第1255条 著作権
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1 |
学術的、文学的及び美術的著作物に対する知的権利は、著作権とする。
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2 |
以下の権利は、著作物の著作者に帰属する。 |
1) |
著作物に対する独占的権利 |
2) |
著作者であることを主張する権利 |
3) |
著作者の氏名権 |
4) |
著作物を侵害から保護する権利 |
5) |
著作物を公表する権利
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3 |
本法に定めのある場合、本条第2項に規定する権利と共にその他の権利も著作者に帰属する。これには、職務著作の利用に対する対価を要求する権利、撤回権、美術の著作物の追及権及びアクセス権が含まれる。
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第1256条 ロシア連邦領土内における学術的、文学的及び美術的著作物に対する独占的権利の効力
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1 |
学術的、文学的及び美術的著作物に対する独占的権利は、以下を対象とする: |
1) |
ロシア連邦領土内で公表された、又は未公表だが何らかの有形的形式でロシア領土内に存在する、ロシア連邦国民であるか否かを問わず著作者(その権利承継人)が権利者と認められる著作物。 |
2) |
ロシア連邦領土外で公表された、又は未公表だが何らかの有形的形式でロシア連邦領土外に存在する、ロシア連邦国民である著作者(その権利承継人)が権利者と認められる著作物。 |
3) |
ロシア連邦領土外で公表された著作物、又は未公表だが何らかの有形的形式でロシア連邦領土外に存在する、ロシア連邦の国際条約に従って外国籍を有する又は無国籍の著作者(その権利承継人)が権利者と認められる著作物。
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2 |
最初のロシア連邦領土外での発行から30日以内にロシア連邦領土内で発行された著作物は、発行されたことによりロシア連邦領土内で最初に公表されたものとみなす。
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3 |
ロシア連邦領土内でロシア連邦の国際条約により著作物に保護を与える場合、当該著作物の著作者その他の権利の原始取得者は、著作権の取得事由となる法的事実が生じた国の法律により決定される。
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4 |
著作物の祖国において、当該国が当該著作物について定めた独占的権利の保護期間の満了により公有に属しておらず、またロシア連邦内においても本法の定める独占的権利の保護期間の満了により公有に属してもいない著作物につき、ロシア連邦領土内においてロシア連邦の国際条約により保護が与えられる。
ロシア連邦の国際条約により著作物に保護が与えられる場合、ロシア連邦領土内での当該著作物に対する権利の保護期間は、当該著作物の祖国の定める独占的権利の保護期間を超えないものとする。
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第1257条 著作物の著作者
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学術的、文学的又は美術的著作物の著作者は、その創作的行為により著作物が創作された者とする。著作物の原作品又は複製物に著作者として表示されている者は、これに反する証明がなされない限りその著作者とみなす。
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第1258条 共同著作
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1 |
共同創作行為により著作物を創作した国民は、当該著作物が単一の総体であるか独立した意義を有する部分から構成されているかを問わず、共同著作者とみなす。
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2 |
共同著作により創作された著作物は、共同著作者間での別段の合意がない限り、共同著作者が共同で使用するものとする。当該著作物が単一の総体である場合、十分な合理的理由がない限り、いずれの共同著作者も著作物の利用を禁止することができない。
著作物の一部を他の部分から独立して利用することができる場合、すなわち独立した意義を有する場合、共同著作者間での別段の合意がない限り、その著作者が自己の裁量により利用することができる。
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3 |
著作物の利用による収入の分配、及び著作物に対する独占的権利の処分に関する共同著作者間の関係は、それぞれ本法第1229条第3項の定めるところによる。
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4 |
特に共同著作者の創作した著作物が単一の総体である場合、各共同著作者は、自己の権利を保護する手続を自ら行うことができる。
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第1259条 著作権の客体
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1 |
著作権の客体は、学術的、文学的及び美術的著作物とし、著作物の価値及び目的は問わず、またその表現形式も問わない。
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言語の著作物 |
演劇的及び楽劇的著作物、映画の著作物 |
振付及び無言劇の著作物 |
音楽の著作物(歌詞の有無を問わない) |
視聴覚著作物 |
絵画、彫刻、図面、設計、絵本、漫画及びその他の造形芸術の著作物 |
装飾美術及び舞台美術の著作物 |
建築、都市計画及び庭園の著作物。これには計画、完成図及び模型が含まれる。 |
写真の著作物及び写真に類似する方法により作成された著作物 |
地理学、地質学その他の地図、計画及び素描画並びに地理学、地質学、地形学その他の科学に関する造形の著作物 |
その他の著作物 |
コンピュータ・プログラムもまた、著作権の客体とみなし、文学の著作物としてこれを保護する。
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2 |
著作権の客体には、以下のものもまた含まれる。 |
1) |
二次的著作物。例えば、他の著作物の改訂物。 |
2) |
従属的著作物。例えば、創作行為の成果物の選択または配列により構成される著作物。
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3 |
著作権は、書面、(公的演説、公的上演その他あらゆる方式による)口頭による方式、描写、音若しくは映像による方式又は立体方式を含む表現形式のいかんを問わず、公表された著作物及び未公表の著作物にもまた成立する。
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4 |
著作権の発生、実現及び保護のためには、著作物の登録もその他のあらゆる方式の履行をも要しない。
権利者の裁量により、コンピュータ・プログラム及びデータベースは本法第1262条の規定に従い登録をすることができる。
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5 |
著作権は、アイデア、着想、原理、方式、工程、体系、手段、技術的解決策、組織的その他の労務、発明、事実又はプログラム言語には成立しない。
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6 |
以下のものは著作権の客体とはならない。 |
1) |
連邦政府及び地方自治体の公的文書。これには法令、その他の規範、裁判所の裁判、その他の立法、行政及び司法の資料、国際組織の公的文書及びその公式翻訳文が含まれる。 |
2) |
連邦政府の符号及び記号(国旗、印章、記章、通貨その他これに類するもの)並びに地方自治体の符合及び記号 |
3) |
特定の著作者のいない民族の著作物(民間伝承) |
4) |
もっぱら情報の伝達の性質のみを有する事件及び事実の報告(日々の事件の報告、テレビ放送の番組表、交通機関の時刻表その他これに類するもの)
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7 |
著作権は、著作物の一部、その名称及び著作物中の登場人物にも、それが性質上著作者による創作活動の独立した成果物と認められ、本条第3項の要求を満たす場合には、成立する。
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第1260条 翻訳物及びその他の翻訳著作物並びに結合著作物
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1 |
翻訳者その他の二次的著作物(リメイク、映画版、脚色、ドラマ化その他これに類する著作物)の著作者は、翻訳その他の別作品(原作品)の改訂の過程に対して著作権を有する。
