 合理的な調査の後に、 当該著作物の複製 (中古の複製物を除く) を合理的な期間内に通常の商業的価格で入手することができないと判断することを表明するもの

    (7B) もし、

      (a) 著作物 (定期刊行物に含まれる記事を含む) の全部または一部の複製物が、 当該著作物の相当部分を超えるか否かを問わず作成され、 かつ

    (b) 複製元となった著作物が電子的形式であり、 かつ

    (c) 当該複製物が、 第(2)項に基づき図書館の責任者に対して提供される場合には、

    以下の場合を除き、 第(4)項は当該複製物に適用しない。

    (d) 当該図書館の主たる目的が議会の議員に対して図書館サービスを提供することである場合――当該議会の議員である者の職務遂行を支援する目的のために複製物を提供する場合

    (e) 当該複製物にかかる第(1)項に基づく請求がなされた後可及的速やかに、 当該図書館の権限ある職員が、 以下を表明する宣誓を行う場合

      (i) 当該請求の詳細 (当該複製物を請求する目的を含む)

    (ii) 当該複製物が、 記事以外の著作物の全部または合理的部分を超える部分の複製物である場合――合理的な調査の後に、 当該著作物を合理的な期間内に通常の商業的価格で電子的形式にて入手することができないと判断すること

    (iii) 当該複製物が、 記事以外の著作物の合理的な部分以下の複製物である場合――合理的な調査の後に、 当該部分を合理的な期間内に通常の商業的価格で電子的形式にて、 他の資料の合理的な部分と別個にまたは併せて入手することができないと判断すること

    (iv) 当該複製物が、 記事の全部または一部の複製物である場合――合理的な調査の後に、 当該記事を合理的な期間内に通常の商業的価格で電子的形式にて自ら入手することができないと判断すること

    (7C) もし、

      (a) 著作物 (定期刊行物に含まれる記事を含む) の全部または一部の複製物が、 図書館の権限ある職員によりまたはこれに代わり電子的形式にて作成され、 かつ

    (b) 当該複製物が、 第(2)項に基づき他の図書館の責任者に対して提供される場合には、

    当該複製物が他の図書館に対して提供された後可及的速やかに、 提供のために作成され提供を行った図書館が保有する複製物が破棄されない限りは、 第(4)項は当該複製物に適用しない。

    (8) 同一の定期刊行物に含まれ同一の目的のために請求される複数の記事の複製または送信の場合には、 当該記事が同一の主題に関する場合を除いては、 第(4)項は適用しない。

    (9) 本条において、 図書館には、 直接または間接に個人の営利を目的として運営される図書館を含まないが、 公文書館は含むものとする。

    (10) 本条において、

    提供 には、 送信による提供を含む。

    第51条 図書館または公文書館における未発行著作物の複製および送信

    (1) 言語、 演劇もしくは音楽著作物または写真もしくは版画である美術著作物の著作者が死亡した暦年の終了から 50 年間が満了した後に、 当該著作物に対して著作権が存続するが、

      (a) 当該著作物が発行されておらず、 かつ

    (b) 当該著作物の複製物、 または言語、 演劇もしくは音楽著作物の場合にはその原稿が、 その存在する図書館または公文書館の所蔵物として、 当該所蔵物に関する規則に従って公衆の閲覧に供されるよう保存されている場合には、

    当該著作物に対する著作権は、 以下のいずれによっても侵害されない。

    (c) 調査もしくは研究のためにまたは出版のために当該著作物の複製物を作成しまたは送信すること。

    (d) 調査もしくは研究のためにまたは出版のために当該著作物の複製物を必要としており、 当該者が当該複製物を他の目的のために使用しないと図書館または公文書館の責任者が判断する場合に、 当該者に対して複製物を (送信またはその他の方法により) 提供する場合において、 図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わり、 著作物の複製物が作成されまたは送信されること。

    (2) 未発行の論文またはこれに類するその他の言語著作物の原稿または複製物が、 大学もしくはこれに類するその他の機関の図書館または公文書館に保管されている場合において、 調査または研究のために著作物の複製物を必要としていると図書館または公文書館の責任者が判断する者に対して当該複製物を (送信またはその他の方法で) 提供する場合には、 当該論文または著作物に対する著作権は、 図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わって行われる著作物の複製物の作成または送信によって侵害されない。

    第51AA条 オーストラリア公文書館における著作物の複製および送信

    (1) オーストラリア公文書館の所蔵物に保管され公衆の閲覧に供されている著作物に対する著作権は、 当該公文書館の責任者によりまたはこれに代わり行われる以下の作成または送信によって侵害されない。

