Home >> 外国著作権法 >> 台湾編



    第1章 総則

    第1条 (目的)
     著作者の著作物についての権益を保護し、社会共通の利益を調和させ、かつ、国家の文化の発展を促進することを目的に、特別にこの法律を制定する。この法律の規定外の事項については、他の法律の規定が適用される。

    第2条 (この法律の主務官庁)
     この法律の主務官庁とは、経済部をいう。
     著作権に係わる業務は、経済部が指定する専門機構によって遂行される。

    第3条 (定義規定)
     この法律における用語の定義は、以下の定めによる。
    (1)  「著作物」とは、文学、科学、芸術またはその他の学術分野に属する創作物をいう。
    (2)  「著作者」とは、著作物を創作する者をいう。
    (3)  「著作権」とは、著作物の完成とともに発生する著作者人格権および財産的権利をいう。
    (4)  「公衆」とは、不特定の者または特定の多数の者をいう。ただし、家族および家族と通常の社交関係を持つ多数の者は、この限りではない。
    (5)  「複製」とは、印刷、複写、録音、録画、写真、筆写、或いはその他の方法を用いて、直接的または間接的、永久的または一時的に複製することをいう。音楽の著作物またはその他の類似の著作物を実演し、若しくは放送する間に録音または録画を行うこと、また、建築の図面または建築の模型に基づき、建築物を建設することも含む。
    (6)  「公の口述」とは、言葉或いはその他の方法を用いて、著作物の内容を公衆に伝達することをいう。
    (7)  「公の放送」とは、公衆によって直接聴取され、または視聴されることを目的に、有線、無線またはその他の放送信号伝達用装置を用いて、著作物の内容を音または影像を介して公衆に伝達することをいう。原放送者以外の者が、有線、無線またはその他の放送信号伝達用装置を用いて、原放送の音または影像を公衆に伝達することも含む。
    (8)  「公の上映」とは、単一の、または複数の視聴覚装置若しくはその他の影像を伝送する方法を用いて、伝送の場所或いは伝送の場所から離れた特定の場所にいる公衆に対して、著作物の内容を同時に伝達することをいう。
    (9)  「公の上演」とは、演技、舞踊、歌唱、楽器演奏またはその他の方法を用いて、現場にいる公衆に対して、著作物の内容を伝達することをいう。拡声器またはその他の装置を用いて、原放送の音または影像を公衆に伝達することも含む。
    (10)  「公の送信」とは、有線または無線のネットワーク若しくはその他の通信方法を用いて、著作物の内容を音または影像を介して公衆に提供し、または伝達することをいう。公衆が個別に選択した時間または場所において、これらの通信方法を用いて著作物の内容を受信できるようにすることも含む。
    (11)  「翻案」とは、翻訳、編曲、脚色、映画化、またはその他の方法を用いて、既存の著作物を元にして別の著作物を創作することをいう。
    (12)  「頒布」とは、有償かまたは無償かを問わず、取引または流通を目的として著作物の原作品またはその複製物を公衆に提供することをいう。
    (13)  「公の展示」とは、著作物の内容を公衆に展示することをいう。
    (14)  「発行」とは、公衆の合理的な需要を満たすことのできる数量の著作物の複製物を著作権者が頒布することをいう。
    (15)  「公表」とは、著作権者が、発行、放送、上映、口述、実演、展示またはその他の方法を用いて、著作物の内容を公衆に提示することをいう。
    (16)  「原作品」とは、著作物が最初に固定された物をいう。
    (17)  「電子的権利管理情報」とは、著作物の原作品またはその複製物において、若しくは著作物を公衆に伝達する時に、当該著作物、著作物の名称、著作者、著作権の財産的権利の権利者またはその許諾を得た者、著作物の利用条件並びに期間を十分確認できるように表示される電子的情報をいい、この類の情報を、数字または記号を用いて表示するものも含む。
    (18)  「不正使用と複製の防止措置」とは、他人による著作物への無許諾のアクセスまたは利用を効果的に禁止し、または制限するために、著作権者が採用する設備、装置、部品、技術またはその他の科学的方法をいう。
     前項第8号にいう「伝送の場所」或いは「伝送の場所から離れた特定の場所」は、映画館、クラブ施設、ビデオテープまたは影像ディスクが放映される場所、宿泊施設の部屋、公の輸送機関またはその他不特定の者が出入りすることができる場所を含む。

