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    1965年9月9日の著作権及び著作隣接権に関する法律(著作権法)
    (連邦法律広報第 I 部第1273頁)

    最終改正:2008年12月17日の家事事件及び非訟事件における手続の改正に関する法律
    (連邦法律広報第 I 部第2586頁)



                                                                           

    第1章 著作権

    第1節 総則

    第1条

    文学、学術、及び美術の著作物の著作者は、その著作物について、この法律の定めるところに従い保護を受ける。


    第2節 著作物

    第2条 保護を受ける著作物

    (1) 保護を受ける文学、学術、及び美術の著作物には、とりわけ、次に掲げるものが属する。
    1.文書、演説及びコンピュータ・プログラムのような言語の著作物
    2.音楽の著作物
    3.無言劇の著作物 舞踊の著作物を含む。
    4.造形美術の著作物 建築及び応用美術の著作物並びにそれらの著作物の下図を含む。
    5.写真の著作物 写真の著作物と類似の方法により作成される著作物を含む。
    6.映画の著作物 映画の著作物と類似の方法により作成される著作物を含む。
    7. 図面、設計図、地図、略図、図表及び立体描写のような学術的又は技術的方法による描写

    (2) この法律の意味における著作物とは、個人的かつ精神的な創作のみをいう。

    第3条 翻案物

    著作物の翻訳物その他の翻案物で翻案者の個人的かつ精神的な創作であるものは、翻案された著作物の著作権にかかわらず、独立の著作物として保護を受ける。保護を受けない音楽の著作物の非本質的な翻案物にすぎないものは、独立の著作物として保護を受けない。

    第4条 編集著作物及びデータベースの著作物

    (1) 著作物、データその他独立の素材からなる編集物で、その素材の選択又は配列によって個人的かつ精神的な創作であるもの(編集著作物)は、その個個の素材に場合によっては存する著作権又は著作隣接権にかかわらず、独立の著作物として保護を受ける。

    (2) この法律の意味におけるデータベースの著作物とは、編集著作物で、その素材が、体系的又は組織的に配列され、かつ、電子的手段を用いて又は他の方法によって個別に使用可能であるものをいう。データベースの著作物の作成のために、又はその素材へのアクセスを可能にするために用いられたコンピュータプログラム(第69a条)は、データベースの著作物の要素にあたらない。

    第5条 官公庁の著作物

    (1) 法律、命令、官公庁の布告及び公示並びに判決及び官公庁の作成に係る判決要旨は、著作権の保護を受けない。

    (2) その他官公庁の著作物で、官公庁の利益において一般の閲覧のために公にされているものについては、第62条第1項乃至第3項並びに第63条第1項及び第2項における変更禁止及び出典表示に関する規定を準用することを条件として、同様とする。

    (3) 法律、命令、布告又は官公庁の公示が、私的な規格文書について文言を再録することなく参照を指示する場合には、その私的な規格文書に関する著作権は、前二項によって妨げられない。この場合において、著作者は、出版者のいずれに対しても、相当なる条件のもとに、その複製及び頒布に関する権利を許与する義務を負う。複製及び頒布に関する排他的権利の保有者が第三者である場合には、この保有者が、第2文に基づいて、使用権の許与について義務を負う。

    第6条 公表された著作物及び発行された著作物

    (1) 著作物は、それが権限を有する者の同意を得て公衆に提供されている場合において、公表されたものとする。

    (2) 著作物は、権限を有する者の同意を得て、当該著作物の複製物が、その製作の後に、十分な部数をもって公衆に供給され又は取引に供されている場合において、発行されたものとする。造形美術の著作物については、著作物の原作品又は複製物が、権限を有する者の同意を得て、恒常的に公衆に提供されている場合にも、発行されたものとみなす。


    第3節 著作者

    第7条 著作者

    著作者とは、著作物の創作者をいう。

    第8条 共同著作者

    (1) 二以上の者が著作物を共同で作成した場合において、その各人の持分を個別に利用することができないときは、それらの者は、その著作物の共同著作者という。

    (2) 著作物の公表に関する権利及び著作物の利用に関する権利は、共同著作者の共有に帰属するものとし、この場合において、著作物の変更は、共同著作者の同意を得たときにのみ許される。ただし、共同著作者は、公表、利用又は変更に関するその同意を、信義誠実に反して拒んではならない。各共同著作者は、共同著作権の侵害を根拠として、請求権を行使することができる。ただし、各共同著作者が求めることのできる給付は、すべての共同著作者に対する給付にかぎられる。

    (3) 著作物の使用から得られる収益は、共同著作者の間に別段の合意がないときは、著作物の創作における各人の協力の程度に応じて、共同著作者に配分されるものとする。

    (4) 共同著作者は、利用権(第15条)について、その持分を放棄することができる。その放棄は、他の共同著作者に対して表示されなければならない。その表示をもって、その持分は、他の共同著作者に帰属する。

    第9条 結合された著作物の著作者

    二以上の著作者が、それらの著作物を、共同の利用のために相互に結合した場合には、各著作者は、他の著作者に対して、その結合された著作物の公表、利用及び変更に関する同意を、その同意が信義誠実に照らして他の著作者に期待し得るときは、求めることができる。

    第10条 著作者又は権利保有者の推定

    (1) 発行された著作物の複製物に、又は造形美術の著作物の原作品に、著作者として通常の方法により表示されている者は、反証があるまでは、その著作物の著作者とみなされる。著作者の変名又は雅号としてすでに知られた表示についても、同様とする。

    (2) 著作者が前項に基づいて表示されていないときは、著作物の複製物に刊行者として表示されている者が、著作者の権利を行使する権限を有するものと推定する。刊行者の表示がないときは、出版者が、権限を有するものと推定する。

    (3) 排他的使用権の保有者に関しては、仮の権利保護の手続が行われ、又は不作為請求権が行使されるものと認められるときは、第1項の推定を準用する。推定は、著作者又は著作隣接権の当初の保有者に関しては、適用しない。

    第4節 著作権の内容

    第1款 総則

    第11条

    著作権は、著作者を、その著作物に対するその精神的かつ個人的な関係において、及びその著作物の使用において、保護する。著作権は、同時に、著作物の使用に関する相当なる報酬の保障にも寄与する。

    第2款 著作者人格権

    第12条 公表権

    (1) 著作者は、その著作物の公表の可否及びその方法を決定する権利を有する。

    (2) 著作物又は著作物の本質的内容若しくはその説明のいずれもが、未だ著作者の同意を得て公表されていないかぎり、著作物の内容を公衆に知らせ、又は説明することは、その著作者に留保されるものとする。

    第13条 著作者であることの承認

    著作者は、その著作物について、自らがその著作者であることの承認を求める権利を有する。著作者は、著作物に著作者表示を付するか否か、及びいかなる表示を用いるかについて、決定することができる。

    第14条 著作物の歪曲

    著作者は、その著作物の歪曲その他の毀損で、著作物に関する自らの正当な精神的又は個人的な利益を危うくすると評価されるものを、禁止する権利を有する。

    第3款 利用権

    第15条 通則

    (1) 著作者は、その著作物を有形的な形態において利用することについて、排他的権利を有する。この権利は、とりわけ、次の各号に掲げるものを含む。
    1. 複製権(第16条)
    2. 頒布権(第17条)
    3. 展示権(第18条)

    (2) 著作者は、さらに、その著作物を無形的な形態において公衆に再生することについて、排他的権利(公衆への再生の権利)を有する。この公衆への再生の権利は、とりわけ、次の各号に掲げるものを含む。
    1. 口述権、上演・演奏権及び上映権(第19条)
    2. 公衆提供の権利(第19a条)
    3. 放送権(第20条)
    4. 録画物又はレコード盤による再生の権利(第21条)
    5. 放送による再生の権利及び公衆提供による再生の権利(第22条)

    (3) 再生は、それが公衆における多数の構成員に向けて行われるとき、公衆への再生であるという。公衆に属する者とは、著作物を利用する者又は他の者で著作物が無形的な形態において知覚可能なものとされ若しくは提供されているものと、個人的な関係によって結ばれていないすべての者をいう。

    第16条 複製権

    (1) 複製権とは、一時的又は持続的の別、方法及び数量のいかんを問わず、著作物の複製物を製作する権利をいう。

    (2) 連続映像又は連続音声を反復して再生するための装置(録画物又はレコード盤)に著作物を再製することも、著作物の再生を録画物又はレコード盤に収録する場合と、著作物を一の録画物又はレコード盤から他の録画物又はレコード盤に再製する場合とを問わず、複製にあたる。

    第17条 頒布権

    (1) 頒布権とは、著作物の原作品又は複製物を、公衆に供給し、又は取引に供する権利をいう。

    (2) 著作物の原作品又は複製物が、その頒布について権限を有する者の同意を得て、欧州連合の域内又は欧州経済領域に関する協定の他のいずれかの締約国の領域内で、譲渡の方法によって取引に供されている場合には、その原作品又は複製物の再頒布は、賃貸する場合を除いて、許される。

    (3) この法律の規定の意味における賃貸とは、時間的に制限された使用の引渡しであって直接的又は間接的に営利を目的とするものをいう。ただし、次の各号のいずれかに掲げるものの引渡しは、賃貸にあたらない。
    1. 建築の著作物及び応用美術の著作物の原作品又は複製物
    2. 雇用関係又は職務関係において、その雇用関係又は職務関係から生ずる義務の履行にあたって使用されることを専ら目的とする原作品又は複製物

    第18条 展示権

    展示権とは、未公表の造形美術の著作物の原作品若しくは複製物又は未公表の写真の著作物の原作品若しくは複製物を、公衆に展示する権利をいう。

    第19条 口述権、上演・演奏権及び上映権

    (1) 口述権とは、人の実演によって、言語の著作物を公衆に聞かせる権利をいう。

    (2) 上演・演奏権とは、人の実演によって、音楽の著作物を公衆に聞かせ、又は著作物を公衆に上演する権利をいう。

    (3) 口述権及び上演・演奏権は、口述及び上演・演奏を、人の実演が行われる場所の場外において、映像ディスプレー、スピーカー又は類似の技術的装置によって、公衆に知覚可能なものとする権利を含む。

    (4) 上映権とは、造形美術の著作物、写真の著作物、映画の著作物又は学術的若しくは技術的方法による描写を、技術的装置によって公衆に知覚可能なものとする権利をいう。上映権は、これらの著作物の放送又は公衆提供を公衆に知覚可能なものとする権利(第22条)を含まない。

    第19a条 公衆提供の権利

    公衆提供の権利とは、著作物を、有線又は無線により、公衆の構成員がその選択に係る場所及び時において当該著作物を使用できる方法で、公衆に提供する権利をいう。

    第20条 放送権

    放送権とは、著作物を、音声及びテレビジョン放送、衛星放送、有線放送又は類似の技術的手段をはじめとする放送により、公衆に提供する権利をいう。

    第20a条 欧州における衛星放送

    (1) 衛星放送が、欧州連合のいずれかの加盟国又は欧州経済領域に関する協定のいずれかの締約国の領域内で実施される場合には、衛星放送は、専らその加盟国又は締約国で行われるものとみなす。

    (2) 衛星放送が、欧州連合の加盟国又は欧州経済領域に関する協定の締約国のいずれにも該当せず、かつ、衛星放送の権利に関して、衛星放送及び有線再送信に関する特定の著作権及び給付保護権の規定を調整するための1993年9月27日の理事会指令93/83/EWG(欧州共同体公報第L248号第15頁)第2章に定める保護水準が保障されていない国の領域内で実施される場合には、衛星放送は、次の各号のいずれかに掲げるときは、それぞれ当該各号に定める加盟国又は締約国で行われるものとみなす。
    1.番組伝送信号を衛星に送出する地上放送局が加盟国又は締約国にあるとき、その加盟国又は締約国
    2.前号に基づく要件が存しない場合において、放送事業者がその営業所を加盟国又は締約国に置くとき、その加盟国又は締約国
    放送権は、第1号の場合においては地上放送局の保有者に対して、第2号の場合においては放送事業者に対して、それぞれ行使するものとする。

    (3) 前二項の意味における衛星放送とは、放送事業者が、その管理と責任のもとで、公衆による受信を予定された番組伝送信号を、中断しない伝送連鎖であって衛星と地上を往復するものに入力することをいう。

    第20b条 再放送

    (1) 放送される著作物を、同時に、変更を加えず、かつ完全に中継される放送番組内において再放送すること(再放送)の権利は、集中管理団体によってのみ行使することができる。ただし、次に掲げる権利については、この限りでない。  
    1. 専らインターネットにおいて放送される著作物に関する権利
    2. 放送事業者が自らの放送に関して行使する権利
    (1a) インターネット接続サービスを通じた再放送の場合において、前項の規定が適用されるのは、再放送サービスの運営者が、安全な環境において権限を有するユーザーにのみ放送番組へのアクセスを提供する場合に限る。

