解説
民事上の請求、刑事上の罰則
著作権のある著作物を、著作権者の許諾を得ないで無断で利用したり、自分が創った著作物だと騙して利用すると著作権侵害となります。ただし、著作物の保護期間が経過している場合(著作権は永遠に保護されるの?参照)や著作権が制限される場合(著作権が制限されるのはどんな場合?参照)は、許諾なく利用しても著作権侵害にはなりません。
また、著作者に無断で著作物の内容や題号を改変したり、著作者が匿名を希望しているのに著作物に勝手に本名をつけて発行したりすれば、著作者人格権侵害となります。
さらに、許諾なく複製された著作物であることを知っていながら当該複製物を頒布(有償か無償かを問わず、複製物を公衆に譲渡・貸与することをいう)したり、頒布の目的で所持する行為や、著作物に付された権利者の情報や利用許諾の条件等の権利管理情報を故意に改変する行為なども著作権侵害とみなされます。
1. 民事上の請求
著作権の侵害を受けた者は、侵害をした者に対し、次のような請求をすることができます。
こうした請求に当事者間で争いがある場合には、最終的には裁判所に訴えて判断してもらうことになります。
2. 刑事上の罰則
著作権侵害は犯罪であり、被害者である権利者が告訴することにより侵害者を処罰してもらうことができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。
また、企業などの法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は、3億円以下の罰金と定められています。
さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます
なお、「懲役刑」と「罰金刑」は併科されることがあります(第119条~第122条の2、第124条)。
Q&A
- 業務上コピーするのですが、そのコピーを必要とするのは、私一人だけで、コピーも一部しかとりません。私的使用のための複製とはいえませんか?
- たとえ使うのが個人であっても、業務目的でコピーする場合は、私的使用のための複製とはなりません。
- 個人的に使うためであれば、コピー機やダビング機を設置している店でコピーしてもいいのですか?
- 公衆の使用に供されるダビング機器を用いて複製する場合は、たとえ、私的使用目的であっても無断で複製はできないこととなっています。ただし、「文書又は図画」に限っては、コンビニなどの公共のコピー機で複製することは当分の間、認められることになっています。
- 著作権者の所在が不明で許諾が得られない場合には、無断で著作物を使用してもいいですか?
- いけません。著作権法では、著作権者が不明の場合に、著作権者の許諾に代えて文化庁長官の裁定を受けて著作物を利用できる制度(裁定制度)があります。これは著作権者ばかりでなく、例えば、放送番組の出演者(実演家)等の著作隣接権者にも認められており、権利者捜しのための「相当の努力」をした上で、裁定制度の申請を行い、あらかじめ担保金を供託すれば、著作物を利用することができます(第67条、第68条)。
裁定制度の詳しい内容については、文化庁のホームページをご覧ください。
公益社団法人著作権情報センター(CRIC)では、「相当の努力」の 1つの方法として、著作物等を利用したいが、権利者(著作権者・著作隣接権者)が不明等により、権利者に連絡することができない方のための「権利者捜し」の広告スペースをHP上に提供しています(有料)
著作権情報センターでは、一般の方々に著作権について正しく理解していただくため、専門の相談員による電話相談を受け付けています(無料)。
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