      (a) 著作物の作業用コピー 1 部。

    (b) 公文書館の中央事務所に提供するための、 著作物の参照用コピー 1 部。

    (c) 公文書館の地域事務所において公文書館の職員が著作物の参照用コピーを請求する場合に、 責任者が参照用コピーが当該地域事務所に以前に提供されていないと判断する場合――当該地域事務所への提供のための、 著作物の参照用コピー 1 部。

    (d) 責任者が、 公文書館の地域事務所に提供された著作物の参照用コピーが紛失し、 損傷しまたは破棄され、 当該地域事務所の職員が当該著作物の交換用コピーを書面にて求めた場合――当該地域事務所への提供のための著作物の交換用コピー 1 部。

    (e) 責任者が、 公文書館の中央事務所に提供された参照用コピーが紛失、 損傷または破棄されたと判断する場合――当該中央事務所に提供するための、 著作物の交換用コピー 1 部。

    (2) 本条において、

    参照用コピー とは、 著作物に関しては、 公衆に著作物へのアクセスを提供するためにオーストラリア公文書館の中央事務所または地域事務所が使用するために、 当該事務所に提供される作業用コピーから作成される著作物の複製物を意味する。

    交換用コピー とは、 著作物に関しては、 紛失し、 損傷しまたは破棄された著作物の参照用コピーと交換するために、 作業用コピーから作成される著作物の複製物を意味する。

    作業用コピー とは、 著作物に関しては、 オーストラリア公文書館がコピーを保存し参照用コピーおよび交換用コピーを作成するために使用することができるよう、 作成される著作物の複製物を意味する。

    第51A条 保存およびその他の目的のための著作物の複製および送信

    (1) 第(4)項に従い、 図書館または公文書館の所蔵物の一部でありまたは一部であった著作物に対する著作権は、 図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わり以下の目的のために行われる複製物の作成または送信によって侵害されない。

      (a) 当該著作物が、 原稿または美術著作物の原本として保管されている場合――当該原稿もしくは原美術著作物の紛失もしくは劣化を防止するため、 または当該図書館もしくは公文書館または他の図書館もしくは公文書館で行われているまたは将来行われる調査のため。

    (b) 当該著作物が、 発行された形式にて所蔵物に所蔵されているが損傷しまたは劣化している場合――当該著作物の交換のため。

    (c) 当該著作物が発行された形式にて所蔵物に所蔵されているが紛失しまたは窃取された場合――当該著作物の交換のため。

    (2) 図書館または公文書館の所蔵物に所蔵された著作物に対する著作権は、 管理目的にて当該図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わり著作物が複製されることによっては、 侵害されない。

    (3) 図書館または公文書館の所蔵物に所蔵された著作物に対する著作権は、 当該図書館または公文書館を運営する団体の許可を得て当該図書館または公文書館の施設内に設置されたコンピュータ端末を利用してアクセスできるよう、 当該図書館または公文書館の職員にオンラインで利用可能にすることにより、 当該図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わり第(2)項に基づき作成された著作物の複製物が送信されることによっては、 侵害されない。

    (3A) 図書館または公文書館の所蔵物に所蔵された美術著作物の原本に対する著作権は、 第(3B)項に定める状況において、 以下のコンピュータ端末を利用してアクセスできるようオンラインで利用可能にすることによって、 当該図書館または公文書館の責任者がまたはこれに代わり当該著作物の保存用複製物を送信することによっては、 侵害されない。

      (a) 当該図書館または公文書館の施設内に設置され、 かつ

    (b) 当該著作物にアクセスした者が、 当該複製物の電子的コピーもしくはハードコピーを作成しまたは当該複製物を送信するためには使用できないこと。

    (3B) 第(3A)項により美術著作物の原本に対する著作権の侵害にあたらない状況とは、 以下のいずれかをいう。

      (a) 当該著作物の保存用複製物が作成された後に、 当該著作物が紛失しまたは劣化した場合。

    (b) 当該著作物が、 重大な劣化の危険なく展示することができない程度に不安定になっている場合。

    (4) 第(1)項は、 図書館または公文書館の所蔵物に発行された形式にて所蔵された著作物に関しては、 当該図書館または公文書館の権限ある職員が、 合理的な調査の後に、 当該著作物のコピー (中古のコピーを除く) を合理的な期間内に通常の商業的価格で入手できないと判断するとの宣誓を行う場合を除いては、 適用しない。

