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    第2章-著作権の帰属および移転


    第201条 著作権の帰属

    (a) 原始的帰属-本編に基づいて保護される著作物に対する著作権は、当該著作物の著作者に原始的に帰属する。共同著作物の著作者は、当該著作物に対する著作権の共有者となる。

    (b) 職務著作物-職務著作物の場合、使用者その他著作物を作成させる者は、本編において著作者とみなされ、また、当事者が署名した書面による別段の明示的な合意がなければ、著作権を構成するすべての権利を有する。

    (c) 集合著作物への寄与物-集合著作物への各寄与物に対する著作権は、集合著作物全体に対する著作権とは別個のものであり、当該寄与物の著作者に原始的に帰属する。著作権または著作権に基づく権利の明示的な移転がない場合、集合著作物の著作権者は、その特定の集合著作物、その改訂版および同一の双書における以後の集合著作物の一部として当該寄与物を複製しまた頒布する権限のみを取得したものと推定される。

    (d) 著作権の移転-

      (1) 著作権は、あらゆる手段による譲渡または法の作用によって、その全部または一部を移転することができ、また、遺言によって遺贈しまたは無遺言相続法によって人的財産として移転することができる。

      (2) 第106条に列挙する権利を含む、著作権に含まれるいかなる排他的権利も、上記第(1)節に規定するとおり移転し、また、個別に保有することができる。特定の排他的権利の保有者は、かかる権利の範囲内で、本編が著作権者に対して認めるすべての保護および救済を受けることができる。

    (e) 強制的移転-個人の著作者がその著作権または著作権に基づく排他的権利をその前に任意に移転していない場合、当該著作権または著作権に基づく排他的権利を差し押さえ、収容し、移転しまたは行使することを目的とする政府機関その他の公務員または団体によるいかなる行為も、第11編に定める場合を除いては、本編に基づく効力を生じない。


    第202条 有体物の所有権と別個の著作権

    著作権またはこれに基づく排他的権利の保有は、著作物が収録された有体物の所有権の保有とは別個のものである。有体物 (著作物が最初に固定されたコピーまたはレコードを含む)の所有権の移転自体は、当該物に収録された著作権のある著作物に対するいかなる権利をも移転するものではない。また、合意がなければ、著作権またはこれに基づく排他的権利の移転は、有体物に対する財産権を移転するものではない。


    第203条 著作者の権利付与による移転および使用許諾の終了

    (a) 終了の条件-職務著作物以外の著作物の場合、1978年1月1日以後に著作者が遺言以外の方法によって行った、著作権またはこれに基づく権利の移転または独占的もしくは非独占的な使用許諾の付与は、以下の条件において終了する。

      (1) 一人の著作者が行った権利付与の場合、当該著作者または著作者が死亡している場合には本項第(2)節に基づき著作者の終了権の2分の1を超える権利を保有しかつ行使することのできる者が、これを終了させることができる。共同著作物の二人以上の著作者が行った権利付与の場合には、権利付与を行った著作者の過半数をもって終了させることができ、かかる著作者が死亡している場合には、本項第(2)節に基づき著作者の終了権の2分の1を超える権利を保有しかつ行使することのできる者が、これを終了させることができる。

      (2) 著作者が死亡している場合には、以下のとおり終了権を保有し、また、これを行使することができる。

        (A) 著作者に生存する子または孫がある場合を除き、寡婦または寡夫が終了権のすべてを保有する。著作者に生存する子または孫がある場合には、寡婦または寡夫は著作者の終了権の2分の1を保有する。

        (B) 寡婦または寡夫がない場合には、著作者の生存する子および著作者の死亡した子の生存する子が、終了権のすべてを保有する。寡婦または寡夫がある場合には、著作者の終了権の2分の1を分有する。

        (C) いかなる場合にも、著作者の子および孫の権利は、代襲される子の数に従って株分け方式で分割されかつ行使される。死亡した子の終了権の持分は、その過半数の行為によってのみ行使することができる。

        (D) 著作者の寡婦または寡夫、子および孫のいずれも生存していない場合には、著作者の遺言執行人、遺産管理人、法定代理人または信託受託者が著作者の終了権を保有する。

      (3) 権利付与の終了は、権利付与の実施の日から35年後に始まる5年間にいつでも行うことができる。また、権利付与が著作物を発行する権利にかかる場合、上記期間は、権利付与に基づく著作物の発行の日から35年後または許可の実施の日から40年後のうち、いずれか早く終了する期間の最終日から起算する。

      (4) 終了は、本項第(1)節および第(2)節により必要となる数および割合の終了権保持者または適法に授権されたその代理人が署名した書面による事前の通知を、権利付与を受けた者またはその権利承継人に送達することによって行われるものとする。

        (A) 通知は、本項第(3)節に定める5年間における終了が効力を生ずる日を示し、かつ、かかる日から2年以上10年以下の期間内に送達されなければならない。通知が効力を生ずる要件として、通知の写しを終了が効力を生ずる日の前に著作権局に登記しなければならない。