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2 |
集合作品の編集者その他結合著作物(作品集、辞典、データベース、地図帳その他これに類する作品)の著作者は、素材の選択及び配列(編集物)について著作権を有する。データベースは、有形的な形式で提示される、独立した素材(記事、計算、基本法、裁判所の判決及びこれに類する素材)の集合物で、コンピュータを用いて検索し、処理できるように体系化されたものをいう。
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3 |
翻訳者、編集者その他の二次的著作物又は結合著作物の著作者は、二次的著作物又は結合著作物の創作に使用した著作物の著作者の権利を遵守することを条件として、自己の著作権を行使することができる。
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4 |
翻訳者、編集者その他の二次的著作物又は結合著作物の著作権は、当該著作物の基となった著作物の著作者の権利が保護されるか否かを問わず、独立した著作権の客体に対する権利として保護される。
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5 |
編集著作物又はその他の結合著作物の著作者は、自己の著作物を当該結合著作物とは別に利用する権利を有する。但し、当該結合著作物の創作者との契約に別段の定めがある場合はこの限りでない。
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6 |
翻訳、編集、その他の二次的又は結合著作物に対する著作権は、他人が同じ原作品を翻訳し又は使用することも、また同じ素材について別の選択又は配列をして独自の二次的著作物を創作することも禁止するものではない。
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7 |
百科全書、百科事典、学術的著作物の定期的及び継続的編集物、新聞、雑誌、その他の定期刊行物の出版者は、自己の出版物を利用する権利を有する。出版物が利用される場合、出版者は自己の名称を表示することができ、又はその表示を請求することができる。
その出版物に含まれる著作物の著作者その他の著作権者は、全体としての出版者その他の者の権利とは別に、権利を有する。但し、その独占的権利が出版者その他の者から承継したものである場合又は本法の定める別の理由により出版者その他の者に移転している場合はこの限りでない。
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第1261条 コンピュータ・プログラム
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種類のいかんを問わず全てのコンピュータ・プログラム(操作システム及び複合ソフトウェアを含む)に対する著作権は、初期言語及び依存コードを含め、いかなる言語で、またいかなる形式で表現されているかを問わず、文学的著作物に対する著作権と同様に保護される。コンピュータ・プログラムは、一定の結果を得ることを目的として、コンピュータその他のコンピュータ装置を操作するために有形的方式で表示されたデータ及びコマンドの総体をいい、これにはコンピュータ・プログラムの開発過程で作成された中間成果物及びこれにより生じた視聴覚的展示物が含まれる。
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第1262条 コンピュータ・プログラム及びデータベースの登録
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1 |
コンピュータ・プログラム及びデータベースに対する著作権の保護期間中、権利者は、希望する場合、プログラム又はデータベースを、知的財産を所掌事務とする連邦政府所轄官庁に登録することができる。
国家機密に属する情報を含むコンピュータ・プログラム及びデータベースは、公式登録の対象外とする。公式登録の申請をする者(申請者)は、ロシア連邦法上国家機密に属する情報を含むコンピュータ・プログラム及びデータベースに関する情報を開示する義務がある。
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2 |
コンピュータ・プログラム及びデータベースの公式登録申請書(登録申請書)は、一つのコンピュータ・プログラム又はデータベースを対象としなければならない。
登録申請書は、次に掲げる事項を含むものでなければならない:
権利者の氏名及び本人が自己の判断で記載を拒まない場合には著作者の氏名、並びに各々の所在地又は住所を明記したコンピュータ・プログラム及びデータベースの公式登録申請
コンピュータ・プログラム及びデータベースを証明する提出物及びその要約
所定の料金の登録手数料の納付又は当該料金の減額若しくは免除の正当理由を証明する書面
登録申請の完了についての規則は、知的財産分野の基本法令を所掌事務とする連邦政府所轄官庁がこれを定める。
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3 |
登録申請に基づき、知的財産を所掌事務とする連邦政府所轄官庁は必要書類及び提出物の存在、及びそれらが本条第2項所定の要求を満たしているかを審査する。審査の結果、所定の要件を満たしている場合には、当該官庁はコンピュータ・プログラム及びデータベースをそれぞれコンピュータ・プログラム登録簿及びデータベース登録簿に記載し、申請者に対し公式登録証を交付し、登録されたコンピュータ・プログラム及びデータベースに関する明細を所轄官庁の公報に公示する。
所轄官庁の要求により又は自発的に、著作者又は他の権利者は、公報への明細の公示前に、登録申請書記載の申請書及び提出物の補充及び補正をする権利を有する。
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4 |
コンピュータ・プログラム及びデータベースの公式登録の手続、公式登録証の書式、その記載される事項のリスト、及び知的財産の事務を所掌事務とする政府所轄官庁の公報に公示される事項のリストは、知的財産分野の基本法令を所掌事務とする連邦政府所轄官庁が定めるものとする。
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5 |
登録されたコンピュータ・プログラム又はデータベースに対する著作権の譲渡契約及び契約によらない当該コンピュータ・プログラム又はデータベースの第三者への移転は、これを知的財産を所掌事務とする連邦政府所轄官庁に登録することを要する。
著作権の権利者の変更に関する情報は、登録済みの契約その他の権利創設書面に基づきコンピュータ・プログラム登録簿又はデータベース登録簿に記載され、知的財産を所掌事務とする連邦政府所轄官庁の公報に公示されることを要する。
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6 |
コンピュータ・プログラム登録簿又はデータベース登録簿に記載された事項は、反証がなされない限り真正なものとみなす。公式登録のために提出した情報の真正性に対する責任は、申請者が負うものとする。
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第1263条 視聴覚著作物
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1 |
視聴覚著作物は、固定された、相互に関連した一連の映像(音を伴うか否かを問わない)によって構成され、対応する技術的手段を用いて視覚及び(音を伴う場合)聴覚による知覚に供される著作物をいう。視聴覚著作物には、映画の著作物及び映画に類似する手法を用いて表現された全ての著作物(テレビ及びビデオ映画並びにその他のこれに類似する著作物)が含まれ、最初の固定及びその後の固定の方式は問わないものとする。
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2 |
視聴覚著作物の著作者は、次に掲げる者とする。 |
1) |
監督 |
2) |
脚本の著作者 |
3) |
視聴覚著作物のために特に創作された音楽の著作物(歌詞の有無を問わない)の著作者である作曲家
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3 |
視聴覚著作物の公の実演、放送又は有線放送がなされた場合、視聴覚著作物に使用されている音楽の著作物(歌詞の有無を問わない)の著作者である作曲家は、自己の音楽の著作物の当該利用態様に対する報酬請求権を有する。
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4 |
視聴覚著作物の製作者、すなわち著作物の創作行為を組織した者(プロデューサー)の権利は、本法第1240条に従って定められるものとする。
視聴覚著作物が利用される場合は常に、製作者は自己の氏名を明示し、又は明示するよう請求する権利を有する。反証がなされない限り、視聴覚著作物の製作者はその氏名が通常の方法で著作物に表示されている者とする。
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5 |