    (5) 他の図書館または公文書館で行われているまたは行われる調査の目的のために、 図書館または公文書館の責任者によりまたはこれに代わり、 第(1)項に基づき未発行著作物の複製物が作成された場合には、 当該責任者によりまたはこれに代わり他の図書館または公文書館に当該複製物が提供または送信されることは、 本法において、 当該著作物の発行にあたらない。

    (6) 本条において、

    保存用複製物 とは、 美術著作物に関しては、 当該著作物の紛失または劣化を防止する目的のために第(1)項に基づき作成される著作物の複製物を意味する。

    第52条 図書館または公文書館に所蔵された未発行著作物の発行

    (1) もし、

      (a) 発行された言語、 演劇または音楽著作物 (本条において新著作物 という) が、 新著作物が発行される直前に第 51 条(1)の適用を受ける著作物 (本条において旧著作物 という) の全部または一部を含んでおり、

    (b) 新著作物が発行される前に、 当該著作物を発行する意図について所定の通知がなされており、 かつ

    (c) 新著作物が発行される直前に、 旧著作物の著作権者の身元が新著作物の発行者に知られていない場合には、

    本法においては、 新著作物の最初の発行および同一のまたは異なる形式におけるその後の発行は、 旧著作物の発行にあたる限りにおいては、 旧著作物に対する著作権の侵害または旧著作物の無許諾発行にあたらないものとみなす。

    (2) 前項は、 以下の場合を除いては、 新著作物の最初の発行に含まれていなかった旧著作物の部分を含む新著作物の以後の発行には適用しない。

      (a) 本条がなければ、 当該以後の発行の直前に旧著作物の当該部分に第 51 条(1)が適用されており、

    (b) 当該以後の発行の前に、 発行の意図について所定の通知がなされており、 かつ

    (c) 当該以後の発行の直前に、 旧著作物の著作権者の身元が当該以後の発行を行った発行者に知られていない場合。

    (3) 著作物またはその一部が発行され、 本条によって当該発行が当該著作物に対する著作権の侵害にあたらないとみなされる場合には、 当該著作物に対する著作権は、 発行が行われた後に以下を行う者によっては侵害されない。

      (a) 当該著作物または当該部分を放送すること

    (b) 当該著作物または当該部分を、 送信者への支払を条件として電子的に送信すること (放送を除く)

    (c) 当該著作物または当該部分を公に実演すること

    (d) 当該著作物または当該部分のレコードを作成すること

    第53条 記事またはその他の著作物に伴う挿入図への本節の適用

    記事、 論文または言語、 演劇もしくは音楽著作物が、 当該記事、 論文またはその他の著作物を説明しまたは例証するために提供される美術著作物 (本条において挿入図 という) を伴う場合には、 本節の前各条は、 以下のとおり適用する。

      (a) 当該記事、 論文または著作物に対する著作権が侵害されないと定める場合――当該著作権には、 挿入図に対する著作権を含むものとする。

    (b) 第 49 条、 第 50 条、 第 51 条または第 51A 条において、 当該記事、 論文または著作物の複製物には、 挿入図の複製物を伴う当該記事、 論文または著作物の複製物を含むものとする。

    (c) 第 49 条または第 50 条において、 当該記事または著作物の一部の複製物には、 当該部分の複製物および当該部分を説明しまたは例証するために提供される挿入図の複製物を含むものとする。

    (d) 第 51A 条または第 52 条において、 著作物に関連する行為には、 当該著作物および挿入図に関連する行為を含むものとする。


    第6節 音楽著作物の録音

    第54条 解釈

    (1) 本節において、

      (a) 音楽著作物とは、 当該著作物の原形式または翻案物を指すものとする。

    (b) 言語、 演劇または音楽著作物の著作権者とは、 別段の意図がみられない限りは、 当該著作物のレコードをオーストラリアにおいて作成しまたは輸入することを許可することができる者を指すものとする。

