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    第8章-著作権使用料審判官による手続


    第801条 著作権使用料審判官:任命および役割

    (a) 任命-連邦議会図書館長は、常勤の著作権使用料審判官3名を任命し、その内1名を著作権使用料審判長に任命する。連邦議会図書館長は、著作権局長と協議した後、これらの地位に任命する。

    (b) 役割-本章の規定を条件として、著作権使用料審判官の役割は、以下のとおりとする。

      (1) 第112条(e)、第114条、第115条、第116条、第118条、第119条および第1004条に定める相当な使用料の条件および料率に関する決定および調整を行うこと。

      (2) 以下の規定にのみ従って、第111条における著作権使用料の設定に関する決定を行うこと。

        (A) 第111条(d)(1)(B)により設定される使用料率は、

          (i) 国内通貨の高騰もしくは下落、または

          (ii) 1976年10月19日現在の加入者一人あたりの使用料率の実勢金額レベルを維持するために、二次送信提供の基本サービスにつきケーブル加入者に対して課せられる平均使用料率の変更を反映して、調整することができる。ただし、

            (I) 二次送信提供の基本サービスにつきケーブル・システム加入者に課せられる平均使用料率が、国内通貨の高騰率 を超える程度に変更される場合、第111条(d)(1)(B)により設定された使用料率を変更することは許されない。また、

            (II) 加入者一人あたりの遠隔信号等価の平均値の減少を理由に、使用料を増額することは、許されない。

          著作権使用料審判官は、ケーブル産業が加入者料金の管理当局により二次送信提供の基本サービスの料金を増額することを禁止されているか否かを軽減要素として考慮する他、上記支払レベルの維持に関連するすべての要素を考慮することができる。

        (B) 1976年4月15日より後に連邦通信委員会の準則および規則が一次送信事業者のローカル放送区域以遠にケーブル・システムによる追加のテレビ番組信号の送信を認めるものに修正された場合には、第111条(d)(1)(B)により設定される使用料は、ケーブル・システムの送信による追加の遠隔信号等価にかかる使用料率が上記準則および規則の修正による変更に照らして相当となるよう修正することができる。連邦通信委員会準則および規則の修正後に提案される使用料率の相当性を決定するにあたり、著作権使用料審判官は、著作権者および使用者に対する経済的影響その他の要素を考慮しなければならない。ただし、使用料率の調整は、本号に基づいて、以下によって示される遠隔信号等価またはその一部について、行ってはならない。

          (i) 1976年4月15日現在効力を有する連邦通信委員会の準則および規則に基づき認められる信号の送信またはかかる認められた信号に代わる同種の信号(すなわち、独立系、ネットワーク系もしくは非商業的教育の信号)の送信、または

          (ii) 1976年4月15日現在効力を有していた連邦通信委員会の準則または規則の個別的適用免除に従って1976年4 月15日より後に最初に送信されたテレビ放送信号。

        (C) シンジケート番組およびスポーツ番組にかかる独占について1976年4月15日より後に行われた連邦通信委員会の準則または規則の変更の場合には、第111条(d)(1)(B)により設定される著作権使用料率は、上記準則および規則の修正による変更に照らして相当となるよう調整することができるが、かかる調整は、変更の適用を受けるテレビ番組信号であって変更の適用を受けるシステムが伝達するものについてのみ適用される。

        (D) 第111条(d)(1)(C)および(D)に定める総収入制限は、内国通貨の高騰もしくは下落、または第111条に定める例外の実勢金額レベルを維持するために二次送信提供の基本サービスにつきケーブル・システムの加入者に対して課せられる平均使用料率の変更を反映して、調整されなければならないが、上記規定に定める使用料率は調整されてはならない。

      (3) (A) 第111条、第119条および第1007条に基づいて、第111条、第119条および第1005条に基づき徴収された使用料を、当該使用料の分配が紛争の対象となっていないと著作権使用料審判官が認定する範囲で、分配を許可すること。

        (B) 著作権使用料審判官が紛争が存在すると認定する場合には、著作権使用料審判官は第111条、第119条または第1007 条に従って、一部分配を含む当該使用料の分配を決定すること。

        (C) 第804条(b)(8)に関わらず、著作権使用料審判官は、第111条、第119条および第1007条に基づき請求の提出をした後いつでも、一人以上の請求者の申立がありかつ当該申立に対する利害関係を有する請求者からの応答の請求を連邦官報に公告した後に、かかる使用料の一部分配をすることができる。ただし、連邦官報の公告日後30日間に受領した回答に基づいて、使用料を受領する権利のある請求者が当該一部分配に合理的な異議を申し立てていないと著作権使用料審判官が判断し、かつこれらの請求者が以下に該当する場合に限る。

          (i) 当該一部分配に同意し、

          (ii) 第(B)号に基づきなされた分配金額の最終決定を遵守するために必要な範囲で、超過額の返還を義務付ける契約書に署名し、

          (iii) 著作権使用料審判官に当該契約書を提出し、かつ

          (iv) かかる資金が分配可能であることに同意する場合。

        (D) 著作権使用料審判官および第(C)号に基づき善意誠実に資金を分配する公務員または職員は、第(C)号に基づき超過使用料の支払いについて責任を負わない。著作権使用料審判官は、超過使用料額の計算を、最終決定したときに行わなければならない。

      (4) 第111条、第119条および第1007条に基づいて提出された使用料請求を、請求根拠の提出の適時性または懈怠に基づいて受諾または拒否すること。

      (5) 第804条に規定する料率調整の申立ならびに第803条(b)(1)および(2)に規定する参加の申立を受諾または拒否すること。

      (6) 第1010条に規定するとおり、第1002条および第1003条に基づいてデジタル音声録音装置またはデジタル録音インターフェイス装置の位置付けを決定すること。

      (7) (A) 手続期間中においていつでも、法定条件および料率の基礎または法定使用料支払いの基礎として、手続の参加者の数人または全員で合意した当該事項に関する合意を、採用すること。ただし、

          (i) 著作権使用料審判官は、使用料を決定する手続において当該合意に定める条件、料率またはその他の決定事項に 拘束される者に対して、当該合意について意見を述べる機会を与え、また、法定条件及び料率の基準として、当該合意に定める条件、料率またはその他の決定事項に拘束される第803条(b)(2)に基づく参加者に対して、当該合意について意見を述べまた当該合意の採用について異議を申し立てる機会を与えなければならない。また、

