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    第5章 著作権および著作権に関連する権利の保護

    第49条
    1 著作権および著作権に関連する権利を保護するために、権利者は技術的保護手段を施すことができる。

    2 権利者の許諾を得ることなく、いかなる機関あるいは個人は、技術的保護手段を故意に回避し、または破壊してはならない。また、主に技術的保護手段の回避あるいは破壊のために用いられる装置または部品を製造し、輸入し、あるいは公衆に提供してはならない。また、他人のために技術的保護手段の回避または破壊のための技術的サービスを故意に提供してはならない。ただし、法律または行政規則に回避可能と定めのある場合は、この限りではない。

    3 本法律にいう技術的保護手段とは、権利者の許諾を得ることなく、著作物、実演、録音物、録画物を視聴し、または楽しむこと、あるいは情報ネットワークを通じて著作物、実演、録音物、録画物を公衆に提供することを防止し、または制限することができる有効な技術、装置あるいは部品のことをいう。

    第50条
    1 次の各号に掲げる場合に限って技術的保護手段を回避することができる。ただし、技術的保護手段の回避のための技術、装置あるいは部品を他人に提供してはならない、かつ、権利者の適法に享有するその他の権利を侵害してはならない。

    (1) 学校の教室における教学または学術研究のために、既に公表された著作物であって、かつ、通常の方法では入手できない当該著作物を、教学または学術研究を行う者の使用に少量に提供する場合
    (2) 営利目的を持つことなく、読字障害を有する者が知覚可能な無障害方法により、既に公表された著作物であって、かつ、通常の方法では入手できない当該著作物を、これらの者に対して提供する場合
    (3) 国家機関が行政、監察、司法の手続に則って公務を執行する場合
    (4) コンピュータおよびそのシステムあるいはネットワークの安全性能に関してテストを実施する場合
    (5) 暗号化またはコンピュータ・ソフトウェアのリバース・エンジニアリングを研究する場合
    2 前項の規定は、著作権に関連する権利の制限について準用する。

    第51条
    権利者の許諾を得ることなく、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

    (1) 著作物、版面、実演、録音物、録画物、または、ラジオ放送、テレビ放送に関わる権利管理情報を故意に削除し、あるいは改変すること。ただし、それが技術的な理由によりやむを得ない場合には、この限りではない
    (2) 著作物、版面、実演、録音物、録画物、または、ラジオ放送、テレビ放送に関わる権利管理情報が、許諾を得ることなく削除され、あるいは改変されたことを知りながら、若しくは知り得る立場にいながら、依然として公衆に提供すること
    第52条
    次の各号に掲げる侵害行為を犯す者は、事案に応じて、侵害行為の停止、同行為による影響の排除、謝罪または損害賠償などの民事責任を負わなければならない。

    (1) 著作権者の許諾を得ることなく、その著作物を公表すること
    (2) 他の共同著作者の許諾を得ることなく、共同著作物を自らが単独で創作した著作物として公表すること
    (3) 創作に参加していないのに、個人の名声および利得を得るために他人の著作物に自己の氏名を表示させること
    (4) 他人の著作物を歪曲し、または改竄すること
    (5) 他人の著作物を剽窃すること
    (6) 著作権者の許諾を得ることなく展示、視聴覚著作物の製作に類似する方法を用いて著作物を使用し、または、翻案、翻訳、注釈などの方法を用いて著作物を使用すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。
    (7) 他人の著作物を使用するにあたって、報酬を支払わなければならないのに支払わないこと
    (8) 視聴覚著作物、コンピュータ・ソフトウェア、録音物または録画物の著作権者、実演家、録音物または録画物の製作者の許諾を得ることなく、その著作物若しくは録音物または録画物の原作品あるいは複製物を貸与すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。
    (9) 出版者の許諾を得ることなく、その出版された書籍、定期刊行物の版面を使用すること
    (10) 実演家の許諾を得ることなく、その実演を生放送し、公に伝達し、若しくはその実演を録音し、または録画すること
    (11) 著作権または著作権に関連する権利を侵害するその他の行為
    第53条
     次の各号に掲げる侵害行為を犯す者は、事案に応じて、本法律第52条に定める民事責任を負わなければならない。侵害行為が公共の利益をも同時に害する場合には、著作権主管部局により侵害行為の停止、警告、不法所得の没収、権利侵害に係る複製物および権利侵害に係る複製物の製作に用いられた主たる材料、工具および設備などの没収および無害化破棄を命じるものとする。違法営業金額が五万元以上の場合には、違法営業金額の1倍以上5倍以下の罰金を併科することができる。違法営業金額がない場合または違法営業金額を算定することが困難で、あるいは五万元未満の場合には、二十五万元以下の罰金を併科することができる。犯罪となる場合には、法に則って刑事責任の訴追を受ける。

    (1) 著作権者の許諾を得ることなく、その著作物を複製し、発行し、実演し、上映し、放送し、編集し、情報ネットワークを通じて公に送信すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りではない
    (2) 排他的出版権が他人により所有されている書籍を出版すること
    (3) 実演家の許諾を得ることなく、その実演の録音物または録画物を複製し、発行し、または、情報ネットワークを通じてその実演を公に送信すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない
    (4) 録音物または録画物の製作者の許諾を得ることなく、その製作者の製作した録音物または録画物を複製し、発行し、または情報ネットワークを通じて公に送信すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りではない
    (5) 許諾を得ることなく、ラジオ放送またはテレビ放送を伝達し、複製し、または情報ネットワークを通じて公に送信すること。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りではない
    (6) 著作権者または著作権に関連する権利の権利者の許諾を得ることなく、技術的保護手段を故意に回避し、または破壊すること。技術的保護手段の回避あるいは破壊のために用いられる主たる装置または部品を故意に製造し、輸入し、あるいは提供すること。また、他人のために技術的保護手段の回避または破壊するための技術的サービスを故意に提供すること。ただし、法律または行政規則に別段の定めがある場合は、この限りではない
    (7) 著作権者または著作権に関連する権利の権利者の許諾を得ることなく、著作物、版面、実演、録音物、録画物、または、ラジオ放送、テレビ放送に関わる権利管理情報を故意に削除し、あるいは改変すること。著作物、版面、実演、録音物、録画物、または、ラジオ放送、テレビ放送に関わる権利管理情報が、許諾を得ることなく削除され、あるいは改変されたことを知りながら、若しくは知り得る立場にいながら、依然として公衆に提供すること。ただし、法律または行政規則に別段の定めがある場合は、この限りではない
    (8) 他人の署名を偽造した著作物を制作し、販売すること