    (c) 小売店によるレコードの販売またはレコードの小売販売とは、 以下を含まないものとする。

      (i) 金銭以外のものを含む対価による販売、 または

    (ii) レコードの作成もしくは販売を通常の業務として行っていない者による販売。

    (2) 本節において、 音楽著作物の一部があるレコードに含まれ、 その他の部分が他のレコードに含まれる場合には、 全てのレコードを一つのレコードとして扱う。

    (3) 本節において、 音楽著作物のレコードには、 映画フィルムの一部をなす視覚的映像に伴うサウンドトラックを含まない。

    (4) 第(5)項に従い、 本節は、 音楽著作物の全部のレコードに適用すると同様に、 音楽著作物の一部のレコードに適用する。

    (5) 第 55 条は、

      (a) 第 55 条(1)(a)に定める以前のレコードが著作物の全部のレコードである場合を除き、 著作物の全部のレコードには適用しない。

    (b) 著作物の一部のレコードには、 以前のレコードが当該著作物の同一部分のレコードである場合を除き、 適用しない。

    第55条 製造者が音楽著作物のレコードを作成することができるための条件

    (1) 本節に従い、 音楽著作物に対する著作権は、 以下の場合には、 当該著作物のレコードをオーストラリアで作成する者 (本条において製造者 という) によって侵害されない。

      (a) 当該著作物のレコードが、

      (i) 小売販売向けに以前にオーストラリアで作成もしくは輸入され、 当該著作物の著作権者によりもしくはその許諾を得て作成または輸入され、

    (ii) 小売販売向けに他のレコードを作成するために使用するために以前にオーストラリアで作成され、 かつ、 当該著作物の著作権者によりもしくはその許諾を得て作成され、

    (iii) 小売販売向けにオーストラリア以外の国で以前に作成されもしくは輸入され、 当該国が当該作成もしくは輸入の時に本節の適用を受ける国として規則に定められており、 かつ、 当該国の法に基づき当該著作物の著作権者であった者によりもしくはその許諾を得て作成もしくは輸入され、 または

    (iv) 小売販売向けに他のレコードを作成するためにオーストラリア以外の国で以前に作成され、 当該国が当該作成の時に本節の適用を受ける国として規則に定められており、 かつ、 当該国の法に基づき当該著作物の著作権者であった者によりもしくはその許諾を得て作成され、

    (b) 当該レコードの作成前に、 レコードを作成する意図に関する所定の通知が、 著作権者に対して行われ、

    (c) 製造者が、 当該レコードを小売にて販売しもしくは製造者以外の者による小売販売のために提供することを意図し、 またはかかる販売もしくは提供のために他のレコードを作成するために使用することを意図し、 かつ

    (d) 製造者がレコードを販売または提供する場合に、

      (i) 当該販売または提供が、 著作権者の許諾を得て行われ、 かつ

    (ii) 所定使用料が著作権者に対して以下の方法にて支払われる場合。

     
    (A) 製造者および著作権者が合意する方法、 もしくは合意に達しない場合には第152B条に基づき著作権審判所が決定する方法、 または

    (B) かかる合意もしくは決定が効力を有しない場合――規則に定める方法。

     
     
    (3) 第(1)項(d)(i)は、 著作物 (演劇著作物に付随して実演する目的で作成されまたは映画フィルムに含まれた著作物を除く) のレコードに関しては、 販売または提供が以下のうちいずれか早い日から所定の期間が経過した後に行われた場合には、 適用しない。

      (a) 第(1)項(a)(i)または(ii)に定める状況において著作物の以前のレコードが最初にオーストラリアで作成されまたは輸入された日。

    (b) 第(1)項(a)(iii)または(iv)に定める国において、 同規定に定める状況において作成または輸入された当該著作物の以前のレコードが最初に公衆に (販売またはその他の方法により) 提供された日。

    (4) 前項にいう期間を定める規則においては、 異なる種類のレコードに関して異なる期間を定めることができる。

    (5) 本項がなければ、 本条に基づきレコードに関して支払うべき使用料の額が1オーストラリアセント未満となる場合には、 当該使用料の額は1オーストラリアセントとする。

    (6) 本条において、

    所定使用料とは、 音楽著作物のレコードに関しては、 以下をいう。

      (a) 製造者および著作権者が合意する使用料額、 もしくは合意に達しない場合には第152A条に基づき著作権審判所が決定する使用料額、 または

    (b) かかる合意もしくは決定が効力を有しない場合――当該レコードの小売価格の6.25%に相当する額。

    第57条 複数の著作物が一つのレコードに収録されている場合の使用料に関する規定

    一つのレコードに複数の音楽著作物が含まれる場合には、 当該レコードに他の素材が含まれているか否かを問わず、

      (a) 当該レコードが、 著作権が存続しない著作物を含む場合には、 当該レコードに関して支払うべき使用料は、 次号に従い、 本条がなければ著作権が存続する著作物が当該レコードに含まれる全ての著作物に対して生じさせると同じ比率の使用料額とする。