    (1b) 前項の意味におけるインターネット接続サービスとは、開かれたインターネットへのアクセスに関する措置、電子通信ネットワーク及び同サービスに関するユニバーサルサービス及びユーザーの権利に関する指令2002/22/EGの改正、並びに欧州連合における公衆モバイルネットワーク内のローミングに関する規則(EU)531/2012号の改正に関する2015年11月25日の欧州議会及び理事会規則(EU)2015/2120(官報L 310 2015年11月26日1頁)で、指令(EU)2018/1972(官報L 321 2018年12月17日36頁、L 334 2019年12月27日164頁)により最後に改正されたものの第2条第2項第2号の規定によるサービスをいう。

    (2) 著作者が、再放送の権利を、放送事業者、レコード盤製作者又は映画製作者に許与した場合にあっても、再放送サービスは、著作者に、その再放送について相当なる報酬を支払わなければならない。この報酬請求権は、放棄することができない。報酬請求権は、あらかじめ集中管理団体にのみ移転し、かつ、当該集中管理団体によってのみ行使することができる。この規定は、放送事業者の労働協約及び事業所協定及び共通報酬規定が著作者にすべての再放送について相当なる報酬を与える場合にかぎり、それらの適用を妨げるものではない。

    第20c条 欧州における補完的オンライン・サービス

    (1) 放送事業者による補完的オンライン・サービスとは、次に掲げるものをいう。  
    1. 他の方法による自らの放送と同時に、インターネットで放送番組を放送すること
    2. 既に放送された放送番組で、その放送後の一定期間、放送番組の補完的な素材も含めてアクセス可能なものを、インターネットにおいて公衆提供すること
    (2) 欧州連合の加盟国又は欧州経済領域に関する協定の締約国における放送事業者の補完的オンライン・サービスの実施のための著作物の複製又は公衆再生は、専ら当該放送事業者が主たる事業所を有する加盟国又は協定締約国において行われたものとする。権利保有者及び放送事業者は、放送事業者の補完的オンライン・サービスに関する使用権の範囲を制限することができる。

    (3) 前項の規定は、テレビ放送番組の場合には、放送事業者の独自の制作物で当該放送事業者の全額出資によるもの、並びにニュース放送及び時事の事件に関する報道に関してのみ適用され、スポーツイベントの送信には適用されないものとする。

    第20d条 直接送出

    (1) 放送事業者が放送番組伝送信号を、自ら同時に公衆に再生することなく信号配信者に送信し(直接送出)、信号配信者が当該放送番組伝送信号を公衆に再生する場合には、放送事業者及び信号配信者は、単一の公衆再生に関する当事者とみなす。

    (2) 第20b条の規定は、ここに準用する。

    第21条 録画物又はレコード盤による再生の権利

    録画物又はレコード盤による再生の権利とは、著作物の口述又は上演・演奏を、録画物又はレコード盤を用いて公衆に知覚可能なものとする権利をいう。第19条第3項は、ここに準用する。

    第22条 放送による再生の権利及び公衆提供による再生の権利

    放送による再生の権利及び公衆提供による再生の権利とは、著作物の放送を、及び著作物の公衆提供に基づく再生を、映像ディスプレー、スピーカー又は類似の技術的装置により、公衆に知覚可能なものとする権利をいう。第19条第3項は、ここに準用する。

    第23条 翻案物及び改作物

    (1) 著作物の翻案物又はその他改作物は、とくにメロディに係るそれも含め、著作者の同意がある場合にかぎり、公表し、又は利用することができる。新たに作成された著作物が、使用された著作物との関係で十分な距離を確保する場合には、第1文の意味における翻案物又は改作物は存在しないものとする。

    (2) 次の各号のいずれかの場合には、翻案物その他改作物の作成にあたり、すでに著作者の同意が要される。  
    1. 著作物の映画化
    2. 造形美術の著作物の設計図及び下図の実施
    3. 建築の著作物の建造
    4. データベースの著作物の翻案物又は改作物

    (3) 第44b条第2項、第60d条第1項、第60e条第1項及び第60f条第2項に基づく使用の場合において、専ら技術的な理由による著作物の変更に対しては、前二項の規定は適用されない。

    第24条 廃止

    第4款 著作者のその他の権利

    第25条 著作物現品への接近

    (1) 著作者は、その著作物の原作品又は複製物の占有者に対して、著作物の複製物又は翻案物の製作に必要な場合において、占有者の正当な利益に反しないときにかぎり、その原作品又は複製物に自らが近づくことができるよう求めることができる。

    (2) 占有者は、その原作品又は複製物を著作者に引き渡すことについて義務を負うことはない。

    第26条 追及権

    (1) 造形美術の著作物又は写真の著作物の原作品が再譲渡される場合において、美術商又は競売人が、取得者、譲渡人又は仲介人としてこれに関与するときは、その譲渡人は、著作者に対して、譲渡価額の配当を支払わなければならない。税を控除した販売価格をもって第1文の意味における譲渡価額とみなす。譲渡人が私人である場合には、取得者又は仲介人として関与した美術商又は競売人が、その者とともに連帯債務者として責任を負う。ただし、相互の関係においては譲渡人が単独で責任を負う。第1文に基づく義務の負担は、譲渡価額が400ユーロに満たないときは、消滅する。

    (2) 譲渡価額の配当の額は、次に掲げるとおりとする。  
    1. 譲渡価額の5万ユーロまでの部分については4パーセント
    2. 譲渡価額の5万ユーロ1セントから20万ユーロまでの部分については3パーセント
    3. 譲渡価額の20万ユーロ1セントから35万ユーロまでの部分については1パーセント
    4. 譲渡価額の35万ユーロ1セントから50万ユーロまでの部分については0.5パーセント
    5. 譲渡価額の50万ユーロを超える部分については0.25パーセント
    再譲渡から生ずる追及権の報酬の総額は、12500ユーロを超えることはない。

    (3) 追及権は、これを譲渡することはできない。著作者は、自らの配当をあらかじめ放棄することはできない。

    (4) 著作者は、美術商又は競売人に対して、報告であって、その美術商又は競売人の関与のもとで当該報告の請求前3年間に再譲渡された自らの著作物の原作品を特定するためのものを、求めることができる。

    (5) 著作者は、譲渡人に対する自らの請求権の実行に必要と認められる場合には、美術商又は競売人に対して、譲渡人の氏名及び住所並びに譲渡価額の額について報告を求めることができる。美術商又は競売人は、譲渡人が著作者に配当を納付するときは、譲渡人の氏名及び住所に関する報告を拒絶することができる。

    (6) 第4項及び第5項に基づく請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (7) 第4項又は第5項に基づく報告において、その正当性又は完全性に関して合理的な疑いが存するときは、集中管理団体は、報告義務者の選ぶところにより、自らに、又は報告義務者が指定することのできる公認会計士若しくは公認監査役に、当該報告の正当性又は完全性を確認するために必要なかぎりにおいて、営業帳簿又はその他の文書の閲覧を許すよう、求めることができる。報告が不正当又は不完全である旨が証明されたときは、報告義務者は、その審査に係る費用を弁済しなければならない。

    (8) 前各項の規定は、建築の著作物及び応用美術の著作物には適用しないものとする。

    第27条 賃貸及び貸出に対する報酬

    (1) 著作者が、録画物又はレコード盤に関する賃貸権(第17条)を、レコード盤製作者又は映画製作者に許与していた場合といえども、賃貸人は、著作者に、その賃貸に対する相当なる報酬を支払わなければならない。この報酬請求権は、放棄することができない。報酬請求権は、あらかじめ集中管理団体にのみ移転することができる。

    (2) 著作物の原作品又は複製物で、その再頒布が、第17条第2項に基づき許されるものの貸出しに対しては、その原作品又は複製物が、公衆に利用可能な施設(図書館、録画物若しくはレコード盤又は他の原作品若しくは複製物の収集施設)によって貸出される場合には、著作者に、相当なる報酬を支払うものとする。この第1文の意味における貸出しとは、時間的に制限された使用の引渡しであって、直接的であるか又は間接的であるかを問わず、営利を目的としないものをいう。第17条第3項ただし書は、ここに準用する。

    (3) 前二項に基づく報酬請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。


    第5節 著作権における法律関係

    第1款 著作権の承継

    第28条 著作権の相続

    (1) 著作権は、相続することができる。

    (2) 著作者は、終意処分により、著作権の行使を遺言執行者に委託することができる。民法第2210条は、適用しないものとする。

    第29条 著作権に関する法律行為

    (1) 著作権は、譲渡することができない。ただし、死因処分を理由とする執行において譲渡され、又は遺産分割の方法によって共同相続人に譲渡される場合は、このかぎりでない。

    (2) 使用権の許与(第31条)、利用権に関する債権的な同意及び合意並びに第39条に規定される著作者人格権に関する法律行為は、許される。

    第30条 著作者の権利承継人

    著作者の権利承継人は、別段の定めがないかぎり、この法律に基づいて著作者に帰属することとなる権利を有する。

    第2款 使用権

    第31条 使用権の許与

    (1) 著作者は、その著作物を個個の又はすべての使用方法によって使用する権利(使用権)を、他者に許与することができる。使用権は、単純使用権又は排他的使用権として、地域的、時間的、又は内容的に制約を付して許与することができる。

    (2) 単純使用権は、その保有者に、著作物を、他者による使用を排除することなく、許諾された方法によって使用することについて、権限を与える。

    (3) 排他的使用権は、その保有者に、他のすべての者を排して自らに許諾された方法によって著作物を使用すること及び使用権を許与することについて、権限を与える。著作者による使用を留保することは、定めることができる。第35条は、これによって妨げられない。

    (4) (廃止)

    (5) 使用権の許与に際して、使用方法が明示的かつ個別に表示されていない場合には、使用権の及ぶ使用方法は、当事者双方が基礎とした契約の目的に従って定める。使用権の許与の有無、単純使用権と排他的使用権の別、使用権及び禁止権の及ぶ範囲、並びに使用権が服する制限の種類について疑義が生じた場合にも、同様とする。

    第31a条 未知の使用方法に関する契約

    (1) 契約で、それにより著作者が未知の使用方法に関する権利を許与し、又はその義務を負担するものは、書面形式を要する。書面形式は、著作者がいずれの者に対しても無償で単純使用権を許与する場合には、要しない。ただし著作者は、この権利の許与又はその義務の負担を取消すことができる。取消権は、他人が著作物の新たな使用方法の着手の意図に関する通知を、著作者に対して、その者に最後に知られた住所によって発信した後3ヶ月を経過した後に、消滅する。

    (2) 取消権は、当事者が新たな使用方法が知られた後に第32c条第1項に基づく報酬について合意した場合には、消滅する。取消権は、当事者が報酬を共通報酬規定に基づいて合意した場合にも、消滅する。取消権は、著作者の死亡とともに消滅する。

    (3) 複数の著作物又は著作物構成物が、新たな使用方法においては、すべての著作物又は著作物構成物の使用によってのみ相当な方法で利用され得る総体に統合されている場合は、著作者は、その取消権を、信義誠実に反して行使することはできない。

    (4) 前三項に基づく権利は、あらかじめこれを放棄することはできない。

    第32条 相当なる報酬

    (1) 著作者は、使用権の許与及び著作物の使用についての許諾に対して、契約によって合意された報酬を求める請求権を有する。報酬の額について定めがないときは、相当なる報酬が合意されたものとみなす。合意された報酬が相当なものでないかぎり、著作者は、契約の相手方に対して、当該契約の変更で著作者に相当なる報酬を与えるものに同意することを求めることができる。

    (2) 共通報酬規定(第36条)に基づいて算出された報酬は、これを相当なものとする。その余の場合には、報酬が、許与された使用可能性の方法及び範囲、とりわけ使用の期間、頻度、規模及び時期に照らすならば、すべての事情に鑑みて、契約締結の時点において商取引上通常かつ誠実に給付されるべきものに相応しいとき、その報酬は、これを相当なものとする。包括的報酬は、使用料の総見込み額に対する著作者の相当なる利益分与を保証し、かつ、当該産業分野の特性に照らし正当なものでなければならない。

    (2a) 共通報酬規定は、その時間的な適用範囲に先立って締結された契約の場合にも、相当なる報酬の算出に関して、用いることができる。

    (3) 契約の相手方は、前三項に反する合意で著作者の不利益となるものを援用することはできない。第1文に掲げる規定は、それらの規定が別途の手段によって潜脱される場合にも、適用するものとする。ただし、著作者は、いずれの者に対しても無償で単純使用権を許与することができる。

    (4) 著作者は、その著作物の使用に関する報酬が労働協約によって定められているかぎり、第1項第3文に基づく請求権を有しない。

    第32a条 著作者の追加の利益分与

    (1) 著作者が、他者に使用権を許与した場合において、その条件の結果、合意された反対給付が、著作者とその他者との関係を総合的に考慮すれば、著作物の使用から生ずる収益及び利益との比較において不均衡なまでに過少である旨が証明されるときは、その他者は、著作者の求めに応じ、契約の変更であって、諸般の事情に照らし相当なる追加の利益分与を著作者に与えるものに同意する義務を負う。契約の相手方が、得られた収益又は利益の額を予見していたかどうか、又は予見することができたかどうかは、問わない。

    (2) その他者が、使用権を譲渡し、又は転使用権を許与した場合において、第三者の収益又は利益により著作者の不均衡なまでに過少な報酬が生ずるときは、その第三者が、ライセンス系列における契約上の関係を考慮しつつ、前項の定めるところに従い、著作者に対して直接に責任を負う。その他者の責任は、消滅する。