視聴覚著作物の構成要素となっている著作物の著作者は、それが既存のもの(脚本の基礎となった小説の著作者その他)であれ、当該作品の創作過程で創作されたもの(撮影監督、美術監督その他)であれ、自己の作品について著作権を有する。但し、当該著作権が製作者その他の者に譲渡され、又は本法の定めるその他の理由により製作者その他の者に移転している場合はこの限りでない。
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第1264条 公文書草案、符号と記号のデザイン草案
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1 |
公文書草案(当該文書の公式翻訳文の草案、公式符号又は記号のデザイン草案を含む)に対する権利を受ける権利は、草案を創作した者(デザイナー/著作者)が有するものとする。
公文書又は公式符号若しくは記号のデザイナー/著作者は、草案を公布する権利を有する。但し、政府若しくは自治組織の地方自治体又は国際組織の要請により当該草案が作成された場合で、これらにより禁止されている場合はこの限りでない。草案が公示される場合、デザイナー/著作者は自己の氏名を表示する権利を有する。
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2 |
公文書草案又は符号若しくは記号のデザイン草案は、当該草案がデザイナー/著作者により政府、地方自治体又は国際組織の使用のために公表された場合、又はデザイナー/著作者により当該政府、地方自治体又は国際組織に対して送付されていた場合には、政府、地方自治体又は国際組織が各々の公文書、符号又は記号の推敲のためにデザイナー/著作者の許諾を得ずに使用することができる。
公文書又は符号若しくは記号がその草案に基づき推敲される場合、公文書の作成又は符号若しくは記号の推敲のために、政府、地方自治体又は国際組織の裁量で草案に対して修正を加えることができる。
政府、地方自治体又は国際組織により使用料を支払い草案が正式に採用された後は、当該草案はデザイナー/著作者の氏名を表示することなく使用することができる。
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第1265条 著作者であることを主張する権利及び著作者の氏名表示権
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1 |
著作者であることを主張する権利、すなわち著作物の著作者であると認めてもらう権利、及び著作者の氏名表示権、すなわち著作者の実名若しくは変名で、又は氏名の表示をせず、すなわち無名で、著作物を利用し又は利用を許諾する権利は、例えば、著作物の利用に関する著作権を他人に譲渡した場合でも、また著作物の利用権を他人に許諾した場合でも、これを譲渡し、また移転させることはできない。これらの権利の放棄は無効である。
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2 |
著作物が無名又は変名で発行される場合(著作者の変名が著作者であることについて疑問の余地がない場合を除く)、反証がない限り当該著作物に名称が表示されている出版者(第1287条第1項)が、著作者の代理人とみなされ、この資格において、著作者の権利を保護し、またその行使を保障する権利を有する。本項は、著作物の著作者が自己の氏名を公表せず、また自己が著作者である旨を表明しない限り、効力を有するものとする。
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第1266条 同一性保持権及び著作物を歪曲から保護する権利
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1 |
著作者の許諾がない限り、著作物に対し変更、切除及び追加を行うこと、絵、前書き、後書き、コメントその他の説明を付加することは禁止される(同一性保持権)。
著作者の死亡後著作物が利用される場合、著作権を有する者は、著作物に対し変更、切除又は追加をすることを許諾する権利を有する。但し、著作者の意図を歪曲せず、作品の完全性は維持、また遺言、日記その他の書面に明示された著作者の意思に反してはならない。
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2 |
著作者の名誉、声望又は信用を害する著作物に対する曲解、歪曲、その他の改変がなされた場合、及びかかる行為に及ぶ恐れのある場合も同様に、著作者は、本法第152条の規定に従い、自己の名誉、声望及び信用の保護を請求することができる。この場合、関係者が要求すれば、例えば著作者の死後でも著作者の名誉及び声望の保護が認められる。
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第1267条 著作者であることを主張する権利、氏名表示権及び同一性保持権の著作者の死後の保護
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1 |
著作者であることを主張する権利、氏名表示権及び同一性保持権は著作者の死後も無期限に保護する。
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2 |
著作者は、遺言執行者の選任の手続(第1134条)により、自己の死後、著作者であることを主張する権利、氏名表示権及び同一性保持権(第1266条第1項第2段落)の保護の任に当たる者を指定することができる。この者は、自己の責務を生涯にわたり行う。
この指定がない場合又は著作者から指定された者がかかる権利行使を拒否した場合、またその者が死亡した後も同様に、著作者であることを主張する権利、氏名表示権及び同一性保持権の保護は、著作者の相続人、承継人及び関係者がこれを行う。
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第1268条 公表権
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1 |
著作者は、自己の著作物の公表権、すなわち、発行、公の展示、公の実演、放送又は有線放送その他の方法により最初に著作物を公衆に提示する行為を自ら行い又は行うことを許諾する権利を有する。
この場合、発行(発布)とは、著作物の性質に応じて、固定物の如何を問わず、公衆の合理的需要を満たすことができる相当程度の数量の複製物を流通に置くことをいう。
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2 |
使用に供するために他人に著作物を譲渡した著作者は、著作物の公表について同意したものとみなす。
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3 |
著作者の生存中公表されなかった著作物は、著作者の死後は、当該著作物に対して著作権を有する者により公表することができる。但し、公表することが書面(遺言、手紙、日記等)により明示された著作者の意思に反する場合はこの限りでない。
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第1269条 撤回権
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著作者は、著作物の公表について既に行った決定を撤回することができる(撤回権)。但し、この場合、著作者は、当該著作権の譲渡を受けていた者、又は当該著作物の利用権を取得していた者に対し、その決定によって生じた損害を賠償するものとする。著作物が既に公表されていた場合、著作者は当該撤回について公告しなければならない。この場合、著作者は、既に発行されていた著作物の複製物を流通から回収することができる。この場合、これにより生じた損害を賠償するものとする。
本条の規定は、コンピュータ・プログラム、職務著作及び複合的成果物(第1240条)を構成する著作物には適用しないものとする。
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第1270条 著作権
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1 |
著作者及びその他の権利者は、本法第1229条に従い、法に反しない限りあらゆる形式及びあらゆる方法で著作物を利用する独占的権利(著作権)を有する。これには、本条第2項に掲げる方法が含まれる。権利者は著作権を譲渡することができる。
|
2 |
当該行為が、営利目的、非営利目的のいずれで行われるかを問わず、著作物の利用は、以下を意味する。 |
1) |
複製、すなわち録音・録画、平面的著作物の一又は複数の立体的複製物及び立体的著作物の一又は複数の平面的複製物の作成などの形式を問わず、著作物又はその一部について一又はそれ以上の複製物を作成すること。この場合、コンピュータの記憶媒体への保存を含む電子的手段による著作物の記録は複製とみなす。但し、当該保存が一時的なもので、記録物を合法的に使用する、又は著作物を合法的に公表する技術的過程において必要不可欠なものである場合は、この限りでない。 |
2) |
著作物を原作品又は複製物の譲渡その他の方法により頒布すること。 |
3) |
著作物の公の展示、すなわち、公開の場又は通常の家族の範囲に属さない相当数の人物が出席する場所における、フィルム、スライド、テレビの静止画又はその他の技術的手段を用いた著作物の原作品又は複製物の直接の展示、及び視聴覚著作物から抜き出した映像の、場面の連続性を捨象した技術的手段を用いた直接の展示をいい、それが展示されている場所で知覚されるか、著作物の展示と同時に他の場所で知覚されるかを問わない。 |