    (b) 当該レコードが、 著作権が存続する複数の著作物を含む場合には、

      (i) 本節に従い、 当該レコードに対して支払うべき使用料は、 著作権が存続する各著作物に関して 1 オーストラリアセント以上とする。

    (ii) 著作権が存続する各著作物の著作権者が異なる場合には、 当該著作物に関して、 レコードに対して支払うべき使用料額を著作権が存続する著作物の数で除した額を各著作物の著作権者に対して支払うものとする。

    第59条 製造者が音楽著作物のレコードに言語または演劇著作物の一部を収録することができるための条件

    (1) もし、

      (a) 他の素材がレコードに含まれるか否かを問わず、 歌詞が歌われまたは音楽に付随して話される音楽著作物の実演からなるレコードをオーストラリアにおいて製作し、

    (b) 当該著作物に対して著作権が存続しないか、 著作権が存続する場合には第55条(1)に定める条件を充たしており、

    (c) 当該歌詞が著作権が存続する言語もしくは演劇著作物でありまたはこれに含まれ、

    (d) 当該歌詞またはこれと実質的に同一の歌詞が歌われまたは音楽に付随して話される音楽著作物のレコードが、

      (i) 当該言語もしくは演劇著作物の著作権者によりもしくはその許諾を得て、 小売販売向けにオーストラリアにおいて以前に作成もしくは輸入され、

    (ii) 小売販売向けに他のレコードを作成するために使用するために以前にオーストラリアで作成され、 かつ、 当該言語もしくは演劇著作物の著作権者によりもしくはその許諾を得て作成され、

    (iii) 小売販売向けにオーストラリア以外の国で以前に作成されもしくは輸入され、 当該国が当該作成もしくは輸入の時に本節の適用を受ける国として規則に定められており、 かつ、 当該国の法に基づき当該言語もしくは演劇著作物の著作権者であった者によりもしくはその許諾を得て作成または輸入され、 または

    (iv) 小売販売向けに他のレコードを作成するためにオーストラリア以外の国で以前に作成され、 当該国が当該作成の時に本節の適用を受ける国として規則に定められており、 かつ、 当該国の法に基づき当該言語もしくは演劇著作物の著作権者であった者によりもしくはその許諾を得て作成され、 かつ

    (e) 第 55 条(1)(b)が(もしあれば)音楽著作物の著作権者に対して行うことを義務付けるものと同様の通知を、 当該言語または演劇著作物の著作権者に対して行い、 かつ、 本条に従って決定される額を当該著作権者に対して支払う場合には、

    当該レコードの作成は、 当該言語または演劇著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (2) 音楽著作物に対する著作権が存続しない場合には、 言語または演劇著作物に関して支払うべき額は、 本条がなければ当該音楽著作物に対する著作権が存続していたとすればこれに関して支払うべき使用料相当額とする。

    (3) 言語または演劇著作物に対してだけでなく、 音楽著作物に対しても著作権が存続する場合には、

      (a) かかる著作物に対する著作権を同一の者が保有する場合――当該言語または演劇著作物に関しては支払を要しない。

    (b) かかる著作物に対する著作権を異なる者が保有する場合――本条がなければ音楽著作物に関して支払うべき使用料は、 著作権者間で合意する方法または合意がない場合にはいずれかの著作権者の申立により著作権審判所が決定する方法にて分配するものとする。

    (4) 音楽著作物の著作権者および言語または演劇著作物の著作権者が使用料額を分配する方法について合意していないが、 レコードを作成した者が著作権審判所が決定した額を各著作権者に支払うことを書面にて約定した場合には、

      (a) 第 55 条(1)(d)および本条(1)(e)は、 かかる規定に定める支払が行われたものとして効力を有し、

    (b) レコードを作成した者は、 約定にかかる支払額が決定されたときは、 当該額を約定を行った著作権者に支払う責任を負い、 当該著作権者は、 管轄ある裁判所において当該者から当該額を自己に対する債務として回収することができる。

    (5) 第 55 条(1)(d)において音楽著作物の著作権者に対する支払に関して定められる規則は、 本条(1)(e)における言語または演劇著作物の著作権者に対する支払に関しても、 必要な修正を加えた上で同様の効力を有する。