    (3) 前二項に基づく請求権は、あらかじめ放棄することができない。この請求権に対する期待権は、強制執行を受けないものとし、期待権の処分は、無効とする。ただし、著作者は、いずれの者に対しても単純使用権を無償で許与することができる。

    (4) 報酬が、共通報酬規定(第36条)に基づき又は労働協約により定められ、かつ、第1項の場合に関して相当なる追加の利益分与を明示的に予定しているかぎり、著作者は、第1項に基づく請求権を有しない。第32条第2a項は、ここに準用する。

    第32b条 強制適用

    第32条、第32a条、第32d条乃至第32f条及び第38条第4項は、次の各号のいずれかに掲げるときは、強制的に適用される。
    1. 法選択が無かったならば、使用契約にドイツ法を適用するものとすべきとき。
    2. この法律の地域的適用範囲における決定的な使用行為が、契約の対象と認められるとき。

    第32c条 後に知られた使用方法に関する報酬

    (1) 著作者は、契約の相手方が、第31a条に基づき、著作物の新たな使用方法で、契約締結の時点で合意はされたが未だ知られていなかったものに着手する場合には、別個の相当な報酬を求める請求権を有する。第32条第2項及び第4項は、ここに準用する。契約の相手方は、著作者に対して、著作物の新たな使用方法の着手について遅滞なく通知しなければならない。

    (2) 契約の相手方がその使用権を第三者に譲渡した場合には、この第三者が、著作物の新たな使用方法の着手により、前項に基づく報酬について責任を負う。契約の相手方の責任は消滅する。

    (3) 前二項に基づく権利は、あらかじめこれを放棄することはできない。ただし、著作者は、いずれの者に対しても単純使用権を無償で許与することができる。

    第32d条 契約の相手方の報告及び釈明

    (1) 使用権を有償で許与する場合には、その契約の相手方は著作者に対して、少なくとも年に1回、著作物使用の範囲及びそれによって得られた収益又は利益に関する報告を提供する。報告は、適切な事業経営の枠組みにおいて通常入手される情報に基づいて、行われる。報告は、著作物の使用開始から1年後に最初に、かつ、著作物の使用期間にかぎり、提供されるものとする。

    (1a) 著作者の求めがある場合にかぎり、契約の相手方は、そのサブライセンシーの名前及び住所に関する報告を提供し、かつ、前項に基づく報告に関して釈明を行わなければならない。

    (2) 前二項の規定は、次の各号のいずれかに掲げる場合には、適用しない。
    1. 著作者が検証可能な事実に基づき、契約調整(第32a条第1項及び第2項)に関する報告を自らが必要とすることに関し、明確な理由を陳述する場合を除き、著作者が、著作物、商品又はサービスに対して単に従たる貢献をなしているにすぎないとき。貢献が従たるものであるとは、とりわけ、その貢献が、著作物、商品又はサービスの典型的な内容に含まれない場合のように、著作物の全体印象又は商品若しくはサービスの質を特徴づける程度が軽微であることをいう。
    2. 契約の相手方による履践が、とりわけ報告のための支出が著作物の使用による収入に対し不釣り合いとなるであろう場合において、他の理由により均衡を失するとき。
    (3) 第1項乃至第2項に従わないことができるのは、共通報酬規程(第36条)又は労働協約に基づく合意による場合に限る。第1文の場合において、その集団的な協約が、少なくとも法律上の規定と同程度の透明性を著作者に保証しているものと推定される。

    第32e条 ライセンス系列における第三者の報告及び釈明

    (1) 著作者の契約の相手方が、使用権を譲渡し又は転使用権を許与した場合には、著作者は、第32d条第1項乃至第2項の範囲における報告及び釈明を、第三者で次の各号のいずれかに掲げる者に対しても、求めることができる。
    1. ライセンス系列における使用のプロセスを、経済的に実質的に確定する者。
    2. 第32a条第2項にいう著作者の不均衡なまでに過少な報酬を、自らの収益又は利益から生じさせる者。
    著作者が第1文に基づく請求権を行使できるのは、自らの契約の相手方が第32d条に基づく報告義務を期日から3か月以内に履行せず、又は、その報告が第三者の著作物使用及びそれによって得られた収益又は利益について十分な情報を提供しない場合にかぎる。

    (2) 第1項に基づく請求権を行使するには、検証可能な事実に基づき、当該要件に関する明確な理由が存在することをもって足りる。

    (3) 第32d条第3項はここに準用する。

    第32f条 調停及び裁判外の紛争処理

    (1) 著作者及び著作物使用者は、とりわけ第32条乃至第32e条に基づく権利及び請求権に関する争いにおいて、調停又はその他の任意の手続で裁判外の紛争処理に関するものを開始することができる。

    (2) 著作者の不利益において前項に反する合意は、これを著作者の契約の相手方又はその他の著作物使用者が援用することはできない。

    第32g条 団体による利益代表

    著作者は、第32条乃至第32f条に基づく権利及び請求権に関する争いにおいて、リーガル・サービス法(Rechtsdienstleistungsgesetz)及び訴訟法の定めるところに従い、著作者の団体を代理とすることができる。

    第33条 使用権の持続効

    排他的使用権及び単純使用権は、後続して許与される使用権に対して、引き続きその効力を有する。その使用権を許与した権利の保有者に変更があるとき、又はその者がその権利を放棄するときも、同様とする。

    第34条 使用権の譲渡

    (1) 使用権は、著作者の同意を得た場合にかぎり、譲渡することができる。著作者は、その同意を、信義誠実に反して拒んではならない。

    (2) 編集著作物(第4条)の使用権と併せ、その編集著作物に取り込まれた個個の著作物の使用権が譲渡される場合は、編集著作物の著作者の同意をもって足りる。

    (3) 譲渡が、事業の全部譲渡又は一部譲渡の中で行われる場合には、使用権は、著作者の同意を得ることなく譲渡することができる。その取得者による使用権の行使が、信義誠実に照らして著作者に期待し得ないときは、著作者は、その使用権を撤回することができる。この第2文は、使用権の保有者の事業において資本の参加関係が実質的に変更されるときにも、適用される。

    (4) 著作者が、使用権の譲渡について、個個の場合において明示的に同意していなかったときは、使用権の取得者は、著作者との契約から生ずる義務で譲渡人に関するものの履行について、連帯して責任を負う。

    (5) 著作者は、撤回権及び取得者の責任をあらかじめ放棄することができない。その余の場合には、使用権の保有者と著作者とは、別段の合意をなすことができる。

    第35条 転使用権の許与

    (1) 排他的使用権の保有者は、著作者の同意を得た場合にかぎり、転使用権を許与することができる。排他的使用権が、専ら著作者の利益の管理のために許与されるときは、その同意は、要しない。

    (2) 第34条第1項第2文、第2項及び第5項第2文の規定は、ここに準用するものとする。

    第35a条 ビデオ・オン・デマンド・サービスにおける調停及び裁判外の紛争処理

    権利保有者及び著作物使用者は、とりわけビデオ・オン・デマンド・サービスを通じた視聴覚著作物の公衆提供に関する使用権の許与についての契約交渉において、調停又はその他の任意の手続で裁判外の紛争処理に関するものを開始することができる。

    第36条 共通報酬規定

    (1) 著作者の団体は、第32条、第32a条及び第32c条、報告の規制について第32d条及び第32e条、並びに相当な利益分与の確定について第87k条第1項に基づく報酬の相当性を定めるために、著作物使用者の団体又は個個の著作物使用者とともに、共通報酬規定を作成する。この共通報酬規定は、規定しようとする分野の事情、とりわけ利用者の構成及び規模を、考慮しなければならない。労働協約に含まれる規定は、共通報酬規定に優先する。

    (2) 前項に基づく団体とは、代表性及び独立性を備え、かつ、共通報酬規定の作成のために権限を付与されたものでなければならない。団体で、それぞれの著作者及び著作物使用者の主要な部分を代表するものは、第1文の意味において権限を付与されたものとする。ただし、当該団体の構成員が反対の決定を行う場合は、このかぎりでない。

    (3) 当事者双方の合意があるときは、共通報酬規定の作成のための手続は、調停所(第36a条)において行われる。次の各号のいずれかに掲げるときは、一方の当事者の書面による求めに応じて、その手続が行われる。
    1. 一方の当事者が書面により協議の開始を求めた後3ヶ月以内に、相手方が、共通報酬規定に関する協議を開始しないとき。
    2. 共通報酬規定に関する協議が、書面により協議の開始が求められた後1年間、成立しないとき。
    3. 一方の当事者が、協議が整わない旨を終局的に宣言したとき。

    (4) 調停所は、当事者で、手続に関係し、又は第36a条第4a項に基づき利益分与の請求を受けているすべての者に、理由を付した合意案で共通報酬規定の内容を含むものを示さなければならない。合意案は、その提案の受領後6週以内に第1文に規定する当事者のいずれもが異議を申し立てない場合は、受諾されたものとみなす。

    第36a条 調停所

    (1) 当事者双方の合意があるとき、又は一方の当事者が調停手続の実施を求めるときは、著作者の団体は、共通報酬規定を作成するために、著作物使用者の団体又は個個の著作物使用者とともに、調停所を設置する。

    (2) 調停所は、各当事者がその都度選任する同数の陪席員、及び当事者双方がその人選について合意する中立的な議長より成る。

    (3) 当事者の間に合意をみないときは、民事訴訟法第1062条に基づき管轄を有する上級地方裁判所が、当事者の申請により、次に掲げる事項について決定する。       
    1. 議長の選任
    2. 陪席員の数
    3. 次に掲げる調停手続の要件
    a) 著作物使用者並びに著作物使用者及び著作者の団体が調停手続の当事者となるための資格(第36条第1項第1文および第2項)
    b) 調停所の手続で、一方の当事者のみの求めにより行われるもの(第36条第3項第2文)

    調停手続の場所が未だ確定されていない場合には、その地区内に被申請人がその所在地又は常居所を有する上級地方裁判所が、その決定について資格を有する。上級地方裁判所における手続には、民事訴訟法第1063条および第1065条を準用する。

    (4) 第36条第3項第2文に従う調停手続の実施の求めは、共通報酬規定の作成に関する提案を含むものでなければならない。調停所は、当該手続の実施を求める書面を、他方の当事者に対し、事案について1か月以内に文書によって陳述する旨の催告を付して、送達する。

    (5) 調停所は、口頭による審理の後に多数決をもってその決定を行う。採決は、最初に陪席員の間で行うものとし、多数決が成立しないときは、議長が、さらなる審理の後に再度の採決に加わるものとする。一方の当事者が構成員を指名せず、又は一方の当事者の指名した構成員が会議の適時な招集にもかかわらず出席しないときは、第1文及び第2文の定めるところに従い、議長及び出席の構成員のみで決定するものとする。調停所の決定は、書面に記載し、議長が署名し、かつ当事者双方に送達するものとする。

    (6) 当事者は、各自の費用及び各自が選任した陪席員の費用を負担する。その他の費用は、当事者がその都度二分の一ずつ負担する。当事者は、議長の求めに応じ、調停所の業務のために必要な前納金を、連帯債務者として議長宛て提供しなければならない。

    (7) 当事者は、合意によって、調停所における手続の詳細を定めることができる。

    (8) 連邦司法・消費者保護省は、連邦参議院の同意を得ることなく、法規命令により、調停所における手続について別途の詳細を定め、並びに手続の費用及び調停所の構成員の補償に関して別途の規則を定める権限を有する。

    第36b条 共通報酬規定に抵触する場合の不作為請求権

    (1) 著作者との契約において共通報酬規定に反する規定で著作者の不利益となるものを用いる者が、不作為の請求を受け得るのは、その者が、次に掲げるいずれかの場合にかぎる。
     
    1. 著作物使用者として、共通報酬規定を自ら定めた場合
    2. 共通報酬規定を定めた著作物使用者の団体の構成員である場合
    不作為の請求権は、著作者又は著作物使用者の団体及び個個の著作物使用者で、いずれも共通報酬規定を定めたものに帰属する。

    (2) 手続には、不正競争防止法第8c条第1項、第2項第1号及び第3項、第12条第1項、第3項及び第4項並びに第13条第1項の規定が準用され、警告が正当なものと認められるときは、警告者は、警告を受ける者に対して、それに要する費用の償還を求めることができる。判決の公告に関しては、第103条の規定による。

    第36c条 共通報酬規定への抵触に関する個別契約上の帰結

    契約の当事者で、前条第1項第1文第1号又は第2号の規定により、共通報酬規定を定めることについて関与した者は、共通報酬規定に反する規定で著作者の不利益となるものを援用することはできない。著作者は、その契約の当事者に対し、当該契約の変更で、その反する内容の削除に関するものについて、同意を求めることができる。

    第36d条 報告の不交付の場合における差止請求権

    (1) 著作物使用者として、著作者に対し、同一又は類似の性質の複数の事例において、第32d条又は第32e条に基づく報告を交付しない者は、差止めの請求を受ける。第1文に基づく請求権は、著作者の団体で、それぞれの著作者のグループに照らし、第36条第2項の要件を満たすものにのみ、帰属する。