    第4条 (外国人の著作権および互恵の原則)
     外国人の著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律に基づき著作権を享有することができる。ただし、条約または協定に別段の定めがあるときは、立法院の議決によって承認されたものに限り、その定めによる。
    (1)  中華民国の領域内において最初に発行される著作物、または中華民国の領域外において最初に発行された後30日以内に中華民国の領域内において発行される著作物。ただし、その外国人の本国が同一の状況の下で中華民国国民の著作物を保護し、かつ、保護することが正式に立証される場合に限る。
    (2)  条約、協定、若しくはその外国人の本国の法令または慣行に従い、中華民国の国民の著作物が、当該国において著作権を享有する場合。




    第2章 著作物

    第5条 (著作物)
     この法律にいう「著作物」は、次の各号において例示される。
    (1) 言語の著作物
    (2) 音楽の著作物
    (3) 演劇の著作物、舞踊の著作物
    (4) 美術の著作物
    (5) 写真の著作物
    (6) 図形の著作物
    (7) 視聴覚著作物
    (8) 録音の著作物
    (9) 建築の著作物
    (10) コンピュータ・プログラムの著作物
     前項に例示する各著作物の内容は、主務官庁がそれを定める。

    第6条 (二次的著作物)
     二次的著作物とは、既存の著作物から翻案される創作物をいい、独立の著作物として保護を受ける。
     二次的著作物の保護は、元の著作物の著作権に影響を及ぼさない。

    第7条 (編集著作物)
     編集著作物とは、素材の選択および配列において創作性のあるものをいい、独立の著作物として保護を受ける。
     編集著作物の保護は、選択および配列された元の著作物の著作権に影響を及ぼさない。

    第7条の2 (実演家の保護)
     既存の著作物または民間伝承の創作物の実演家による実演は、独立の著作物として保護を受ける。
     実演の保護は、元の著作物の著作権に影響を及ぼさない。

    第8条 (共同著作物)
     共同著作物とは、二人以上の者が共同して完成し、その各人の創作を分離して利用することができない著作物をいう。

    第9条 (著作権の目的とならないもの)
     次の各号に掲げるものは、著作権の目的とはならない。
    (1)  憲法、法律、規則または公文書
    (2)  中央または地方の政府機関が作成した前号の著作物の翻訳物または編集物
    (3)  標語および通常の記号、名称、公式、数表、書式、帳簿または暦
    (4)  事実の伝達にすぎないニュース報道のために作成される言語による著作物
    (5)  法律または規則に基づいて行われる各種の試験の問題およびその補足問題
     前項第1号にいう「公文書」は、公務員がその職務において起草する告示、講演原稿、プレス・リリース原稿およびその他の文書を含む。



    第3章 著作者および著作権

    第1節 通則

    第10条 (著作権の起算)
     著作者は、その著作物を完成させた時に著作権を享有する。ただし、本法律に別段の定めがある場合には、その規定に従う。

    第10条の2 (著作物の要件:表現の保護)
     この法律に従って取得される著作権の保護は、当該著作物の表現のみに及び、それによって表現される思想、手順、製作過程、系統、実施方法、概念、原理または発見には及ばない。


    第2節 著作者

    第11条 (職務著作物)
     被雇用者がその職務において著作物を完成する場合には、当該被雇用者を著作者とする。ただし、契約において雇用主を著作者とする旨の定めがある場合には、その契約の定めに従う。
     前項の規定に従って被雇用者が著作者となる場合には、その著作物の財産的権利は、雇用主が享有する。ただし、契約において被雇用者が著作物の財産的権利を享有する旨の定めがある場合には、その契約の定めに従う。
     前二項にいう「被雇用者」は、公務員を含む。

    第12条 (委嘱著作物)
     著作物がある者の出資と委嘱により完成される場合には、前条に定める場合を除き、委嘱を受けた者を著作者とする。ただし、契約において出資者を著作者とする旨の定めがある場合には、その契約の定めに従う。
     前項の規定に従って委嘱を受けた者が著作者となる場合には、その著作物の財産的権利は、契約の定めに従って委嘱を受けた者または出資者が享有する。契約において著作物の財産的権利の帰属について定めがない場合には、その著作物の財産的権利は、委嘱を受けた者が享有する。
     前項の規定に従って委嘱を受けた者が著作物の財産的権利を享有する場合には、出資者は、当該著作物を利用することができる。