4) |
頒布目的での著作物の原作品又は複製物の輸入 |
5) |
著作物の原作品又は複製物の貸与 |
6) |
著作物の公の実演、すなわち、公開の場又は通常の家族の範囲に属さない相当数の人物が出席する場所における、生の実演又は技術的手段(ラジオ、テレビその他の技術的手段)による著作物の上演、及び視聴覚著作物の上映(音を伴うか否かを問わない)をいい、それが実演が行われている場所で知覚されるか、著作物の実演と同時に他の場所で知覚されるかを問わない。 |
7) |
ラジオ又はテレビ放送(再伝達を含む)、すなわち、有線放送を除く、著作物を公に認知させることをいう(著作物の上演又は実演を含む)。通信とは著作物を聴覚及び/又は視覚での知覚に供するあらゆる手段をいい、公衆によって実際に知覚されるかどうかを問わない。著作物を衛星放送する場合は、放送は地上局からの信号が衛星に受信され、衛星からの信号が伝達されることをいい、当該信号が実際に公衆によって受信されたか否かを問わない。暗号化された信号の伝達は、放送局により又はその許諾を得て解読機器が不特定の者に提供されている場合には、放送とみなす。 |
8) |
有線放送、すなわち公報目的の有線、電信、光ファイバーその他の類似の方法を用いたラジオ又はテレビによる著作物の伝達(再伝達を含む)をいう。暗号化された信号の伝達は、放送局により又はその許諾を得て解読機器が不特定の者に提供されている場合には、放送とみなす。 |
9) |
著作物の翻訳その他翻案。この場合、著作物の翻案とは、二次的著作物を創作することをいう(リメイク、映画化、編曲、脚色等)。コンピュータ・プログラム又はデータベースの翻案(改変)は、これに対するあらゆる変項を意味し、それには特定の言語から他の言語へのプログラム又はデータベースの翻訳が含まれるが、順応のためのもの、すなわちもっぱらコンピュータ・プログラム又はデータベースを利用者の特定のハードウェアで稼働させること、又は利用者の特定のプログラムのもとで稼働させることを目的としてなされる修正は含まないものとする。 |
10) |
建築、デザイン、都市計画又は庭園の計画の実現。 |
11) |
著作物を、誰でも、その者が選ぶどの場所からでも、またいつでも著作物へのアクセスができるよう、公に認知させること(公衆への認知)。
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3 |
技術的、経済的、組織的その他の解決策を含む、著作物の内容の創作過程の準備は、本節に関する限り著作物の利用とはみなされない。但し、本条第2項第10号に定める場合はこの限りでない。
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4 |
本条第2項第5号の規定は、コンピュータ・プログラムには適用がない。但し当該プログラムが貸与の主目的となっている場合はこの限りでない。
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第1271条 著作権表示
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著作権を表明するために、著作権表示を利用する権利を有し、これらは著作物の各複製物に表示され、かつ、以下の要素から構成される。
ラテン文字「C」を丸で囲んだもの
権利者の指名
著作物の最初の発行の年
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第1272条 公表された著作物の原作品又は複製物の頒布
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適法に発行された著作物の原作品又は複製物がロシア連邦領土内において譲渡その他移転したものとして私法上の取引に供された場合、著作物の原作品又は複製物のその後の譲渡は権利者の許諾を得ず、また権利者に対する支払をせずに行うことができる。但し、本法第1293条に規定する場合はこの限りでない。
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第1273条 私的目的による著作物の自由複製
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国民は、著作者又は権利者の許諾を得ず、報酬を支払わずに、もっぱら私的使用目的のために適法に公表された著作物を複製することができる。但し、以下の場合はこの限りでない。 |
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1) |
建築物及びそれに類似した施設の形式による建築の著作物の複製 |
2) |
データベース又はその本質的部分の複製 |
3) |
コンピュータ・プログラムの複製。但し、本法第1280条に定める場合はこの限りでない。 |
4) |
書籍(全体)及び楽譜の複製(第1275条第2項) |
5) |
公開の場又は通常の家族の範囲に属さない相当数の人物が出席する場所において公に上映された視聴覚著作物の録画 |
6) |
家庭用の利用を目的としない専門家用の機材を使って行う視聴覚著作物の複製
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第1274条 報道、研究、教育又は文化目的での著作物の自由利用
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1 |
以下の行為は著作者又は他の権利者の許諾を得ず、また使用料を支払うことなく許容される。但し、この場合、利用する著作物の著作者名及び出所を明示しなければならない。 |
1) |
適法に発行された著作物の研究、論争、批評又は報道の目的のために、引用の目的上正当な範囲内において、原文及び翻訳を引用すること。この場合、評論の形式による新聞及び雑誌記事の抜粋の複製を含む。 |
2) |
適法に発行された著作物及びその抜粋を、例示として教育的性質を有する出版物、ラジオ・テレビ番組、録音・録画物において、当該目的上正当な範囲内において利用すること。 |
3) |
新聞又は雑誌において適法に発行された経済、政治、社会若しくは宗教の時事問題に関する記事又はその性格を有する放送で放送された著作物を、新聞において複製すること、放送又は有線放送すること。但し、著作者その他の権利者がかかる複製又は放送・有線放送を特に禁止している場合はこの限りでない。 |
4) |
公開して行われた政治上の演説、講演、報告その他の類似の著作物を、報道の目的上正当な範囲内において、新聞において複製すること。 |
5) |
時事事件の紹介において、当該事件の過程で見聞きされる著作物を、報道の目的上正当な範囲内において、写真・映像により、放送又は有線放送により、複製し公衆に伝達すること。 |
6) |
適法に発行された著作物を、営利を目的とせず、点字その他の視覚障害者のための特殊な方法を用いて複製すること。但し、当該方法用に特に創作された著作物はこの限りでない。
|
2 |
適法に私法上の取引に供された著作物の複製物を、図書館が一時的な無償利用に供する場合、当該利用は著作者その他の権利者の許諾を得ず、また使用料を支払うことなく行うことができる。この場合において、図書館が著作物のデジタルコピーを一時的な無償利用に、すなわち図書館資料の相互利用の代わりに提供することは、デジタル方式のコピーが作成されていない場合に限り行うことができる。
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3 |
文学、音楽その他のパロディの分野、又は他の適法に発行された著作物(原作品)に基づく漫画の分野の創作、及びパロディ及び漫画の利用は著作者その他の原作品に対する著作権の権利者の許諾を得ず、またこれらの者に対する使用料の支払いをせずに行うことができる。
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第1275条 著作物の複製による自由利用
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1 |
以下の行為は著作者又は他の権利者の許諾を得ず、また使用料を支払うことなく許容される。但し、この場合、利用する著作物の著作者名及び出所を明示しなければならない。 |
1) |
適法に発行された著作物:図書館及び記録保存所において、滅失又は毀損した著作物の複製物を再生及び交換するために行う場合、及び何らかの理由により蔵書から滅失した他の図書館に対して著作物の複製物を提供するために行う場合 |
2) |
適法に発行された編集物、新聞その他の定期刊行物の記事及び小規模の著作物並びに適法に発行された文学の著作物(図画の有無を問わない):図書館及び記録保存所において、国民の教育その他の研究目的のための要求に応じて行う場合
|
2 |
複製(複写による複製)とは、発行以外の目的のためにあらゆる技術的手段を用いて著作物を現物のまま複製することをいう。複製には電子的(デジタルを含む)、光学的その他の機械で解読する方式の著作物の複製又はその複製物の蓄積を含まない。但し、複製のために技術的手段により一時的な複製物が作成される場合はこの限りでない。
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第1276条 公開の場に恒常的に設置されている著作物の自由利用