    (2) 第1項に基づく請求権を行使するには、検証可能な事実に基づき、当該要件に関する明確な理由が存在することをもって足りる。

    (3) 第1項に基づく請求権は、第32d条又は第32e条に基づく報告交付に関する義務が、共通報酬規程(第36条)又は労働協約に基づく合意において規定される場合には、除外される。

    (4)第36b条第2項は、ここに準用する。

    第37条 使用権の許与に関する契約

    (1) 著作者が、他者に著作物の使用権を許与する場合において、疑いのあるときは、著作物の翻案物の公表又は利用について同意する権利は、著作者に留保される。

    (2) 著作者が、他者に著作物の複製に関する使用権を許与する場合において、疑いのあるときは、著作物を録画物又はレコード盤に再製する権利は、著作者に留保される。

    (3) 著作者が、他者に著作物の公衆への再生に関する使用権を許与する場合において、疑いのあるときは、その許与を受ける者は、その再生を、あらかじめ定められた催しの場外において、映像ディスプレー、スピーカー又は類似の技術的装置により、公衆に知覚可能なものとする権限を有しない。

    第38条 編集物の構成物

    (1) 著作者が、著作物を定期的に発行される編集物に収録することにつき許諾する場合において、疑いのあるときは、その出版者又は刊行者は、複製、頒布及び公衆提供に関する排他的使用権を取得する。ただし、別段の合意がないときは、発行から1年を経過した後は、著作者は、その著作物を、他の方法で複製し、頒布し及び公衆提供することができる。

    (2) 前項第2文は、定期的には発行されない編集物の構成物で、その引渡しに対して報酬を求める請求権が著作者に帰属しないものについても、適用する。

    (3) 編集構成物が、新聞に引き渡される場合において、別段の合意がないときは、出版者又は刊行者は、単純使用権を取得するものとする。著作者が、排他的使用権を許与する場合において、別段の合意がないときは、著作者は、編集構成物の発行後直ちに、その編集構成物を他の方法で複製し、及び頒布することについて、権限を有するものとする。

    (4) 学術的な構成物で、少なくとも半分が公的資金の援助を受けた研究活動の範囲において生じ、かつ定期的に少なくとも年間2回発行される編集物において発行されるものの著作者は、その出版者又は刊行者に対し排他的使用権を許与した場合においても、最初の発行から12ヶ月を経過した後は、営利を目的としない限り、その構成物を、その受け入れられた原稿のバージョンにおいて公衆提供する権利を有する。最初の公表に関する出典は、これを表示するものとする。著作者の不利益においてこれと異なる合意は、無効とする。

    第39条 著作物の変更

    (1) 使用権の保有者は、別段の合意がないときは、著作物、その題号又は著作者表示(第10条第1項)を変更してはならない。

    (2) 著作物及びその題号の変更で、著作者が信義誠実に照らしてその同意を拒むことができないものは、許される。

    第40条 将来の著作物に関する契約

    (1) 著作者が、将来の著作物であって、およそ詳細には確定しておらず、又はその種類をもって確定しているにすぎないものに対して、その使用権を許与することにつき義務を負う契約は、書面による方式を要する。この契約は、その締結から5年を経過した後は、契約当事者双方によって解除することができる。解除の告知期間は、より短い期間の合意がないときは、6ヶ月とする。
    (2) この解除権は、あらかじめ放棄することができない。その他の契約上又は法律上の解除権は、これによってその適用を妨げられない。
    (3) 契約の履行において、将来の著作物の使用権が許与された場合には、契約の終了時に未だ引き渡されていない著作物に関する処分は、契約の終了とともに無効となる。

    第40a条 包括的報酬の場合における10年後の別途利用に関する権利

    (1) 著作者が包括的報酬を対価として排他的使用権を許与した場合には、著作者は、それにもかかわらず、10年を経過した後は、その著作物を別途利用する権限を有する。当該許与に関する残余の期間については、その最初の保有者に関する使用権が、単純使用権として存続する。第1文の期間は、使用権の許与をもって、又は著作物が後に引き渡される場合にはその引渡しをもって、開始する。第38条第4項第2文は、ここに準用する。

    (2) 契約の当事者が、使用権許与に関する全期間についてその排他性を延長することができるのは、前項第3文の時点の後早くとも5年とする。

    (3) 第1項の規定に関わらず、著作者は、次に掲げるいずれかの場合には、契約の締結に際し、時間的に制約のない排他的使用権を許与することができる。
     
    1. 著作物、商品又はサービスに対してなされる著作者の貢献が、単に従たるものにとどまる場合。貢献が従たるものであるとは、とりわけ、その貢献が、著作物、商品又はサービスの典型的な内容に含まれない場合のように、著作物の全体印象又は商品若しくはサービスの質を特徴づける程度が軽微であることをいう。
    2. 建築の著作物又はその著作物の下図の場合。
    3. 著作物が、著作者の同意により、商標若しくはその他の標章、意匠又は欧州共同体意匠に指定される場合。
    4. 著作物が公表に馴染まない場合。
    (4) 著作者の不利益において前三項に反することができるのは、共通報酬規程(第36条)又は労働協約に基づく合意による場合に限る。

    第41条 不行使を理由とする撤回権

    (1) 排他的使用権の保有者が、当該権利を行使せず、又は不十分に行使するにすぎないときは、著作者は、その使用権の排他性に限り、又はその使用権を総じて、撤回することができる。使用権の不行使又は不十分な行使が、著作者にその除去を期待すべき事情に主として基づくときは、この限りでない。

    (2) 撤回権は、使用権の許与若しくは譲渡から2年、又は著作物の引渡しがそれより後になされる場合にはその引渡しから2年を経過するまでは、行使することができない。この期間は、新聞の編集構成物の場合には3ヶ月、月毎に又はそれより短い間隔で発行される雑誌の編集構成物の場合には6ヶ月、及びその他の雑誌の編集構成物の場合には1年とする。

    (3) 撤回の表示は、著作者が、使用権の保有者に、撤回の告知により、使用権の十分な行使のために相当なる猶予期間を定めた後において、はじめて行うことができる。使用権の行使が、その保有者に不可能であり若しくはその者によって拒否されるとき、又は猶予期間を与えることにより著作者の主たる利益が損なわれるおそれがあるときは、この猶予期間を定めることを要しない。

    (4) 著作者の不利益において前三項に反することができるのは、共通報酬規程(第36条)又は労働協約に基づく合意による場合に限る。

    (5) 排他的使用権は、第1項に基づく撤回が効力を生じたときに、単純使用権に転じ、又は総じて消滅する。

    (6) 著作者は、衡平の命ずるところに従って、その被害者に損害を賠償しなければならない。

    (7) 関係人の権利及び請求権で他の法律の規定に基づくものは、これによって妨げられない。

    第42条 確信の変更を理由とする撤回権

    (1) 著作物がもはや著作者の確信に合致せず、かつそれゆえに、著作者にその著作物の利用を期待することがもはやできないときは、著作者は、使用権をその保有者に対して撤回することができる。著作者の権利承継人(第30条)は、著作者が生前に撤回について権限を有していたがその撤回の表示を妨げられ又はこの表示を終意によって処分したことを証明するときにかぎり、撤回を表示することができる。

    (2) この撤回権は、あらかじめ放棄することができない。この権利の行使は、排除することができない。

    (3) 著作者は、使用権の保有者に相当なる賠償をしなければならない。この賠償は、少なくとも、使用権の保有者が撤回の表示に至るまでに支出した費用を、填補するものでなければならない。ただし、その場合に、すでに行われた使用に割り当てられる費用が考慮されることはない。撤回は、著作者がこれらの費用を賠償し、又はこれに対する担保を提供したときに、はじめて効力を生ずる。使用権の保有者は、著作者に対し、撤回の表示後3ヶ月の期間内に、その費用を通知しなければならない。保有者がこの義務を履行しないときは、撤回は、この期間の経過をもってすでに効力を生ずる。

    (4) 著作者が、撤回後再びその著作物を利用しようとする場合は、著作者は、使用権の前保有者に対して、相応する使用権を相当なる条件のもとに提供する義務を負う。

    (5) 第41条第5項及び第7項の規定は、ここに準用するものとする。

    第42a条 レコード盤の製作のための強制ライセンス

    (1) 音楽の著作物の使用権で、業としてその著作物をレコード盤に再製しかつそのレコード盤を複製し及び頒布することを内容とするものを、レコード盤の製作者に許与したときは、著作者は、他のレコード盤の製作者で、この法律の適用領域に主たる営業所又は住所を有するもののいずれにも、その著作物の発行後、同じくこの内容からなる使用権を、相当なる条件のもとに許与する義務を負う。第63条の規定は、ここに準用するものとする。ただし、当該使用権が適法に集中管理団体によって管理されているとき、又は著作物がもはや著作者の確信に合致せず、それゆえに、著作者にその著作物の利用を期待することがもはやできず、かつ、著作者がこの理由から該当する使用権を撤回したときは、このかぎりでない。著作者は、その著作物の使用を映画の製作のために許諾することについて、義務を負うことはない。

    (2) この法律の適用領域に主たる営業所又は住所をいずれも有しないレコード盤の製作者に対しては、連邦法律広報における連邦司法・消費者保護省の公示に照らせば、その者が主たる営業所又は住所を有する国において、この法律の適用領域に主たる営業所又は住所を有する製作者に相応する権利が与えられるものと認められる場合には、前項に基づく義務が存するものとする。

    (3) 前二項の規定に基づき許与することのできる使用権は、この法律の適用領域において、及び輸出の場合にあっては、その著作物がレコード盤への再製に対して保護を受けない国への輸出についてのみ、効力を有する。

    (4) 著作者が、他者に対し、業としてその著作物をレコード盤に再製しかつそのレコード盤を複製し及び頒布することを内容として排他的使用権を許与したときは、前三項の規定は、その排他的使用権の保有者が、第1項に定めた使用権を許与する義務を負うことを条件として、適用される。

    (5) 歌詞として音楽の著作物と結合した言語の著作物の場合において、当該言語の著作物を当該音楽の著作物と結合することによりレコード盤に再製しかつそのレコード盤を複製し及び頒布することを内容とする使用権が、レコード盤の製作者に許与されているときは、前四項の規定は、その言語の著作物に準用するものとする。

    (6) 使用権の許与を求める請求権が行使される訴えについては、著作者又は第4項の場合においては排他的使用権の保有者がこの法律の適用領域に普通裁判籍を有しないものと認められるときは、その管轄区域に特許庁が所在地を有する裁判所が、管轄を有する。民事訴訟法第935条及び第940条に定める要件が充たされない場合においても、仮処分は、これを命ずることができる。

    (7) 前六項の規定は、第1項に定める使用権が、専ら映画の製作のためにのみ許与されているときは、適用しないものとする。

    第43条 雇用関係又は職務関係における著作者

    この款の規定は、著作者が雇用関係又は職務関係から生ずる義務の履行において著作物を作成した場合においても、その雇用関係又は職務関係の内容又は本質から格別の事情が生じないかぎり、適用するものとする。

    第44条 著作物の原作品の譲渡

    (1) 著作者が著作物の原作品を譲渡する場合において、疑いのあるときは、これに伴い著作者は、その取得者に使用権を許与しないものとする。

    (2) 造形美術の著作物又は写真の著作物の原作品の所有者は、その著作物が未だ公表されていない場合においても、それを公衆に展示する権限を有する。ただし、著作者が原作品の譲渡の際に明示的にこれを排除していたときは、このかぎりでない。


    第6節 法律により許容される使用による著作権の制限

    第1款  法律により許容される使用

    第44a条 一時的な複製行為

    一時的な複製行為で、過渡的又は付随的であって、技術的プロセスの不可欠かつ本質的な部分をなし、かつ、その唯一の目的が著作物その他の保護対象物について次の各号のいずれかに掲げる行為を可能にすることであるものは、それが独自の経済的重要性を有しない場合には、許される。
    1. 媒介者による第三者間のネットワークにおける転送
    2. 適法な使用
    第44b条 テキスト及びデータマイニング

    (1) テキスト及びデータマイニングとは、単一の又は複数のデジタルの又はデジタル化された著作物の自動化された分析で、それにより、とりわけパターン、傾向及び相関関係に関する情報を得るためのものをいう。

    (2) テキスト及びデータマイニングを目的として適法に使用される著作物の複製は許される。その複製は、それがテキスト及びデータマイニングの目的に不要となった場合には、消去しなければならない。

    (3) 第2項第1文に基づく使用が許されるのは、権利保有者がこれを留保していない場合に限られる。オンラインでアクセス可能な著作物の場合における使用の留保は、機械的に読み取り可能な形式で行われる場合に限り、有効なものとする。

    第45条 司法及び公共の安全

    (1) 裁判所、仲裁裁判所又は国の機関の手続において用いるために、著作物の個個の複製物を製作し、又は製作させることは、許される。

    (2) 裁判所及び国の機関は、司法及び公共の安全を目的として、肖像を複製し、又は複製させることができる。

    (3) 複製の場合と同一の要件のもとで、著作物を頒布し、公衆に展示し、又は公衆に再生することも、許される。

    第45a条 障害を有する者

    (1) すでに利用可能な感覚的認知の方法による著作物の理解が、障害を理由として不可能であり、又は著しく困難であると認められる者の場合において、その者のために著作物を複製し、又は当該複製物を専らその者に頒布することは、営利を目的とせず、その理解を可能とするために必要と認められるときは、許される。

