Home >> 外国著作権法 >> EU編



                   
    デジタル単一市場における著作権および隣接権に関するならびに指令96/9 / ECおよび2001/29 / ECを修正する
    2019年4月17日の欧州議会および欧州理事会指令(EU)


    はしがき

    目 次

    ( 前文 )


    第Ⅰ編 一般規定
    第1条  目的と適用範囲
    第2条  定義


    第Ⅱ編 例外および制限をデジタルでの国境を越える環境に適応させるための措置
    第3条  学術研究目的でのテキストおよびデータマイニング
    第4条  テキストおよびデータマイニングのための例外または制限
    第5条  デジタルでの国境を越える教育活動における著作物および他の保護対象物の使用
    第6条  文化遺産の保存
    第7条  共通規定


    第Ⅲ編 ライセンス実務を改善するため、およびコンテンツへのより広いアクセスを保証するための措置
    第1章  商業的に入手できない著作物および他の保護対象物
    第8条  文化遺産機関による商業的に入手できない著作物および他の保護対象物の利用
    第9条  国境を越える使用
    第10条  公表措置
    第11条  利害当事者間の意見交換
    第2章  集中許諾を促進するための措置
    第12条  拡大効を有する集中許諾
    第3章  ビデオ・オン・デマンド・プラットフォームにおける視聴覚著作物へのアクセスおよび利用可能性
    第13条  交渉手続き
    第4章  公有のビジュアルアート作品
    第14条  公有のビジュアルアート作品


    第Ⅳ編 著作権市場の十分な機能を確保するための措置
    第1章  出版物に対する権利
    第15条  オンライン利用に関する報道出版物の保護
    第16条  衡平な補償の請求
    第2章  保護されるコンテンツのオンラインサービスによる特定の使用
    第17条  保護されるコンテンツのオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダによる使用
    第3章  利用契約における著作者および実演家の公正な報酬
    第18条  適正かつ比例的な報酬の原則
    第19条  透明性義務
    第20条  契約調整手続き
    第21条  ADR手続き
    第22条  取消権
    第23条  共通規定


    第Ⅴ編 最終規定
    第24条  指令96/9/ECおよび2001/29/ECの修正
    第25条  他の指令に定める例外および制限との関係
    第26条  時間的適用範囲
    第27条  経過規定
    第28条  個人データ保護
    第29条  国内法化
    第30条  見直し
    第31条  発効日
    第32条  名宛人


    はしがき

     この翻訳は、欧州指令のうち、「デジタル単一市場における著作権および隣接権に関するならびに指令96/9/ECおよび2001/29/ECを修正する2019年4月17日の欧州議会および欧州理事会指令(EU)2019/790」(デジタル単一市場指令)を訳したものである。
     2010年5月に公表された欧州デジタルアジェンダでは、政策目標の一つとしてデジタル単一市場の創設が掲げられた。2015年5月には、デジタル単一市場戦略が示され、著作権の分野においても改革の必要が明示された。2016年9月には欧州委員会によるプロポーザルが提出され、本指令は、2019年3月26日、欧州議会において採択され、同年4月15日、欧州理事会において採択された。加盟国は、2021年6月7日までに、本指令を国内法化しなければならない。
     本指令は、コンテンツが国境を越えてデジタルで利用される状況を考慮し、加盟国における著作権法の調和を促進することを目的としている。従来、情報社会を考慮した加盟国における著作権法の調和を目的として、「情報社会における著作権および隣接権の特定の側面の調和に関する2001年5月22日の欧州議会および欧州理事会指令2000/31/EC」(いわゆる情報社会指令)が規定されていたが、本指令は、当該指令をはじめとする著作権分野の特定の指令に基づき、これらを補充するものとなっている。
     本指令は、例外および制限(第2編)、ライセンス実務を改善するため、およびコンテンツへのより広いアクセスを保証するための措置(第3編)、著作権市場の十分な機能を確保するための措置(第4編)について定めている。このうち、特に、注目される規定は、情報社会サービス提供者による報道出版物のオンライン利用について、報道出版物の発行者に対し、複製権と公衆に利用可能とする権利を与えた規定(15条)、オンラインコンテンツ共有サービスプロバイダが、利用者によってアップロードされた著作物へのアクセスを公衆に与える行為が、公衆への伝達行為または公衆に利用可能とする行為であることが定められた規定(17条)であり、加盟国においてどのように国内法化されるのかが注目される。
     なお、本指令の翻訳にあたっては、英語版および仏語版を参照し、一つの言語において意味が曖昧な箇所は、他の言語に基づいて補うように訳出した。


    2021年3月
    井奈波 朋子


    ページの上部へ戻る