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公開の場に恒常的に設置されている写真の著作物、建築の著作物又は芸術の著作物は、著作者その他の権利者の許諾を得ず、これらの者に使用料を支払わずに複製し、放送・有線放送することができる。但し、著作物の映像が、その複製、放送・有線放送の主たる目的となっている場合、又は著作物の映像が営利目的で利用される場合はこの限りでない。
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第1277条 音楽の著作物の公の自由演奏
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音楽の著作物は、公式の若しくは宗教的な行事又は儀式の際に、著作者その他の権利者の許諾を得ず、これらの者に使用料を支払わずに、当該行事の性質上正当な範囲内において、演奏することができる。
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第1278条 第1278条の目的のための著作物の自由複製
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著作物は、行政訴訟、保全手続又は裁判手続において、当該手続の性質上正当な範囲内において、著作者その他の権利者の許諾を得ず、これらの者に使用料を支払わずに複製することができる。
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第1279条 放送事業者による一時的利用のための自由な収録
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放送事業者は、著作者その他の権利者の許諾を得ず、これらの者に使用料を支払わずに、著作物の一時的利用のために、自己が放送する権利を取得した著作物を収録することができる。但し、当該収録は、放送事業者が自己の機材を用い、自己の放送のために行われなければならない。この場合、これを超える期間が放送事業者は収録された著作物の権利者との間で合意され、又は法により認められていない限り、当該収録物を、その製作後6カ月以内に消去しなければならない。当該収録物がもっぱら資料としての性質を有する場合には、権利者の許諾を得ることなく国又は地方自治体の記録保存所において保存することができる。
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第1280条 コンピュータ・プログラム及びデータベースの自由利用。コンピュータ・プログラムの逆コンパイル
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1 |
コンピュータ・プログラム又はデータベースの複製物を適法に所持する者(利用者)は、著作者その他の権利者の許諾を得ず、これらの者に使用料を支払わずに以下のことを行うことができる。 |
1) |
利用者の技術的手段においてもっぱらコンピュータ・プログラム又はデータベースを機能させる目的でコンピュータ・プログラム又はデータベースを機能させることにかかわって、この目的に適合した任意の行為を行うためにコンピュータの記憶装置(一定のネットワークにおける一コンピュータのみ又は一利用者のみのための)に記録し、及び蓄積すること、並びに明白な誤りを訂正することを含めて、これに変更を施すこと。但し、権利者との契約に別段の定めのある場合はこの限りではない。 |
2) |
もっぱら記録保存の目的で、及びコンピュータ・プログラム若しくはデータベースの原作品が滅失し、破棄され、又は利用に適さない状態に陥った場合の、適法に取得された複製物の代替の目的で、コンピュータ・プログラム若しくはデータベースの複製物一個を製作すること。この場合、コンピュータ・プログラム又はデータベースの複製物は本項第1号所定の目的以外に利用してはならず、また、当該コンピュータ・プログラム又はデータベースの複製物の占有が適法でなくなった場合には、この複製物は破棄しなければならない。
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2 |
適法にコンピュータ・プログラムの複製物を所持する者は、権利者の許諾を得ず、使用料を支払うことなく以下のことを行う権利を有する:本条第1項第1号に定める方法を使ってコンピュータ・プログラムの根底にあるアイデア及び原理を解析するために、プログラムの運用を学習し、調査し又はテストすること。
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3 |
適法にコンピュータ・プログラムの複製物を所持する者は、他の者によって独自に開発されたコンピュータ・プログラムが、逆コンパイルされたプログラムと相互運用しうる他のプログラムとの相互運用性を得るために必要な場合には、権利者の許諾を得ず、また使用料を支払うことなく、オブジェクト・コードを複製し、これをソース・プログラムに変換する(コンピュータ・プログラムを逆コンパイルする)権利を有し、又は他の者にこの行為を許諾する権利を有する。但し、この場合には、次に掲げる条件を遵守しなければならない。 |
1) |
相互運用性を得るために必要な情報に当該人物が他の情報原価アクセスしていないこと。 |
2) |
この行為が、逆コンパイルしたコンピュータ・プログラムの打ち、相互運用性を得るために必要な部分についてだけ泣けなされていること。 |
3) |
逆コンパイルの結果得られた情報は、独自に開発されたコンピュータ・プログラムが他のプログラムとの相互運用性を得るためにも利用することができること。この場合、当該情報は、独自に開発されたコンピュータ・プログラムの、他のプログラムとの相互運用性を得るために必要な場合を除き、他の者に譲渡してはならず、また、逆コンパイルされたコンピュータ・プログラムとその外観上本質的に類似しているコンピュータ・プログラムを開発するため、又は著作権を侵害するその他の任意の行為を行うために利用してはならない。
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4 |
本条の適用は、コンピュータ・プログラム若しくはデータベースの通常の利用を不当に損なうものではあってはならず、また、コンピュータ・プログラム若しくはデータベースの著作者その他の権利者の正当な利益を不当に侵害するものであってはならない。
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第1281条 著作権の保護期間
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1 |
著作権は、著作者の生存中及び著作者の没年の翌年の1月1日から70年存続する。共同著作者により創作された著作権は、他の共同著作者より長く生存した著作者の生存中及びその没年の翌年の1月1日から70年存続する。
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2 |
無名又は変名で発行された著作物については、著作権の保護期間は、適法に発行された翌年の1月1日から70年間とする。当該期間内に著作物の著作者が、自身が著作者である旨を公表するか、又はその者が著作者であることが疑いの余地のない場合には、本条第1項を適用する。
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3 |
著作者の死後公表された著作権の保護期間は、適法に公表された年の翌年の1月1日から70年間とする。但し、著作者の死後70年以内に公表されることを条件とする。
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4 |
著作物の著作者が弾圧を被り、その死後に名誉回復がなされた場合、著作権の保護期間は延長されるものとし、70年間は著作物の著作者の名誉回復がなされた年の翌年の1月1日から起算する。
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5 |
著作者が大祖国戦争の時期に働いていたか、又は従軍していた場合には、本条所定の著作権の保護期間は4年間延長される。
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第1282条 著作物の公有
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1 |
著作権の保護期間の満了をもって、学術的、文学的又は芸術的著作物は、公表か未公表かを問わず、公有とする。
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2 |
公有となった著作物は、何人も何人の同意又は承諾も得ず、また使用料を支払うこともなく、自由に利用することができる。この場合、著作者であることを主張する権利、著作者の氏名表示権及び著作物の同一性保持権は遵守しなければならない。
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3 |
公有となった未公表の著作物は、何人も公表することができる。但し、当該公表は、書面(遺言、手紙、日記等)に明示された著作者の意思に反してはならない。当該著作物を適法に公表した国民の権利は、本法第71章に従って定められるものとする。