          (ii) 第(i)段に定める参加者が当該合意に異議を申し立て、著作権使用料審判官が(面前での記録があればそれに基づいて)当該法定条件または法定料率を定める合理的な基礎を提供するものでないと判断する場合には、著作権使用料審判官は、当該合意の当事者でない参加者に対する法定条件および料率の基準として、当該合意を採用しないことができる。

        (B) 第112条(e)(5)、第114条(f)(2)、第115条(c)(E)(i)、第116条(c)または第118条(b)(2)に従って交渉された任意的使用許諾契約が結果的に法定条件および料率とならない場合、当該使用許諾契約は、第(A)号(i)および(ii)の規定の適用を受けない。

        (C) 規則に基づいて適用されるべき条件に代えて、契約条件として通知および記帳の要件を定めた契約を、両当事者が交渉・合意し、著作権使用料審判官が採用することができる。

      (8) 第115条(d)に基づいてデジタル音楽プロバイダが支払うべき管理費用査定額を決定すること。第115条(d)の規定は、第115条(d)に基づく著作権使用料審判官による手続の行為に適用されるが、本条または第803条、第804条もしくは第805条に記載する手続には適用されない。

      (9) 著作権使用料審判官が本条に規定するその他の任務を行っていないときは、著作権局長に指示されたところに従って、第802条(g)に定める場合を除き連邦議会図書館内において、その他の任務を行うこと。

    (c) 決定-著作権使用料審判官は、本章に基づくいかなる手続においても必要な手続上または証拠上の決定を行うことができ、また本章に基づく手続を始める前に、著作権使用料審判官が行う手続に適用されるべき当該決定を行うことができる。

    (d) 事務支援-連邦議会図書館長は、本章に基づく手続に関連して必要な事務サービスを著作権使用料審判官に提供する。

    (e) 連邦議会図書館内に位置する-著作権使用料審判官およびその職員の事務室は、連邦議会図書館内に置く。

    (f) 行為の有効日-2004年著作権使用料及び分配改革法の制定日*15以降、著作権使用料審判官によるまたはこれに対する行為の実行に関して本編に基づいて期限が定められ、かつ当該規定された期間の最終日が土曜日、日曜日、祝日またはコロンビア特別区もしくは連邦政府内のその他休業日に該当する場合には、翌執務日に当該行為を行うことができ、また当該期限の満了日において効力を有する。


    *15 2004年11月30日


    第802条 著作権使用料審判官の資格および職員

    (a) 著作権使用料審判官の資格

      (1) 総則-著作権使用料審判官は、最低7年間の法的な実務経験がある弁護士でなければならない。著作権使用料審判長は、最低5年間の審判、仲裁または裁判の経験がなければならない。2名の著作権使用料審判官の内1名は、著作権法に関する深い知識を持ち、もう1名は、経済に関する深い知識を持っていなければならない。個人は、第(h)項に基づく経済的利害相反のない場合に限り、著作権使用料審判官として執務することができる。

      (2) 定義-本項において「審判」とは、第5編第551条が付与する意味を有するが、仲裁を含まない。

    (b) 職員-著作権使用料審判長は、著作権使用料審判官の職務の遂行を援助する常勤職員を3名雇用する。

    (c) 期間-最初に著作権使用料審判長として選任された個人は、任期6年で任命され、また最初に著作権使用料審判官として選任されたその他の個人の内1名は、任期4年で任命され、その他は、任期2年で任命される。その後、次の著作権使用料審判官の任期はそれぞれ6年間とする。著作権使用料審判官として執務している個人は、次の任期にも再任されうる。著作権使用料審判官の任期は、かかる著作権使用料審判官の前任者の期間が終了したときから始まる。著作権使用料審判官の任期が終了したとき、当該期間に執務した個人は、次の後任者が選ばれるまで執務することができる。

    (d) 欠員または執務不能

      (1) 欠員-著作権使用料審判官職に欠員が生じた場合、連邦議会図書館長は、その空席を埋めるために迅速に行動しなければならず、本条に基づいて、他の著作権使用料審判官が選任されるまでの間、仮著作権使用料審判官を選任し執務させることができる。空席を埋めるために前任者の任期が終了する前に選任された者は、前任者の残りの任期に限り任命されたものとする。

      (2) 執務不能-著作権使用料審判官が一時的に任務を履行できない場合、連邦議会図書館長は、履行不能の期間、当該任務を執行するために仮著作権使用料審判官を選任することができる。

    (e) 報酬-

      (1) 審判官-著作権使用料審判長は、第5編第5372条(b)に従って、行政法審判官のAL-1レベルの基本給の料率で報酬を受領し、その他2人の著作権使用料審判官は、行政法審判官のAL-2レベルの基本給の料率で報酬をそれぞれ受領しなければならない。著作権使用料審判官の報酬は、第5編第5376条(b)(1)に基づいて、人事局がその権限にしたがって採用した規則の適用を受けない。

      (2) 職員-第(b)項に基づいて選任された職員は、一般職一覧表のGS-15のレベル10の基本給を超えない報酬を受ける。

      (3) 地域給-本項にいうすべての支払いの料率は、地域給を含む。

    (f) 著作権使用料審判官の独立性-

      (1) 決定-

        (A) 総則-

          (i) 第(B)号および本号第(ii)段を条件として、著作権使用料審判官は、本編に基づいて、著作権使用料および条件の決定および調整、使用料の分配、使用料のクレーム、料率調整の申立および参加の申立の受諾または拒否に関する決定において、ならびにその他の決定の発令において、完全独立の権限を有する。ただし、著作権使用料審判官は、事実認定の問題以外の事項については著作権局長と協議することができる。