    第13条 (著作者の推定)
     著作物の原作品若しくはその発行された複製物に、または著作物を公表する時に、通常の方法によってある者の実名若しくは周知の変名が表示される場合には、その者が当該著作物の著作者と推定される。
     前項の規定は、著作物の発行日、発行場所並びに著作物の財産的権利の権利者の推定について、準用される。

    第14条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)


    第3節 著作者人格権

    第15条 (公表権および公表の推定)
     著作者は、その著作物を公表する権利を享有する。ただし、この規定は、第11条および第12条の規定に従って公務員を著作者とし、その公務員を雇用する法人にその著作物の財産的権利が帰属される場合には、当該公務員については適用されない。
     次の各号のいずれかに該当する場合には、著作者は、その著作物の公表に同意したものと推定される。
    (1)  著作者がその未公表の著作物の財産的権利を他人に譲渡し、または他人に利用を許諾した結果、その著作物の財産的権利の行使若しくは利用に伴って著作物が公表される場合
    (2)  著作者がその未公表の美術の著作物または写真の著作物の原作品または複製物を他人に譲渡した結果、譲受人がその著作物の原作品または複製物を公に展示する場合
    (3)  学位授与の法律に従って修士論文または博士論文を執筆した著作者が、学位を取得した場合。
     第11条第2項および第12条第2項の規定に従って雇用主または出資者が未公表の著作物の財産的権利を最初に取得し、かつ、著作物の財産的権利の譲渡、行使または利用に伴って著作物が公表される場合には、著作者は、その著作物の公表に同意したものとみなされる。
     前項の規定は、第12条第3項について準用される。

    第16条 (氏名表示権)
     著作者は、その著作物の原作品または複製物において、若しくは著作物を公表する時に、著作者の実名若しくは変名を表示し、または無名とする権利を有する。著作者は、その著作物から派生する二次的著作物についても、同一の権利を有する。
     前条第1項の但し書きは、前項について準用される。
     著作物を利用する者は、自己の表紙意匠を使用し、かつ、その意匠設計者または編集者の氏名または名称を付記することができる。ただし、付記について著作者が特別に意思を表示した場合または社会的慣行に反する場合は、この限りではない。
     著作物の利用目的および方法に照らして、著作者の利益を害するおそれがなく、かつ、利用が社会的慣行に反しない場合には、著作者の氏名または名称を省略することができる。

    第17条 (不当な改変を禁止する権利)
     著作者は、その著作物の内容、形式または題号の変更、分割、改竄またはその他の方法を用いて著作者の名誉を害するおそれのある行為を禁止する権利を享有する。

    第18条 (著作者の死亡または解散に関連する著作者人格権の保護)
     著作者が死亡し、または解散する場合には、その著作者人格権の保護は、著作者が生存し、または存続している場合と同様とみなされ、いずれの者も、著作者人格権を侵害してはならない。ただし、利用行為の性質および程度、社会の変動またはその他の事情に勘案し、著作者の意に反しないと認められる場合には、侵害を構成しない。

    第19条 (共同著作物の著作者人格権)
     共同著作物の著作者人格権は、共同著作者全員の同意を得ることがなければ、行使することができない。いずれの共同著作者も、正当な理由がない限り、その同意を拒むことができない。
     共同著作物の共同著作者は、自ら共同著作物の著作者人格権を行使するための代表者となる者を選定することができる。
     前項にいう「代表者」の代表権に加えられる制限は、善意の第三者に対して主張することができない。

    第20条 (強制執行の制限)
     未公表の著作物の原作品およびその財産的権利は、取引の対象とならない限り、または著作者本人が同意を与えない限り、強制執行の対象とすることができない。