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第1283条 相続による著作権の移転
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1 |
著作権は相続される。
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2 |
本法第1151条に定める場合、相続財産に含まれる著作権の保護期間は満了し、著作物は公有に属する。
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第1284条 著作権及びライセンス契約に基づく著作物の利用権に対する強制執行
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1 |
著作者の保有する著作権に対する強制執行は許されない。但し、著作権の譲渡契約及びライセンス契約を締結した第三者に関し係争中の著作者の所有物、及び著作物の利用から取得する利益は差押えの対象となる。
著作者以外の者が保有する著作権及びライセンシーが保有する著作物の利用権は差押えの対象となる。
本項第1段落の規定は、著作権の保護期間中は著作者の相続人、その相続人以下にも適用する。
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2 |
ライセンシーの有する著作物の利用権が著作権に対する差押えのために公売に付された場合、著作者はこれを落札する優先権を有する。
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第1285条 著作権の譲渡契約
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著作権の譲渡契約に基づき、著作者又は権利者は、自己の著作権を完全に権利の譲受人に譲渡し又は譲渡することを約する。
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第1286条 著作物の利用権を付与するライセンス契約
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1 |
ライセンス契約に基づき、著作者又は著作権者(ライセンサー)は他人(ライセンシー)に対し契約の定める範囲内で著作物を利用する権利を付与し又は付与させるものとする。
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2 |
ライセンス契約は書面によりこれを締結しなければならない。定期刊行物中の著作物の利用権を付与する契約は、口頭により締結することができる。
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3 |
コンピュータ・プログラム又はデータベースを利用する権利を付与するライセンス契約は、各ユーザーと関係する著作権者との間で同意による契約を成立させることにより締結することができ、この場合契約条項は購入したプログラム又はデータベースの複製物又はそのパッケージ上に表示される。利用者がプログラム又はデータベースについて当該条項の定義する使用を開始すると、当該利用者は契約締結に同意したものとみなされる。
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4 |
有償ライセンス契約には、著作物の利用に課される使用料及びその計算方法を定めるものとする。
当該契約には、ライセンサーのために、固定額の一回払い又は定期払い、収入(収益)に対する一定割合の、又はその他の方式による使用料が支払われるべき旨の条項を設けることができる。
ロシア連邦政府は、著作物の特定の利用について使用料の最低レートを定める権限を有する。
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第1287条 出版者のライセンス契約に関する特例
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1 |
著作者又は著作権者が出版者、すなわち契約に基づき出版を引き受ける者と締結する、著作物の利用権を付与する契約(出版許諾契約)において、ライセンシーは当該契約に定める期間内に著作物の利用を開始するものとする。当該義務が履行されなかった場合、ライセンサーは当該契約を解約することができ、この場合当該解約により生じた損害についてライセンシーに対して賠償する責を負わない。
当該契約が著作物の利用開始について特定の時期を定めていなかった場合、当該著作物の種類及び利用方法において通常の使用期間内に利用を開始するものとする。かかる契約は、本法第450条に定める理由及び手続によりライセンサーが取り消すことができる。
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2 |
出版許諾契約が本条第1項の規定に基づき取り消された場合、ライセンサーは契約上予定されていた使用料を全額支払うよう要求することができる。
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第1288条 注文による著作契約
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1 |
注文による著作契約において、一方当事者(著作者)は他方当事者(依頼者)の注文により、契約で定められた学術的、文学的又は芸術的著作物を、媒体物その他の方式により創作することを請け負う。著作物の媒体物は、依頼者の所有に供するため引き渡すものとする。但し、契約上一時的な利用のために依頼者に引き渡すことが要求されている場合はこの限りでない。
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2 |
注文による著作権及び著作隣接権の契約には、著作者の創作した著作物に係る著作権を依頼者に譲渡すべき旨、又は依頼者が契約の定めえる範囲内で著作物を利用する権利を取得すべき旨を定めることができる。
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3 |
注文による著作権及び著作隣接権の契約が、著作者が創作する著作物に係る著作権を依頼者に対して譲渡することを求めている場合、当該契約は当然に著作権譲渡に関する本法の規定の適用を受けるものとする。但し当該契約の本質的内容からこれに反する結果となる場合はこの限りでない。
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4 |
注文による著作権及び著作隣接権の契約が、依頼者が契約の定める範囲内で著作物を利用する権利を取得する旨の条件で締結された場合、当該契約は当然に本法第1286条及び第1287条の適用を受けるものとする。
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第1289条 注文による著作契約の解約条件
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1 |
注文による著作権及び著作隣接権の契約に基づき創作された著作物は、契約の定める期間内に依頼者に引き渡すものとする。
特定の履行時期の定めがなく、履行期限の決定権の定めもない契約は締結されていないものとみなす。
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2 |
注文による著作契約の履行期限が満了した場合、著作者は(必要があり、著作物の完成のために合理的理由がある場合)、契約の履行期間として定められた期間の4分の1の猶予期間が認められる。但し、当事者間の契約でこれより長い猶予期間が定められている場合はそれによる。
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3 |
本条第2項により著作者に与えられた猶予期間が経過した場合、依頼者は一方的に注文による著作契約を解除することができる。
この場合、依頼者は、契約上履行期として定められた期間を満了した場合において、それにより依頼者が契約上の利益を喪失し、契約の履行の条件が破壊された場合、直ちに注文による以来契約を解除することができる。但し、契約上解除時までに履行された場合はこの限りでない。
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第1290条 著作者の締結した契約に基づく責任
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1 |
著作権の譲渡契約及びライセンス契約に基づく著作者の責任は、他人に与えた現実の損害額の範囲に制限される。但し、契約上これより少ない著作者の責任の額が定められている場合はこの限りでない。
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2 |
著作者が責任を負う注文による著作契約の契約不履行又は不完全履行の場合、著作者は依頼者に対して前金を返金し、契約上期待されていた額の損害金を支払うものとする。この場合、当該支払金は依頼者が被った現実の損害額の範囲に制限される。
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第1291条 著作物の原作品及び著作権の譲渡