          (ii) 1名以上の著作権使用料審判官は、本編における規定の解釈に関連する実体法の重要な問題の解釈および手続中に発生する実体法の重要な問題の解釈を著作権局長に請求することができ、また手続の参加者は、これらを著作権使用料審判官に対する申立によって著作権局長に請求することができる。書面による解釈を求める当該請求は、書面にて行い、かつ記録されなければならず、また手続の参加者が実体法に関する重要な問題に意見を述べうるよう合理的な手段が、重複および遅延を最小限に抑える方法にて、提供されなければならない。第(B)号に定める場合を除き、著作権局長は、参加者から主張書面および意見を受領してから14日以内に、書面による回答を著作権使用料審判官に送らなければならない。著作権使用料審判官は、書面の回答が間に合えば、著作権局長の回答に含まれる法解釈を適用しなければならず、また当該回答は、最終決定に付随する記録に含まれなければならない。本段に基づく権限は、著作権使用料審判官の直面する手続事項に関する解釈、著作権使用料の料率および条件の最終的な調整および決定、著作権使用料の最終的な分配、または使用料の請求、料率調整の申立もしくは手続参加の申立の受諾もしくは拒否に関する解釈を与える権限を、著作権局長に認めるものとして解釈されてはならない。

        (B) 新規事項

          (i) 手続の対象事項に関して課題となっている本編の規定の解釈について実体法の新規の重要な法律問題が提示された場合には、著作権使用料審判官は、かかる新規の問題を解決するために、著作権局長の書面による決定を請求しなければならない。重複および遅延を最小限にする方法にて、手続の参加者が当該請求について意見を述べうるよう、合理的手段を与えなければならない。著作権局長は、参加者からすべての文書およびコメントを受領してから30日以内に、著作権局長の決定を著作権使用料審判官に伝えなければならない。かかる決定は、書面にて作成されなければならず、また著作権使用料審判官は、著作権使用料審判官の最終決定に添付される記録にこれを含めなければならない。かかる決定の提供が間に合えば、著作権使用料審判官は、実体法の重要な法律問題を解決するにあたって、著作権局長の決定に含まれる法的判断を適用しなければならない。

          (ii) 第(i)段において、「新規の法律問題」とは、第803条(a)に定める従前の決定、審判および裁定において未決定の法律問題をいう。

        (C) 協議-第(A)号の規定にかかわらず、著作権使用料審判官は、著作権局が何らかの行為を行うことが必要となる事柄の決定に関しては、著作権局長と協議しなければならず、またかかる決定は、著作権局長を拘束しない。

        (D) 著作権局長による法的結論の審査-著作権局長は、本編に基づいて、著作権使用料審判官が決定する最終決定の基礎をなしまたはこれに含まれる実体法上の重要な法律問題について著作権使用料審判官の紛争解決を、法的誤りに関して、審査することができる。著作権局長が、手続の参加者の見解を考慮した後に著作権使用料審判官の至った紛争解決に重大な誤りがあると判断する場合には、著作権局長は、かかる法的誤りを訂正する決定書を発行し、これを手続の記録の一部としなければならない。著作権局長は、かかる書面による決定を、著作権使用料審判官が最終決定を発行した後60日以内に、発行しなければならない。また、著作権局長は、当該決定書を、著作権局長が誤りがあると決定した著作権使用料審判官の法的結論を具体的に特定して、連邦官報に公告しなければならない。本編の成文規定の解釈を含む実体法上の結論に関しては、著作権局長の決定は、本章に基づくその後の手続において、先例として著作権使用料審判官に対して拘束力を持つものとする。決定が本号にしたがってなされたときは、著作権局長は、かかる決定を基にかつそれに従って、コロンビア特別区巡回区連邦巡回控訴裁判所における第803条(d)に基づく著作権使用料審判官の最終決定に対する上訴に、権利として当事者参加することができる。著作権局長がかかる上訴に当事者参加する前に、当該当事者参加に関して司法長官に通知し協議を求めたが、司法長官が当該通知受領後相当な期間内に司法長官が当事者参加しない場合には、著作権局長は、著作権局長の指定した弁護士に代理させて、自己の名前で当該上訴に当事者参加することができる。著作権局長によるその名前での当事者参加は、司法長官が合衆国を代表して当該上訴に当事者参加することが法律に規定されまたは命じられる場合には、これを妨げるものではない。

        (E) 司法審査への影響-本条の規定は、裁判所が本編の規定の解釈を含む法的判断を審査する基準を変更するものとも、本編の規定の解釈について審査に当たる裁判所による敬意を与えられるべき範囲に影響するものとも、解釈されてはならない。

      (2) 勤務評定-

        (A) 総則-法律の規定または連邦議会図書館の規則にかかわらず、また第(B)号を条件とし、著作権使用料審判官は、勤務に関する査定を受けない。

        (B) 懲戒または解任に関して-連邦議会図書館長が著作権使用料審判官の懲戒または解任に関連する規則を第(h)項に基づいて採用し、かつかかる規則がかかる懲戒または解任の原因を明らかにする書類を要求する範囲において、著作権使用料審判官は、懲戒または解任の原因に特に関する評価を受けることがある。

    (g) 相容れない任務の禁止-著作権使用料審判官は、著作権使用料審判官としての任務および責任に抵触する任務を引き受けてはならない。

    (h) 行為規範-連邦議会図書館長は、経済的利益相反および一方当事者のみとの通信を含む、著作権使用料審判官および本章に基づく手続を規律する行為規範に関する規則を制定する。

    (i) 解任または懲戒-連邦議会図書館長は、第(h)項に基づいて制定された行為規範の違反、不正行為、任務懈怠、または不適格な肉体的もしくは精神的障害がある場合には、著作権使用料審判官を懲戒または解任することができる。かかる懲戒または解任は、告知および聴聞の機会の後にのみ行うことができるが、当該聴聞の手続中は当該著作権使用料審判官を停職させることができる。連邦議会図書館長は、当該聴聞の手続中、仮著作権使用料審判官を任命しなければならない。


    第803条 著作権使用料審判官の手続

    (a) 手続-

      (1) 総則-著作権使用料審判官は、第801条に定める目的を実行するにあたって、本編に従って、また本編に抵触しない範囲において第5編第5章第2部に従って、行為しなければならない。著作権使用料審判官は、著作権使用料審判官および連邦議会図書館長の発行する規則に、ならびに、書面記録に基づく場合には、著作権使用料審判所、連邦議会図書館長、著作権局長、著作権仲裁使用料審判委員会(それらの決定が連邦議会図書館長または著作権局長の決定に抵触しない範囲において)および著作権使用料審判官(それらの決定が、第802条(f)(1)(A)または(B)に従って著作権使用料審判官への提出が間に合った著作権局長の決定または第802条(f)(1)(D)に従った著作権局長の決定に抵触しない範囲において)の決定および解釈の先例ならびに2004年著作権使用料及び分配改革法の発効日*16の前後を問わず連邦控訴裁判所の判決に従って、行為しなければならない。