    (2) この複製及び頒布については、著作者に相当なる報酬が支払われるものとする。ただし、少量の複製物を製作するにすぎないときは、このかぎりでない。この請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (3) 言語の著作物の使用、及び音楽の著作物をグラフィックに記録したものの使用に関しては、視覚又は読字の障害を有する者のために、前2項は適用されず、専ら第45b条乃至第45d条の規定が適用される。

    第45b条 視覚又は読字の障害を有する者

    (1) 視覚又は読字の障害を有する者は、公表された言語の著作物で文章として又は音響形式で存するもの、及び音楽の著作物をグラフィックに記録したものを、それらをバリアフリー形式に変換することを目的として、自己の使用のために、複製し、又は複製させることができる。この権限には、すべての種類のイラストで、言語又は音楽の著作物に含まれているものも含まれる。複製物は、著作物で、視覚又は読字の障害を有する者が適法に使用するものに限り、その作成をすることができる。

    (2) この法律の意味において、視覚又は読字の障害を有する者とは、身体的、心的若しくは精神的な障害を理由として、又は感覚の障害を理由として、視覚補助の使用によっても、言語の著作物を、そのような障害のない者が可能とするのと同様に難なく読むことができる状態にない者をいう。

    第45c条 権限ある機関、報酬、命令授権

    (1) 権限ある機関は、公表された言語の著作物で文章として又は音響形式で存するもの、及び音楽の著作物をグラフィックに記録したものを、専ら、視覚又は読字の障害を有する者のためにバリアフリー形式に変換することを目的として、複製することができる。第45b条第1項第2文及び第3文は、ここに準用する。

    (2) 権限ある機関は、前項に基づき製作された複製物を、視覚若しくは読字の障害を有する者又は他の権限ある機関に対し、貸出し、頒布し、及び、公衆提供又はその他の公衆再生のために使用することができる。

    (3) 権限ある機関とは、視覚又は読字の障害を有する者に対し、公益的な方法により、教育の機会又はバリアフリーによる読字及び情報のアクセスを提供する施設をいう。

    (4) 著作者は、第1項及び第2項に基づく使用に関し、相当なる報酬の支払いを求める請求権を有する。この請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (5) 連邦司法・消費者保護省は、権限ある機関に関し、連邦参議院の承認を得ることなく、法規命令により、次の各号の事項を定める権限を有する。
     
    1. 第1項及び第2項に基づく使用との関係における義務
    2. 権限を有する機関としてドイツ特許商標庁において公告する義務
    3. 第1号に基づく義務の遵守に関するドイツ特許商標庁による監督で、集中管理団体法第85条第1項及び第3項並びに第89条に準じるもの
    第45d条 法律により許容される使用及び契約上の使用権限

    権利保有者は、第45b条及び第45c条に基づき許容される使用を制限し又は妨げる合意で使用権限者の不利益となるものを、援用することはできない。

    第46条 宗教の用に供するための編集物

    (1) 著作物の部分、言語若しくは音楽の著作物で僅かな分量からなるもの、又は個個の造形美術若しくは写真の著作物を、その公表後、多数の著作者の著作物を統合する編集物であって、その性質に照らし、宗教的な式典中の用にのみ供するよう特定されているものの要素として、複製し、頒布し、又は公衆提供することは、許される。その複製物において、又はその公衆提供にあたっては、編集物の特定された用途を明示するものとする。

    (2) (廃止)

    (3) 第1項に基づく権限を行使する意図が、著作者に、又はその居所若しくは滞在所が明らかでないときは排他的使用権の保有者に書留便によって通知され、かつ、その信書の発信から二週間を経過したときにはじめて、複製又は公衆提供に着手することができる。排他的使用権の保有者の居所又は滞在所も明らかでない場合には、この通知は、連邦公報に公告することをもって行うことができる。

    (4) この規定に基づき許される利用については、著作者に相当なる報酬を支払うものとする。

    (5) 著作物がもはや著作者の確信に合致せず、それゆえに、著作者にその著作物の利用を期待することがもはやできず、かつ、著作者がこの理由をもって該当する使用権を撤回したときは(第42条)、著作者は、この規定に基づき許される利用を禁止することができる。第136条第1項及び第2項の規定は、ここに準用するものとする。

    第47条 学校放送

    (1) 学校並びに教員養成及び教員研修の施設は、著作物を録画物又はレコード盤に再製することにより、学校放送の中で放送される著作物についてその少量の複製物を製作することができる。青少年援助のホーム及び国立の州映像記録保存所又は同等の公営施設についても、同様とする。

    (2) この録画物又はレコード盤は、授業のためにのみ用いることができる。録画物又はレコード盤は、遅くとも学校放送の再製に続く学年末には、消去するものとする。ただし、著作者に相当なる報酬が支払われる場合は、このかぎりでない。

    第48条 公衆演述

    (1) 次の各号に掲げる行為は許される。
    1. 時事問題に関する演述が、公衆の集会で行われ、又は第19a条若しくは第20条の意味における公衆への再生によって公表された場合において、その演述を、新聞、雑誌その他印刷物又はその他のデータ収録物で主として時事の関心事を扱うものにおいて複製し若しくは頒布すること、又はそうした演述を公衆に再生すること。
    2. 国、地方公共団体又は教会の機関における公衆の弁論で行われた演述を、複製し、頒布し、又は公衆に再生すること。

    (2) 前項第2号に定める演述を、主として同一の著作者の演述を収める編集物の形式で複製し、又は頒布することは、許されない。

    第49条 新聞記事及び放送解説

    (1) 少量の放送解説、並びに新聞及びその他専ら時事の関心事を取扱う情報誌に掲載された少量の記事及びそれとともにその関連において公表された図版を、他の新聞又はこの種の情報誌において複製し若しくは頒布すること、又はそうした解説、記事及び図版を公衆に再生することは、当該解説及び記事が、政治的、経済的又は宗教的な時事問題に関係し、かつ、権利の留保がなされていない場合には、許される。この複製、頒布及び公衆への再生については、著作者に相当なる報酬を支払うものとする。ただし、若干の解説又は記事からの短い抄録を梗概の形式で複製し、頒布し、又は公衆に再生する場合は、このかぎりでない。この請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (2) 事実を内容とする雑報及び時事のニュースで、報道又は放送によって公表されているものを、複製し、頒布し、又は公衆に再生することは、制約なく許される。他の法律の規定によって与えられる保護は、これによって妨げられない。

    第50条 時事の事件に関する報道

    時事の事件に関して、放送又は類似の技術的手段を通じ、新聞、雑誌その他印刷物又はその他のデータ収録物で主として時事の関心事を扱うものにおいて、及び映画において報道することを目的とする場合には、この事件の過程において現れる著作物を、複製し、頒布し、又は公衆に再生することは、その目的上必要な範囲において、許される。

    第51条 引用

    公表された著作物を、引用を目的として複製し、頒布し、又は公衆に再生することは、使用がその範囲において個別の目的により正当なものと認められるときは、許される。この引用は、とりわけ次に掲げる場合に許される。
    1. 小量の著作物を、その公表後、独立した学術の著作物のなかに、その内容を説明するために取り込む場合
    2. 著作物の部分を、その公表後、独立した言語の著作物のなかに、引き合いに出す場合
    3. 発行された音楽の著作物の若干の部分を、独立した音楽の著作物のなかに、引き合いに出す場合

    第1文及び第2文に基づく引用の権能には、引用される著作物のイラストレーション又はその他複製物で、それ自体において、著作権又は著作隣接権による保護を受けているものの使用が、含まれるものとする。

    第51a条 風刺表現、パロディ及びパスティーシュ
    公表された著作物の複製、頒布及び公衆再生であって、風刺、パロディ及びパスティーシュを目的とするものは、許される。第1文に基づく権能は、保護される著作物のイラストレーション又はその他複製物で、それ自体において、著作権又は著作隣接権による保護を受けているものの使用を、含むものとする。

    第52条 公衆再生

    (1) 公表された著作物を公衆に再生することは、その再生が主催者の営利を目的とせず、参加者が無料でその参加を許され、かつ、著作物の口述又は上演・演奏の場合にあっては実演芸術家(第73条)がいずれも特別な報酬を受けないときは、許される。この再生に対しては、相当なる報酬を支払うものとする。青少年援助、社会扶助、老人介護及び福祉の事業並びに収監者監護の催しにおいては、それら催しが、社会福祉上又は教育上定められたその目的に基づいて明確に限定された範囲の者にのみ開放されるものと認められるときは、この報酬の義務は、消滅する。ただし、その催しが第三者の営利を目的とする場合は、このかぎりでない。この場合には、その第三者が報酬を支払わなければならない。

    (2) 発行された著作物を公衆に再生することは、教会又は宗教団体の礼拝又は教会の祝典に際しても、許される。ただし、その主催者は、著作者に相当なる報酬を支払わなければならない。

    (3) 著作物を公衆に上演し、公衆提供し、又は放送すること、及び映画の著作物を公衆に上映することは、常に権限を有する者の同意を得た場合にかぎり許される。

    第52a条 (廃止)

    第52b条 (廃止)

    第53条 私的及びその他の自己の使用のための複製

    (1) 自然人が、私的使用のために、支持物には係わらず著作物を少量複製することは、その複製が直接的であるか又は間接的であるかを問わず営利を目的としない場合であって、その複製のために明らかに違法に製作され又は公衆提供された原本が用いられないものと認められるときは、許される。この複製について権限を有する者は、複製が無償で行われ、又は複製が任意の写真製版の方法その他類似の効果を有する方法を用いて紙若しくは類似の支持物に行われるものと認められる場合には、その複製物を他者に製作させることもできる。

    (2) 著作物の複製物の少量を製作し又は製作させることは、次の各号に掲げる目的に応じ、それぞれ当該各号に定める条件に従う場合には、許される。
    1. (廃止)
    2. 自己の記録保存所に受け入れるため 複製がその目的上必要であって、複製のための原本として自己の著作物現品が使用されるものと認められる場合にかぎる。
    3. 時事問題に関する自己の情報収集のため 放送によって送信された著作物について複製が行われる場合。
    4. その他の自己の使用に供するため
    a) 発行された著作物の小部分について、又は新聞若しくは雑誌において発行されている編集構成物の少量について複製が行われる場合。
    b) 少なくとも2年前から絶版となっている著作物について複製が行われる場合。
    このことは、次の各号のいずれかに加えて掲げるときにかぎり、認められる。
    1. 複製が、任意の写真製版の方法その他類似の効果を有する方法を用いて、紙又は類似の支持物に行われるとき。
    2. 専らアナログによる使用が行われるとき。

    (3) (廃止)

    (4) 次に掲げるものの複製は、その複製が筆写によらずに行われる場合にあっては、常に権限を有する者の同意を得たときにのみ許されるものとし、その他、第2項第1文第2号の要件が充たされるときに、又は少なくとも2年前から絶版となっている書籍又は雑誌の著作物について自己の使用に供するために、許されるものとする。
    a) 音楽の著作物の文字記号による採譜物
    b) 書籍又は雑誌で、実質的に完全複製が行われるもの

    (5) 第1項及び第2項第1文第2号乃至第4号は、データベースの著作物で、その素材が電子的手段を用いて個別に使用可能であるものには適用しない。

    (6) 複製物は、頒布し、又は公衆への再生のために使用してはならない。ただし、新聞及び絶版の著作物について適法に製作された複製物、並びに著作物現品でその小規模な損壊又は滅失の部分が複製物によって補修されているものを貸出すことは、許される。

    (7) 著作物の公衆への口述、上演・演奏又は上映を録画物又はレコード盤に収録すること、造形美術の著作物の設計図及び下図を実施すること、並びに建築の著作物を模造することは、常に権限を有する者の同意を得た場合にかぎり、許される。

    第53a条 (廃止)

    第2款 第53条、第60a条乃至第60f条に基づき許容される複製に関する報酬


    第54条 報酬の義務

    (1) 著作物の種類により、第53条第1項若しくは第2項又は第60a条から第60f条に基づく複製が見込まれる場合には、著作物の著作者は、機器及び記憶媒体であって、その類型が単独で又は他の機器、記憶媒体若しくは付属品と結合して、そのような複製を行うために使用されるものの製造者に対して、相当なる報酬の支払いを求める請求権を有する。

    (2) 前項に基づく請求権は、諸般の事情に照らし、機器又は記憶媒体がこの法律の適用領域において複製のために使用されないことが見込まれ得るものと認められるときは、消滅する。

    第54a条 報酬の額

    (1) 報酬の額に関する基準は、機器及び記憶媒体が、類型として、第53条第1項若しくは第2項又は第60a条から第60f条に基づく複製のために事実上使用される程度とする。この場合において、第95a条に基づく技術的保護手段が当該著作物に対して適用される程度を、考慮するものとする。

    (2) 機器に関する報酬は、当該機器に内蔵される記憶媒体又はその他当該機器と機能上連動する機器若しくは記憶媒体に関する報酬の義務を考慮した場合にも、それが全体として相当となるように、これを算定するものとする。

