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    外国著作権法 フランス編
    知的所有権法典 第1部 文学的及び美術的所有権

    第2編 著作隣接権

    単一章
    第1節 一般規定

    第211の1条 隣接権は、著作者の権利を害しない。したがって、この章のいずれの規定も、著作権者による著作権の行使を制限する方法で解釈してはならない。

    第211の2条 訴訟を提起するための利害関係を証明するいずれかの者に加えて、文化担当大臣は、特に、認められる承継人がいない場合、又は相続人の不存在の場合には、司法当局に提起することができる。

    第211の3条 この章において付与される権利の受益者は、次の各号に掲げることを禁止することはできない。
    (1) 専ら家族の集まりにおいて行われる私的かつ無償の上演・演奏
    (2) 適法な出所から行われる複製であって、それを行う者の私的使用に厳密に当てられ、かつ、集団的使用が意図されないもの。
    (3) 出所を特定する十分な要素があることを条件として、
    a) 要約及び短い引用であってそれらが挿入される著作物の批評、評論、教育、学術又は報道としての性格によって正当化されるもの
    b) プレス・レビュー
    c) 政治的、行政的、司法的又は学問的集会、政治上の公の会合及び公式の儀式における公衆を対象とする演説を、時事の報道としてプレス又はテレビ放送の手段によって、全体までも頒布すること。
    d) 隣接権によって保護される目的物(教育目的で構想される目的物は除く。)の抜粋の公衆への伝達又は複製であって、専ら研究(いずれの遊び又は娯楽の活動も除く。)の枠内における説明を目的とするもの。ただし、この公衆への伝達又はこの複製の対象とされる公衆の大多数が、直接関係する研究者で構成される場合、この公衆への伝達又はこの複製の使用が、いずれの商業的利用ももたらさない場合、かつ、この公衆への伝達又はこの複製が、一括払いを基礎として交渉される報酬によって補償される場合に限る。
    e) 第122の5の4条に規定される条件に従った専ら教育及び職業養成の枠内における説明を目的とした隣接権によって保護される目的物の抜粋の公衆への伝達又は複製。この条の適用に当たり、著作者は隣接権の受益者と、著作物は隣接権によって保護される目的物と、上演・演奏は公衆への伝達とする。
    (4) パロディ、模作及び風刺画。ただし、当該分野のきまりを考慮する。
    (5) 過渡的又は付随的な性格を示す一時的複製であって、技術的プロセスの構成要素かつ不可欠な部分であり、隣接権で保護される目的物の適法使用を可能とし、又は仲介者の助けを借りるネットワークの手段による第三者間の伝送を可能とすることを唯一の目的とするもの。ただし、この一時的複製は、固有の経済的価値を有してはならない。
    (6) 第122の5条第7号、第122の5の1条第1号及び第122の5の2条に定める条件に従った実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物の複製及び公衆への伝達
    (7) 公衆がアクセス可能な図書館、博物館・美術館又は記録保存機関によって行われる、保存を目的として実行される、又は個人による私的な研究若しくは調査を目的とした施設の敷地内での及び専用端末上での閲覧という環境を維持することが意図される、実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物の複製及び上演・演奏行為。ただし、これらがいずれの経済的又は商業的利益も求めないことを条件とする。
    (8) 第122の5の3条に定める条件に従って行われるテキスト及びデータのマイニングのための実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物のデジタルコピー又は複製。この条の適用に当たり、著作者は隣接権の受益者である実演家、製作者、視聴覚伝達企業又はプレス出版者又はプレス通信社と、著作物は実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物と、著作権は隣接権とする。
    (9) 第122の5条第13号に定める条件に従った実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物の複製又は公衆への伝達
    2 この条に列挙する例外は、実演、レコード、ビデオグラム、番組又はプレスの発行物の通常の利用を害することはできず、また、実演家、製作者、視聴覚伝達企業、プレス出版者又はプレス通信社の正当な利益を不当に害することもできない。
    3 この条の適用方法は、コンセイユ・デタのデクレによって明定される。

    第211の3の1条 第218の2条で付与される権利の受益者は、次の各号に掲げることを禁止することはできない。
    (1) ハイパーリンク行為
    (2) プレスの発行物の文脈から切り離された語又は極めて短い抜粋の使用。この例外は、第218の2条で付与される権利の有効性に影響を与えることはできない。この有効性は、特に、極めて短い抜粋の使用が、プレスの発行物それ自体に代替する場合、又は読者がそれを参照することを免れさせる場合には、影響を受けているものとする。

    第211の4条 I 実演家の財産的権利の存続期間は、実演の年に続く暦年の1月1日から起算して50年とする。
    2 ただし、この期間の間に、ビデオグラム又はレコードへの実演の固定物が、有形複製物による公衆への利用の提供の対象となるか、又は公衆への伝達の対象となる場合には、実演家の財産的権利は、次に掲げる期間で消滅する。
    (1) ビデオグラムに固定された実演については、これらの事実のうち最初のものに続く暦年の1月1日の後50年
    (2) レコードに固定された実演については、これらの事実のうち最初のものに続く暦年の1月1日の後70年
    II レコード製作者の財産的権利の存続期間は、音の連続の最初の固定の年に続く暦年の1月1日から起算して50年とする。
    2 ただし、この期間の間に、レコードが、有形複製物による公衆の利用への提供の対象となるか、又は公衆への伝達の対象となる場合には、レコード製作者の財産的権利は、このレコードの公衆の利用への提供に続く暦年の1月1日の後70年で消滅し、このレコードの公衆の利用への提供がない場合には、その最初の公衆への伝達に続く暦年の1月1日の後70年で消滅する。実演家は、第212の3の5条及び第212の3の6条に規定する解約権を行使することができる。
    III ビデオグラム製作者の財産的権利の存続期間は、音を伴う、又は伴わない映像の連続の最初の固定の年に続く暦年の1月1日から起算して50年とする。
    2 ただし、この期間の間に、ビデオグラムが、有形複製物による公衆の利用への提供の対象となるか、又は公衆への伝達の対象となる場合には、ビデオグラム製作者の財産的権利は、これらの事実のうち最初のものに続く暦年の1月1日から50年で消滅する。
    IV 視聴覚伝達企業の財産的権利の存続期間は、第216の1条に規定する番組の最初の公衆への伝達の年に続く暦年の1月1日から起算して50年とする。
    V プレス出版者及びプレス通信社の財産的権利の存続期間は、プレスの発行物の最初の発行の年に続く暦年の1月1日から起算して2年とする。