    第21条 (著作者人格権の一身専属性)
     著作者人格権は、著作者の一身に専属し、かつ、譲渡し、または承継することができない。


    第4節 著作物の財産的権利

    第1款 著作物の財産的権利の種類

    第22条 (複製権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
     実演家は、録音、録画または写真撮影により、その実演を複製する権利を専有する。
     前二項の規定は、技術的プロセスの不可欠な部分として過渡的で、または付随的で、かつ、独自の経済的重要性を持たないものであって、専ら適法な中継によるネットワーク送信に、または適法な著作物の使用における一時的複製に関しては、適用しない。
     前項にいう「適法な中継によるネットワーク送信における一時的複製」は、ネットワークにおけるブラウジング、キャッシング、またはその他効率的送信のためのコンピュータまたは機器自身に生じる技術的に回避できない事象を含む。

    第23条 (公の口述権)
     著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

    第24条 (公の放送権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、その著作物を公に放送する権利を専有する。

    第25条 (公の上映権)
     著作者は、その視聴覚的著作物を公に上映する権利を専有する。

    第26条 (公の上演権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、その言語の著作物、音楽の著作物、演劇の著作物、または舞踊の著作物を公に上演する権利を専有する。
     実演家は、拡声器またはその他の機器を用いて、その実演を公に上演する権利を専有する。ただし、拡声器またはその他の機器を用いて、実演の複製物または公に放送された実演を公に上演する場合は、この限りではない。
     著作者は、その録音の著作物が公に上演された場合には、当該公の上演を行った者に対して、報酬の支払いを請求することができる。

    第26条の2 (公の送信権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、その著作物を公に送信する権利を専有する。
     実演家は、録音の著作物において複製されたその実演を公に送信する権利を専有する。

    第27条 (公の展示権)
     著作者は、その未発行の美術の著作物または写真の著作物を公に展示する権利を専有する。

    第28条 (翻案権および編集権)
     著作者は、その著作物を二次的著作物に翻案し、またはその著作物を編集する権利を専有する。ただし、この規定は、実演には適用しない。

    第28条の2 (頒布権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、譲渡により、その著作物を頒布する権利を専有する。
     実演家は、譲渡により、録音の著作物において複製されたその実演を頒布する権利を専有する。

    第29条 (貸与権)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者は、その著作物を貸与する権利を専有する。
     実演家は、録音の著作物において複製されたその実演を貸与する権利を専有する。

    第29条の2 (職務著作物および委嘱著作物の著作権の帰属)
     第11条第2項または第12条第2項の規定に従って著作物の財産的権利を取得した雇用主または出資者は、第22条から第29条までの規定に定める権利を専有する。

    第2款 著作物の財産的権利の存続期間

    第30条 (著作物の財産的権利の存続期間)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、著作物の財産的権利は、著作者の生存の間および著作者の死後50年の間存続する。
     著作物が著作者の死後40年目の年と50年目の年の間に最初に公表される場合には、著作物の財産的権利は、その著作物の公表の時から起算して10年の間存続する。

    第31条 (共同著作物の財産的権利の存続期間)
     共同著作物の財産的権利は、最後に死亡した著作者の死後50年の間存続する。

    第32条 (変名の著作物または無名の著作物の財産的権利の存続期間)
     変名の著作物または無名の著作物の財産的権利は、その著作物の公表の時から50年の間存続する。ただし、その著作者が50年以上前に死亡していることが証明される場合には、その著作物の財産的権利は、消滅する。
     前項の規定は、著作者の変名が公衆に周知のものである場合には、適用しない。

    第33条 (職務著作物の財産的権利の存続期間)
     法人を著作者とする著作物の財産的権利は、その著作物の公表の時から50年の間存続する。ただし、著作物が創作完成の時から50年以内に公表されない場合には、その財産的権利は、創作完成の時から50年の間存続する。

    34条 (写真の著作物、視聴覚著作物、録音の著作物、および実演の著作物の財産的権利の存続期間)
     写真の著作物、視聴覚著作物、録音の著作物および実演の著作物の財産的権利は、その著作物の公表の時から50年の間存続する。
     前条の但し書きは、前項について準用される。

    第35条 (存続期間の計算)
     第30条から第34条までに定める存続期間は、その期間最終の年の末日に満了する。
     継続して、または逐次に公表され、かつ、公表の日を基準に財産的権利の存続期間を計算する著作物について、各回ごとの公表が独立の著作物を構成する場合には、各著作物の財産的権利の存続期間は、各回ごとの公表の日から起算する。各回ごとの公表が独立の著作物を構成しない場合には、公表が独立の著作物を構成することとなる日から起算する。
     前項の場合において、著作物の前回部分の公表日から3年以内にその後続の部分が公表されないときは、財産的権利の存続期間は、その前回の部分の公表日から起算する。