    (3) 報酬の額を決定する場合には、機器及び記憶媒体の使用上の重要な特性、とりわけ機器の性能並びに記憶媒体の記憶容量及び書換え可能性を顧慮するものとする。

    (4) 報酬は、機器及び記憶媒体の製造者を不当に害してはならない。報酬は、機器又は記憶媒体の価格水準に対して、経済的に相当な関係に立つものでなければならない。

    第54b条 販売者又は輸入者の報酬の義務

    (1) 機器又は記憶媒体をこの法律の適用領域に業として輸入し又は再輸入する者又はそれらを販売する者は、製造者とともに連帯債務者として責任を負う。

    (2) 輸入者とは、機器又は記憶媒体をこの法律の適用領域に搬入し、又は搬入させる者をいう。輸入が外国の者との契約に基づく場合において、この法律の適用領域に居住する契約の相手方が業として業務を行うものと認められるときは、この相手方のみを輸入者という。物品の搬入に際して、単に運送取扱者若しくは運送者として、又は類似の地位において業務を行うにすぎない者は、輸入者にあたらない。1992年10月12日の共同体関税法典を制定する理事会規則(欧州経済共同体)第2913/92号(欧州共同体公報第L302号第1頁)の第166条に基づき、対象物品を第三国から保税地域若しくは保税倉庫に搬入し又は搬入させる者は、対象物品がこの領域において使用され又は関税法上の自由流通に供されるときにかぎり、輸入者とみなされる。

    (3) つぎの各号のいずれかに掲げる場合には、販売者の報酬の義務は消滅する。
    1. 販売者がその機器又は記憶媒体の仕入元とする者が、報酬の支払いにつき義務を負う者として、報酬に関する団体契約に拘束されているものと認められる場合
    2. 販売者が、仕入れた機器及び記憶媒体の種類並びに個数並びにその仕入元を、第54h条第3項により指定された受付機関に対し、先行した暦年半年を対象として、その都度1月10日及び7月10日までに書面によって通知する場合

    第54c条 写真複写機器の操作者の報酬の義務

    (1) 第54条第1項に規定する種類の機器で、写真複写の手段により又は同等の効果を有する方法で複製を行うものが、学校、大学並びに職業教育若しくはその他の養成及び研修教育に関する施設、研究施設若しくは公共図書館において、非商業的な記録保存所若しくは施設で映画又は音響遺産の領域のもの若しくは非商業的な博物館で公衆が利用可能なものにおいて、又はそうした機器を写真複写の有償の製作のために備える施設において操作されるときは、著作者は、機器の操作者に対しても、相当なる報酬の支払いを求める請求権を有する。

    (2) 操作者が一括して義務を負うべき報酬の額は、諸般の事情に照らし、とりわけその設置の場所及び通常の使用に照らし推定される機器の使用の態様及び範囲を基準として、算定するものとする。

    第54d条 表示義務

    売上税法第14条第2項第1文第2号第2文により請求書の提供義務が存するものと認められるときは、第54条第1項に規定する機器又は記憶媒体の譲渡その他の取引提供行為に関する請求書には、当該機器又は記憶媒体に割り当てられる著作者報酬を表示するものとする。

    第54e条 申告義務

    (1) 機器又は記憶媒体をこの法律の適用領域に業として輸入し、又は再輸入する者は、著作者に対して、輸入された対象物品の種類及び個数を、第54h条第3項により指定された受付機関に、月次により、毎月の経過の後10日までに書面によって通知する義務を負う。

    (2) 申告義務者がその申告義務に従わず、又は不完全若しくはその他不正当に従うにすぎないときは、二倍の報酬基準額を請求することができる。

    第54f条 報告義務

    (1) 著作者は、第54条又は第54b条に基づき報酬の支払いについて義務を負う者に対して、この法律の適用領域において譲渡又は取引に供された機器及び記憶媒体について、その種類及び個数に関する報告を求めることができる。販売者の報告義務は、仕入元の名称にも及ぶものとし、第54b条第3項第1号の場合にも存するものとする。第26条第7項の規定は、ここに準用する。

    (2) 著作者は、第54c条第1項の意味における施設内の機器の操作者に対して、報酬の算定のために必要な報告を求めることができる。

    (3) 報酬の支払いについて義務を負う者がその報告義務に従わず、又は不完全若しくはその他不正当に従うにすぎないときは、二倍の報酬基準額を請求することができる。

    第54g条 監督訪問

    第54c条により操作者が義務を負うべき報酬の算定のために必要と認められるときは、著作者は、自らに対して、機器を写真複写の有償の製作のために備える操作者の事業所及び営業所へ立ち入ることを、通常の事業時間又は営業時間内に許すよう、求めることができる。監督訪問は、回避可能な営業妨害が生じないよう、行われなければならない。

    第54h条 集中管理団体及び通知に関する取扱い

    (1) 第54条乃至第54c条、第54e条第2項、第54f条及び前条に基づく請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (2) いずれの権限を有する者も、第54条乃至第54c条に基づき支払われた報酬について、相当なる配当を受ける資格を有する。著作物が第95a条に従う技術的手段によって保護されていると認められるときは、その者は、収入の分配に際して顧慮されることはない。

    (3) 第54b条第3項及び第54e条に基づく通知に備え、集中管理諸団体は、ドイツ特許商標庁に対して共通の受付機関を指定しなければならない。ドイツ特許商標庁は、これを連邦公報に公示する。

    (4) ドイツ特許商標庁は、第54b条第3項第2号及び第54e条に基づく通知のための書式を、連邦公報に公示することができる。書式が公示された場合には、これを使用するものとする。

    (5) 集中管理諸団体及び受付機関は、第54b条第3項第2号、第54e条及び第54f条に従って得た申告を、第1項に基づく請求権の行使のためにのみ用いることができる。

    第3款 その他の法律により許容される使用

    第55条 放送事業者による複製

    (1) 著作物の放送について権限を有する放送事業者は、自己の送信機又はビームアンテナの各々を通じた放送のために一回ごとに使用する目的をもって、著作物を自己の手段によって録画物又はレコード盤に再製することができる。この録画物又はレコード盤は、著作物の最初の放送の後遅くとも1ヶ月をもって消去するものとする。

    (2) 録画物又はレコード盤で記録として備える価値が際立つものは、それが公の記録保存所に収められるときは、消去されることを要しない。記録保存所への受け入れについては、すみやかに著作者に通知するものとする。

    第55a条 データベースの著作物の使用

    データベースの著作物の翻案又は複製であって、データベースの著作物の複製物で著作者の同意を得て譲渡により取引に供されたものの所有者、当該複製物の使用についてその他の方法により権限を有するに至った者、又は著作者と締結した契約に基づいて若しくは著作者の同意を得て第三者と締結した契約に基づいてデータベースの著作物の提供を受ける者によって行われるものは、その翻案又は複製が、データベースの著作物の要素へのアクセスのため、及びその通常の使用のために必要と認められる場合にかぎり、許される。第1文の契約に基づいてデータベースの著作物の一部のみが提供されるときは、この部分の翻案又は複製のみが、許される。これに反する契約上の合意は、無効とする。

    第56条 営業における複製及び公衆再生

    (1) 録画物若しくはレコード盤を製作し若しくは再生するための機器、放送を受信するための機器又はデータ処理を電子的に行うための機器を販売し、又は修理する営業において、著作物を録画物若しくはレコード盤又はデータ収録物に再製すること、著作物を録画物若しくはレコード盤又はデータ収録物を用いて公衆に知覚可能なものとすること、著作物の放送を公衆に知覚可能なものとすること、及び著作物を公衆提供することは、それらの行為が、当該機器を買主に展示し、又は修理するために不可欠と認められるときは、許される。

    (2) 前項に基づき製作された録画物若しくはレコード盤又はデータ収録物は、すみやかに消去するものとする。

    第57条 重要でない付随物

    著作物を複製し、頒布し、又は公衆に再生することは、その著作物が、複製、頒布又は公衆への再生の本来の対象と比べて重要でない付随物とみなされ得るときは、許される。

    第58条 著作物の展示及び公衆への販売に関する広告

    第2条第1項第4号乃至第6号の著作物で、公衆に展示され又は公衆への展示若しくは公衆への販売のために特定されたものを、広告のためにその主催者が複製し、頒布し、又は公衆提供することは、それらの行為がその催しを助成するために必要なものと認められるときは、許される。

    第59条 公共の場所における著作物

    (1) 公共の道路、街路又は広場に恒常的に設置されている著作物を、絵画若しくはグラフィック・アートの方法により、写真により、又は映画により複製し、頒布し、又は公衆に再生することは、許される。建築の著作物の場合においては、その外観にのみ、この権限が及ぶものとする。

    (2) この複製は、建築の著作物として行うことはできない。

    第60条 肖像

    (1) 肖像を複製し、又は無料でかつ業を目的とせずに頒布することは、その行為が、肖像の注文者若しくはその者の権利承継者、注文を受けて作成された肖像の場合にあっては肖像本人若しくはその死後はその近親者、又はこれらの者のいずれかの委任を受ける第三者によって行われるときは、許される。肖像が造形美術の著作物である場合には、写真によってのみ、その利用が、許される。

    (2) 前項第1文の意味における近親者とは、配偶者又はパートナー及び子をいうものとし、配偶者、パートナー又は子がいずれも存しない場合には、父母をいうものとする。

    第4款 授業、学術及び諸機関に関して法律により許容される使用

    第60a条 授業及び教育

    (1) 教育施設において授業及び教育に関する説明を目的とする場合には、公表された著作物は、その15パーセントを上限として、商業を目的とせず、次の各号に掲げる者のために、複製し、頒布し、公衆提供し、及びその他の方法により公衆に再生することができる。
    1. 各種行事の教員及び参加者
    2. 同一の教育施設における教員及び試験官
    3. 教育に関するプレゼンテーションで、当該教育施設での授業又は教育の成果に関するものに寄与する第三者
      
    (2) 第1項にもかかわらず、イラストレーション、同一の専門雑誌又は学術雑誌における個々の編集構成物、その他の著作物で小規模のもの及び絶版の著作物は、その全部を使用することができる。

    (3) 次の各号に掲げる使用は、前二項によって許されることはない。
    1. 録画物又はレコード盤への収録による複製、及び著作物の公衆再生でその著作物が公衆に口述され、上演・演奏され、又は上映される間に行われるもの
    2. 著作物で、専ら学校の授業の用に向けられ、特定され、及びそのように表記されたものの学校における複製、頒布及び公衆再生
    3. 音楽の著作物をグラフィックに記録したものの複製で、第1項又は第2項に基づく公衆提供のために必要でないもの
      
    第1文が適用されるのは、これらの使用に関するライセンスが、容易に入手可能及び発見可能であり、教育施設の必要及び特殊性に対応し、かつ第1文第1号乃至第3号に基づく使用を許容している場合に限られる。

    (3a) 著作物が、第1項第1号及び第2号並びに第2項に定める目的のために、欧州連合の加盟国及び欧州経済領域に関する協定の締約国において、安全な電子環境において使用される場合には、当該使用は、教育施設がその所在地を有する加盟国又は協定の締約国において行われたものとのみ、みなされる。

    (4) 教育施設とは、幼児に関する教育施設、学校、大学並びに職業教育又はその他の養成及び研修教育に関する施設をいう。

    第60b条 授業用及び教育用教材

    (1) 授業用及び教育用教材の製作者は、その編集物のため、公表された著作物を、その10パーセントを上限として、複製し、頒布し、及び公衆提供することができる。

    (2) 第60a条第2項及び第3項第1文は、ここに準用する。

    (3) この法律の意味における授業用及び教育用教材とは、編集物で、多数の著作者の著作物を結合し、かつ、商業を目的とせず、専ら教育施設における授業及び教育に関する説明(第60a条)の目的に向けられ、特定され、及びそのように表記されたものをいう。

    第60c条 学術の研究

    (1) 非商業的な学術の研究を目的とする場合には、著作物は、その15パーセントを上限として、次の各号に掲げる者のために、複製し、頒布し、及び公衆提供することができる。
    1. その固有の学術の研究のため明確に限定された範囲の者
    2. 個々の第三者で、学術の研究の質に関する審査に服する者
      
    (2) 固有の学術の研究のため、著作物は、その75パーセントを上限として、複製することができる。

    (3) 前2項にもかかわらず、イラストレーション、同一の専門雑誌又は学術雑誌における個々の編集構成物、その他の著作物で小規模のもの及び絶版の著作物は、その全部を使用することができる。

    (4)著作物が公衆に口述され、上演・演奏され、又は上映される間に、当該著作物を録画物又はレコード盤に収録し、及び後に公衆提供することは、第1項乃至第3項に基づき、許されない。

    第60d条 学術研究を目的とするテキスト及びデータマイニング

    (1) テキスト及びデータマイニング(第44b条第1項及び第2項第1文)に関する複製で、学術研究を目的とするものは、つぎの規定の定めるところにより、許される。

    (2)複製については、研究機関に権限が帰属する。研究機関とは、大学、研究組織、又は学術研究を行うその他の施設であって、つぎのいずれかに該当するものをいう。
    1. 商業的な目的を追求しないもの
    2. 収益の総額を学術の研究に再投資するもの
    3. 国が認めた職務権限の枠内において、公共の利益のために活動するもの
      