    第211の5条 フランスが加盟国である国際条約の規定に従うことを条件として、欧州共同体の加盟国の所属民でない隣接権者は、その者が所属民である国において規定される保護期間を享受する。ただし、この期間は、第211の4条に規定する期間を超えることはできない。

    第211の6条 隣接権によって保護される固定物の一又は二以上の有形複製物の最初の販売が、欧州共同体の加盟国又は欧州経済圏協定の他の加盟国の領域において隣接権者又はその権利承継人によって許諾された場合には、この固定物のこれらの複製物の販売を欧州共同体の加盟国及び欧州経済圏協定の加盟国において禁止することはできない。

    第211の7条 第1編第3章第5節は、隣接権に適用される。

    第211の8条 第1編第3章第8節は、隣接権に適用される。

    第2節 実演家の権利
    第1款 共通規定

    第212の1条 実演家とは、職業上の慣行によって補助的な実演者と考えられる者を除き、文学的若しくは美術的著作物又は寄席演芸、サーカス若しくは操り人形の出し物を上演・演奏し、歌唱し、口演し、朗唱し、演じ、又はその他のいずれかの方法によって実演する者である。

    第212の2条 実演家は、その名前、その資格及びその実演の尊重に対する権利を有する。
    2 譲渡不能で、かつ、時効にかからないこの権利は、実演家の一身に専属する。
    3 この権利は、故人の実演及び名声の保護のために、その実演家の相続人に移転することができる。

    第212の3条 I 実演家の実演の固定、その複製及びその公衆への伝達並びに音と映像が同時に固定された場合における実演のその音と映像のいずれの分離使用も、実演家の書面の許諾を要する。
    2 この許諾及びこの許諾に対して生じる報酬は、この法典第212の6条の規定に従うことを条件として、労働法典第7121の2条から第7121の4条、第7121の6条、第7121の7条及び第7121の8条の規定によって規律される。
    II 実演家によるその実演に対する権利の譲渡は、全部又は一部とすることができる。譲渡は、実演家の著作物全体への寄与を考慮に入れ、また、市場の実務又は実演の現実の利用のようなその事案の他のすべての状況を考慮に入れ、譲渡される権利の現実の又は潜在的な経済的価値に照らして適切かつ比例的な報酬を実演家のために伴わなければならない。
    2 ただし、次の各号に掲げる場合には、実演家の報酬は、一括払金として算定することができる。
    (1) 比例配分の算定基礎が実際上決定できない場合
    (2) 配分の適用を管理する手段がない場合
    (3) 算定及び管理の実施費用が、到達すべき結果と釣合いがとれない場合
    (4) 利用の性質又は条件が、実演家の寄与が著作物の実演の本質的な要素の一を構成しないため、又は実演の使用が利用される目的物と比較して付随的な性格しか示さないために、比例報酬の規則の適用を不可能とする場合
    (5) その他この法典に規定する場合
    3 この条に規定する条件を満たす集団協約及び特別協定に従うことを条件として、集団協約及び協定は、各部門の特殊性を考慮して、この条の規定の実施条件を決定することができる。
    4 効力を有する契約から生じる権利料を、実演家の求めに応じて、当事者間において、当事者間で決定する期間について一括年払金に変更することも、同様に適法とする。

    第212の3の1条 実演家がその利用権の全部又は一部を移転した場合には、譲受人は、実演家に、少なくとも1年に1回、著作物又は保護される目的物の利用から生じる収益全体についての明確で透明性のある情報を、種々の利用方法及び各利用方法に対して支払われるべき報酬を区別したうえで、送付し、又は電子的伝達方法によって利用に供する。
    2 この法典第212の15条及び映画・動画法典第 213の28条から第213の37条まで並びに第251の5条から第251の13条までの適用による、この条の条件を満たした職業別協定に従うことを条件として、報告書の提示を実行する条件、特にその頻度及び電子的方法による送付期間は、各活動部門について、この条のIIに規定する条件において締結される職業別協定によって明定することができる。この協定は、その寄与が重大ではない実演家のための報告の特別条件も規定することができる。
    3 適用される職業別協定がない場合には、契約で報告方法及び報告日を明定する。
    II Iの第1項に規定する情報が、下位譲受人によって保持され、かつ、譲受人が、それら全部を実演家に提供しない場合には、これらの情報は、下位譲受人によって伝達される。映画・動画法典第 213の28条から第213の37条まで及び第251の5条から第251の13条までに従うことを条件として、実演家の職業機関又はこの法典第3編第2章に規定する集中管理機関と、関係部門の譲受人を代表する団体の間で締結される職業別協定で、実演家が、Iに規定する情報であって譲受人が保持する情報を、譲受人がこれらの情報の全部を実演家に提供しなかった場合に、下位譲受人から得ることができる条件を定める。この協定は、特に、実演家が、不足情報を得るために、下位譲受人に直接問い合わせることができるのか、又は譲受人を介して間接的に問い合わせることができるのかを定める。
    III I及びIIに規定するいずれの協定も、文化担当大臣のアレテによって、利害関係者全体に拡大することができる。
    2 2021年5月12日のオルドナンス第2021-580号の公布から起算して12か月の期間内に協定がない場合には、実演家が下位譲受人によって保持される情報の伝達を得ることができる条件は、コンセイユ・デタのデクレによって定められる。
    3 このデクレの公布後に協定が締結される場合には、このデクレの規定は、この協定を部門全体に義務化するアレテの効力発生日に失効する。

    第212の3の2条 I 実演家は、利用契約又は活動部門において適用される集団若しくは職業別協定において同等の仕組みを規定する特別規定がない場合において、利用契約に規定された比例報酬が、譲受人による利用からその後得られる収益全体と比較して著しく低いことが明らかになるときには、追加報酬を請求する権利を有する。実演家の状況を評価するために、その寄与を考慮することができる。
    II 改定の要求は、実演家又は実演家からそのために特別に委任されたいずれかの者によって行われる。
    III これらの規定は、この法典によって規定される他の規定を害しない。