    第3款 著作物の財産的権利の譲渡、行使および消滅

    第36条 (譲渡)
     著作物の財産的権利は、その全部または一部を他人に譲渡し、または他人と共有することができる。
     著作物の財産的権利の譲受人は、譲渡を受けた範囲内において、その著作物の財産的権利を取得する。
     著作物の財産的権利の譲渡範囲は、当事者間の契約の定めに従う。その契約の定めにおける不明確な部分は、譲渡されなかったものと推定する。

    第37条 (許諾)
     著作物の財産的権利の所有者は、その著作物の利用を他人に許諾することができる。その利用許諾の地域、期間、内容、利用方法またはその他の事項は、当事者間の契約の定めに従う。その契約の定めにおける不明確な部分は、許諾されなかったものと推定する。
     前項にいう「許諾」は、著作物の財産的権利の所有者によるその後の財産的権利の譲渡または再許諾により、影響を受けない。
     非独占的許諾を受けた者は、その著作物の財産的権利の所有者の同意を得ることなく、その許諾を受けた権利を利用のために他の第三者に再許諾してはならない。
     独占的許諾を受けた者は、その許諾を受けた範囲内について、著作物の財産的権利の所有者たる地位に基づき権利を行使することができ、また、自己の名義において訴訟を提起することもできる。著作物の財産的権利の所有者は、その独占的許諾を行った範囲内に限って、権利を行使することができない。
     第2項から前項までの規定は、この法律が2001年(中華民国90年)11月12日に改正・施工される前になされた許諾については、適用しない。
     音楽の著作物が許諾を受けてコンピュータ・カラオケ装置に複製された場合に、またはそのコンピュータ・カラオケ装置を用いて利用者がその著作物を公に上演する場合には、第7章の規定は、適用しない。ただし、著作権仲介団体が管理する音楽の著作物は、この限りではない。

    第38条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第39条 (質権)
     著作物の財産的権利が質権の目的となった場合には、質権設定時の契約に別段の定めがない限り、その著作物の財産的権利の所有者は、その財産的権利を行使することができる。

    第40条 (共同著作物の持分)
     共同著作物の各著作者の持分は、共同著作者間の契約の定めに従う。契約の定めがない場合には、各著作者の創作的寄与の程度に応じて決定される。各著作者の創作的寄与の程度が明確ではない場合には、各著作者が均等に享有するものと推定される。
     共同著作物のいずれかの著作者が自己の持分を放棄する場合には、その持分は、その他の共同著作者の間でそれぞれの持分に比例して配分される。
     前項の規定は、共同著作物の著作者が死亡後に承継人がいない場合に、または解散後に受取人がいない場合について、準用される。

    第40条の2 (共有される著作物の財産的権利の行使)
     共有される著作物の財産的権利は、共有者全員の同意を得ることなく、行使してはならない。いずれの共有者も、その他の共有者の同意を得ることなく、自己の持分を他人に譲渡し、または他人のために質権を設定してはならない。各共有者は、正当な理由がない限り、同意を拒んではならない。
     著作物の財産的権利を共有する者は、その者の中から、その財産的権利を行使する代表を選定することができる。その代表者の代表権に加えられる制限は、善意の第三者に対して対抗することができない。
     前条第2項および第3項の規定は、著作物の財産的権利の共有について準用される。

    第41条 (投稿およびそれに関する権利の推定)
     著作物の財産的権利の所有者がその著作物を新聞紙または雑誌に投稿し、若しくはその著作物の公の放送を許諾した場合には、契約に別段の定めがない限り、その著作物の財産的権利の所有者は、その著作物の一回限りの掲載若しくは放送を許諾したものと推定され、著作物の財産的権利の所有者のその他の権利には、影響を及ぼさない。