        (B) 通知は、その書式、内容および送達の方法において、著作権局長が規則により定める要件に従わなければならない。

      (5) 権利付与の終了は、いかなる反対の合意(遺言を作成しまたは将来の権利付与を行う合意を含む)にかかわらず行うことができる。

    (b) 終了の効果-終了する権利付与が及ぶ本編に基づくすべての権利は、終了が効力を生ずる日に、著作者その他本条第(a)項(1)および(2)に基づき終了権を有する者(第(a)項(4)に基づく終了通知の署名に参加しなかった者を含む)に復帰するが、以下の制限に服する。

      (1) 終了前に権利付与に基づいて作成された二次的著作物は、終了後も権利付与の条件に基づいて引き続き使用することができるが、かかる権限は、終了した権利付与が及ぶ著作権のある著作物に基づき終了後に他の二次的著作物を作成することには及ばない。

      (2) 権利付与の終了により復帰する将来の権利は、第(a)項(4)の規定により終了の通知が送達された日に確定的に帰属する。かかる権利は、著作者および第(a)項(1)および(2)に定める者に、その規定する比例持分に応じて帰属する。

      (3) 本項第(4)節の規定を条件として、終了した権利付与が及ぶ権利に関する以後の権利付与または以後の権利付与を行う合意は、本項第(2)節に基づき権利が帰属する者のうち、第(a)項(1)および(2)に基づき権利付与を終了するために必要とされると同じ数および割合の者が署名した場合にのみ有効となる。以後の権利付与またはその合意は、本項第(2)節に基づき権利付与の対象となる権利が帰属するすべての者(署名を行わない者を含む)について効力を有する。終了した権利付与に基づく権利が帰属した後にその者が死亡した場合、その者の法定代理人、遺言による相続人または法定相続人が本節において代襲する。

      (4) 終了した権利付与の対象となる権利について以後の権利付与またはこれを行う合意は、終了が効力を生ずる日の後に行われる場合にのみ有効となる。ただし、例外として、本項第(3)節に定める者と権利付与を受けた者またはその権利承継人の間においては、第(a)項(4)の規定するとおり終了の通知を送達した後に、かかる将来の権利付与の合意を行うことができる。

      (5) 本条に基づく権利付与の終了は、当該権利付与の対象となる本編に基づき発生する権利にのみ及び、連邦、州または外国の他の法に基づき発生する権利に何ら影響を及ぼさない。

      (6) 本条に基づき終了が発効しない限りまたは発効するまでは、権利付与は、別途定める場合を除き本編が定める著作権の保護期間中引き続き効力を有する。


    第204条 著作権の移転の実行

    (a) 著作権の移転は、法の作用によるものを除き、譲渡証書または移転の記録もしくは覚書が書面にて作成され、かつ、移転される権利の保有者またはその適法に授権された代理人が署名しなければ効力を有しない。

    (b) 確認証書は、移転が効力を有するために必要ではないが、以下の場合には移転の実行の一応の証拠となる。

      (1) 合衆国内で実行された移転の場合、合衆国内で宣誓を執行する権限を有する者が確認証書を交付したとき。または、

      (2) 外国で実行された移転の場合、合衆国の外交官もしくは領事館員またはこれらの者の証明書によって宣誓を執行する権限を有することが証明される者が、確認証書を交付したとき。


    第205条 譲渡証書その他の文書の登録

    (a) 登録の条件-著作権の移転証書その他著作権に関する文書は、当該文書を作成した者の実際の署名があり、または、当該文書が署名された原本の真正な写しであることの宣誓によるもしくは公式の証明書を添付した場合には、著作権局に登録することができる。宣誓によるもしくは公式の証明書は、著作権局長が定める規則に従い、電子的に提出することができる。

    (b) 登録証明書-著作権局長は、第(a)項に定める文書および第708条に規定する手数料を受領した場合、当該文書を登録し登録証明書と共に返還しなければならない。

    (c) 擬制告知としての登録-著作権局への文書の登録は、以下の要件をすべて満たす場合に限り、すべての者に対する擬制告知となる。

      (1) 文書またはこれに添付された物が、著作権局長によって当該文書が索引に掲載された後において、著作物の題名または登録番号による合理的な検索によって明らかになるように、対象となる著作物を特定していること、かつ

      (2) 著作物について登録がなされていること。

    (d) 矛盾する移転間の優先-二つの矛盾する移転の間においては、第(c)項に基づき擬制告知をなすために必要な方法で、合衆国での実行後1ヶ月以内もしくは合衆国外での実行後2ヶ月以内に、または後に行われた移転が上記の方法で登録される前に、登録された場合に、最初に実行されたものが優先する。その他の場合には、最初に上記の方法で登録され、かつ、先の移転を知らずに有価の約因または使用料を支払う旨の拘束力のある約束に基づいて善意で行われた場合に、後に行われた移転が優先する。

    (e) 矛盾する著作権の移転および非独占的使用許諾の間の優先-非独占的使用許諾は、使用許諾の対象となる権利の保有者またはその適法に授権された代理人が署名した書面によって証明され、かつ、以下のいずれかにあたる場合には、登録されているか否かを問わず、矛盾する著作権の移転に優先する。

      (1) 使用許諾が移転の実行前に取得されたこと、または

      (2) 使用許諾が移転の登録の前に行われかつそれを知ることなく善意で受けられたこと。




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