      (2) 委員会としてまた単独で行為する審判官-著作権使用料審判官は、本章に基づく手続における聴聞を全審判官で執行しなければならない。著作権使用料審判長は、1名の著作権使用料審判官を指名して、単独で、付随的および事務的手続、ならびに裁判長が適切であると考えたところに従い第(b)項の第(1)節ないし第(5)節に基づく手続を執行させることができる。

      (3) 決定-本章に基づく手続における著作権使用料審判官の最終決定は、多数決で行うものとする。本章に基づく決定の多数意見に反対意見の著作権使用料審判官は、その反対意見を発行することができ、当該反対意見は当該決定に掲載されなければならない。


    *16 2005年5月30日


    (b) 手続-

      (1) 開始

        (A) 参加申立の催告

          (i) 著作権使用料審判官は、本章に基づく手続開始の通知を連邦官報に公告して、第111条、第112条、第114条、第115条、第116条、第118条、第119条、第1004条または第1007条に基づく必要な決定を下すために本章に基づく手続への参加申立を催告しなければならない。ただし、

            (I) 第804条(a)に基づく決定がなされたときはただちに、

            (II) 手続開始については、第804条(b)第(2)節に規定する年の1月5日より前までに;

            (III) 手続開始については、第804条(b)(3)(A)または(B)に規定する年の1月5日より前までに、または同項(A)第(C)に別段の定めがあるところに従って;

            (IV) 第804条(b)(8)に規定するところに従って、または

            (V) 第804条(b)のそのほかの規定に定める年の1月5日より前までに申立が行われていない場合には、手続開始については、かかる日までに。ただし、通知要件の公告は、2005年に開始が予定されている第111条に基づく手続の場合には、適用しない。

          (ii) 参加の申立は、第(i)段に基づく手続開始の通知が公告された後30日以内に提出されなければならない。ただし、著作権使用料審判官は、正当な理由が提示されかつまた既に申立を提出した参加者に不利益を与えない場合には、手続の参加者が陳述書面を提出する期限の90日前までに限り、遅れた申立を受理することができる。前文に関わらず、手続開始通知の公告から30日以上後に参加申立を提出した申立人は、第(3)節に基づく任意的交渉期間中に合意に至った和解に異議を申し立てる資格がなく、また著作権使用料審判官は、かかる申立人が提出した異議申立を考慮に入れてはならない。

        (B) 参加の申立書-手続参加のそれぞれの申立書には、手続の対象に対する当該申立人の利害関係を記載しなければならない。類似の利害関係を有する複数の当事者は、1通の参加申立書を提出できる。

      (2) 参加総則-第(4)節を条件として、いかなる者も、以下の場合には、主張書面またはその他情報を提出することによって本章に基づく手続に参加することができる。

        (A) 当該者が、(第(1)節(B)に基づき個人としてまたは団体としていずれか)第(1)節に従って参加申立書を提出し、

        (B) 著作権使用料審判官が、参加申立を文面上無効であると判断することがなく、

        (C) 著作権使用料審判官が職権でまたは他の手続の参加者の申立に基づき、当該者が手続に重大な利害関係を欠くと判断することがなく、かつ

        (D) 参加申立に以下のいずれかが添付されている場合。

          (i) 使用料を決定する手続においては、150ドルの申立手料、または

          (ii) 使用料の分配を決定する手続においては、

            (I) 150ドルの申立手数料、もしくは

            (II) 申立人が(個人または団体として)1000ドルを超える分配を求めないとの文書。その場合には、当該申立人に対する分配額は1000ドルを超えてはならない。

      (3) 任意的交渉期間-

        (A) 手続の開始-

          (i) 料率調整手続-手続参加申立の提出日後直ちに、著作権使用料審判官は、手続のすべての参加者に、かかる参加者の名簿を提供し、参加者間における任意的交渉の期間を開始しなければならない。

          (ii) 分配手続-使用料の分配を決定する手続への参加申立の提出日後直ちに、著作権使用料審判官は、手続のすべての参加者に、かかる参加者の名簿を提供しなければならない。参加者間における任意的交渉の期間の開始は、著作権使用料審判官が決定した時点とする。

        (B) 手続の期間-第(A)号に基づき開始された任意的交渉期間は、3ヶ月とする。

        (C) その後の手続の決定-任意的交渉手続の終了時に、著作権使用料審判官は、本章に基づく更なる手続が必要な場合には、第(4)節および第(5)節を当事者に適用するかまたどの範囲で適用するかを決定しなければならない。

      (4) 分配手続における少額請求処理手順-

        (A) 総則-使用料の分配を決定する本章に基づく手続において、争われる請求金額が10,000ドル以下の場合には、著作権使用料審判官は、参加者が提出する陳述書面、これに相手方参加者により提出された反論書、およびそれぞれの当事者による1回の反論書を基に、当該争点を裁決しなければならない。

        (B) 請求額の悪意不誠実なつり上げ-第(A)号に定める手続に基づく決定を回避する目的で参加者が争う金額を10,000 ドルを超える金額に悪意不誠実に主張している、と著作権使用料審判官が判断する場合、著作権使用料審判官は、当該参加者に対して、実際に分配される金額と参加者の主張する金額の差額を超えない額の罰金を科さなければならない。

      (5) 書面による手続-本章に基づく手続を行う著作権使用料審判官は、職権によりまたは参加者の申立に基づいて、参加者が提出する陳述書面、これに相手方参加者により提出された反論書、およびそれぞれの当事者による1回の反論書を基に、当該争点を裁決することができる。書面による記録のみで進めることを決定する前に、著作権使用料審判官は、手続のすべての当事者に対して、その決定について意見を述べる機会を与えなければならない。著作権使用料審判官は、本節に基づく手続を、