    第42条 (著作物の財産的権利の消滅)
     著作物の財産的権利は、その存続期間の満了と共に消滅する。その存続期間中にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、消滅する。
    (1)  著作物の財産的権利の所有者の死亡によって、その著作物の財産的権利が法律に従って国庫に帰属した場合、
    (2)  著作物の財産的権利の所有者が法人であり、その法人の解散後に、その著作物の財産的権利が法律に従って地方自治体に帰属した場合。

    第43条 (著作物の財産的権利の消滅および公有)
     この法律に別段の定めがある場合を除き、どなたも、著作物の財産的権利が消滅した著作物を自由に利用することができる。

    第4款 著作物の財産的権利の制限

    第44条 (立法と行政の目的のための複製および制限)
     中央または地方の政府機関は、立法または行政の目的として、他人の著作物を内部の参考資料とする必要が認められる場合には、合理的な範囲内において、その著作物を複製することができる。ただし、その著作物の種類、用途および複製の数量と方法に照らして、著作物の財産的権利の所有者の利益を害する複製は、この限りではない。

    第45条 (専ら裁判手続に必要な使用のための複製)
     専ら裁判手続のために使用することが必要とされる場合には、合理的な範囲内において、他人の著作物を複製することができる。
     前条の但し書きは、前項に定める場合について準用される。

    第46条 (学校の授業に必要な複製)
     適法に設立された各種水準の学校およびその学校で教学を担任する者は、学校の授業に必要とされる場合には、合理的な範囲内において、他人の既に公表された著作物を複製することができる。
     第44条の但し書きは、前項に定める場合について準用される。

    47条 (教科書編纂の目的のための複製、翻案または編集、および使用への報酬の支払い)
     法令に基づき教育行政機関による検定が求められる授業用の教科書を編纂するために、または教育行政機関が授業用の教科書を編纂する場合には、合理的な範囲内において、他人の既に公表された著作物を複製し、翻案し、または編集することができる。
     前項の規定は、前記の教科書に付随する補助教材であって、かつ、専ら教学の目的として教学を担任する者に提供されるものの編纂について、準用される。
     適法に設立された各種水準の学校または教育施設は、教育の目的に必要とされる場合には、合理的な範囲内において、他人の既に公表された著作物を公に放送することができる。
     前三項に定める場合には、利用者は、著作物の財産的権利の所有者に対して、利用の内容を報告し、かつ、使用についての報酬を支払わなければならない。使用についての報酬の料率は、主務官庁がこれを定める。

    第48条 (文教施設収蔵の著作物の複製)
     公衆の使用に供せられる図書館、博物館、歴史館、科学館、美術館またはその他の文教施設は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その収蔵する著作物を複製することができる。
    (1)  閲覧する者の求めに応じて、個人的研究のために、既に公表された著作物の一部分または定期刊行物若しくは既に公表された研究会の論文集に収録された一論文を、一人につき一部に限って、複製すること、
    (2)  資料の保存に必要とされる場合、
    (3)  他の同様の施設の求めに応じて、絶版または購入することが困難な著作物を複製すること。

    第48条の2 (既に公表された著作物の摘要の複製)
     中央政または地方の政府機関、適法に設立された教育施設または公衆の使用に供せられる図書館は、次の各号に掲げる既に公表された著作物に付随する摘要を複製することができる。
    (1)  学位の授与に関する法律に基づき執筆された修士論文または博士論文であって、著作者が既に学位を取得しているもの、
    (2)  定期刊行物に掲載された学術論文、
    (3)  既に公表された研究会の論文集または研究報告。

    第49条 (時事の報道による利用)
     放送、写真、録画、新聞紙、ネットワークまたはその他の方法を用いて時事を報道する場合には、報道に必要とされる範囲内において、その報道の過程に触れた著作物を利用することができる。

    50条 (中央または地方の政府機関または公法人の名義で公表された著作物の複製または公の放送)
     中央または地方の政府機関または公法人の名義で公表された著作物は、合理的な範囲内において、複製し、公に放送し、または公に送信することができる。

    第51条 (個人または家庭内の営利目的の複製)
     既に公表された著作物は、個人または家庭内の非営利目的として、かつ、合理的な範囲内において、図書館および公衆の使用に供される機器以外の機器を利用して複製することができる。

    第52条 (合理的な引用)
     既に公表された著作物は、報道、批評、教学、研究またはその他の正当な目的に必要とされる場合には、合理的な範囲内において、引用することができる。

