解説
利用許諾、著作権の譲渡、文化庁長官の裁定
他人の著作物を利用する場合は原則として、著作権者から利用許諾を得るか、著作権の譲渡を受けるかのいずれかが必要です。なお、音楽の著作物などのように著作権等管理事業者が著作権をまとめて管理している場合は、1回の利用手続で複数の著作物の利用許諾をまとめて得ることができることがあります。
特定のイベントで利用するために新たな著作物の創作を権利者に依頼するなどの場合には、その後のその著作物の利用の利便性等の観点から、その著作物の著作権が依頼者に譲渡されることもあります。
また、著作権者の所在が分からないなどの理由により許諾を得ることができないときは、文化庁長官の裁定を受けて利用する方法もあります。
著作物利用の手順
著作物を利用する際には、できる限り利用方法等を詳しく説明したうえで、文書で、その利用方法、許諾の範囲、使用料の額やその支払方法などを合意して契約を結ぶ必要があります。
なお、この図では利用許諾を得るための手順を説明しましたが、新たな著作物を創作してもらいそれを継続的に利用するような場合には、著作権の譲渡を受ける契約を結ぶこともよく行われています。この場合でも、利用方法、許諾の範囲などを詳細に確認しておく必要があることは変わりありません。このように著作権が譲渡されている場合、第三者が当該著作物を利用する際には、著作者ではなく著作権者に許諾を得ることが必要です。ただし、この場合でも著作者人格権は著作者に残りますので、著作者人格権を侵害するような方法での利用はできません。
また、既存の著作物を利用しようとする場合に、著作権者の所在を調べてみたところその所在が分からず連絡がとれないために利用許諾を得ることができないというケースがあります。このような場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を支払って利用する方法もあります。
Q&A
- 権利者の所在が分からないときに、文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用したいときの手順を教えてください。
- 文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用するためには、インターネット検索や著作権団体等への照会などを行ったうえで、文化庁長官へ裁定の仮申請と著作権情報センターへ「権利者を捜している」旨の広告掲載の申し込みを行い、広告掲載後7日間を経過すると、文化庁長官へ裁定の正式申請を行うことができます。「申請中利用」を行う場合には、文化庁長官が担保金額を決定した後に担保金を供託すると裁定申請を行った著作物の利用を開始することができます。詳しくは、文化庁のホームページにある「裁定の手引き」をご覧ください(第67条)。
- 著作物の利用について分からないことがあるときの問い合わせ先を教えてください。
- 著作物を利用する際、具体的な疑問が生じた場合には、法律の専門家にご相談されるか、著作権関係団体に問い合わせることをお薦めいたします。著作権情報センターのホームページには著作物の分野ごとの「著作権関係団体・機関リスト」が掲載されていますので、問い合わせ先はそちらをご覧ください。