    第212の3の3条 I 実演家が、排他的にその権利の全部又は一部を移転した場合において、その実演のいずれの利用もないときには、当然に、これらの権利の全部又は一部の移転を解約することができる。
    II Iに規定する解約権の行使方法、特に、適用時期及び利用契約の受益者への情報伝達は、実演家の職業機関又はこの法典第3編第2章に規定する集中管理機関と、関係部門の利用者を代表する団体の間で締結される集団協定又は職業別協定によって定められる。
    2 この協定は、実演家が解約権の行使を始めることができる時期を定める。
    III IIに規定するいずれの協定も、管轄大臣のアレテによって、利害関係者全体に拡大することができる。
    2 2021年5月20日のオルドナンス第2021-580号の公布から起算して12か月の期間内に協定がない場合には、解約権の行使方法は、コンセイユ・デタのデクレによって定められる。
    3 このデクレの公布後に協定が締結される場合には、このデクレの規定は、協定を部門全体に義務化するアレテの効力発生日に失効する。
    IV 著作物又は保護される目的物が、複数の実演家の寄与を含んでいる場合には、これらの者は、Iに規定する解約権を合意によって行使する。
    2 合意がない場合は、民事裁判所の決定するところによる。
    V この条の規定は、視聴覚著作物に寄与する実演家には適用されない。
    VI これらの規定は、第212の12条の規定を害しない。

    第212の3の4条 第212の3条のII並びに第212の3の1条及び第212の3の2条の規定は、公序である。

    第212の3の5条 I 実演家は、第211の4条のI第2号に規定する70年の期間のうちの最初の50年以降に、レコード製作者が十分な数量においてレコードの複製物の販売の申出を行わない場合、又は各人が自己の発意によりアクセスできる方法でのレコードの公衆の利用への提供を行わない場合には、第212の3条の適用を受けてレコード製作者に付与された許諾を解約する意図を通知することができる。
    II 実演家は、この条のIに規定する通知に続く12か月の間に、レコード製作者が十分な数量においてレコードの複製物の販売の申出を行わず、かつ、各人が自己の発意によりアクセスできる方法でのレコードの公衆の利用への提供を行わない場合には、その許諾の解約権を行使することができる。実演家は、この権利を放棄することはできない。
    III 解約権の行使の方法は、コンセイユ・デタのデクレによって定められる。

    第212の3の6条 レコードが複数の実演家の実演の固定物を含んでいる場合には、これらの実演家は、第212の3の5条に規定する解約権を合意によって行使する。
    2 合意に達しない場合には、民事裁判所の決定するところによる。

    第212の3の7条 I 第212の3条の適用を受けて付与された許諾が一括払いの報酬を規定している場合には、レコード製作者は、実演家に、許諾された固定物を含むレコードの利用の反対給付として、第211の4条のI第2号に規定する70年の期間のうちの最初の50年以降、各年全体について追加年間報酬を支払わなければならない。実演家は、この権利を放棄することはできない。
    2 ただし、10人未満の従業員を雇い、かつ、その年間総売上高又は年間総決算額が200万ユーロを超えないレコード製作者は、該当する会計年度について、算定及び管理の運営費が支払うべき報酬の金額と釣合いがとれていない場合には、このI第1項に規定する報酬を支払う義務は負わない。
    II この条のIに規定する追加年間報酬の総額は、前記の追加年間報酬の支払いの前年にレコードの複製、又は販売若しくは交換による公衆の利用への提供、又は各人が自己の発意によりアクセスできる方法での公衆の利用への提供についてレコード製作者が受領した収入(第214の1条及び第311の1条に規定する報酬は除く。)全体の20%と定められる。
    III レコード製作者は、実演家又はIVに規定する集中管理機関であって実演家の追加年間報酬を徴収する責任を負うものの請求に応じて、IIに規定する各利用方法ごとにレコードの利用から生じる収入の会計報告書を提出する。
    2 レコード製作者は、同一の条件に従って、会計の正確性を証明するのに適したいずれの証拠も提出する。
    IV I及びIIに規定する追加年間報酬は、第3編第2章によって規律される一又は複数の集中管理機関であってそのために文化担当大臣から認可されたものが徴収する。
    2 このIV第1項に規定する認可は、次の各号に掲げる事項を考慮して付与される。
    (1) 機関の管理職者の職業的資格
    (2) これらの機関がその構成員及び構成員ではない実演家のために同I及びIIに規定する報酬の徴収及び分配を確保するために活用することを提案する人的及び物的手段
    (3) その作品目録及び管理組織内部のI及びIIに規定する報酬の受益者である実演家の実演の重要性
    (4) その第3編第2章に規定する義務の尊重
    3 コンセイユ・デタのデクレが、この認可の付与及び取消しの方法を定める。

    第212の3の8条 第212の3条の適用を受けて付与された許諾が比例報酬を規定している場合には、レコード製作者は、第211の4条のI第2号に規定する70年の期間のうちの最初の50年の後は、許諾された固定物を含むレコードの利用の反対給付として実演家に支払われるべき報酬から契約で定められた前払金、又は控除を差し引くことはできない。

    第212の3の9条 実演家は、その実演が著作物又は視聴覚資料の一連続場面の主題を構成する出来事に対して付随的である場合には、その実演の複製及び公の伝達を禁止することはできない。

    第212の3の10条 第131の9条の規定は、製作者と実演家の間の第212の3条及び第212の4条の適用による利用の許諾を意味する契約に適用される。

    第2款 実演家とビデオグラム製作者の間で締結される契約

    第212の4条 視聴覚著作物の作成のために実演家と製作者との間で締結される契約の署名は、その実演家の実演を固定し、複製し、及び公衆に伝達することの許諾を意味する。
    2 この契約は、その著作物の各利用方法ごとに個別報酬を定める。

    第212の5条 契約及び集団協約が一又は複数の利用方法についての報酬に言及していない場合には、その報酬の額は、職業分野を代表する労働者の団体と使用者の団体との間で各活動部門ごとに締結される特別協定によって作成される計算表に準拠して決定される。

    第212の6条 労働法典第762の2条の規定は、契約の適用を受けて支払われる報酬のうち、集団協約又は特別協定によって決定される基準を越える部分についてのみ、適用される。

    第212の7条 1986年1月1日前に実演家と視聴覚著作物の製作者又はその譲受人との間で締結された契約は、その契約が除外している利用方法に関しては、前諸規定に従う。対応する報酬は、賃金の性格を有しない。

    第212の8条 前諸条に規定する協約又は協定の約定は、担当大臣のアレテによって、利害関係者全体について各活動部門の内部において義務とすることができる。

    第212の9条 1986年1月4日前に、又は前協定の期間満了の日に、第212の4条から第212の7条までの規定に従って締結された協定がない場合には、実演家の報酬の形式及び基準は、破毀院院長が指名する司法官を委員長とし、その他、コンセイユ・デタの副院長が指名するコンセイユ・デタの構成員1名、文化担当大臣が指名する資格のある者1名、並びに労働者の団体及び使用者の団体の同数の代表で構成される委員会によって、各活動部門ごとに決定される。
    2 委員会は、出席委員の多数決によって決定を行う。可否同数の場合には、委員長が、決定権を有する。委員会は、この条第1項に定める期間の満了に続く3か月以内に決定を行う。
    3 委員会の決定は、3年の期間前に成立する利害関係者間の協定がない限り、3年の期間について効力を有する。