    第53条 (盲人福祉向上の目的のための複製および利用)
     既に公表された著作物は、視覚障害者または聴覚機能障害者のために、点字、またはそれに付随して手話の翻訳または文字に複製することができる。
     適法に認可された非営利施設または団体は、視覚障害者または聴覚機能障害者の福祉向上の目的として、専ら視覚障害者または聴覚障害者が使用する場合に限って、録音物、コンピュータ、影像の口述およびそれに付随して手話の翻訳またはその他の手段を用いて、既に公表された著作物を利用することができる。

    第54条 (試験問題用の複製)
     中央または地方の政府機関、適法に設立された各種水準の学校または教育施設が各種の試験を行う場合には、試験問題に使用するために、既に公表された著作物を利用することができる。ただし、この規定は、試験問題として公表された著作物については、適用されない。

    55条 (他人の著作物の非営利目的の公の口述、放送、上映または上演)
     営利を目的とせず、いかなる費用も観衆または聴衆から直接的若しくは間接的に徴収しない、かつ、実演家にも報酬を支払わない場合には、その活動の過程において、他人の既に公表された著作物を、公に口述し、公に放送し、公に上映し、または公に上演することができる。

    第56条 (ラジオ放送またはテレビ放送のための録音と録画)
     ラジオ放送機関またはテレビ放送機関は、公の放送を目的として、自己の設備を用いて、著作物を録音し、または録画することができる。ただし、その公の放送について、著作物の財産的権利の所有者から許諾を得ている場合若しくはこの法律の規定に合致している場合に限る。
     前項の録音物または録画物は、著作権主務官庁が指定する場所での保管を認めている場合を除き、録音または録画の時から6ヶ月以内に破棄されなければならない。

    56条の2 (区域の共同アンテナおよび有線テレビ放送による同時再送信の制限)
     適法に設立された区域の共同アンテナは、受信の効果を高めるために、適法に設立された無線テレビ局によって放送された著作物を同時に再送信することができる。ただし、その形式および内容を変更してはならない。

    第57条 (美術の著作物または写真の著作物の展示および複製)
     美術の著作物または写真の著作物の原作品、または適法に作成されたそれらの複製物の所有者、若しくはその所有者の同意を得た者は、その著作物の原作品または適法に作成されたそれらの複製物を公に展示することができる。
     前項にいう「公の展示」をする者は、観覧者に著作物の解説をするために、その解説書においてその著作物を複製することができる。

    58条 (屋外の場所に長期展示される美術の著作物または建築の著作物の利用)
     街路、公園、建築物の外壁またはその他公衆に開放されている屋外の場所に長期展示される美術の著作物または建築の著作物は、次の各号に掲げる場合を除き、いずれの方法によっても利用されることができる。
    (1)  建築の方法を用いて、建築物を複製すること、
    (2)  彫塑の方法を用いて、彫塑物を複製すること、
    (3)  本条に規定する場所に長期展示するために複製すること、
    (4)  専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として、複製すること。

    59条 (コンピュータ・プログラム著作物の複製物の所有者による改変またはバックアップのための複製権)
     コンピュータ・プログラムの適法な複製物の所有者は、その使用する機器において必要とされる場合にそのプログラムを改変することができ、または、バックアップに必要とされる場合にそのプログラムを複製することができる。ただし、その所有者の個人的使用に限る。
     前項にいう「所有者」は、滅失以外の事由によって元の複製物の所有権を失った場合には、著作物の財産的権利の所有者の同意が得られた場合を除き、その改変または複製したプログラムを破棄しなければならない。

    第59条の2 (消尽の準則(1))
     中華民国の管轄区域内において、著作物の原作品またはその適法の複製物の所有権を取得した者は、所有権の移転により、著作物の原作品またはその適法の複製物を頒布することができる。

    第60条 (消尽の準則(2))
     著作物の原作品またはその適法の複製物を所有する者は、その原作品または複製物を貸与することができる。ただし、録音の著作物およびコンピュータ・プログラムの著作物は、この限りではない。
     前項の但し書きは、適法に貸与された製品、機器または機材装置に組み込まれ、その貸与の主たる目的物ではないコンピュータ・プログラムの著作物の複製物については、適用されない。