    第60条 小売販売および無償の処分のために作成されるレコード

    音楽著作物の録音物または音楽著作物および言語もしくは演劇著作物でありまたはその一部をなす歌詞の録音物を収録したレコードを、 オーストラリアにおいて

      (a) レコードの実質的部分 (本条において小売販売向けレコード という) を、 小売店による販売または他の者による小売販売のために提供し、

    (b) レコードの残部を、 無償で処分しまたは他者による無償の処分のために提供することを

    意図して作成する場合には、 本節は、 小売販売向けレコード以外のレコードに関して、 以下のとおり適用する。

    (c) かかるレコードは、 小売店による販売または他の者による小売販売のための提供を意図して作成されたものとみなす。

    (d) レコードの作成者による無償の処分または他の者による無償の処分のための提供は、 当該レコードの小売販売とみなす。

    (e) かかるレコードの小売販売価格は、 小売販売向けレコードの小売販売価格と同一であるものとみなす。

    第61条 以前のレコードに関する照会

    もし、

      (a) 音楽著作物のレコードまたは言語もしくは演劇著作物でありもしくはその一部をなす歌詞が歌われまたは話される音楽著作物のレコードが、 当該音楽著作物または言語もしくは演劇著作物の著作権者によりまたはその許諾を得て、 小売販売または他者による小売販売向けの他のレコードの作成のためにオーストラリアにおいて以前に作成または輸入されたか否かを確認するために、 ある者が所定の方法にて照会を行い、 かつ、

    (b) かかる照会に対する回答が所定の期間内に受領されない場合には、

    当該音楽著作物のレコードまたはかかる歌詞が歌われもしくは話される著作物のレコードは、 本節を適用するにあたっては、

    (c) 照会を行った者に関して、 または

    (d) 音楽著作物のレコードまたは同一もしくは実質的に同一の歌詞が歌われもしくは話される著作物のレコードを、 レコードの作成に関する合意に従って照会を行った者に対して提供するために作成した者に関しては、

    小売販売または小売販売向けの他のレコードの作成のために著作権者の許諾を得てオーストラリアにおいて以前に作成または輸入されたものとみなす。

    第64条 レコードの輸入により侵害が行われたか否かの決定における第 55 条および第 59 条の不適用

    輸入物品に関する本法の規定において、 オーストラリア国外で作成されたレコードの作成が輸入者がオーストラリアにおいて行ったとすれば著作権の侵害にあたるか否かを判断するにあたっては、 第 55 条および第 59 条は考慮しないものとする。

    第7節 美術著作物に対する著作権の侵害にあたらない行為

    第65条 公共の場所にある彫刻およびその他の一定の著作物

    (1) 本条は、 彫刻および第10条の美術著作物 の定義の第(c)号に定める種の美術工芸の著作物に適用する。

    (2) 本条の適用ある著作物であって、 一時的でなく公共の場または公衆に公開された施設に設置されたものに対する著作権は、 当該著作物の絵画、 素描、 版画もしくは写真を作成することまたは当該著作物を映画フィルムもしくはテレビ放送に含めることによっては侵害されない。

    第66条 建築物および建築模型

    建築物または建築物の模型に対する著作権は、 当該建築物または模型の絵画、 素描、 版画もしくは写真を作成することまたは当該建築物もしくは模型を映画フィルムまたはテレビ放送に含めることによっては侵害されない。

    第67条 美術著作物の付随的撮影またはテレビ放送

    前二条の効力を妨げることなく、 美術著作物に対する著作権は、 当該著作物を映画フィルムまたはテレビ放送に含めることによっては、 当該フィルムまたは放送により表現される主たる主題に付随するにすぎない場合には、 侵害されない。

    第68条 美術著作物の発行

    美術著作物に対する著作権は、 第 65 条、 第 66 条または第 67 条により絵画、 素描、 版画、 写真またはフィルムの作成が著作権の侵害にあたらない場合には、 当該絵画、 素描、 版画、 写真または映画フィルムの発行によっては侵害されない。

    第70条 テレビ放送に著作物を収録するための複製

    (1) 美術著作物をテレビ放送に含めることが (権利譲渡もしくは使用許諾または本法の規定の適用により) 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらないが、 映画フィルムを作成することが本条がなければ侵害にあたる場合には、 当該著作物に対する著作権は、 テレビ放送に当該著作物を収録するためにのみ当該フィルムを作成することによっては侵害されない。

    (2) 前項は、 フィルムのコピーが以下の目的以外に使用される場合には、 当該フィルムに関して適用しない。

      (a) (権利譲渡もしくは使用許諾または本法の規定の適用により)当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない状況において、 当該著作物をテレビ放送に収録すること、 または