    第3款 実演家とレコード製作者の間で締結される契約

    第212の10条 この法典に規定する例外に従うことを条件として、レコード製作者との請負契約又は役務賃貸借契約の存在又は締結は、第212の2条及び第212の3条によって実演家に認められる権利の享受の除外を伴わない。

    第212の11条 この法典に規定する実演家の権利の譲渡は、譲渡される各権利がレコード製作者と締結される契約において個別の記載の対象となり、かつ、これらの権利の利用分野がその範囲、用途、場所及び期間に関して限定されるという条件に従う。
    2 署名の日に予想することができなかった、又は予想されなかった形式で実演家の実演を利用する権利を付与するためのいずれの条項も、明示規定とし、かつ、その契約が利用の収入に比例する報酬の製作者による直接的な支払いを規定している実演家のために、この収入の相関的な配分を約定する。
    3 実演家が、実演家が同意した前払金を反対給付としてレコード製作者にその実演の将来の利用から生じる報酬についての債権を譲渡する場合には、この譲渡は、第214の1条及び第311の1条に規定する報酬を対象とすることはできない。これに反するいずれの条項も無効とする。
    4 この法典に規定する実演家の権利以外の実演家の権利のレコード製作者への譲渡は、譲渡される各権利が契約において個別の明示的な記載の対象となるという条件に従う。

    第212の12条 レコード製作者による譲渡を受けた利用権の不使用の明らかな濫用がある場合には、管轄民事裁判所は、適当ないずれの措置も命じることができる。

    第212の13条 実演家とレコード製作者の間で締結される契約には、実演家の実演の、賃金の形で報酬を与えられる、固定の許諾の反対給付として保障される最低報酬を定める。
    2 契約に規定された実演家の実演を収録するレコードの各利用方法は、個別報酬の対象となる。
    3 レコードの物理的形式での利用への提供と電子的手段によるその利用への提供は、別個の利用方法と考えられる。

    第212の14条 I ストリーミング配信の枠組みにおける各人が自己の発意によりアクセスできる方法でのレコードの利用への提供は、最低報酬保証の対象となる。
    II Iに規定する最低報酬保証の方法及びその水準は、実演家を代表する職業機関及び実演家を代表するこの部第3編第2章に規定する集中管理機関と、レコード製作者を代表する職業団体及びレコード製作者を代表するこの部第3編第2章に規定する集中管理機関の間で締結される一又は複数の特別協定によって確定される。
    2 この一又は複数の協定は、文化担当大臣のアレテによって、関係する実演家及びレコード製作者全体に義務とすることができる。
    III 2021年5月12日のオルドナンス第2021-580号の公布から起算して12か月の期間内に、一又は複数の特別協定が、実演家の全部又は一部のために、Iに規定する最低報酬保証の方法及び水準を明定しない場合には、これらの方法及びこの水準は、関係する実演家のために、国の代表を委員長とし、その他、実演家を代表する団体が指名する者(2分の1)、レコード製作者を代表する団体が指名する者(2分の1)で構成される委員会によって定められる。最低報酬保証の水準は、委員会によって、実演家をレコードの利用に正確に結びつける方法で決定される。
    IV Iに規定する最低報酬保証は、第212の3条のIIに規定する条件に従って、権利の経済的価値に比例的なものとする。ただし、同条に規定する場合には、一括払金として定めることもできる。
    V コンセイユ・デタのデクレが、IIIに規定する委員会の機能の仕方を定める。

    第212の15条 実演家とレコード製作者の間で締結される契約が、製作者による利用の収入に応じた報酬の直接的な支払いを規定している場合には、レコード製作者は明確かつ透明性を有した方法で、その報酬の計算を実演家に四半期ごとに報告する。
    2 レコード製作者は、実演家の請求に応じて、その会計の正確性を証明するのに適したいずれの証拠も実演家から委任を受けた会計専門家に提出する。

    第3節 レコード製作者の権利

    第213の1条 レコード製作者とは、音の連続の最初の固定の発意と責任をとる自然人又は法人である。
    2 第214の1条に規定するもの以外のレコードのいずれの複製、又は販売、交換若しくは貸与による公衆の利用への提供、又は公衆への伝達も、事前にレコード製作者の許諾を要する。

    第213の2条 レコード製作者によって、音楽の著作物を利用に供する電子的手段による公衆への伝達サービスの出版者と締結される契約には、客観的かつ衡平な方法で、レコードの利用の条件を定める。これらの条件は、現実の反対給付によって正当化されない差別的な条項を含むことはできない。

    第4節 実演家とレコード製作者の共通規定

    第214の1条 レコードが商業目的で発行された場合には、実演家及び製作者は、次の各号に掲げることに反対することはできない。
    (1) レコードが興行において使用されないことを条件として、公の場所においてレコードを直接伝達すること。
    (2) レコードをラジオ放送すること、及びこのラジオ放送を同時にかつ全体的にケーブル配信すること、並びにこれらの目的に厳密に充てるためにレコードを複製すること(自己のアンテナで、及び衡平な報酬を支払う視聴覚伝達企業のアンテナで放送される自己の番組に音を入れるために、視聴覚伝達企業によって又は視聴覚伝達企業のために行われるもの。)。
    他のいずれの場合にも、前記の番組の製作者は、第212の3条及び第213の1条に規定する隣接権者の排他的権利に従う責任を負う。
    商業目的で発行されたレコードのこれらの使用は、これらのレコードの固定の場所のいかんを問わず、実演家及び製作者のために報酬請求権を付与する。
    この報酬は、商業目的で発行されたレコードを、この条第1号、第2号及び第3号に規定する条件に従って使用する者によって支払われる。
    この報酬は、利用の収入を基礎とし、又は、これを欠く場合には、第131の4条に規定する場合において一括払金として算定される。
    この報酬は、実演家とレコード製作者に半分ずつ分配される。
    (3) 伝達の自由に関する1986年9月30日の法律第86-1067号第2条にいうラジオサービス(ただし、その主たる演目の大多数が、一の実演家、同一の著作者、同一の作曲家に割り当てられた、又は同一のレコードに由来するラジオサービスは除く。)によってレコードを公衆に伝達すること。
    他のいずれの場合にも、オンラインでの公衆への伝達サービスは、第212の3条、第213の1条及び第213の2条に規定する条件に従って、隣接権者の排他的権利に従う責任を負う。使用者が番組の内容又はその伝達の順序に影響を与えることを可能にする機能を設置しているサービスも同様とする。