        (A) 重要な真の事実上の争点が存在せず、証拠に関する聴聞の必要がなく、かつ手続の参加者が書面で当該処理手順に同意する場合には、適用しなければならず、また、

        (B) 著作権使用料審判官が適切だと考えるその他の状況の場合には、適用することができる。

      (6) 規則-

        (A) 総則-著作権使用料審判官は、その役割を果たすために、本編に基づき、規則を発布することができる。著作権使用料審判官が発布するすべての規則は、第(d)項に規定する場合を除き、連邦議会図書館長の承認および第5編第7章に基づく司法審査の対象となる。著作権使用料審判官または仮著作権使用料審判官は、2004年著作権使用料及び分配改革法の制定後に最初に任命されてから120日以内に、本章に基づく手続を管理する規則を発布しなければならない。

        (B) 暫定規則-第(A)号に基づいて規則が採用されるまで、著作権使用料審判官は、本章に抵触しない範囲において、 2004年著作権使用料及び分配改革法の制定日*17の前日において本章に基づいて有効であった規則を、適用しなければならない。ただし、かかる規則に基づいて連邦議会図書館長、著作権局長または著作権仲裁使用料審判委員会によって行われた役割であって、当該制定日の時点で、本章に基づいて著作権使用料審判官が行うべき役割は、当該規則に基づき、著作権使用料審判官が行うものとする。

        (C) 要件-第(A)号に基づいて発布される規則は、以下を含まなければならない。

          (i) 第(2)節に基づく手続の参加者の陳述書面および反論書は、著作権使用料審判官が定める日までに提出されなければならないが、陳述書面については、第(3)節に基づく任意的交渉期間の終了後から4ヶ月以上5ヶ月以内の日でなければならない。前文にかかわらず、著作権使用料審判官は、手続の参加者に、(iv)段に定める証拠開示手続期間の終了後15日以内に、証拠開示手続中に入手した新たな情報に基づいて修正陳述書面を提出することを許可することができる。

          (ii) (I) 第(2)節に基づく手続の参加者が著作権使用料審判官に陳述書面および反論書を提出した後、著作権使用料審判官は、手続の参加者の意見を考慮に入れた上で、証拠開示の進行および完了の予定を決定しなければならない。

            (II) 本章において、「陳述書面」とは、著作権使用料審判官が発布する規則に従って、手続に提出される証人の陳述、証言および添付証拠、ならびに条件および料率を定めるに必要なその他の情報をいう。

          (iii) 伝聞証拠は、著作権使用料審判官が適切とみなした範囲において、本章に基づく手続において、採用できる。

          (iv) 陳述書面に関連する証拠開示は、60日間とする。ただし、申立の裁定、命令および当該期間終了時に継続中の争点に関連して著作権使用料審判官が命じる証拠開示はこの限りではない。著作権使用料審判官は、反論書に関連して、証拠開示の日程決定を命ずることができる。

          (v) 使用料率を決定する本章に基づく手続における第(2)節に基づく参加者は、相手方参加者に対して、当該参加者の陳述書面または反論書面に直接関係する非免責特権文書を請求することができる。かかる請求に対する異議は、著作権使用料審判官によって採用された規則に従って著作権使用料審判官になされた提出強制を求める申立または請求に基づいて、処理されなければならない。証拠開示を強制する申立または請求は、著作権使用料審判官が、または第(a)項(2)に基づいて許されているときは著作権使用料審判官が、決定する。かかる申立があった場合、著作権使用料審判官は、本節に基づいて制定された規則にしたがって、証拠開示を命ずることができる。

          (vi) (I) 求められた証拠の開示の要求がなければ、当該手続における著作権使用料審判官の処理が実質的に損なわれる場合には、使用料率を決定する本章に基づく手続に対する第(2)節に基づく参加者は、申立書または記録に残す手段によって、相手方当事者または証人に対して、その他の関連する情報および資料を請求することができる。本段に基づいて証拠開示が認められるか否かを決定するにあたって、著作権使用料審判官は、以下を考慮しなければならない。

    (aa)その必要性および参加者の人的資源、問題となっている争点の重要性ならびにかかる問題を解決する上で 請求された情報または資料が持つ証明力を考慮した上で、請求された情報または資料を提出する負担または費用がありえる効果を上回るか否か;

    (bb)請求された情報または資料が非合理的に累積的もしくは重複的であるか、またはそれがより簡便な、より負担の少ないまたはより安価に他の情報資源から入手できるか否か;ならびに

    (cc)証拠開示を求める参加者が当該手続の証拠開示またはその他の方法により当該請求されている情報を入手する十分な機会が、それまでに、あったか否か。

            (II) 本段は、2010年12月31日以降に開始予定の手続には適用されない。

          (vii) 使用料率を決定する本章に基づく手続において、使用料を受け取る権利を有する参加者は、累計で、10件以内の証言録取を取りまた25件以内の質問状に対する回答を受けることが認められなければならず、使用料を支払う義務を負う参加者は、累計で、10件以内の証言録取を取りまた25件以内の質問状に対する回答を受けることが認められなければならない。著作権使用料審判官は、本段に基づいて認められる証言録取および質問状の数の割り当てに対する類似の立場の参加者間での紛争を、裁定しなければならない。

          (viii) 使用料の分配を決定するための本章に基づく手続における証拠開示に関して、2004年著作権使用料及び分配改革法の発効日の前日に有効であった準則および実務は、当該発効日以降の手続にも継続して適用されなければならない。

          (ix) 使用料を決定する手続において、著作権使用料審判官は、証言または文書もしくは物証の提出がなければ著作権使用料審判官による当該手続の解決が実質的に損なわれる場合には、参加者もしくは証人に対し出頭し証言することを命ずる、または文書もしくは物証を提出および検証させることを命ずる召喚令状を発行することができる。かかる召喚令状は、相当な詳細さをもって、提出されるべき資料ならびに必要な証言の範囲および性質を特定しなければならない。本段は、著作権使用料審判官による重大な事実上の争点の解決に関係する情報または資料の提出を非参加者に対して著作権使用料審判官が要請することを、妨げるものではない。

          (x) 著作権使用料審判官は、参加者間での和解の申し出の提示を容易にするよう、手続の参加者間における和解協議を命じなければならない。和解協議は、第(iv)段に規定する60日間の証拠開示期間後の21日間中に開かれ、著作権使用審判官の同席なしで行われなければならない。

          (xi) 参加者の陳述書面または反論書においては、証人の裏付けがなければ、添付証拠を含む、いかなる証拠も提出することはできない。ただし、著作権使用料審判官が公式に通知した場合、過去の記録を引用して組み込んだ場合、または正当な理由が示された場合は、この限りではない。