    (b) かかる放送に当該著作物を収録するために、 フィルムの追加のコピーを作成すること。

    (3) フィルムのコピーが、 当該フィルムの作成者でない者が行うテレビ放送に当該フィルムを収録するために使用される場合には、 当該作成者が当該フィルムの著作権者に対して、 合意した額を支払い、 または合意がない場合にはいずれかの当事者の申立により著作権審判所がフィルムの作成に対して著作権者に支払うべき公正な補償金として決定する額を支払うことを書面により約定する場合を除き、 当該フィルムに関しては第(1)項を適用しない。

    (4) 前項に定める約定を行った者は、 著作権審判所が約定にかかる額を定めた場合には、 当該著作物の著作権者に対してかかる額を支払う責任を負い、 著作権者は、 管轄ある裁判所において当該者から当該額を自己に対する債務として回収することができる。

    (5) フィルムのコピーのいずれかが第(1)項に従って著作物をテレビ放送に含めるために最初に使用された日から 12 ヶ月間または当該フィルムの作成者と著作権者が合意したより長い期間が終了する前に、 当該フィルムの全てのコピーが破棄されまたはオーストラリア公文書館長の承諾を得てオーストラリア公文書館に納付されない限りは、 当該フィルムに関しては第(1)項を適用しない。

    (6) オーストラリア公文書館長は、 フィルムが例外的な記録的性質のものであると証明しない限りは、 第(5)項に従ってフィルムのコピーをオーストラリア公文書館に納付することを承諾してはならない。

    第72条 以後の著作物への著作物の一部の複製

    (1) 美術著作物に対する著作権は、 同一の著作者が以後の美術著作物を作成するにあたって以前の著作物の主たるデザインを反復しまたは模倣しない場合には、 当該以後の美術著作物の作成によって侵害されない。

    (2) 前項は、 以前の著作物の部分が以後の著作物において複製され、 または以後の著作物を複製するにあたって著作者が以前の著作物のために作成した金型、 鋳型、 素描、 設計図、 模型または試作を使用した場合であっても、 効力を有する。

    第73条 建築物の再建

    (1) 著作権が建築物に対して存続する場合には、 当該著作権は、 当該建築物の再建によって侵害されない。

    (2) 建築物が著作権が存続する建築図面または設計図に従いかつ当該著作権者によりまたはその許諾を得て建築された場合には、 当該著作権は、 当該建築図面または設計図を参照して当該建築物を以後再建することによっては侵害されない。


    第8節 意匠

    第74条 対応意匠

    本節において、

    対応意匠 とは、 美術著作物に関しては、 物品に適用されれば当該著作物の複製にあたる意匠をいうが、 物品の表面に適用しうる二次元の模様または装飾の特徴のみからなる意匠を含まない。

    第75条 対応意匠が登録された場合の著作権の保護

    第76条に従い、 (本条の施行日前に作成されたことによるか否かを問わず) 美術著作物に対する著作権が存続し、 かつ対応意匠が本条の施行日以後に1906年意匠法 に基づき登録されまたは既に登録されていた場合には、 当該対応意匠またはその他の対応意匠を物品に適用することによって当該著作物を複製することは、 当該著作権の侵害にあたらない。

    第76条 工業意匠の虚偽の登録

    (1) 著作権が美術著作物に対して存続し、 かつ、 当該著作物に関して本法に基づく訴訟が提起され、

      (a) 著作権が美術著作物に対して存続し、 かつ、 当該著作物に関して本法に基づく訴訟が提起され、

    (b) 対応意匠が1906-1968年意匠法 に基づき登録されており、 当該意匠に対して当該登録により存続する独占権が当該訴訟の開始前に期間満了により失効しておらず、 かつ

    (c) 当該意匠の意匠権者として登録された者が1906-1968年意匠法 における意匠権者ではなく、 当該美術著作権の著作権者の知悉なく意匠権者として登録されたことが当該訴訟において証明された場合。