    第1文に基づく権限は、研究機関であって、当該研究機関に対し決定的な影響力を有し、かつ当該学術の研究の成果に対する優先的なアクセスを有する私企業と協働するものには、帰属しない。

    (3) 複製については、次の者にも権限が帰属する。
    1. 公衆に利用可能な図書館及び博物館、並びに記録保存所及び施設で映画又は音響遺産の領域のもの(文化遺産施設)
    2. 商業的な目的を追求しない場合に限り、個々の研究者
      
    (4) 第2項及び第3項に基づき権限を有する者であって、商業的な目的を追求しないものは、第1項に基づく複製を、次に掲げる者に対し、公衆提供することが許される。
    1. 自らの共通する学術の研究に関して明確に限定された範囲の者
    2. 学術の研究の質に関する審査を目的とする個々の第三者
    その共通する学術の研究、又は学術の研究の質に関する審査が終了した場合には、すみやかに、その公衆提供を終了しなければならない。

    (5) 第2項及び第3項第1号に基づき権限を有する者は、第1項に基づく複製を、それが、学術の研究の目的又は学術の知見に関する審査のために必要と認められる場合には、無権限使用に対する相当なセキュリティ対策を講じたうえで、保存することができる。

    (6) 権利保有者は、第1項に基づく複製により、自らのネットワーク及びデータベースのセキュリティ及び完全性が損なわれることを防ぐため、必要な措置を講ずる権限を有する。

    第60e条 図書館

    (1) 公衆に利用可能な図書館で、直接的又は間接的に商業的な目的を追求しないもの(図書館)は、その所蔵又は展示に係る著作物を、その提供、インデックス登録、目録作成、保存及び修復を目的とする場合には、複数回にわたり、技術的な結果として生ずる変更を加えることによっても、複製し、又は複製させることができる。

    (2) 図書館は、修復を目的とする場合には、その所蔵に係る著作物を複製したものを、他の図書館又は第60f条に定める機関に、頒布することができる。図書館は、修復された著作物、及び、複製物で、その在庫に係る新聞、絶版又は破損した著作物からなるものを、貸し出すことができる。

    (3) 図書館は、第2条第1項第4号乃至第7号に定める著作物を複製したものを、図書館の所蔵の公衆への展示に伴い、又はその所蔵の資料整備を目的とする場合には、頒布することができる。

    (4) 図書館は、その構内のターミナルにおいて、その所蔵に係る著作物を、その使用者に対し、その調査又は私的研究のために、提供することができる。図書館は、使用者に対し、ターミナルにおける複製として、1回につき、著作物の10パーセントを上限とする複製、並びに個々のイラストレーション、同一の専門雑誌又は学術雑誌における編集構成物、その他の著作物で小規模のもの及び絶版の著作物の複製で、非商業的な目的のために行うものを、可能にすることができる。

    (5) 図書館は、使用者の個別の求めに応じ、公表された著作物の10パーセントを上限とする複製、及び個々の編集構成物で専門雑誌又は学術雑誌に公表されたものを、非商業的な目的のために引き渡すことができる。

    (6) 公衆に利用可能な図書館で、商業的な目的を追求するものについては、著作物の保存を目的とする複製に関して、第1項が準用される。

    第60f条 記録保存所、博物館及び教育施設

    (1) 記録保存所、映画又は音響遺産の領域における施設、並びに公衆に利用可能な博物館及び教育施設(第60a条第4項)で、直接的又は間接的に商業的な目的を追求しないものに関しては、第60e条を、その第5項及び第6項を除き準用する。

    (2) 記録保存所で、公益の事業も行うものは、著作物を記録財産としてその所蔵に組み入れるために、その著作物を複製し、又は複製させることができる。提出機関は、その保有に係る複製を、直ちに消去しなければならない。

    (3) 記録保存所、映画又は音響遺産の領域の施設、及び公衆に利用可能な図書館で、商業的な目的を追求するものについては、著作物の保存を目的とする複製に関して、第60e条第1項が準用される。

    第60g条 法律により許容される使用及び契約上の使用権限

    (1) 権利保有者は、第60a条乃至第60f条に基づき許容される使用を制限し又は妨げる合意で使用権限者の不利益となるものを、援用することはできない。

    (2) 合意であって、第60e条第4項及び第60f条第1項に基づくターミナルにおける提供、又は第60e条第5項に基づき個別の求めに応じ複製したものの送付を専ら対象とするものは、前項にかかわらず、法律による許容に優先する。

    第60h条 法律により許容される使用に関する相当なる報酬

    (1) 著作者は、この款の定めに従う使用に関して、相当なる報酬の支払いを求める請求権を有する。複製は、第54条乃至第54c条に基づいて、報酬を受ける。

    (2) 前項にかかわらず、次に掲げる使用については、報酬を要しない。
    1. 第60a条第1項第1号及び第3号並びに同条第2項に基づく教育施設の構成員及びその家族のためにする公衆再生で、公衆提供を除くもの
    2. 第60e条第1項及び第6項並びに第60f条第1項及び第3項に基づく保存を目的とする複製、並びに第60e条第1項によるインデックス登録、目録作成及び修復を目的とする複製
    3. 第60d条第1項による、学術研究を目的とするテキスト及びデータマイニングの領域における複製
      
    (3) 相当なる報酬に関し使用に即した算出を行うにあたっては、包括的な報酬又は使用に関する代表的なサンプリングをもって足りる。ただし、第60b条及び第60e条第5項に基づく使用の場合は、このかぎりでない。

    (4) 相当なる報酬を求める請求権は、集中管理団体によってのみ行使することができる。

    (5) 使用者が施設内においてその行為を行う場合には、専らその施設が報酬の債務者にあたる。複製で、第54条乃至第54c条に基づき第1項第2文に従い報酬を受けるものに関しては、専らこの定めが適用される。

    第5款 孤児著作物に関し法律により特別に許容される使用

    第61条 孤児著作物

    (1) 孤児著作物の複製及び公衆提供は、第3項乃至第5項の定めに従い、許される。

    (2) この法律の意味における孤児著作物とは、公衆に利用可能な図書館、教育施設、博物館、記録保存所及び映画又は音響遺産の領域における施設の収集物(所蔵内容)に含まれた次の各号に掲げるもので、これらの所蔵内容が既に公表されている場合において、その権利保有者を、注意深い捜索によっても確認することができず、又は突き止めることができなかったものをいう。
    1. 書籍、専門雑誌、新聞、雑誌又はその他の書物における著作物及びその他の保護対象物
    2. 映画の著作物並びに録画物及び音声付き録画物で映画の著作物が収録されたもの
    3. レコード盤
      
    (3) 一の所蔵内容に複数の権利保有者がある場合において、全ての権利保有者を注意深い捜索によって確認することができず、又は突き止めることができなかった場合においても、確認された権利保有者から、使用に関する許諾を得ることができたときは、当該所蔵内容を複製し、公衆提供することができる。

    (4) 所蔵内容で、未だ発行されず、又は送信されなかったものは、その所蔵内容が第2項に定める各機関により既に権利保有者の許諾のもとに公衆に利用可能なものとされ、かつ、信義誠実に照らし、権利保有者が第1項に基づく使用に同意したものと認められるときは、その機関によって使用することができる。

    (5) 第2項に定める機関による複製及び公衆提供は、当該機関がその公益に属する使命の履行を目的として行う場合、とりわけ当該機関が所蔵内容を保持し、修復し、及びその収集物へのアクセスに開放する場合であって、それらが文化政策及び教育政策の目的に資するときに限り、許される。当該機関は、その使用に係る孤児著作物へのアクセスに関して、そのデジタル化及び公衆提供に関する費用を賄う料金を、求めることができる。

    第61a条 注意深い捜索及び報告の義務

    (1) 第61条第2項の定めによる権利保有者の注意深い捜索は、全ての所蔵内容及びそこに含まれるその他の保護対象物に関して行われなければならず、その場合において、少なくとも附則に規定された情報源は、照会しなければならない。注意深い捜索は、欧州連合の加盟国で、当該著作物が最初に公表された国において、行われなければならない。権利保有者に関連する情報が他国において発見され得ることについて手掛かりが存する場合には、当該他国における使用可能な情報源も照会することができる。使用に係る機関は、注意深い捜索の実施を、第三者に委託することもできる。

    (2) 映画の著作物並びに録画物及び音声付き録画物で映画の著作物が収録されているものの場合には、注意深い捜索は、欧州連合の加盟国で、製作者がその主たる営業所又はその常居所を有する国において、行われなければならない。

    (3) 第61条第4項に定める所蔵内容については、注意深い捜索は、欧州連合の加盟国で、その所蔵内容を権利保有者の許諾のもとに公衆に利用可能とした機関がその所在地を有する国において、行われなければならない。

    (4) 使用に係る機関は、その注意深い捜索を報告し、かつ次に掲げる情報をドイツ特許商標庁に伝達する。
    1. 所蔵内容で、注意深い捜索の結果によれば孤児であるものに関し、その詳細な名称
    2. 当該機関による孤児著作物の使用の方法
    3. 第61b条の定めによる使用に係る孤児著作物の状態に関する全ての変更
    4. 名前、住所、並びに、場合によっては、電話番号、ファクシミリ番号及びE-Mailアドレスのような、当該機関の連絡データ
    これらの情報は、ドイツ特許商標庁によって、すみやかに欧州共同体商標意匠庁に転送される。

    (5) 注意深い捜索は、所蔵内容で、既に欧州共同体商標意匠庁のデータベースに孤児であるものとして記録されているものについては、要しない。

    附則(第61a条) 注意深い捜索に関する情報源(省略)

    第61b条 使用の終了及び使用に係る機関の報酬義務

    所蔵内容に関する権利保有者が事後に確認され、又は突き止められたときは、使用に係る機関は、その旨を知るに至った後においてはすみやかに、その使用の行為を止めなければならない。権利保有者は、使用に係る機関に対し、行われた使用に関する相当なる報酬の支払いについて請求権を有する。

    第61c条 公法上の放送機関による孤児著作物の使用

    次の各号に掲げるもので、2003年1月1日より前に公法上の放送機関により製作され、かつ、第61条第2項乃至第5項の要件に従い、公法上の放送機関によってもその収集物のなかに含まれるものは、複製し、及び公衆提供することが許される。第61a条及び第61b条は、ここに準用する。
    1. 映画の著作物並びに録画物及び音声付き録画物で映画の著作物が収録されたもの
    2. レコード盤
          
    第5a款 使用不可能な著作物に関し法律により特別に許容される使用

    第61d条 使用不可能な著作物

    (1) 文化遺産施設(第60d条)は、使用不可能な著作物(集中管理団体法第52b条)を、その所蔵から複製し、又は複製させ、及び公衆提供することができる。この適用は、集中管理団体で、それぞれの種類の著作物に関するこれらの権利を管理し、かつその限りで代表するもの(集中管理団体法第51b条)が存しない場合に限られる。第1文による使用は、非商業的な目的に関してのみ、許される。公衆提供は、非商業的なインタネットサイトにおいてのみ、許容される。

    (2) 権利保有者は、第1項による使用について、何時でも、欧州連合知的財産庁に対し異議を申し立てることができる。

    (3) 文化遺産施設は、その使用期間の全体にわたり、欧州連合知的財産庁のオンライン・ポータルにおいて、関係する著作物、その使用及び異議申立ての権利について、情報提供するものとする。公衆提供は、権利保有者が、その使用について、第1文による情報の公告の開始から6か月以内に異議を申し立てなかった場合にのみ、行うことができる。

    (4) 欧州連合の加盟国及び欧州経済領域に関する条約の締約国における第1項による使用は、文化遺産施設がその所在地を有する加盟国又は締約国においてのみ、行われたものとみなす。第1項は、第三国(集中管理団体法第52c条)の著作物を優位に含む一連の著作物には、適用されない。

    第61e条 命令授権

    連邦司法・消費者保護省は、次の規則について、連邦参議院の承認を得ることなく、法規命令により、より詳細な規定を設ける権限を有する。
    1. 権利保有者による異議申し立ての行使及び効果(第61d条第2項)
    2. 情報の義務(第61d条第3項)
          
    第61f条 使用不可能な著作物に関する情報

    集中管理団体、文化遺産施設及び欧州連合知的財産庁は、集中管理団体が当該著作物に関する権利を集中管理団体法第52条に基づいて許与すること、又は文化遺産施設が当該著作物を第61d条に基づいて使用することについて、同庁のオンライン・ポータルにおいて情報提供するために必要な場合に限り、著作物を複製し、及び公衆提供することができる。