    第214の2条 国際条約に従うことを条件として、第214の1条の規定によって認められる報酬請求権は、欧州共同体の加盟国において最初に固定されたレコードについて実演家とレコード製作者との間で配分される。

    第214の3条 報酬の計算表及び報酬の支払方法は、実演家、レコード製作者及び第214の1条第1号、第2号及び第3号に規定する条件に従ってレコードを使用する者を代表する団体間の各活動部門ごとの協定によって確定される。
    2 これらの協定は、これらの条件に従ってレコードを使用する者が、自己が使用を行う正確な演目及び権利料の分配に不可欠ないずれの資料となる情報も集中管理機関に提供する義務を履行する方法を明定しなければならない。
    3 これらの協定の約定は、文化担当大臣のアレテによって、利害関係者全体について義務とすることができる。
    4 これらの協定の期間は、1年から5年の間とする。

    第214の4条 1986年6月30日前に成立した協定がない場合、又は前協定の期間満了時にいずれの協定も成立していない場合には、報酬の計算表及び報酬の支払方法は、国の代表を委員長とし、報酬請求権の受益者を代表する団体と関係する活動部門において第214の1条第1号、第2号及び第3号に規定する条件に従ってレコードを使用する者を代表する団体がそれぞれ指名する同数の委員で構成される委員会によって決定される。
    2 委員会の委員を指名するよう促される団体及び各団体が指名するよう求められる者の数は、文化担当大臣のアレテによって決定される。
    3 委員会は、出席委員の多数決によって決定を行う。可否同数の場合には、委員長が、決定権を有する。
    4 委員会の議決は、1か月の期間内に委員長が第二の決議を求めなかった場合には、執行力を有する。
    5 委員会の決定は、フランス共和国官報に公示される。

    第214の5条 第214の1条に規定する報酬は、第3編第2章に規定する一又は複数の機関によって、権利者のために徴収され、及びこれらの権利者の間で分配される。

    第214の6条 I 裁判官に提起する当事者の権利を害することなく、音楽に係る斡旋者は、次に掲げる各号の実演又は演奏に関するいずれの紛争についても和解の任務の責任を負う。
    (1) その実演がレコードに固定された実演家、レコード製作者及び音楽の著作物を利用に供するオンラインでの公衆への伝達サービスの出版者の間のいずれかの協定
    (2) 実演家とレコード製作者の間の契約上の約束
    (3) レコード製作者と音楽の著作物を利用に供するオンラインでの公衆への伝達サービスの出版者の間の契約上の約束
    (4) レコード製作者と興行製作者の間の契約上の約束
    2 斡旋者は、その任務の枠内で、いずれの実演家、いずれのレコード製作者、いずれの興業製作者、又はいずれの音楽の著作物を利用に供するオンラインでの公衆への伝達サービスの出版者からも付託を受けることができる。斡旋者はまた、これらの者の受任者、利害関係を有するいずれかの職業団体又は組合組織、及び文化担当大臣からの付託を受けることができる。
    3 斡旋者は、その任務を遂行するために、当事者に対し、営業秘密であるとの反論を受けることなく、自己が必要と評価するいずれの情報も提供するよう促すことができ、及び聴取が有益であると思われるいずれの者も聴取することができる。
    4 音楽に係る斡旋者は、競争局の権限を尊重しつつ、その任務を遂行する。斡旋者によって見つけ出された事実が商事法典第420の1条から第420の7条までに規定する反争行為を構成するように思われる場合には、斡旋者は、競争局に付託する。この付託は、同法典第464の1条に従って、緊急手続の枠内で開始することができる。斡旋者はまた、同法典第462の1条の適用を受けて競争上のいずれの問題も意見を求めて競争局に付託することができる。競争局は、その権限に属するいずれの問題についても斡旋者に諮問をし、斡旋者にこれを目的としてこの権限の範囲に属するいずれの付託も伝達することができる。
    5 斡旋者は、付託を受けた紛争が他の労働上の集団協約又は協定によって創設される和解に係る決定機関の権限の範囲に属する場合には、この決定機関に意見を求めて付託する。斡旋者は、この訴訟手続が要求する場合には、権限がないと宣言する。
    6 音楽に係る斡旋者は、自己に委ねられる紛争に対するいずれの和解による解決も促進し、又は生じさせる。斡旋者が当事者間の合意を確認する場合には、斡旋者は、それを実行するためにとるべき措置を明示した和解調書を作成する。当事者間で合意がない場合には、斡旋者は、紛争の終了を目指した措置を提案する勧告を出すことができる。斡旋者は、営業秘密の対象となる情報を除き、和解の決定又は勧告を公表することができる。
    II 音楽に係る斡旋者は、文化担当大臣に対し、その任務の達成に必要と思われるいずれの提案も行うことができる。音楽に係る斡旋者は、実演家とレコード製作者を代表する職業団体と集中管理機関の間、レコード製作者と興行製作者の間、又はレコード製作者と音楽の著作物を利用に供するオンラインでの公衆への伝達サービスの出版者の間の慣行規範の採択を促進する性質を有するいずれの措置も実行する。
    2 音楽に係る斡旋者は、毎年、その活動についての報告書を文化担当大臣に送付する。この報告書は、公のものである。報告書の写しを国民議会及び元老院の文化担当常任委員会の委員長に送付する。
    III コンセイユ・デタのデクレが、この条の適用条件を明定する。

    第5節 ビデオグラム製作者の権利

    第215の1条 ビデオグラム製作者とは、音を伴う、又は伴わない映像の連続の最初の固定の発意と責任をとる自然人又は法人である。
    2 ビデオグラムのいずれの複製、又は販売、交換若しくは貸与による公衆の利用への提供、又は公衆への伝達も、事前にビデオグラム製作者の許諾を要する。
    3 前項に基づいてビデオグラム製作者に認められる権利並びに製作者がこのビデオグラムに固定された著作物について有する著作者の権利及び実演家の権利は、分離譲渡の対象とすることはできない。

    第6節 視聴覚伝達企業の権利

    第216の1条 視聴覚伝達企業の番組の複製、これらの販売、貸与又は交換による公衆の利用への提供、これらのラジオ放送又はテレビ放送、これらのオンラインでの公衆の利用への提供及びこれらの入場料の支払いと引き換えに公衆がアクセス可能な場所における公衆への伝達は、視聴覚伝達企業の許諾を要する。
    2 伝達の自由に関する1986年9月30日の法律第86-1067号にいう視聴覚伝達サービス(このサービスに適用される制度のいかんを問わない。)を経営する機関を視聴覚伝達企業と称する。