    (2) 次項に従い、 前項に定める訴訟においては、

      (a) 当該意匠は、 1906-1968年意匠法 に基づき登録されたことはないものとみなす。

    (b) 前項は、 当該意匠に関して行われた行為に関しては適用しない。

    (c) 1906-1968年意匠法 のいかなる規定も抗弁とならない。

    (3) 前項のいかなる規定にもかかわらず、 当該訴訟において、 当該訴訟にかかる行為が

      (a) 当該意匠の意匠権者として登録された者からの譲受人により、 またはその者が付与した許諾に基づき行われ、 かつ

    (b) かかる行為が、 登録に依拠して善意にて行われ、 当該登録の取消しまたは当該意匠に関する意匠登録原簿の記載の修正のための手続の通知なく行われたことが

    証明された場合には、 前項の規定は、 かかる訴訟において当該行為に関して適用する。

    第77条 意匠登録のない美術著作物の工業意匠としての使用

    (1) 本条は、 以下の場合に適用する。

      (a) 著作権が美術著作物 (建築物もしくは建築物の模型または美術工芸の著作物を除く) に対して、 本条の施行日前に作成されたか否かを問わず存続し、

    (b) 対応意匠がオーストラリアまたはその他の場所において、 当該場所における著作権者によりまたはその許諾を得て工業的に使用されており、

    (c) 本条の発効以後に、 当該対応意匠を使用した物品 (本条において対応意匠使用物品 という) が、 オーストラリアまたはその他の場所において販売、 賃貸または販売もしくは賃貸のために提供もしくは展示され、 かつ

    (d) 当該時点において、 対応意匠が1906年意匠法に基づき登録することができずまたは当該法に基づき登録されていないこと。

    (2) 対応意匠使用物品が最初に販売、 賃貸または販売もしくは賃貸のために提供もしくは展示された日以後に、 当該対応意匠またはその他の対応意匠を物品に使用することによって美術著作物を複製することは、 当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。

    (3) 物品が販売、 賃貸または販売もしくは賃貸のために提供もしくは展示された時点においてに対応意匠が1906年意匠法に基づき定められた規則によって登録から除外され、 かつ、 本法に基づく訴訟において当該意匠が登録から除外されたことが最終的に推定された場合において、 以下の場合には、 当該物品に関しては本条を適用しない。

      (a) 当該訴訟の開始前に、 当該物品に関して意匠法に基づく意匠登録の申請が拒絶され、

    (b) 拒絶理由が、 当該意匠が意匠法に基づき定められた規則により当該法に基づく登録から除外されたことであり、 かつ

    (c) 当該訴訟が開始された時に、 当該拒絶に対する不服申し立てが却下されまたは係属中である場合。

    (4) 本法において意匠が工業的に使用されたとみなされる状況は、 規則により定めることができる。


    第9節 共同著作物

    第78条 全ての共同著作者への言及

    本節に従い、 本法における著作物の著作者とは、 共同著作物に関しては、 本法に別段の明示の定めがある場合を除き、 当該著作物の全ての著作者を指すものとする。

    第79条 共同著作者のいずれかへの言及

    第 32 条および第 34 条(2)における著作物の著作者とは、 共同著作者に関しては、 当該著作物の著作者のいずれかを指すものとする。

    第80条 最後に死亡した共同著作者への言及

    第 33 条および第 51 条における著作物の著作者とは、 次条を適用する著作物以外の共同著作物に関しては、 最後に死亡した著作者を指すものとする。

    第81条 変名で発行された共同著作物

    (1) 本条は、 二名以上の名義のうちいずれか (全てではない) が変名にて最初に発行された共同著作物に適用する。

    (2) 本条はまた、 二名以上の名義の全てが変名にて最初に発行された共同著作物であって、 当該著作物が最初に発行された暦年の終了から 50 年以内に、 いずれか (全てではない) の著作者の身元が一般に知られまたは合理的な調査により特定できるようになった場合に適用する。

    (3) 本条の適用ある著作物に関しては、 第 33 条および第 51 条における著作物の著作者とは、 身元が判明した舎又は二名以上の著作者の身元が判明した場合にはその内最後に死亡した者を指すものとする。

    (4) 本条において、 著作者の身元は以下のいずれかの場合に判明したものとする。

      (a) 当該著作物の発行名義のいずれかが、 当該著作者の氏名である場合、 または

    (b) 当該著作者の身元が一般に知られもしくは合理的な調査により特定できる場合。

    第82条 著作者が無資格者であっても共同著作物に対して存続する著作権

    (1) 著作者のいずれか (全てではない) が無資格者である共同著作物に関しては、 第 35 条(2)は、 無資格者以外の著作者のみが当該著作物の著作者であると同様に効力を有する。

    (2) 前項において、 その者のみが著作物の著作者であれば本編により著作権が当該著作物に対して存続しなかった場合には、 当該者は当該著作物に関して無資格者となる。

    第83条 教育の場での使用のための集合物への共同著作物の追加

    第 44 条(2)における著作者の著作物またはその翻案物からの抜粋とは、

      (a) 当該抜粋の著作者が他者と共同で作成した当該著作物または翻案物からの抜粋を含むものとする。

    (b) 当該抜粋が共同著作物またはその翻案物から作成される場合には、 当該抜粋の著作者のいずれかが他者と共同で作成した著作物またはその翻案物からの抜粋を含むものとする。




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