    第61g条 法律により許容される使用及び契約上の使用権限

    権利保有者は、第61d条及び第61f条により許容される使用を制限し又は妨げる合意で使用権限者の不利益となるものを、援用することはできない。

    第6款 法律により許容される使用に関する共通規定

    第62条 変更禁止

    (1) この節の規定に基づき著作物を使用することが許されるものと認められるときは、その著作物に変更を加えてはならない。第39条は、ここに準用する。

    (2) 使用の目的に照らし必要と認められるときは、著作物を翻訳し、又は抄録若しくは異なる音調若しくは声域への変調にすぎない変更を行うことは、許される。

    (3) 造形美術の著作物及び写真の著作物の場合には、著作物を異なる寸法に再製し、又はその複製に用いる方法に付随して生ずる変更を行うことは、許される。

    (4) 第45a条乃至第45c条に基づく使用の場合には、バリアフリー形式の製作に必要な変更を行うことは、許される。

    (4a) 第51a条による使用目的が必要とする場合に限り、著作物の変更は許される。

    (5) 宗教の用に供するための編集物(第46条)、授業及び教育のための使用(第60a条)及び授業用及び教育用教材(第60b条)の場合には、言語の著作物の変更で、宗教の用に供するため、並びに授業及び教育に関する説明のために必要となるものも、許される。ただし、この変更には、著作者の同意を要するものとし、著作者の死後にあっては、権利承継者が著作者の近親者(第60条第2項)であり又は著作権を著作者の終意処分に基づき取得しているときは、その権利承継者(第30条)の同意を要するものとする。著作者又は権利承継者が、意図された変更について通知を受けた後1ヶ月以内に異議を申し立てず、かつ、変更の通知に際してこの法的効果について告知されていた場合には、同意は与えられたものとみなす。授業及び教育(第60a条)のため、並びに授業用及び教育用教材(第60b条)のための使用の場合には、変更が明瞭に視認できるように明らかにされているときは、同意を要しない。

    第63条 出典表示

    (1) 著作物又は著作物の一部が、第45条第1項、第45a条乃至第48条、第50条、第51条、第58条、第59条、並びに第60a条乃至第60c条、第61条、第61c条、第61d条及び第61f条の場合において複製され、又は頒布されるときは、常にその出典を明示するものとする。言語の著作物の全部又は音楽の著作物の全部について複製又は頒布が行われる場合には、その著作者とともに、その著作物の発行元である出版者も明示するものとし、加えて、その著作物に省略その他の変更が加えられたか否かについて、明らかにするものとする。この出典表示の義務は、出典が、使用された著作物現品若しくは著作物再生において示されず、かつ、その複製若しくは頒布につき権限を有する者において別途の手段によっても明らかとならない場合、又は、第60a条若しくは第60b条の場合において、試験の目的が出典表示の放棄を必要とするときは、消滅する。

    (2) この節の規定に基づき著作物を公衆に再生することが許されるものと認められるときは、取引の慣行が求めるところに従い、その出典を明示するものとする。第46条、第48条、第51条、第60a条乃至第60d条、第61条、第61c条、第61d条及び第61f条に基づく公衆への再生の場合、並びに第60a条に従うデジタルのその他の使用の際には、常にその出典を著作者の氏名と併せて表示するものとする。ただし、それが不可能な場合は、このかぎりでない。

    (3) 第49条第1項に基づき、新聞その他の情報誌の記事が、他の新聞又は他の情報誌に再録され、又は放送によって送信される場合には、常に、その使用した原典に表示されている著作者に加えて、当該記事が取り出された新聞又は情報誌も表示するものとする。その場合に、他の新聞又は他の情報誌が原典として引用されているときは、この新聞又はこの情報誌を表示するものとする。第49条第1項に基づき、放送解説が、新聞その他の情報誌に再録され、又は放送によって送信される場合には、常に、その著作者に加えて、当該解説を放送した放送事業者も表示するものとする。

    第63a条 法定の報酬請求権

    (1)著作者は、この節に基づく法定の報酬請求権をあらかじめ放棄することができない。法定の報酬請求権は、あらかじめ集中管理団体に、移転することができる。

    (2) 著作者がその著作物について出版者に権利を許与した場合には、出版者は、当該権利に関して、この節に基づく法定報酬請求権について、相当なる分配を受けることができる。この場合において、法定報酬請求権は、著作者および出版者による共通の集中管理団体によってのみ、行使することができる。

    (3) 前項の規定は、第27条第2項による報酬請求権に準用される。

    第7節 著作権の存続期間

    第64条 通則

    著作権は、著作者の死後70年をもって消滅する。

    第65条 共同著作者・映画の著作物・歌詞を伴う作曲

    (1) 著作権が二以上の共同著作者(第8条)に帰属するときは、著作権は、最長命の共同著作者の死後70年をもって消滅する。

    (2) 映画の著作物及び映画の著作物と類似の方法により製作される著作物の場合には、著作権は、次に掲げる者のうちの最長命であるものの死後70年をもって消滅する。
    主監督、脚本の著作者、対話部分の著作者、当該映画の著作物のために作曲された音楽の作曲者

    (3) 歌詞を伴う作曲の保護期間は、双方の構成物が特に当該の歌詞を伴う作曲のために作成された場合には、歌詞の作成者及び作曲の作曲者からなる者のうち、最後の生存者の死後70年をもって消滅する。このことは、これらの者が共同著作者に該当するか否かによらない。

    第66条 無名及び変名の著作物

    (1) 無名及び変名の著作物の場合には、著作権は、その公表後70年をもって消滅する。ただし、著作物がこの期間内に公表されなかったときは、著作物の作成後70年をもって消滅する。

    (2) 著作者がその身元を前項第1文に定める期間内に明らかにし、又は著作者の名乗る変名によりその身元に関して疑いの余地がない場合には、著作権の存続期間は、第64条及び第65条に基づいて計算するものとする。前項第1文に定める期間内に、著作者の実名が、無名及び変名の著作物の登録簿(第138条)への登録のために申請された場合も、同様とする。

    (3) 前項に基づく行為については、著作者が、その死後にあってはその権利承継者(第30条)又は遺言執行者(第28条第2項)が権限を有するものとする。

    第67条 分冊の著作物

    内容的に完結しない部分(分冊)によって公表される著作物に関しては、第66条第1項第1号の場合には、各分冊の保護期間は、各々の公表の時点から個別に計算するものとする。

    第68条 公有となった視覚的著作物の複製

    公有となった視覚的著作物の複製は、第2部及び第3部による著作隣接権によって保護を受けることはない。

    第69条 期間の計算

    この節の期間は、期間の起算について基準となる事柄の発生した暦年の経過とともに始まる。


    第8節 コンピュータ・プログラムに関する特則

    第69a条 保護の対象

    (1) この法律の意味におけるコンピュータ・プログラムとは、仕様書資料を含め、あらゆる形態のプログラムをいう。

    (2) 付与される保護は、コンピュータ・プログラムに係るすべての表現形式に及ぶものとする。コンピュータ・プログラムの要素の基礎にある思想及び原則は、インターフェースの基礎にある思想及び原則を含め、保護を受けることがない。

    (3) コンピュータ・プログラムは、それが著作者の独自かつ精神的な創作の成果であるとの意味において個性的な著作物にあたるとき、保護を受ける。その保護能力を定めるために、他の基準、とりわけ質的又は美的な基準は、適用しないものとする。

    (4) コンピュータ・プログラムには、この節に別段の定めがないかぎり、言語の著作物に適用される規定が適用される。

    (5) 第32条乃至第32g条、第36条乃至第36d条、第40a条及び第41条の規定は、コンピュータ・プログラムに適用されない。

    第69b条 雇用関係又は職務関係における著作者

    (1) コンピュータ・プログラムが、従業者により、その職務の処理の過程で又はその使用者の指図に基づき作成される場合において、別段の合意がないものと認められるときは、専らその使用者が、そのコンピュータ・プログラムに関する財産権のすべての権能の行使について、権限を有するものとする。

    (2) 前項は、職務関係に準用するものとする。

    第69c条 同意を要する行為

    権利保有者は、次の各号に掲げる行為を行い又は許諾することについて、排他的権利を有する。
    1. コンピュータ・プログラムの全部又は一部を、手段及び形式を問わず、持続的又は一時的に複製すること。コンピュータ・プログラムのロード、表示、実行、転送又は蓄積が、複製を必要とするものと認められるときは、これらの行為は権利保有者の同意を必要とする。
    2. コンピュータ・プログラムを、翻訳し、翻案し、調整その他変作し、その個個の成果物を複製すること。プログラムを翻案する者の権利は、これによって妨げられない。
    3. コンピュータ・プログラムの原作品又は複製物を、賃貸を含め、形式を問わず頒布すること。コンピュータ・プログラムの複製物が、その権利保有者の意を得て、欧州連合の域内又は欧州経済領域に関する協定の他のいずれかの締約国の領内で、譲渡の方法によって取引に供されている場合には、その複製物に関する頒布権は、賃貸権を除き、消尽するものとする。
    4. コンピュータ・プログラムを、公衆の構成員がその選択に係る場所及び時においてそれを使用できる方法で公衆に提供することを含め、有線又は無線により、公衆に再生すること。

    第69d条 同意を要する行為の例外

    (1) 契約上の特則が存しないかぎり、前条第1号及び第2号にいう行為は、それらの行為が、プログラムの複製物の使用につき権限を有する者による欠陥修正を含め、コンピュータ・プログラムの所定の使用のために不可欠であるときは、権利保有者の同意を要しないものとする。

    (2) プログラムの使用につき権限を有する者による保存用コピーの作成は、それが将来の使用を確かなものとするために必要である場合には、契約によって妨げてはならない。保存を目的とする複製に関しては、第60e条第1項及び第3項並びに第60f条第1項及び第3項の規定が、適用される。

    (3) プログラムの複製物の使用につき権限を有する者は、プログラムの要素の基礎に存する思想及び原則を解析することを目的とする場合には、権利保有者の同意なく、プログラムの作用を、プログラムについてその者が権限を有するロード、表示、実行、転送又は蓄積の行為によって、観察し、調査し又は試行することができる。

    (4) コンピュータ・プログラムは、第44b条によるテキスト及びデータマイニングに関しても、第69c条第2号に従い、使用することができる。

    (5) 第60a条の規定は、次の条件に従い、コンピュータ・プログラムに適用される。
    1. 使用は、教育施設の責任のもとで、その敷地内、他の場所、又は安全な電子環境において、デジタルにより許される。
    2. コンピュータ・プログラムは、第69c条第2号に従い使用することもできる。
    3. コンピュータ・プログラムはその全部を使用することができる。
    4. 使用は、授業及び教育に関する説明を目的とする場合には、正当なものとされなければならない。
    (6) 第60d条の規定は、コンピュータ・プログラムに適用されない。

    (7) 第61d条乃至第61f条の規定は、コンピュータ・プログラムが第69c条第2号によっても使用が許されることを条件として、コンピュータ・プログラムに適用される。

    第69e条 逆コンパイル

    (1) 第69c条第1号及び第2号の意味においてコードを複製し又はコード形式を翻訳することが、独立して作成されたコンピュータ・プログラムと他のプログラムとの互換性の確立に必要な情報を取得するうえで不可欠である場合には、次の各号に掲げる条件が充たされるものと認められるときは、権利保有者の同意は要しない。
    1. その行為が、ライセンスの取得者その他プログラムの複製物の使用につき権限を有する者、又はそれらの者の名においてこれにつき権限を与えられた者によって行われること。
    2. 互換性の確立に不可欠な情報が、前号にいう者にとって未だ容易に使用可能なものとなっていないこと。
    3. その行為が、元のプログラムの部分で互換性の確立に不可欠なものに限定されていること。

    (2) 前項に基づく行為によって得られた情報は、次の各号に掲げる行為の対象としてはならない。
    1. 独立して作成されたプログラムの互換性を確立することとは異なる目的のために使用すること。
    2. 第三者に提供すること。ただし、そのことが独立して作成されたプログラムの互換性にとって不可欠である場合は、このかぎりではない。
    3. 実質的に類似の表現形式からなるプログラムを開発し、製作し、若しくは商品化するために、又はその他何らかの著作権を侵害する行為のために使用すること。

    (3) 前二項は、その適用が著作物の通常の利用を妨げずかつ権利保有者の正当な利益を不当に害しないよう、解釈するものとする。

    第69f条 権利の侵害乃至補充の保護規定

    (1) 権利保有者は、所有者又は占有者に対して、違法に製作され若しくは頒布され又は違法な頒布のために特定された複製物のすべてを廃棄するよう求めることができる。第98条第3項及び第4項は、ここに準用するものとする。

    (2) 前項は、技術的なプログラム保護機構の不法な除去又回避を容易にすることに専ら特定された手段について、準用するものとする。第1文は、文化遺産施設が第69d条第7項の規定とも併せ第61d条の法定使用許与を利用するために使用する手段に関しては、適用されない。

    (3) 技術的なプログラム保護機構には、第69d条第4項とも併せ第44b条の場合、第69d条第5項とも併せ第60a条の場合、第60e条第1項又は第6項の場合、並びに第60f条第1項又は第3項の場合には、第95b条のみが準用される。
    第69g条 その他の法規定の適用・契約法

    (1) この節の規定は、その他の法規で、とりわけ、発明、半導体製品のトポグラフィー及び商標の保護、並びに営業秘密及び企業秘密の保護を含む不正競争に対する保護に関するものをコンピュータ・プログラムに適用すること、及び債権的な合意をなすことを妨げない。

    (2) 契約上の規定で、第69d条第2項、第3項及び第5項若しくは第7項、又は第69e条に抵触するものは、無効とする。




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