    *17 2004年11月30日


    (c) 著作権使用料審判官の決定-

      (1) 時期-第(b)条(6)(C)(x)に基づく21日間の和解協議期間の終了後11ヶ月以内に、ただし、指定期日に終了する料率または条件の後継料率および条件を決定する手続においては、その時点における法定の料率および条件の終了後15 日以内に、著作権使用料審判官は、手続に対する決定を発布しなければならない。

      (2) 再審理-

        (A) 総則-著作権使用料審判官は、例外的な場合には、第(b)項(2)に基づく手続の参加者の申立により、第(1)節に基づき当該手続に対して決定を発布した後に、著作権使用料審判官が適切と決定した事項について、再審理を命ずることができる。

        (B) 申立の提出期限-第(A)号に基づく再審理の申立は、著作権使用料審判が手続の参加者に対して最初の決定を交付した日から15日以内にのみ、提出することができる。

        (C) 相手方の参加は不要-再審理するよう命じられた場合、相手方は、かかる再審理に参加することを要求されない。ただし、不参加により、第(d)項(1)に定める司法審査に関して制限が生じることがある。

        (D) 不利益推定の禁止-再審理への不参加により、不利益な推定をしてはならない。

        (E) 料率および条件の継続性-

          (i) 指定期日に終了する料率または条件の後継料率および条件を決定する手続において、著作権使用料審判官が、有効であった法定の料率および条件が期間満了する前に再審理の申立について決定を下さなかった場合には、以下のとおりとする。

            (I) 再審理申立の対象となっている著作権使用料審判官の最初の決定は、有効であった法定の料率および条件が期間満了する日の翌日に、効力を有するものとする。また、

            (II) 第114条(f)(1)(C)に基づく手続の場合、第114条(f)(4)(B)の適用においては、使用料および条件は、再審理申立の対象となっている著作権使用料審判官の最初の決定に含まれる料率および条件に、当該決定の日において、決まっていたものとみなされる。

          (ii) 本節に基づく再審理申立の係属は、かかる申立に対する決定より影響を受ける使用料を支払う義務のある者について、計算書および使用報告書の必要な範囲においての提出ならびに然るべき決定または規則に基づいて必要な使用料の支払を免れさせるものではない。

          (iii) 第(ii)段にかかわらず、第(ii)段に定める使用料が著作権局以外の者に対して支払われた場合はその度ごとに、著作権の利用者(およびその後任者)から使用料の支払を受けた著作権使用料審判官指定事業者は、再審理申立の決定後60日以内に、または申立が認められた場合は再審理終了後60日以内に、著作権使用料審判官が最終的に決定した使用料に従う上で必要な範囲で、すでに支払を受けた過剰分を返還しなければならない。再審理によって生じる支払い不足は、同じ期間内に支払われなければならない。

      (3) 決定の内容-著作権使用料審判官の決定は、書面の記録によって裏付けられなければならず、またその決定が基にした事実認定を記載しなければならない。決定にて採用されたその他の条件の中で、著作権使用料審判官は、本来規則に基づいて適用される条件に代えて適用される、当該著作権の使用者に関する通知および記録管理の要件を定めることができる。

      (4) 継続的管轄権-著作権使用料審判官は、決定中の技術的な誤りもしくは誤記を訂正するために、または、当該決定の適正な実施が妨げられる予測しなかった状況に対応するために使用料の支払い条件(料率を除く)を変更するために、決定の修正を発布することができる。かかる修正は、手続の参加者に配布されまた連邦官報に掲載される当該決定の補遺として、記載されなければならない。

      (5) 保護命令-著作権使用料審判官は、公衆に対して発行されまたは利用可能とされる決定の記録から秘密情報を除く命令など、秘密情報を保護するために必要な命令を発布することができる。ただし、使用料支払いまたは分配の条件または料率は除外することができない。

      (6) 決定の発行-第802条(f)(1)(D)に定める60日間の末までに、連邦議会図書館長は、決定およびそれに対するいかなる訂正を連邦官報に公告させなければならない。また、連邦議会図書館長は、決定および訂正を、インターネット上での公開など連邦議会図書館長が適当であると考える方法で、公表しなければならない。また、連邦議会図書館長は、決定、訂正およびそれに付随する記録を公衆による閲覧および謄写に供さなければならない。

      (7) 支払遅延-著作権使用料審判官による決定は、支払遅延に関する条件を含むことができるが、かかる条件は、著作権保有者が、本編に基づき付与される他の権利または救済の主張を妨げるものではない。

    (d) 司法審査-

      (1) 上訴-決定によって不利益を受ける第(b)項(2)に基づく手続の参加者であって手続に完全に参加しかつ決定の拘束を受ける者は、第(c)項に基づく著作権使用料審判官の決定に対して連邦官報に公告されてから30日以内に、コロンビア特別区巡回区連邦巡回控訴裁判所に上訴することができる。再審理に参加しなかった者は、聴聞の決定におけるいかなる司法審査の段階においても、再審理の対象となっていた事項を争点にすることができない。当該30日間に上訴がない場合、著作権使用料審判官の決定は確定し、使用料または使用料分配の決定は、第(2)節に定めるとおり効力を生ずる。

      (2) 料率の効力-

        (A) 指定日における期間満了-有効であった料率および条件が指定日に満了することを本編が規定するときは、法定使用許諾が与えられる期間に対する後継料率および条件に関する著作権使用料審判官による調整または決定は、著作権使用料審判官の決定が遅れてなされた場合であっても、かつて有効であった料率および条件の有効期間満了の翌日に発効する。被許諾者は、後継期間に対する料率および条件が定められるまで、かつて有効であった料率および条件に基づいて支払を継続する義務を負う。本条に定める使用料が著作権局以外の者に対して支払われた場合はその度ごとに、著作権の利用者(およびその後任者)から使用料の支払を受けた著作権使用料審判官指定事業者は、後継期間に対する料率および条件を定める著作権使用料審判官の最終決定からまたは再審理もしくは決定に対する上訴ができなくなってから60日以内に、使用料率の最終決定に従う上で必要な範囲で、すでに支払を受けた過剰分を返還しなければならない。著作権使用者による使用料の支払い不足は、著作権使用料審判官指定事業者に対して、同じ期間内に支払われなければならない。