    第216の2条 実演家の実演、レコード、ビデオグラム又は視聴覚伝達企業の番組を電波の手段によってテレビ放送することの許諾は、このテレビ放送を、住宅又は集合住宅全体の内部ネットワークであって、これらの住宅又は集合住宅全体の各住居をその区域で通常受信される電波の手段によるテレビ放送の共同受信装置に接続することを可能とすることを唯一の目的として、これらの所有者若しくは共同所有者又はこれらの者の受任者によって設置ものの上で、非商業的目的で放送することを含む。

    第7節 衛星によるテレビ放送、付随的なオンラインサービス上での伝達、及び同時の全体的かつ変更のない再伝送に適用される規定

    第217の1条 実演家の実演、レコード、ビデオグラム又はラジオ放送機関の番組の衛星によるテレビ放送に対応する著作隣接権は、このテレビ放送が第122の2の1条及び第122の2の2条に定める条件に従って行われる場合には、この法典の規定によって規律される。
    2 第122の2の2条に規定する場合には、これらの権利は、同条第1号又は第2号にいう者に対して行使することができる。

    第217の1の1条 ラジオ放送機関によって国境を越える方法で放送される付随的なオンラインサービス上での、テレビ又はラジオ番組に収録されたレコード又はビデオグラムの公衆への伝達及び複製に対応する著作隣接権は、この伝達及びこの複製が、第122の2の3条に定める条件に従って行われる場合には、この法典の規定によって規律される。

    第217の2条 I この法典によって規定される場合には、フランス以外の欧州連合の加盟国の領域からテレビ放送される実演家の実演、レコード又はビデオグラムの国内領域における同時の全体的かつ変更のないケーブルによる再伝送を許諾する権利は、集中管理機関のみが行使することができる。この機関が第3編第2章によって規律される場合には、この機関は、文化担当大臣からそのために認可を得なければならない。
    2 権利者がこれらの機関の一にその権利の管理をまだ委ねていない場合には、この権利者は、その権利を行使する責任を負う機関を指定する。権利者は、この指定を機関に書面で通知し、これは拒絶することはできない。
    3 国内領域において実演家の実演、レコード又はビデオグラムをテレビ放送することを許諾する契約は、欧州連合の加盟国における、ケーブルによる、同時の全体的かつ変更のないその再伝送を許諾する権利を、必要な場合には、行使する責任を負う機関に言及する。
    4 第1項に規定する認可は、第132の20の1条に列挙する基準を考慮して付与される。
    5 コンセイユ・デタのデクレが、認可の付与及び取消しの条件を定める。同デクレはまた、第2項に規定する場合において、再伝送権の管理の責任を負う機関の指定方法を定める。
    II Iの適用除外により、権利者は、この権利をラジオ放送機関に譲渡することができる。
    2 Iの規定は、ラジオ放送機関を譲受人とする権利には、適用されない。
    III この条において、ケーブルによる再伝送とは、第132の20の1条のIIIに定める再伝送をいう。

    第217の3条 裁判官に提起する当事者の権利を害することなく、この章に定める権利によって保護される要素の同時の全体的かつ変更のない再伝送に係る許諾が必要な場合において、この許諾の付与に関する訴訟の解決を促進するために、斡旋者が指定される。
    2 協議が調わない場合には、斡旋者は、適当と認める解決策を当事者に提案することができる。当事者が3か月の期間内に書面でその異議を表明しなかった場合には、当事者は、その解決策を受諾したものとみなされる。
    3 コンセイユ・デタのデクレが、この条の適用条件及び斡旋者の指名方法を明定する。

    第217の4条 I 欧州連合の加盟国の領域からオンラインでの伝送以外のいずれかの手段によって放送される実演家の実演、レコード又はビデオグラムの国内領域における同時の全体的かつ変更のない再伝送(第132の20の1条のIIIに定めるケーブルによる再伝送は除く。)を許諾する権利であって、第132の20の3条のIIに規定する条件を満たすものは、集中管理機関のみが行使することができる。この機関が第3編第2章によって規律される場合には、この機関は、文化担当大臣からそのために認可を得なければならない。
    2 権利者がこれらの機関の一にその権利の管理をまだ委ねていない場合には、この権利者は、その権利を行使する責任を負う機関を指定する。権利者は、この指定を機関に書面で通知し、これは拒絶することはできない。
    3 権利者によっていずれの集中管理機関も指定されない場合には、権利は、同種の分類に属する権利について権限を有する認可を受けた集中管理機関、又は認可が最も古い権限を有する機関によって行使される。
    II 第132の20の1条の規定は、Iに規定する認可の付与及び取消し並びにI第2項に規定する場合の再伝送権の管理の責任を負う機関の指定方法に適用される。
    III Iの適用除外により、権利者は、この権利をラジオ放送機関に譲渡することができる。
    2 Iの規定は、ラジオ放送機関を譲受人とする権利には、適用されない。

    第217の5条 I 公衆への伝達を目的として、ラジオ放送機関が、国内領域又は欧州連合の他の加盟国の領域から、その番組搬送信号を、これらの番組搬送信号を公衆に伝送する信号の配信者に、伝送中に公衆がこれらにアクセス可能とならないような方法で伝送するプロセスは、公衆への伝達の単一行為を構成する。
    2 この公衆への伝達の単一行為において、信号の配信者及びラジオ放送機関は、いずれも、これらの者の間に連帯責任が存在することなく、これらの二つの組織が各々行う行為部分について権利者から許諾を得なければならない。
    II Iに規定する条件に従って、信号の配信者に、実演家の実演、レコード又はビデオグラムを公衆に伝達することを許諾する権利は、集中管理機関のみが行使することができる。
    2 この機関が第3編第2章によって規律される場合には、この機関は、文化担当大臣からそのために認可を得なければならない。
    3 権利者がこれらの機関の一にその権利の管理をまだ委ねていない場合には、この権利者は、その権利を行使する責任を負う機関を指定する。権利者は、この指定を機関に書面で通知し、これは拒絶することはできない。
    4 権利者によっていずれの集中管理機関も指定されない場合には、権利は、同種の分類に属する権利について権限を有する認可を受けた集中管理機関、又は認可が最も古い権限を有する機関によって行使される。
    III 第217の2条の規定は、IIに規定する認可の付与及び取消し並びにII第3項に規定する場合に再伝送権の管理の責任を負う機関の指定方法に適用される。
    IV IIの適用除外により、権利者は、この権利をラジオ放送機関に譲渡することができる。
    2 IIの規定は、ラジオ放送機関を譲受人とする権利には、適用されない。

