外国の著作物の保護は?

    この「著作権Q&A  著作権って何?(はじめての著作権講座)」のコーナーでは、右の項目について、それぞれまず要旨を説明し、次に「Q&A」の形で、実際の事例にそった解説をします。

    解説

    著作権に国境はありません

    著作物は、国境を越えて利用されるため、世界各国は、条約を結んで、お互いに著作物や実演・レコード・放送などを保護し合っています。このような国際的な保護は、著作権は「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」、著作隣接権は「実演家等保護条約」と「レコード保護条約」などによって行われています。我が国はいずれの条約にも加入しており、世界の大半の国と保護関係があります。

    著作権条約 (2015年1月現在)

      ベルヌ条約 万国著作権条約
    創設年度 1886年
    (我が国の加入年、1899年)
    1952年
    (我が国の加入年、1956年)
    加入国数 168 100
    正式名称 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約 万国著作権条約
    特色 内国民待遇 内国民待遇
    無方式主義 無方式主義国の著作物であっても©表示によって方式主義国でも保護
    遡及効 不遡及
    条約上保護すべき著作物=同盟国の国民の著作物及び同盟国で最初に発行された著作物 条約上保護すべき著作物=締約国の国民の著作物及び締約国で最初に発行された著作物
    最低保護期間=死後50年 最低保護期間=死後25年

    著作隣接権条約(2015年1月現在)

      実演家等保護条約 レコード保護条約
    創設年度 1961年
    (我が国の加入年、1989年)
    1971年
    (我が国の加入年、1978年)
    加入国数 92 78
    正式名称 実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約 許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約

    また、1994年には、WTO(世界貿易機関)設立協定が成立し、1995年1月1日から発効していますが、この附属書として、著作権を含む「TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)」が添付されています。この協定は、著作権、特許、商標等の知的所有権の国際的保護のための規範や確保のための手段などを規定しており、著作権と著作隣接権とのいずれも対象にしています。我が国は、1994年12月に加盟していますが、2015年1月現在、加盟国は160か国になっています。

    著作権・著作隣接権関係条約(2015年1月現在)

      TRIPS協定
    創設年度 1994年
    (我が国の加入年、1994年)
    加入国数 160
    正式名称 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定
    特色 ベルヌ条約の規定する保護内容を遵守
    コンピュータ・プログラム及びデータベースの著作権による保護
    コンピュータ・プログラム、映画及びレコード製作者の貸与に関する権利の付与
    実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護 

    さらに、1996年(平成8年)に、WIPO(世界知的所有権機関)において、デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した著作権保護の新たな枠組みとして「WIPO著作権条約」及び「WIPO実演・レコード条約」の2つの条約が策定されました。我が国は、「WIPO著作権条約」(2000年6月)、「WIPO実演・レコード条約」(2002年7月)に加入しています。

      WIPO著作権条約
    創設年度 1996年
    (我が国の加入年、2000年)
    加入国数 93
    正式名称 著作権に関する世界知的所有権機関条約
    特色 コンピュータ・プログラムの保護
    著作物以外のもので構成される編集物・データベースの保護
    譲渡権
    公衆への伝達権
    写真の著作物の保護期間の拡大(死後50年以上)
    コピープロテクション解除等の禁止
    権利管理情報の改変等の禁止 
      WIPO実演・レコード条約
    創設年度 1996年
    (我が国の加入年、2002年)
    加入国数 94
    正式名称 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約
    特色 実演家の人格権
    (生の音の実演・レコードに録音された実演)
    実演家の生演奏に係る複製権、放送権、公衆への伝達権
    レコードに係る実演家・レコード製作者の経済的権利
    コピープロテクション解除等の禁止
    権利管理情報の改変等の禁止 

    用語説明

    内国民待遇 外国人の著作物を保護する場合に、自国の国民に与えている保護と同様の保護を与えること。
    無方式主義 著作権は著作物を作った時点で自動的に発生し保護されるとする原則。我が国をはじめほとんどの国が採用。
    方式主義 著作権は登録、作品の納入、著作権表示などをしないと保護されないとする原則。
    遡及効(そきゅうこう) 条約発効前に創作された著作物でも、保護期間内のものであれば、条約が適用されること。
    不遡及 条約発効後に発行又は創作された著作物のみに条約が適用されること。
    ©表示 方式主義の国で著作権の保護を受けるために万国著作権条約で定められた著作権の存続を示す表記。©の記号(CはCopyrightの頭文字)、著作権者の氏名、最初の発行の年の3つを一体として表示する。

    外国の著作物の利用

    外国の著作物を利用する場合には、それが保護期間内にあるかどうかを調べることが大切ですが、いくつかの例外があります。

    1. 保護期間の相互主義----我が国より保護期間の短い国の著作物は、その相手国の保護期間だけ保護されます。
    2. 保護期間の戦時加算----平和条約において、条約関係にある連合国の国民が第2次世界大戦前又は大戦中に取得した著作権については、通常の保護期間に戦争期間を加算します。1941年12月8日から、対日平和条約発効の前日までの日数(主な国は3794日)を加算しなければなりません。 また、翻訳権の保護期間については、上記の戦時加算に、さらに6か月を追加します。

    以上のほか翻訳権などに関してもいろいろな例外がありますから、外国の著作物を利用するときは、十分に調べる必要があります。

    Q&A

    外国人の著作物も我が国で保護されますか?
    我が国はベルヌ条約及び万国著作権条約の両条約に加入していますので、これらの条約加盟国民の著作物、またはこれらの条約国で最初に発行された著作物を保護する義務があります。また、これらの条約により保護義務を負わない著作物であっても、我が国で最初に発行された外国人の著作物については保護されます。
    なお、従来まで条約関係がなかった国でも、TRIPS協定に加盟した国がいくつかあるため、これらの国の著作物については、我が国も保護義務があることに注意する必要があります。
    現在、我が国と著作権の条約関係のない国には、どんな国がありますか? また、それらの国の著作物を利用する場合はどんな注意が必要ですか?
    エチオピアやイランなどとは条約関係がないので、これらの国の著作物を保護する義務はありません。ただし、これらの国の著作物でも、ほかの条約国又は我が国で最初に発行されていれば、保護義務が生じるので注意が必要です。
    なお、従来まで条約関係がなかった国でも、TRIPS協定に加盟した国がいくつかあるため、これらの国の著作物については、我が国も保護義務があることに注意する必要があります。
    我が国とアメリカ合衆国はどのような条約関係にありますか?
    従来、我が国とアメリカ合衆国は万国著作権条約による保護関係にありましたが、1989年(平成元年)3月1日にアメリカ合衆国もベルヌ条約に加入し、ベルヌ同盟国となりました。アメリカ合衆国では従来©表示が保護の要件とされていましたが、ベルヌ条約加入に伴い国内法が改正された結果、©表示がなくても保護されることになりました。
    原則的保護期間が死後25年の国の著作物を我が国で保護する場合、死後50年保護する必要がありますか?
    我が国と当該国が条約による保護関係にあれば、我が国は当該国の著作物を内国民待遇によって保護する必要があります。ただし、保護期間については、相互主義によって、相手国の保護期間が我が国より短い場合は、相手国の保護期間だけ保護すればよいことになっていますので、我が国は当該国の著作物を死後25年だけ保護すればよいことになります。

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