    第54条
    1 著作権または著作権に関連する権利を侵害した場合には、権利を侵害した者は、権利者がこれにより受けた実際の損害あるいは権利を侵害した者の不法所得に応じて賠償しなければならない。権利者の実際の損害あるいは権利を侵害した者の不法所得を算定することが困難である場合には、当該権利の許諾使用料を参考に賠償することができる。著作権または著作権に関連する権利を故意に侵害し、事案が重大である場合には、前述の方法により確定された金額の1倍以上5倍以下の金額で賠償することができる。

    2 人民裁判所は、権利者の実際の損害、権利を侵害した者の不法所得、および権利の許諾使用料を算定することが困難である場合には、侵害行為の事案状況に基づき五百元以上五百万元以下の賠償を判決するものとする。

    3 賠償金額は、権利者が権利侵害に係る行為を停止させるために支払った合理的な費用を含まなければならない。

    4 人民裁判所は、賠償金額を確定するにあたって、権利者が必要な立証責任を果たしたにもかかわらず、権利侵害行為に関連する帳簿、資料などが、権利を侵害した者により主に所持されている場合には、権利を侵害した者に対し、当該権利侵害行為に関する帳簿、資料などの提出を命令することができる。権利を侵害した者が提出を拒み、あるいは虚偽の帳簿、資料などを提出した場合には、人民裁判所は、権利者の主張および提出された証拠を参考に賠償金額を確定することができる。

    5 人民裁判所は、著作権紛争案件を審理するにあたって、権利者の請求に応じて権利侵害に係る複製物の破棄を命令しなければならないが、特別な事情がある場合は、この限りではない。また、権利侵害に係る複製物の製作に用いられた主たる材料、工具および設備などの破棄を命令し、かつ、補償を認めないものとする。若しくは、特別な事情がある場合には、前述の材料、工具および設備などの商業的流通を禁止し、かつ、補償を認めないものとする。

    第55条
    1 著作権および著作権に関連する権利を侵害する疑いのある行為を調査し、処分するにあたって著作権主管部局は、関係の当事者に対し質問し、疑いのある違法行為に関する事情を取り調べることができるほか、当事者が違法行為に関わった場所および物品に関する現場検証をすることもできる。また、疑いのある違法行為に係る契約書、領収書、帳簿およびその他の関連資料を査閲し、複製し、更に、疑いのある違法行為の場所および物品を差し押さえ、あるいは押収することができる。

    2 著作権主管部局が法に則って前項規定の職権を行使する場合には、関係の当事者は、これに協調し、または協力しなければならない。これを拒み、あるいは妨害してはならない。

    第56条
     著作権者または著作権に関連する権利の権利者は、他人がその権利を侵害し、または侵害しようとしていること、あるいはその権利の実現を妨げていることを証明する証拠を有し、すみやかに停止させなければ、その適法の権益が補いがたい損害を受けるおそれのある場合には、訴訟を提起する前に法に則って特定行為の履行あるいは特定行為の停止を命じ、財産保全措置などを講じるよう人民裁判所に申し立てることができる。

    第57条
     権利侵害の行為を停止させるために、証拠が滅失し、または将来取得することが難しくなるおそれのある場合には、著作権者または著作権に関連する権利の権利者は、訴訟を提起する前に法に則って証拠保全を人民裁判所に申し立てることができる。

    第58条
     人民裁判所は、事案を審理するにあたって、著作権または著作権に関連する権利を侵害している者に対して、不法所得、権利侵害に係る複製物および不法活動に係る金品を没収することができる。

    第59条
    1 複製物の出版者または製作者が、その出版または製作が適法に授権されたことを証明することができない場合には、あるいは、複製物の発行者または視聴覚著作物、コンピュータ・ソフトウェアおよび録音物または録画物の複製物の貸与を行う者がその発行し、貸与する複製物について適法の供給源のあることを証明できない場合には、法的責任を負わなければならない。

    2 訴訟の手続において、被告である権利を侵害した者が、権利侵害責任を負わないと主張する場合には、証拠を提出し、権利者の許諾を既に得ていることを証明しなければならない、あるいは、この法律の規定に基づき権利者の許諾を得ることなく使用することが認められている状況を明らかにしなければならない。

    第60条
    1 著作権に係る紛争は、調停により解決することができる。また、当事間の書面による仲裁合意または著作権契約に定める仲裁条項に基づき、仲裁機関に仲裁を申し立てることもできる。

    2 当事者間の書面による仲裁合意がなく、著作権契約に仲裁条項の定めもない場合には、人民裁判所に直接訴訟を提起することができる。

    第61条
     当事者が契約上の義務を履行しない、あるいは契約上の義務を契約条件通りに履行しないことにより民事責任を負う場合に、または、当事者が訴訟に関する権利を行使し、保全の申立などをする場合には、関係の法律の規定が適用される。




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