    第8節 プレス出版者又はプレス通信社の権利

    第218の1条 I この節にいうプレスの出版物とは、主としてジャーナリスティックな性質の文学的著作物から成る収集物であって、その他の著作物又は保護される目的物(特に写真又はビデオグラム)も含むことができ、かつ、時事又はその他の発行された主題に関する情報を公衆に提供することを目的として、いずれかの媒体上で、プレス出版者又はプレス通信社の発意、出版責任又は管理の下で、単一のタイトルを有する定期的な、又は一定の間隔で更新される発行物の中で一単位を構成するものをいう。
    2 学術誌のような学術及び大学に係る目的で発行される定期刊行物は、この定義の対象とはならない。
    II この節にいうプレス通信社とは、自己の責任の下、ジャーナリスティックなコンテンツを収集すること、取扱うこと、及びまとめ上げることを主たる活動とする、プレス通信社の規則に関する1945年11月2日のオルドナンス第45-2646号第1条に規定するいずれかの企業をいう。
    III この節にいうプレス出版者とは、プレスの法制度の改革に関する1986年8月1日の法律第86-897号にいうプレスの発行又はオンラインでのプレスサービスを行う自然人又は法人をいう。
    IV この節は、欧州連合の加盟国の領域に設立されるプレス出版者及びプレス通信社に適用される。

    第218の2条 オンラインでの公衆への伝達サービスによるプレスの発行物の全部又は一部のデジタル形式でのいずれの複製又は公衆への伝達の前にも、プレス出版者又はプレス通信社の許諾を要する。

    第218の3条 第218の2条から生じるプレス出版者又はプレス通信社の権利は、譲渡され、又はライセンスの対象とすることができる。
    2 これらの権利者は、この部第3編第2章によって規律される一又は複数の集中管理機関にその権利の管理を委ねることができる。

    第218の4条 隣接権に基づいてデジタル形式でのプレスの発行物の複製及び公衆への伝達のために支払われる報酬は、直接的又は間接的なあらゆる性質の利用の収入を基礎とし、それがない場合、特に第131の4条に規定する場合には、一括的に算定される。
    2 この報酬額の決定には、プレス出版者又は通信社によって行われる人的、物的及び金銭的投資、政治的及び一般的情報へのプレスの出版物の寄与、オンラインでの公衆への伝達サービスによるプレスの発行物の使用の重要性を考慮に入れる。
    3 オンラインでの公衆への伝達サービスは、プレス出版者又はプレス通信社に、そのユーザーによるプレスの発行物の使用に関する情報のすべての要素、並びにこの条第1項に規定する報酬及びその分配の透明性の評価に必要なその他のすべての情報の要素を提供しなければならない。

    第218の5条 I 労働法典第7111の3条から第7111の5条までにいう職業ジャーナリスト又はそれに類する者及びこの法典第218の1条に規定するプレスの発行物の中に存在するその他の著作物の著作者は、第218の4条に規定する報酬の適切かつ衡平な部分に対する権利を有する。この部分及び関係著作者間の分配方法は、企業別協定によって、又はそれがない場合には、労働法典第2222の1条にいうその他のいずれかの集団協定によって決定される条件に従って定められる。その他の著作者に関しては、この部分は、代表的なプレス企業及びプレス通信社の職業団体と著作者の職業団体又はこの部第3編第2章に規定する集中管理機関の間で交渉される特別協定によって決定される。いずれの場合も、この補完的な報酬は、給与の性格を有さない。
    II プレス通信社及びプレス出版者のために隣接権を創設する2019年7月24日の法律第2019-775号の公布から起算して6か月の期間内に協定がなく、かつ、その他の適用されるいずれの協定もない場合には、この条のIに規定する企業別協定又は特別協定の交渉当事者の一は、IIIに規定する委員会に付託することができる。委員会は、協定に達するために当事者と妥協の解決を追求する。協定に達しない場合には、委員会が、Iに規定する適切な部分及びその関係著作者間の分配方法を定める。
    III IIの実施に当たり、国の代表を委員長とし、その他、代表的なプレス企業及びプレス通信社の職業団体の代表者(2分の1)、Iに規定するジャーナリスト及びその他の著作者を代表する団体の代表者(2分の1)で構成される委員会が創設される。国の代表は、破毀院、コンセイユ・デタ又は会計院の構成員の中から、伝達担当大臣のアレテによって任命される。
    2 当事者間で妥協の解決が見出されない場合には、委員会は、その付託から起算して4か月の期間内に決定を行う。
    3 委員会の決定の介入は、関係する企業において新しい集団交渉を開始することを妨げない。この交渉から生じる集団協定は、労働法典第2231の6条に従って、率先的に配慮した当事者による行政機関への寄託後、委員会の決定に取って代わる。
    IV この条のIに規定する職業ジャーナリスト又はそれに類する者及びその他の著作者は、少なくとも1年に1回、必要な場合には、電子的伝達手段により、同Iの適用により自己に支払われる報酬の適切かつ衡平な部分の計算方法に関する更新された関連性のある完全な情報を受領する。
    V コンセイユ・デタのデクレが、この条の適用条件、特に、委員会の構成及び付託の方法・機能の仕方、その決定に対する司法的救済方法並びにその公告方法を定める。

    第9節 特定のオンラインコンテンツ共有サービス提供者に適用される規定
    第1目 適用範囲

    第219の1条 第219の2条から第219の4条は、第137の1条にいうオンラインコンテンツ共有サービス提供者と資格付与されるすべてのサービスに適用される。第219の2条のIIIの規定は、著作権及び隣接権の侵害を目的とするオンラインでの公衆への伝達サービスには適用されない。