        (B) その他の場合-料率および条件が、使用行為の開始前に、当該使用許諾に基づいて当該行為について定められていない場合には、当該料率および条件は、それの対象とする使用許諾に基づく行為の開始に、遡って適用される。料率および条件が指定日に満了しないその他の場合、後継の料率および条件は、著作権使用料審判官の決定が連邦官報に公告された翌々月の1日に効力を生ずるものとする。ただし、本編に別段の定めがある場合、著作権使用料審判官が別段の定めをした場合、または当該料率および条件にて拘束される手続の参加者の合意がある場合を除く。本編に別段の定めある場合を除き、当該料率および条件は、適用可能な範囲において、後継の料率および条件が発効するまで効力を有する。

        (C) 支払義務-

          (i) 本項に基づく上訴の係属は、第111条、第112条、第114条、第115条、第116条、第118条、第119条、または第1003条に基づいて使用料の支払義務のある者であって控訴の決定によって影響のある者を、以下から免除しない-

            (I) 適用のある明細書および使用報告書の提供;および

            (II) 関係する決定または規則に基づき要求される使用料の支払。

          (ii) 第(i)段にかかわらず、第(i)段に定める使用料が著作権局以外の者に支払われる場合はその度ごとに、著作権の利用者(およびその後任者)から使用料の支払を受けた著作権使用料審判官指定事業者は、上訴に対する最終決定後60 日以内に、上訴における使用料率の最終決定に従う上で必要な範囲で、すでに支払を受けた過剰分(および第(3)節に従って命じられたときはこれに対する利息)を返還しなければならない。上訴によって生じた著作権使用者による支払い不足(および第(3)節に従って命じられたときはこれに対する利息)は、同じ期間内に支払われなければならない。

      (3) 裁判管轄-第5編第706条は、本項に基づく連邦控訴裁判所による審査に関して適用される。裁判所が著作権使用料審判官の決定を変更または破棄する場合、裁判所は、使用料額または分配および費用に関して独自の決定を行い、また、その終局的判決に従って、超過額の使用料の返還、不足使用料の支払い、それらに対する利息の支払を命ずることができる。また、裁判所は、著作権使用料審判官の決定を破棄し、第(a)項に従った更なる手続のために著作権使用料審判官に事件を差し戻すことができる。

    (e) 管理事項-

      (1) 申立手数料からの連邦議会図書館および著作権局の費用の控除-

        (A) 申立手数料からの控除-連邦議会図書館長は、本編に基づいて別段に定めのない範囲において、本章に基づく手続に関して第(b)項に基づいて徴収された申立手数料から、著作権使用料審判官および第802条(b)に基づき任命される3人の職員の給与を除き、当該手続を行うに関して連邦議会図書館長、著作権局および著作権使用料審判官に生ずる合理的な経費を、控除することができる。

        (B) 支出の承認-第(b)項に基づいて徴収された申立手数料で回収できない本章に基づき生じた経費を支払うに必要な金額は、支出することが承認される。本号にしたがって利用可能にされるすべての資金は、使い切るまでそのまま利用可能でなければならない。

      (2) 強制使用許諾の管理に必要な職位-1994年立法府予算法第307条は、第111条、第112条、第114条、第115条、第116条、第118条もしくは第119条または第10章を遂行するために当てられることが必要な連邦議会図書館内の職員職位には、適用しない。


    第804条 手続の開始

    (a) 申立書の提出-第(b)項に規定するところに従った暦年における、第111条、第112条、第114条、第115条、第116 条、第118条、第119条および第1004条に規定する使用料の決定または調整についての第801条(b)(1)および(2)にいう手続に関しては、本編により使用料率が明確に記されているかまたは本編により使用料が2004年著作権使用料及び分配改革法の制定日前後を問わず本章に基づいて設定される著作権のある著作物の著作権者または使用者は、申立人が使用料の料率および調整を請求することを宣明する申立書を、著作権使用料審判官に提出することができる。著作権使用料審判官は、決定または調整を求められている当該使用料率に対して当該申立人が重大な利害関係を有しているか否かについて決定を下さなければならない。著作権使用料審判官は、当該申立人が重大な利害関係を有していると決定する場合、当該決定の通知およびその理由を、本章に基づく手続開始の通知とともに、連邦官報に公告しなければならない。第(b)項に規定するところに従った暦年における、第112条および第114条に規定する使用料率の決定または調整についての第801条(b)(1)に基づく手続に関しては、著作権使用料審判官は、第803条(b)(1)(A)に規定するところに従って、本章に基づく手続開始の通知を連邦官報に公告しなければならない。

    (b) 手続の時期-

      (1) 第111条の手続-

        (A) 第801条(b)(2)(A)および(D)が適用される第111条に基づく使用料率の調整についての第801条(b)(2) に基づく手続を開始するための第(a)項に定める申立は、2015年およびその後5暦年ごとに提出することができる。

        (B) 第801条(b)(2)(B)または(C)が適用される第111条に基づく使用料率の調整についての第801条(b)(2)に基づく手続を、かかる項のいずれかに定める事由から12ヶ月以内に、開始するためには、著作物の使用料率が第111 条によってまたは2004年著作権使用料及び分配改革法の制定日の前後を問わず本章に基づき設定された利用率によって定められる著作権のある著作物の著作権者または使用者は、申立人が料率の調整を請求することを宣明する申立書を、著作権使用料審判官に提出することができる。著作権使用料審判官は、その後に、本条第(a)項に規定するところに従って、手続を進めなければならない。本号に従って本章に基づいてなされる使用料率の変更は、第801条(b)(2)(B)または(C)の規定に従って、2015年に、またその後5暦年ごとに再検討されうる。連邦通信委員会の準則および規則の変更によって第111条(d)(1)(B)により設定された料率を調整することを申し立てるには、当該申立が根拠とする当該変更を記載しなければならない。

        (C) 第111条に基づく使用料率の調整は、著作権使用料審判官の決定を連邦官報に公告した後に始まる最初の会計期間または当該決定に定めるその他の日に、発効する。

      (2) 第112条の特定の手続-本章に基づく手続は、第114条(d)(1)(C)(iv)に定める排他的権利の制限に関して第112 条(e)(1)に記載する行為に対する相当な使用料条件および使用料率が2009年1月1日に発効するよう決定するために、 2007年中に開始されなければならない。その後、当該手続は、5暦年ごとに繰り返される。