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1 |
著作者が著作物の原作品(原稿、絵画、彫刻の原作品等)を譲渡した場合、例えば注文による著作契約に基づき著作物の原作品が譲渡された場合、契約に別段の定めがない限り、著作権は著作者に留保される。
著作権がその原作品の譲受人に譲渡された場合、譲受人は以下のことを行う権限を有する。
著作物の原作品を展示し、展示物の目録及び自己の所蔵品のための出版物にこれを複製すること。
他人が主催する展覧会での展示のために提供すること。
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2 |
著作権を有するが著作者ではない者が著作物の原作品を譲渡した場合、契約に別段の定めがない限り、著作権は著作物の原作品の譲受人に移転するものとする。
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3 |
著作物の著作者に関する本条の規定は、著作権の保護期間中は著作者の相続人、その相続人以下にも適用する。
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第1292条 アクセス権
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1 |
芸術の著作物の著作者は、当該著作物の所有者に対して自己の著作物に対する複製権の行使機会を与えるよう請求する権利(アクセス権)を有する。この場合、当該著作物の所有者に対して著作物を引き渡すよう請求することはできない。
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2 |
建築の著作物の著作者は、著作物の原作品の所有者に対し、契約に別段の定めがない限り、著作物の写真撮影及びビデオ撮影をする機会を与えるよう請求することができる。
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第1293条 芸術家の追及権
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1 |
芸術の著作物の著作者が所有権を譲渡した場合、当該原作品が公に転売された場合で、売主、買主又は仲介人が画廊、画商、店舗その他のこれに類似する組織である場合、著作者は売主から再販売価格からの一定割合という形で使用料を受け取る権利を有する(芸術家の追求権)。料率並びに条件及び使用料の支払いに関する手続はロシア連邦政府が定める。
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2 |
著作者は、追求権を本条第1項に定める手続により、また文学及び音楽の著作物の著作者の原稿(肉筆原稿)について行使することができる。
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3 |
追求権は譲渡することができないが、著作権の保護期間中は著作者の相続人に移転する。
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第1294条 建築、都市計画及び庭園の著作物の著作者の権利
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1 |
建築、都市計画及び庭園の著作物の著作者は、本法第1270条第2項及び第3項に従い自己の著作物に対し著作権を有する。この権利には、設計図の作成、建築、都市計画及び庭園のデザインの実行が含まれる。建築、都市計悪又は庭園の計画デザインは、当該計画が策定された契約上別段の定めがない限り、一回限りのものとして認められる。計画及び設計図は、計画デザインの著作者の承諾がある場合にのみ利用することができる。
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2 |
建築、都市計画及び庭園の著作物の著作者は、設計図の実行に関する著作者の管理及び建物のその他の構造物の建築又はその他の計画デザインの実行に対する著作者の監督を行う権限を有する。著作者の管理及び監督の手続は、建築及び都市計画を所掌事務とする連邦政府所轄官庁がこれを定める。
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3 |
建築、都市計画及び庭園の著作物の著作者は、建築、都市計画及び庭園の計画の注文主に対し、自己の計画の実現に関与する権利を請求することができる。但し、契約上別段の定めがある場合はこの限りでない。
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第1295条 職務著作物
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1 |
労働者(著作者)に対する業務命令の範囲内で創作された学術的、文学的又は美術的著作物(職務著作物)の著作権は著作者に帰属する。
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2 |
使用者は、職務著作に対して独占的権利を有する。但し、雇用契約又はその他の使用者と著作者の契約に別段の定めがある場合はこの限りでない。
職務著作物が提出された日から3年以内に、使用者が当該著作物の使用を開始せず、他人に独占的権利を譲渡せず、又は著作者に対し当該著作物を秘密として保持する旨を通知しなかった場合、職務著作物に対する独占的権利は著作者に帰属する。
本項第2段落に定める期間内に、使用者が著作物の使用を開始し、又は他人に独占的権利を譲渡した場合、著作者は報酬請求権を有する。また、著作者は、使用者が著作物を秘密として保持する旨を決め、その結果上記期間内に著作物の使用を開始しなかった場合にも、当該報酬請求権を取得する。
報酬の価額及び使用者による支払いの条件及び手続は、使用者と労働者の契約により、又は紛争となった場合は裁判所によりこれを定める。
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3 |
本条第2項により職務著作物に対する独占的権利が著作者に帰属した場合、使用者は業務命令の目的に応じた方法により、当該命令に反しない範囲で著作物を利用する権利及び当該著作物を発行する権利を有する。但し、使用者と労働者の契約に別段の定めがある場合はこの限りでない。この場合、業務命令の目的に関係のない方法、又は業務命令の目的に関係する方法であるが、使用者の業務命令の定める範囲を超える方法により職務著作物を利用する著作者の権利は制限されない。
使用者は職務著作物の利用に対し、自己の名称を表示するか、又はその表示をするよう請求することができる。
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第1296条 注文に基づき、創作されたコンピュータ・プログラム及びデータベース
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1 |
コンピュータ・プログラム又はデータベースが、その創作を目的とする契約(注文)に基づき創作された場合、プログラム又はデータベースに対する独占的権利は依頼者に帰属する。但し、契約人(履行者)及び依頼者間の契約に別段の定めがある場合はこの限りでない。
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2 |
本条第1項の規定によりコンピュータ・プログラム及びデータベースに対する独占的権利が依頼者に帰属した場合、契約人(履行者)は、契約に別段の定めがない限り、プログラム又はデータベースを、独占的権利の保護期間中、自身の必要に応じ、無償(非独占的)ライセンス条件に従い利用する権利を有する。
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3 |
契約人(履行者)及び依頼者の契約により、コンピュータ・プログラム又はデータベースに対する独占的権利が契約人(履行者)に帰属した場合、依頼者は、契約に別段の定めがない限り、プログラム又はデータベースを、独占的権利の保護期間中、自身の必要に応じ、無償(非独占的)ライセンス条件に従い利用する権利を有する。
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4 |
コンピュータ・プログラム又はデータベースの著作者で、当該プログラム又はデータベースに対する独占的権利を有しない者は、本法第1295条第2項第3段落に従い報酬請求権を有する。
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第1297条 契約に基づき創作されたコンピュータ・プログラム及びデータベース
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1 |
コンピュータ・プログラム又はデータベースが、契約人の契約又は研究開発業務若しくは技術作業の履行に関する契約の履行に際して創作された場合で、当該契約明示的にその創作を義務としていない場合、プログラム又はデータベースに対する独占的権利は契約人(履行者)に帰属する。但し、依頼者との契約上別段の定めがある場合はこの限りでない。契約に別段の定めがない限り、この場合依頼者は、関係する契約が締結された目的のために創作されたプログラム及びデータベースを、単純(非独占的)ライセンス条件で、独占的権利の全保護期間にわたって、その利用のための追加報酬を支払うことなく利用する権利を有する。プログラム又はデータベースに対する独占的権利が他人に譲渡された場合、依頼者はプログラム又はデータベースを利用する権利を留保する。