    第2目 オンラインコンテンツ共有サービス提供者による隣接権によって保護される目的物の利用

    第219の2条 I 使用者によってアップロードされる隣接権によって保護される目的物へのアクセスを付与することにより、オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、この編に規定する隣接権者の公衆伝達権又はテレビ放送権に属する利用行為を行うこととなる。オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、この利用行為について、この編に規定する隣接権者から許諾を得なければならない。ただし、自己が行う前記の保護される目的物の複製のためにこの者が複製権に基づいて得なければならない許諾を害しない。
    II デジタル経済における信頼のための2004年6月21日の法律第2004-575号第6条のI第2項及び第3項は、オンラインコンテンツ共有サービス提供者に対し、この者によって行われる利用行為について、適用されない。
    III (1) 権利者の許諾がない場合には、オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、次に掲げるすべての条件を満たしたことを証明しない限り、隣接権によって保護される目的物の無許諾利用行為の責任を負う。
    a) 許諾を付与することを望む権利者から許諾を得るために最善の努力をしたこと。
    b) 専門的注意に係る産業部門の高度の要請に従って、権利者が、直接的、又は権利者が指名した第三者を介した間接的方法で、関連性のある必要な情報を提供した特定の保護される目的物が利用できないことを保証するために最善の努力をしたこと。
    c) いずれにしても、権利者側から十分に理由付けされた通知を受領した後直ちに、通知対象の保護される目的物へのアクセスをブロックするため、又はそれらをそのサービスから除去するために速やかに行動し、かつ、b)の適用により、これらの保護される目的物が将来アップロードされることを阻止するために最善の努力をしたこと。
    (2) オンラインコンテンツ共有サービス提供者が第1号に基づいて自己に課される義務を尊重したかどうかを決定するために、特に、次に掲げる要素が考慮に入れられる。
    a) サービスの種類・聴衆・規模及びサービスの使用者によってアップロードされる保護される目的物の種類
    b) 適合した有効な手段の利用可能性及びそれらのサービス提供者にとっての費用
    (3) 第1号の条件の適用除外により、欧州連合内でのサービスの公衆の利用への提供から起算して3年の期間の間、零細・小・中規模企業の定義に関する2003年5月6日の欧州委員会勧告2003/361/ECに従って計算される1,000万ユーロを下回る年間総売上高を有することを条件として、権利者の許諾がない場合には、オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、次に掲げる条件を満たしたことを証明しない限り、隣接権によって保護される目的物の無許諾利用行為の責任を負う。
    a) このような許諾を付与することを望む権利者から許諾を得るために最善の努力をし、かつ、第1号c)に規定する方法に従って通知を受領した場合に、通知対象の保護される目的物へのアクセスをブロックするため、又はそれらをそのサービスから除去するために速やかに行動したこと。
    b) 欧州連合内のユニーク訪問者の月間平均数が、前暦年中に500万を超えた場合には、さらに、権利者が、直接的、又は権利者が指名した第三者を介した間接的方法で、関連性のある必要な情報を提供した通知の対象となっている保護される目的物の新たなアップロードを避けるために最善の努力をしたこと。
    2 この第3号の適用を自己のサービスに援用するオンラインコンテンツ共有サービス提供者は、要求される視聴者及び総売上高の限界を証明する正当化要素を提出する。
    (4) オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、権利者によって、直接的、又は権利者が指名した第三者を介した間接的方法で、提供される関連性のある必要な情報又は通知にのみ基づいて行動する。
    IV Iに規定する許諾を付与する契約は、その目的の限度内で、そのサービスの使用者によって行われる公衆への伝達及びテレビ放送も許諾しているとみなされる。ただし、この使用者が、商業的な目的で行動せず、又はこの使用者によってアップロードされるコンテンツによって生じる収益が重大なものでないことを条件とする。
    V この条の枠内でとられる措置は、情報処理、ファイル及び自由に関する1978年1月6日の法律第78-17号並びに個人的な性格を有するデータの処理に関する自然人の保護及びこれらのデータの自由な流通に関連し、指令95/46/ECを廃止する2016年4月27日の規則(EU)2016/679に適合している場合を除き、個々の使用者の特定も、個人的な性格を有するデータの処理も生じさせない。

    第3目 透明性

    第219の3条 I オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、隣接権者の請求に基づいて、第219の2条のIIIの適用のために自己がとった手段の種類及び機能に関する関連性のある正確な情報を提供する。この義務は、サービス提供者によって十分に正当化される営業秘密の保護を尊重して実行され、かつ、サービス提供者と権利者間の契約の枠内で締結されるより詳細な義務を害さない。
    II 第324の8条の規定を害することなく、オンラインコンテンツ共有サービス提供者による保護される目的物の使用を許諾する契約には、隣接権者のために、この提供者からこれらの保護される目的物の使用に関する情報を伝えることを規定する。

    第4目 使用者の権利

    第219の4条 I この節の規定は、この法典によって規定される権利、及び権利者によって付与される権利の限度内での保護される目的物の自由使用を妨げることはできない。特に、これらは、オンラインコンテンツ共有サービス提供者の使用者から、この法典によって規定される隣接権の例外の有効な特権を奪う効果を有してはならない。
    II オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、そのサービスの使用者が、第219の2条のIIIに規定する行動から生じる、これらの使用者によってアップロードされる保護される目的物のブロック又は除去の状況に関連する不服申立及び処理措置にアクセスできるようにする。
    III IIに規定する措置は、不当な遅延なしに、オンラインコンテンツ共有サービス提供者による迅速かつ有効な不服処理を可能とする。使用者の不服後に、保護される目的物のブロック又は除去の継続を請求する隣接権者は、十分にその請求を正当化する。不服処理の枠内でとられるアップロードされる保護される目的物へのアクセスのブロック又はこれらの除去の決定は、自然人による管理の対象となる。
    IV 裁判官に提起する権利を害することなく、使用者又は隣接権者は、使用者の不服に対してサービス提供者によってなされた結果に関する紛争の場合に、視聴覚・デジタル伝達規制局に付託することができる。
    2 視聴覚・デジタル伝達規制局は、第331の32条の規定に従って手続きを進行する。ただし、付託から起算して1か月の期間内に和解がない場合には、規制局は、その決定を行うためにそこから起算して2か月の期間を有する。事案の緊急性又は性質によって正当化される場合には、規制局長は、これらの期間を短縮することができる。差止めの場合には、アップロードされる保護される目的物のブロック若しくは除去、又はそのようなブロック若しくは除去の撤回を確保するのに適切な措置を定める。
    3 第331の32条最終項に規定する措置は、停止的とはならない。
    4 コンセイユ・デタのデクレが、このIVの適用条件を明定する。
    V 視聴覚・デジタル伝達規制局は、特にその数、その反復的又は体系的な性格によって濫用的な付託を受け入れる義務はない。
    VI 使用者への情報伝達のために、オンラインコンテンツ共有サービス提供者は、その使用の一般的条件の中で、この法典によって規定され、保護される目的物の合法的な使用を認める隣接権の例外及び制限に関する十分な情報を規定する。


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