    第61条 (時事問題に関する論説の転載、公の放送または公の送信)
     新聞紙、雑誌またはネットワークに掲載された政治的、経済的または社会的時事問題に関する論説は、その他の新聞紙若しくは雑誌によって転載され、またはラジオ放送若しくはテレビ放送によって公に放送され、またはネットワークにおいて公に送信されることができる。ただし、転載、公の放送または公の送信を禁止する旨の明示がある場合は、この限りではない。

    第62条 (公開演説または陳述の利用)
     政治上若しくは宗教上の公開演説、裁判手続若しくは中央または地方の政府機関における公開陳述は、どなたも利用することができる。ただし、特定の者の演説または陳述を編集著作物に編集する場合には、著作物の財産的権利の所有者の同意を得なければならない。

    第63条 (他人の著作物の適法利用に基づく翻訳および翻案権)
     第44条、第45条、第48条第1号、第48条の2から第50条、第52条から第55条、第61条から第62条までの規定に従って、他人の著作物を利用できる場合には、その著作物を翻訳することができる。
     第46条および第51条の規定に従って、他人の著作物を利用できる場合には、その著作物を翻案することができる。
     第46条から第50条、第52条から第54条、第57条第2項、第58条、第61条および第62条の規定に従って、他人の著作物を利用できる場合には、その著作物を頒布することができる。

    第64条 (出所明示の義務)
     第44条から第47条、第48条の2から第50条、第52条、第53条、第55条、第57条、第58条、第60条から第63条の規定に従って、他人の著作物を利用できる場合には、その著作物の出所を明示しなければならない。
     前項にいう「出所明示」については、無名の著作物または著作者不明の著作物を除き、合理的な方法を用いて著作者の氏名または名称を表示しなければならない。

    第65条 (合理的使用)
     著作物の合理的使用は、著作物の財産的権利の侵害を構成しない。
     著作物の利用が第44条から第63条までの規定またはその他合理的使用の条件に合致するか否かの判断は、あらゆる条件を考慮しなければならない、特に、次の各号に掲げる事項を判断の基準とする。
    (1)  商業の目的若しくは非営利の教育の目的とするものを含め、利用の目的および性質、
    (2)  著作物の性質、
    (3)  利用される部分の実質と量および著作物全体を占める割合、
    (4)  利用の結果が著作物の潜在的市場および現在価値に及ぼす影響。
     著作物の合理的使用範囲について、著作権者の団体と利用者の団体とが合意を形成する場合には、前項の判断の参考とすることができる。
     前項にいう「合意形成」の過程において、著作権主務官庁の意見を求めなければならない。

    第66条 (本章の規定から影響を受けない著作者人格権)
     第44条から第63条、および第65条の規定は、著作者人格権に影響を及ぼさない。

    第5款 著作物の利用に関する強制許諾

    第67条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第68条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第69条 (販売用の「録音の著作物」の利用に関する強制許諾)
     販売用のために音楽の著作物を録音した「録音の著作物」が発行されてから6ヶ月の期間が満了した場合には、その音楽の著作物を他の販売用の「録音の著作物」に録音し、これを利用しようとする者は、強制許諾の許可を著作権の主務官庁に申請し、かつ、報酬を支払った後に、その音楽の著作物を利用することができる。
     前項にいう「音楽の著作物」についての強制許諾の許可、報酬の算定方法およびその他遵守しなければならない事項に関する規則は、主務官庁がこれを定める。

    70条 (強制許諾に基づき作成される「録音の著作物」の複製物の販売に関する制限)
     前条の規定に従って「音楽の著作物」を利用する場合には、その「録音の著作物」の複製物を中華民国の管轄区域外で販売してはならない。

    第71条 (強制許諾の許可の取り消し)
     第69条の規定に従って強制許諾の許可を得た後に、その申請において虚偽の記述が判明される場合には、著作権の主務官庁は、その許可を取り消さなければならない。
     第69条の規定に従って強制許諾の許可を得た後に、著作権の主務官庁が許可した方法に従って著作物を利用していない場合には、著作権の主務官庁は、その許可を抹消しなければならない。

    第72条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第73条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第74条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第75条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第76条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第77条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)

    第78条 (1998年(中華民国87年)1月21日の法改正により削除)




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