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2 |
契約人(履行者)と依頼者との契約に従い、コンピュータ・プログラム又はデータベースに対する独占的権利が依頼者又は依頼者の指定する第三者に譲渡された場合、契約人(履行者)は自己の創作したプログラム又はデータベースを、独占的権利の全保護期間中、自身の必要に応じ、無償(非独占的)ライセンス条件に従い利用する権利を有する。但し、契約上別段の定めがある場合はこの限りでない。
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3 |
本条第1項に定めるコンピュータ・プログラム又はデータベースの著作者で、プログラム又はデータベースに対する独占的権利を有しない者は、本法第1295条第2項第3段落に従い報酬請求権を有する。
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第1298条 国又は地方自治体との契約に基づき創作された学術的、文学的及び美術的著作物
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1 |
国又は地方自治体の需要のために国又は地方自治体との契約に基づき創作された学術的、文学的及び美術的著作物に対する独占的権利は、著作者である契約人又はその他の国又は地方自治体との契約を履行する者に帰属する。但し、国又は地方自治体との契約に従い、当該権利がロシア連邦政府、ロシア連邦政府の下部組織又は国又は地方自治体の依頼者の代わりに行動する地方組織に帰属する場合、又は契約人とロシア連邦政府、契約人とロシア連邦政府の下部組織若しくは契約人と地方組織の共有に属する。
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2 |
国又は地方自治体との契約に従い、学術的、文学的及び美術的著作物に対する独占的権利がロシア連邦政府、ロシア連邦政府の下部組織又は地方組織に帰属する場合、契約人は、ロシア連邦政府、ロシア連邦政府の下部組織及び地方組織に譲渡するために、契約人はその従業員又は他の者と契約を締結することにより全ての権利を取得し、又はこれらの者に権利を取得させるものとする。この場合、契約人は該当する権利を第三者から取得することに関して負担した費用の補填を請求することができる。
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3 |
国又は地方自治体の需要のための国又は地方自治体との契約に基づき創作された学術的、文学的又は美術的著作物に対する独占的権利が本条第1項の規定に従いロシア連邦政府、ロシア連邦政府の下部組織又は地方組織以外の者に帰属する場合で、国又は地方自治体である依頼者が希望する場合、権利者は依頼者の指定する者に対し、国又は地方自治体の需要のために、学術的、文学的又は美術的著作物の利用につき無償の単純(非独占的)ライセンスを与えるものとする。
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4 |
国又は地方自治体の需要のための国又は地方自治体との契約に基づき創作された学術的、文学的又は美術的著作物に対する独占的権利が契約人及びロシア連邦政府、契約人及びロシア連邦政府の下部組織又は契約人及び地方組織の共有に属する場合、国又は地方自治体である依頼者は、国又は地方自治体の需要のために、学術的、文学的又は美術的著作物の利用につき無償の単純(非独占的)ライセンスを与える権利を有し、この場合その後契約人に通知をするものとする。
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5 |
本条第2項の規定によりその独占的権利が契約人に移転した使用者は、本法第1295条第2項第3段落の規定に従い報酬請求権を有する。
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6 |
本法の規定は、国又は地方自治体との契約上国又は地方自治体の需要のために創作されることが想定されていなかったが、当該契約の履行の際に創作されたコンピュータ・プログラム及びデータベースにも適用があるものとする。
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第1299条 著作権保護のための技術的手段
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1 |
著作権保護を目的とする技術的手段は、著作物に対するアクセスを規制し、著作物に関する著作者又は権利者が許諾してない行為を回避又は制限する、科学技術、技術的装置又はその構成要素である。
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2 |
著作物に関し以下の行為が禁止される。 |
1) |
著作者又は権利者の許諾を得ずに、著作権保護のための技術的手段を利用した著作物の利用に対する制約を解除することを企図した行為に関与すること。 |
2) |
科学技術、技術的装置又はその構成要素を、製作し、販売し、貸与し、一時的な無償利用に供し、輸入し又は宣伝すること、当該技術的手段を営利目的で使用すること、又は当該サービスを提供することで、かかる行為により著作権保護のための技術的手段の利用を不可能にし、又は著作権の適切な保護の観点から機能不全にする場合。
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3 |
本条第2項の規定に違反した場合、著作者又はその他の権利者は、本法第1301条に従い、その裁量により、違反者に対し、損害賠償又は補償を請求する権利を有する。
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第1300条 著作権情報
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1 |
著作権情報とは、著作物、著作者その他の権利者を識別する情報、又は著作物の利用条件に関する情報で、著作物の原作品若しくは複製物に、放送番組若しくは有線放送番組に関して、又は著作物の公衆に対する伝達に関して表示されているもの、及びこれらの情報を構成する要素と記号をいう。
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2 |
著作物に関しては以下の行為が禁止される。 |
1) |
著作者又はその他の権利者の許諾を得ずに、著作権情報を削除または変更すること。 |
2) |
著作者又はその他の権利者の許諾を得ずに、著作権情報が削除または変更された著作物を、録音再生/複製し、頒布し、頒布目的で輸入し、公に上演し、放送又は有線放送し、公衆に伝達すること。
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3 |
本条第2項の規定に違反した場合、著作者又はその他の権利者は、本法第1301条に従い、その裁量により、違反者に対し、損害賠償又は補償を請求する権利を有する。
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第1301条 著作物に対する独占的権利の侵害に対する責任
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著作物に対する独占的権利が侵害された場合、著作者又はその他の権利者は、自己の選択により、侵害者に対し、適用される本法(第1250条、第1252条及び第1253条)の定める救済手段及び責任追及方法の行使とは別の損害賠償請求に代えて、本法第1252条第3項に従い、侵害者に対し、損害回復に代わる補償金を請求することができる。その額は10,000~5,000,000ルーブルの範囲内で裁判所が決定する額、著作物の複製物の2倍の価額若しくは著作物の適法な利用に関し同様の状況において通常請求される金額を基本として決定される著作物の使用料の2倍の価額とする。
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第1302条 著作権侵害事件における証拠保全
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1 |
裁判所は、被告又は著作権を侵害したと認めるに足る十分な根拠がある者に対し、著作物の複製物が侵害物であると判断された場合、当該複製物に関する一定の行為(製作、複製、販売、貸与、輸入その他の本法の定めるその他の利用、並びに民事上の取引を目的とする輸送、保管又は所持)を禁止することができる。
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2 |
裁判所は、侵害物とみなされるすべての著作物の複製物並びにその製造及び複製に用いられた物及び機器を差押え、及び没収する決定をすることができる。著作権侵害に関する十分な資料が存在する場合、調査官又は捜査機関は、侵害物とみなされる著作物の複製物及び複製に用いられた物及び機器につき、必要に応じて没収及び保管委託を含む、その捜索及び差押えの手続をとるものとする。 |