      (3) 第114条およびこれに対応する第112条の手続-

        (A) 適格の非加入契約サービスおよび新規加入契約サービスについて-本章に基づく手続は、適格の非加入契約サービスおよび新規加入契約サービスに対する第114条および第112条に基づく相当な使用料条件および使用料率が2006年 1月1日に始まり2010年12月31日に終わる期間に発効するよう決定するために、2004年著作権使用料及び分配改革法の制定日*18後、可能な限り速やかに開始されなければならない。次の当該手続は、相当な使用料条件および使用料率が2011年1月1日に発効するよう決定するために、2009年1月に開始されなければならない。その後、当該手続は、 5暦年ごとに繰り返される。

        (B) 既存の加入契約サービスおよび衛星デジタル音声ラジオ・サービスについて-本章に基づく手続は、既存の加入契約サービスに対する第114条および第112条に基づく相当な使用料支払条件および使用料率が2008年1月1日に始まり2012年12月31日に終わる期間に発効するよう決定するために、また既存の衛星デジタル音声ラジオ・サービスに対する第114条および第112条に基づく相当な使用料支払条件および使用料率が2007年1月1日に始まり2012年12 月31日に終わる期間に発効するよう決定するために、2006年1月に開始されなければならない。次の当該手続は、相当な使用料条件および使用料率が2013年1月1日に発効するよう決定するために、2011年に開始されなければならない。その後、当該手続は、5暦年ごとに繰り返される。ただし、以下の場合を除く。

          (i) 既存の加入契約サービスに関しては、2022年12月31日に終わる料率期間について最終的に決定された条件および料率は、2027年12月31日まで有効に存続するものとし、2023年1月1日から2027年12月31日までの期間に対する既存の加入契約サービスについての条件および料率を決定する手続は執られてはならない。

          (ii) 既存の衛星デジタル音声ラジオ・サービスに関しては、2022年12月31日に終わる料率期間についての著作権使用料審判官による最初の決定において、2017年12月14日に著作権使用料審判官が定めた条件および料率は、第803条(c)(2)に基づく再聴聞に基づく変更も803条(d)に基づく不服申立を受けることもなく、2027年12月31日まで有効に存続し、2023年1月1日から2027年12月31日までの期間に対する既存の衛星デジタル音声ラジオ・サービスについての条件および料率を決定する手続は執られてはならない。

        (C) (i) 本章のその他の規定に関わらず、本号は、新種のサービスに関する第114条(f)(1)(C)に従って開始される手続を規律する。

          (ii) 新種のサービスの料率および条件を決定することを求めて、当該新種のサービスが営業中または営業準備中であることを記載した申立書が、録音物の著作権者または当該新種のサービス事業者により提出されてから30日以内に、著作権使用料審判官は、当該サービスに対する料率および条件を決定する手続について通知を発行しなければならない。

          (iii) 当該手続は、第803条(b)(c)および(d)に定めるところに従わなければならない。ただし、

            (I) 決定は、第(ii)段に基づく通知の公告後24ヶ月以内に発行されなければならない。また、

            (II) 決定は、第803条(c)(2)および(d)(2)ならびに第114条(f)(3)(B)(ii)および(C)に定められたところに従って、発効する。

          (iv) 料率および条件は、第114条(f)(1)(C)に定める期間中、有効に存続する。

      (4) 第115条の手続-第115条に定める使用料率の調整または決定に関する第801条(b)(1)に基づく手続の開始を求める第(a)項に定める申立書は、2006年におよびその後5暦年ごとに、または第115条(c)(3)(B)および(C)に基づいて当事者が合意したその他の時に提出することができる。

      (5) 第116条の手続-

        (A) 第116条に定める使用料率および条件の決定に関する第801条(b)に基づく手続の開始を求める第(a)項に定める申立書は、第116条により承認された任意的交渉使用許諾が解除または満了し更新されなかったときから1年以内に、いつでも提出することができる。

        (B) 第116条により承認された任意的交渉使用許諾が解除されまたは満了し、1989年3月1日に終わる1年間にコイン式レコード演奏機で実演された音楽著作物の数よりも実質的に少なくない数の音楽著作物を使用許諾するような使用許諾契約によって更新されなかった場合、著作権使用料審判官は、上記解除または満了から1年以内の第(1)節に基づく申立書に基づいて、当該解除されまたは満了した使用許諾契約の対象となっているレコードに含まれる非演劇的音楽著作物をコイン式レコード演奏機で公に実演することに対する暫定的な使用料率をただちに定めるために、手続を開始しなければならない。かかる料率は、前の料率と同額であって、著作権使用料審判官が当該著作物に対する使用料率を調整するために第803条に従って手続を終結するまで、または第116条(b)に規定する任意的交渉使用許諾によって代替されるまで、有効に存続する。

      (6) 第118条の手続-第118条に定める使用料の相当な条件および料率の決定に関する第801条(b)(1)に基づく手続の開始を求める第(a)項に定める申立書は、2006年におよびその後5暦年ごとに提出することがである。

      (7) 第1004条の手続-第1004条に基づく相当な使用料率の調整に関する第801条(b)(1)に基づく手続の開始を求める第(a)項に定める申立書は、第1004条(a)(3)に規定するところに従って提出することができる。

      (8) 使用料分配に関する手続-第111条、第119条または第1007条に基づく特定の状況における使用料の分配に関する第 801条(b)(3)に基づく手続については、著作権使用料審判官は、かかる分配について争いがあると判断した場合に、本章に基づく手続の開始通知を連邦官報に公告させなければならない。


    *18 2004年11月30日


    第805条 任意に交渉した使用許諾契約の一般準則

    以下の要件を満たす本編に基づく料率または条件は、本編に基づく決定に基づいて適用されるべき期間中、有効に存続する。ただし、著作権使用料審判官は、料率が効力を有する追加的な期間中における国内貨幣の高騰率を反映させるよう、任意交渉使用許諾契約に従って料率を調整しなければならない。

      (1) 第803条(b)(3)に基づく手続の参加者によって合意され、

      (2) 本章に基づく決定の一部として、著作権使用料審判官が採用し、かつ

      (3) 本章に従って決定に基づき適用される期間よりも短い期間について効力を有すること。




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